慶州のおすすめコース~東海岸かに紀行

冬の海で旬のズワイガニを食べる、ほおばる、むしゃぶりつく!!

アンニョンハセヨ、K・F・Cです。快調に慶州を旅しております。友人である慶州ナビの指令に従って、K・F・Cが主要観光地を踏破する、慶州エリアおすすめ観光コース第3弾。第1弾のレンタサイクル編、第2弾の循環バス編に引き続きまして、今回はちょいと遠出なんぞをしてみました。なんでも慶州観光に付け加えるオプショナルツアーをイメージしたとか、しないとか。ともかく海の方まで出かけるということで、今回はどうやらうまいものが食べられそうな予感です。期待に胸をふくらませつつ、逆にお腹はへこませつつ。空腹抱えたK・F・Cのリポートです。
えるK・F・Cの叫び
「もっとうまいものを食わせろ、がるるー!!」
「わ、わかった。落ち着け。」
うまいものを食べさせてやると言われ、突撃モニターを了承したK・F・C。第1弾、第2弾と立て続けに慶州名物サンパプを食べさせられたため不満が大爆発です。いや、サンパプはおいしかったです。問題はそこではありません。2日連続というあたりが問題なのです。もっとバラエティに富んだ料理を。もっと新しい感動を。そしてもっとうまいものを。K・F・Cの心の叫び。慶州ナビの脳髄にダイレクトシュートです。

慌てる慶州ナビの提案
「わ、わかった。落ち着け。うまいものを食わせようじゃないか。ここはひとつどうだろう。旬のズワイガニとカレイの刺身あたりで手を打たないか。」
「がるるる?」
「慶州から東へ約32km行った海辺に奉吉(ポンギル)というところがある。ここには文武大王陵(ムンムテワンヌン)という世界でも珍しい海の中の王墓があってだな。慶州の観光地としても名高い。」
「がるるる。」
「行くには1日がかりになるから観光コースとしては組み入れにくいんだが、オプショナルツアーのようなイメージでいけばいいかもしれない。」
「がるるる。」
「ここは盈徳(ヨンドッ)っていうズワイガニの産地からも近くて、さらにカレイが有名なんだそうだ。文武大王陵を見学してカニとカレイを食べる観光コース。それでどうだ?」
「がるるがるる。うぱー!!」


12:00 市外バスターミナルにてスタート
さて、野生化したK・F・Cに首輪をつけていよいよスタートです。まずは市外バスターミナルと高速バスターミナルの間にある観光案内所を訪れました。
「すいません。文武大王陵に行きたいんですが……。」
「はーい。ちょっと待ってくださいねー。」
窓口のお姉さんはなにやらメモをしています。手渡されたメモを見てみると、そこにはハングルで「文武大王陵」、そして「BUS 150」と書かれていました。おお、これはわかりやすい。150番バスに乗り、このメモを運転手さんに見せれば、自動的に文武大王陵で降ろしてもらえるということですね。お姉さん、ありがとう!!

12:10 バス停にて150番バスを待つ
準備万全。バス停まで行き150番バスを待ちます。
12:30 バスが来ない
待つ間に観光案内書を熟読するK・F・C。ふむふむ。今日行く文武大王陵はここにあるのだな。なるほど。なるほど。ところで、ずいぶんバス遅いことない?
12:40 まだ来ない
「ねえ。本当にバス来ないよ。ここで大丈夫なの、慶州ナビ?」
「うーん。そう聞いたんだけどね。」

12:50 本当に来ないのでバスターミナルで確認
バス停で40分も待ったのに150番バスは来ませんでした。これはおかしいということで、市外バスターミナルに戻り情報を確認します。
するとここで衝撃の事実が発覚!! なんと150番バスは外のバス停ではなく、ターミナル内から発車するのでした。慶州ナビの凡ミス。思い込みで行動すると痛い目にあうという模範的な例であります。ああ、教えてくれたお姉さんありがとう。
慶州ナビを口汚く罵りつつ、券売機で文武大王陵行きのチケットを買いました。券売機はいくつか並んでいますが、階段の右にひとつ離れているのが文武大王陵方面の券売機。13番のデボン(Dae Bon 2450ウォン)が文武大王陵までのチケットと同じ値段なので、このボタンを押して購入します。
次のバスは13時30分出発とのこと。あろうことかスタートしてから1時間半をこのバスターミナル周辺で無駄にしています。みなさま、ぜひともこの失敗を反面教師となさいますよう。旅行において時間はなにより貴重です。バスを待っている間、K・F・Cは慶州ナビにオデンをおごってもらいました。どうやらこれが詫びの印のようです。やれやれ。
※文武大王陵の時刻表はコチラに出ています。
13:30 ようやくバス乗車
ようやくバスに乗れました。バスの鼻先に輝く150番のマーク。ああ、なんと輝かしいのでしょう。150番バスは陽南(ヤンナム)行き。2番乗り場から出発します。
14:30 文武大王陵到着(観光)
きっかり1時間かけてバスは文武大王陵に到着しました。早速浜辺のほうに降りていきます。カモメが舞い、波が白く砕ける海の向こうに、ぷかり浮かんだ岩礁が見えます。ここがまさに文武大王陵。新羅の第30代国王、文武(ムンム)王の墓になります。自らの死後、海龍となって国を守ると宣言した文武王は、この岩の下に埋葬されたと伝えられています。やはりどこか神秘的な雰囲気を持っている気がします。
文武大王陵を拝んだあとは、周辺を散策しました。龍となった文武王を見た場所とされる利見台(イギョンデ)、そして国宝の三層石塔がある感恩寺(カムンサ)址。両方とも浜辺からは歩いて20分ほどの距離でした。ただし写真のように道路はほとんどが車道です。歩いていくにはあまりおすすめできない場所のようです。
17:00 夕食
さあ、観光も終えていよいよ食事です。旬のズワイガニ、名物のカレイ。否が応にも期待は高まります。早速浜辺に林立する刺身屋のひとつに突撃してみました。窓から文武大王陵が眺められるという、なんとも風流なお店です。注文したのはもちろんズワイガニとカレイ。ズワイガニは大きさによって値段が違いますが、写真のサイズで1匹3万ウォン。カレイも通常5万ウォンのところを3万ウォン分だけお造りにしてもらいました。
ではいよいよ賞味のほうを。いやあ、みなさん申し訳ないですね。K・F・C、ひとりでこんなにおいしいものを食べちゃって。ほんっとにごめんなさいね。これも慶州ナビの指令なんでね。うらまないでね。あっははは。ごめんなさいねー。

前菜のカキです。チョジャン(酢を混ぜたコチュジャンソース)をつけてテュルンと口内に流し込みます。うーん、笑顔ですけど味は普通……。 
前菜のカキです。チョジャン(酢を混ぜたコチュジャンソース)をつけてテュルンと口内に流し込みます。うーん、笑顔ですけど味は普通……。 
前菜のカキです。チョジャン(酢を混ぜたコチュジャンソース)をつけてテュルンと口内に流し込みます。うーん、笑顔ですけど味は普通……。

前菜のカキです。チョジャン(酢を混ぜたコチュジャンソース)をつけてテュルンと口内に流し込みます。うーん、笑顔ですけど味は普通……。

続いてカレイです。韓国式にゴマの葉に乗せて、ニンニクと唐辛子を加え、包んで食べます。うひゃっ、カレイはプリプリ。 
続いてカレイです。韓国式にゴマの葉に乗せて、ニンニクと唐辛子を加え、包んで食べます。うひゃっ、カレイはプリプリ。 
続いてカレイです。韓国式にゴマの葉に乗せて、ニンニクと唐辛子を加え、包んで食べます。うひゃっ、カレイはプリプリ。

続いてカレイです。韓国式にゴマの葉に乗せて、ニンニクと唐辛子を加え、包んで食べます。うひゃっ、カレイはプリプリ。

主役登場。ズワイガニです。どうですか、この身。足の一番太いところから、身をズルリと取り出して、つまんで、大口あけて、ほおら、ほらほら。あーん……。 主役登場。ズワイガニです。どうですか、この身。足の一番太いところから、身をズルリと取り出して、つまんで、大口あけて、ほおら、ほらほら。あーん……。 主役登場。ズワイガニです。どうですか、この身。足の一番太いところから、身をズルリと取り出して、つまんで、大口あけて、ほおら、ほらほら。あーん……。

主役登場。ズワイガニです。どうですか、この身。足の一番太いところから、身をズルリと取り出して、つまんで、大口あけて、ほおら、ほらほら。あーん……。

ズワイガニに関する緊急報告‐盈徳テゲの真実
はい。盛りあがってきたところではありますが、ここでズワイガニについて重要なお知らせがあります。冒頭にて慶州ナビが述べたように、ここ文武大王陵のある奉吉から少し北に行くと、ズワイガニで有名な盈徳(ヨンドッ)という場所があります。韓国語でズワイガニのことは「テゲ」といいますが、盈徳の地名をつけた「盈徳テゲ」は韓国のズワイガニを代表するブランド名となっています。

奉吉海水浴場の周辺にも盈徳テゲをうたった看板が多く掲げられており、いけすの中では大量のズワイガニがひしめきあっています。店の前では湯気をもうもうとたてながらズワイガニが蒸されています。

バス通り沿いに盈徳テゲの直売店がありました。水族館の水槽並に大きないけす。こ、これだあっ!! その瞬間。K・F・Cは一目散に直売店へと飛び込んで行きました。これぞうわさの盈徳テゲ。会いたかった、食べたかった。念願の盈徳テゲとついにご対面です。

が、しかし。その期待は一瞬にして裏切られたのです。

「おじさん!これは盈徳テゲですか?」
「うん? おお、そうだよ。」
「やっぱり。盈徳で獲れたズワイガニなんですね!」
「うんにゃ。ロシア産だ。」
「げ……。」

ロ、ロシア産? 盈徳テゲでロシア産っていったい……。
「いまどき盈徳のカニなんて獲れやしねえよ。みーんなロシアから来たズワイガニばっかりだ。味もいっしょだしな。少しミソが多いってくらいのもんだ。盈徳まで行ったってみんなロシア産のカニ食ってんだよ。今どき盈徳テゲなんて名前だけだ。うまいぞ、ロシア産。」

直売店のおじさんはさらに続けます。
「ロシア産のズワイガニがキロ2万3000ウォン。サハリン産のほうが少し高くてキロ2万5000ウォン。サハリンのほうが味はいいぞ。」
「じゃ、じゃあ盈徳産の値段はどのくらいになるんですか?」
「うーん。まあ一般人には買えないくらいの値段だな。」

なんと。盈徳テゲはすでに幻となっていました。本に美味だと書かれていた盈徳テゲ。ぜひ1度食べてみたいと思っていた盈徳テゲ。夢にまで見た盈徳テゲ。ついにそのチャンスが訪れたと思ったのに……。

K・F・Cは刺身屋でも盈徳テゲの実情について確認をしてみました。刺身屋のおばちゃんの言葉によれば……。

「うちのもロシア産よ。盈徳テゲが今朝市場で水揚げされたらしいけど、キロ6万8000ウォンで競り落とされたらしいわよ。業者が競りで買う値段が6万8000ウォンなんだから、 市価にしたらキロ10万ウォンはくだらないわね。普通に食べたら何10万ってお金が必要になるってことでしょ。そんなの食べられる人はほんの一握りだわよ。」

ああ、やはり盈徳テゲは政治家とか大企業の社長などが口にするものなのでしょうか。盈徳テゲはごく一部の美食家のための食材と化していました。生ける幻。それが盈徳テゲの真実でした。

K・F・Cが大口をあけて、今まさに口に入れんとしているズワイガニは、盈徳テゲではありません。ロシアでとれた「なんちゃって盈徳テゲ」です。看板だけの「盈徳テゲ風ズワイガニ」だったのです。以上、ズワイガニに関する緊急報告を終わります。


激しく落胆したK・F・Cでしたが、今回の結論。
「ロシア産のズワイガニ最高!」
刺身屋で1匹3万ウォンのズワイガニ。とてもとてもとても美味でした。分厚い肉質。濃厚な旨み。大量のカニミソ。日本で食べるカニと比べてもまったく遜色ありません。ロシアから生きたまま運ばれてくるズワイガニは新鮮そのもの。充分に満足できる味でした。
カニを食べ終えるとご飯とメウンタン(魚のあらを煮込んだ辛いスープ)が出てきました。ご飯のほかに海苔とごま油の混ざった器もついています。店のおばちゃんの説明によると、この器にご飯とカニミソを投入してカニミソビビンバを作れとのこと。これがまた絶品でした。カニの香り。海苔の香り。そしてごま油の香り。クセの強い3者が個性を消さずに強い旨みを作り上げる。韓国ならではというカニの楽しみ方でした。 
カニを食べ終えるとご飯とメウンタン(魚のあらを煮込んだ辛いスープ)が出てきました。ご飯のほかに海苔とごま油の混ざった器もついています。店のおばちゃんの説明によると、この器にご飯とカニミソを投入してカニミソビビンバを作れとのこと。これがまた絶品でした。カニの香り。海苔の香り。そしてごま油の香り。クセの強い3者が個性を消さずに強い旨みを作り上げる。韓国ならではというカニの楽しみ方でした。 
カニを食べ終えるとご飯とメウンタン(魚のあらを煮込んだ辛いスープ)が出てきました。ご飯のほかに海苔とごま油の混ざった器もついています。店のおばちゃんの説明によると、この器にご飯とカニミソを投入してカニミソビビンバを作れとのこと。これがまた絶品でした。カニの香り。海苔の香り。そしてごま油の香り。クセの強い3者が個性を消さずに強い旨みを作り上げる。韓国ならではというカニの楽しみ方でした。

カニを食べ終えるとご飯とメウンタン(魚のあらを煮込んだ辛いスープ)が出てきました。ご飯のほかに海苔とごま油の混ざった器もついています。店のおばちゃんの説明によると、この器にご飯とカニミソを投入してカニミソビビンバを作れとのこと。これがまた絶品でした。カニの香り。海苔の香り。そしてごま油の香り。クセの強い3者が個性を消さずに強い旨みを作り上げる。韓国ならではというカニの楽しみ方でした。

余った刺身はフェトッパプ(刺身どんぶり)にしてみました。同じくごはんに刺身を入れ、野菜を加えて、チョジャン(酢を混ぜたコチュジャンソース)で味をつけます。ぐるぐるかき混ぜて食べれば、刺身のときとはまた違ったうまさ。2倍、3倍楽しめる刺身の食べ方でした。
20:20 バス乗車
刺身屋を出るとなんと3時間が経過していました。まるで竜宮城から戻ってきた浦島太郎のようです。ズワイガニやカレイの舞い踊りを堪能している間に、あたりはすでに真っ暗になっていました。来た時のバス停まで戻り、慶州行きのバスに乗ります。料金は行きよりも50ウォン高い、2500ウォン。バスの中にて支払います。

21:10 市外バスターミナル到着

行きよりも少し速く50分ほどで到着。これで文武大王陵へのオプショナルツアーは終了です。観光というよりも食事のほうに重点がおかれてしまったような気もしますが、それはそれで楽しい1日でした。出発前にもたついたのは反省材料ですが、数を回る観光ルートではないのでそれもまたよしです。海を見て、カニを食べてきたなあという、のんびりコースでありました。

K・F・Cは今回盈徳テゲの真実を学びました。と同時にロシア産ズワイガニの真実も学んだ気がします。それだけでも充実した一日だったといえましょう。だがいつの日か。盈徳産のズワイガニも食べてみたいと思います。いつか必ずお金持ちになって盈徳テゲを食べに来る。今は遠い未来への夢としておきますが……。

慶州エリアおすすめコース第3弾。いかがでしたでしょうか。バスに乗って市街地を離れ、ちょっとしたお出かけ気分を味わう。そんな観光コースの提案です。K・F・Cはお出かけ気分よりもズワイガニのほうを重点的に味わってしまいましたが、食事抜きでも充分に楽しめる場所です。夏場は海水浴場としても開放されているので、ひと泳ぎしにくるのも悪くないかもしれません。さて、おすすめコースは次で完結。第4弾は登山などしてみようかと思っています。以上、K・F・Cでした。

関連タグ:八田靖史

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-12-06

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