崇礼門(南大門)火災からその後、今・・・

多くの人々に大きな衝撃を与えた国宝1号の火災。その後の崇礼門(スンネムン)を追ってみました。

こんにちは、ソウルナビです。2008年2月10日、韓国の国宝1号である「崇礼門(スンネムン)」が放火による火災で全焼しました。「南大門(ナンデムン)」とも呼ばれ、韓国のシンボル的存在として親しまれてきた崇礼門の焼失というニュースは、韓国内はもちろん、日本や他の国でも多くの人々に大きな衝撃を与え、火災からほぼ2週間経つ今も、連日たくさんの人がこの場所を訪れています。今日はその崇礼門火災からのその後を、現場の様子を中心にお伝えしたいと思います。

崇礼門のあゆみ

崇礼門(スンネムン)は、朝鮮王朝の太祖李成桂によって城門として1398年に創建されました。城郭の南側に位置する主門ということから「南大門(ナンデムン)」とも呼ばれ、韓国で最も規模が大きな城門。長い歴史の間、幾度の戦乱を経るも完全な損失は免れ続け、韓国に残る最も古い木造建築でした。1962年に朝鮮戦争で一部破損した部分の大規模な改修工事が行われた後、改めて「国宝1号」に指定され、韓国の象徴として親しまれてきました。そして韓国の成長とともに増えてきたビルに囲まれた崇礼門に2005年、広場が完成したのは記憶に新しいところ。キレイに整備された広場に建つ崇礼門は、開放される時間も設けられるなどして、市民の憩いの場として、また観光のシンボルとしてますます人々に親しまれるようになりました。
2004年までの崇礼門
2005年以降、リニューアル工事後の崇礼門

■崇礼門火災

2008年2月10日、600年の歴史を持ち、国宝1号である崇礼門で火災が起こりました。この火事で木造の楼閣部分の大部分が焼失、崩壊。このショックな出来事から10日余り、その後の崇礼門を取り巻く様子を追ってみました。

2月10日 −火災発生−
今年は5日間という長かった「ソル(旧正月)連休」の最終日にあたる2月10日、日曜日の午後8時50分頃に火災発生。出火直後から多くの消防車と消防隊員による消火作業が行われましたが、出火から約4時間後に全焼しました。全焼の原因は、管理や警備の甘さや消火活動に関する不手際などが言われています。年が明けたばかりで連休最後の夜に、テレビで中継された火に包まれる崇礼門は、本当に信じられない光景でした・・・。その後、出火当時近くにいた人の証言から、火災の原因は放火で犯人は70歳の男性だということがわかりました。

2月12日 −火災から2日目・・・−
ショッキングな事件から丸1日が過ぎ、現場では早くも工事に向けて囲いが建てられ始めていました。まだビニールシートしかかけられていない部分や、一部まだ囲いがされていない所があり、最後にひと目見ておこうとする人たちが詰めかけて、写真を撮ったりしていました。国宝1号の焼失にまだ信じられない気持ちが強い人が多いようで、見に来た人々は無惨な姿の崇礼門を目の前にただ「胸が痛い」とつぶやきながら呆然としている様子で、そんな人々の姿を見ているだけでも胸が痛みました。

2月16日 −火災後初めての週末−
火災の起こった日から初めての週末には、南大門をひと目見ようと地方からもたくさんの人がやってきたそう。新聞などの情報によると、その数は土日あわせて4万人にものぼったとか。崇礼門はすっかり囲いに覆われてしまいましたが、一部中が見えるようになっています。

2月19日 −火災から約10日−
囲いに覆われた崇礼門は、さらに工事用の足場が組まれ、ほとんど姿が見えない状態に。それでも中の様子を見ようと訪れる人は跡を絶ちません。老若男女問わず、毎日大勢の人が詰めかけています。囲いの前には見に来た人々によって置かれた花が並び、寄せ書きなどもたくさん。
火災から約10日が過ぎてからも、崇礼門前の広場では連日さまざまな行事や追悼儀式、集会などが行われており、多くの人がここを訪れています。そして、寒い中で行事をする人々や、ここへやってきた人たちのために、無料で温かい飲み物を配る地元のボランティアたちの姿も見られました。

今回の火災について・・・

この日、崇礼門前の広場に訪れていた人々に今回の火災についてお話をうかがってみました。しかし、ただ重そうに「言葉が出ない・・・」とおっしゃる方も多く、中には涙ぐむ人も・・・。比較的若い人はこれからのことを前向きに考えている傾向があるように思いました。
キムさん(69歳) 女性 ソウル在住
ナビ:ソウルにお住まいですが、今日は初めてここに来られたのですか?
キムさん: はい。火災が起きてから毎日テレビで南大門の様子を見ていました。一度来て実際に見てみたくて今日ここに来たんですよ。
ナビ:火事が起きた時の映像はご覧になられましたか?
キムさん: ええ。あの時は「まさか、こんなことが!」と、胸が張り裂けそうでした・・・
ナビ:実際にここに来られてどうですか?
キムさん: なんと言って良いのか、言葉はありません。ただ胸が痛いです・・・
ソン・ビョンスさん(25歳、学生) 男性 ソウル在住
相沢友里さん(21歳、大学生) 女性 日本から旅行中
ナビ:今回の火災についてどう思われますか?
ビョンスさん: 火災が起きたときはびっくりしました。残念ですが、特に感じるところはないですね。
ナビ:この火災について友人たちと話すことはありますか?
ビョンスさん: 話題として、あることはありますよ。でもそんなに深く話したりはしません。
ナビ:では今日ここに来て何か感じたことはありますか?
ビョンスさん: 今はこんなにたくさんの人がここに来ているし、もちろん話題にもなっているけれど、しばらくしたらまたみんな忘れちゃうんじゃないかな、と思います。ソンス大橋崩落の時などもそうでしたし・・・
ナビ: やっぱり忘れてしまわないで欲しいですよね?
ビョンスさん: それはその通りですよ。大きな事故などが起こると、それで何かが改善されればもちろん良いですが、でもやっぱりまた忘れてしまうのでは、と強く感じてしまいますね・・・

ご一緒にいらっしゃった相沢さんは、今日は旅行で来られたそう。

ナビ: 南大門を見るのは初めてですか?
相沢さん: はい。韓国へは3回目で留学に来たこともあるんですが、実は南大門は一回も見たことがなかったんですよ~。一度も見ないままで、残念です。
ノ・ダヘさん (20歳、大学生) 女性 京畿道平澤市
パク・ソンヒョンさん (18歳、高校生) ソウル市
ナビ:ここに来てみてどのようなことを感じましたか?
ダヘさん: まず、犯人が憎いです。今日ここに来て思ったのは、今は多くの人がこうやって集まって関心を持っているけど、すぐに(今回の火事のことを)忘れてはいけないと思います。これを機会にもっと管理を徹底すべきだと思いました。
ソンヒョンさん: なんというか、ただ辛いです。
チェさん (63歳) ソウル市
ナビ:今回の火災について少しお話をお伺いしたいのですが・・・
チェさん: ・・・テレビで燃える崇礼門を見たときも、ここに実際来て見ても・・・うーん、言葉がでないですね。ただどうしたらよいものか、という感じですよ・・・

現在、崇礼門は復元工事が着々と進められています。新聞などでは、復元に必要な木材を個人的に寄付したい、という名乗り出る人が韓国内で次々と現れているというニュースや、日本からの募金も伝えられています。文化財庁は再建までに要する期間は2、3年、かかる費用は200億ウォン程度と発表しているけれども、多くの人がはやく復元することを望んでいる反面、ただ早急に再建するだけが良いことではなく、じっくり確実に工事すべき、という声も多いよう。ナビも一日も早い復元を望むと同時に、きちんと計画を立てた確実な工事や、復元後の管理、監視体制の強化、またこの火災を教訓に他の文化財の管理などについても徹底した対策が取られるようになることを願っています。以上、ソウルナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-02-22

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