韓国の伝統舞踊に挑戦!

なかなか激しい男性的な踊り、「タルチュム」!

こんにちは!おたみです。皆さん、いかがお過ごしですか?日本ではほとんどの会社が週休2日制ですが、韓国ではまだ土曜日半日勤務の会社がほとんど。でも今年(2002年)7月に試験ケースとして銀行が週5日勤務(韓国式)を導入してから、韓国でも週末に趣味やレジャースポーツなどを楽しむ人が増えて、レジャー用品や大型レジャー車の売れ行きもかなりの伸びを示しているとか。そこで、おたみも週末になんかやりたい!ということで、土曜日の朝2時間を利用した韓国伝統音楽・舞踊レッスンに通ってみました!!
韓国伝統音楽・舞踊レッスン!
は、国立国楽院が韓国の伝統音楽振興のために、外国人対象に無料で教える韓国伝統音楽・舞踊のレッスンのこと。チャング(鼓の一種)、ピリ(笛)、民謡などの韓国伝統音楽のレッスンと、韓国伝統舞踊のタルチュムという仮面劇のレッスンがあり、その中で今回おたみは前からちょっとやってみたかった踊り、「タルチュム」に挑戦することに決定!レッスンは、「芸術の殿堂(イェスレチョンダン)」横の国立国楽院(クグァグォン)の練習室にて、土曜日の朝10時から12時までの2時間行なわれます。1学期は10週、1年に4学期あります。なんとなく寝坊してしまう土曜日の朝、ちょっと早起きして韓国伝統舞踊を習ってみるのもいいかも!!
「タルチュム」とは?
タルチュム(タル:お面+チュム:踊り)とは、新羅時代に流行したコンム(剣舞)などの宮中舞踊が、高麗、李朝時代に民俗舞踊として大きく発展した仮面劇のことで、その中でも今回おたみが習うのは鳳山(ポンサン)地方に伝わる仮面劇、ポンサンタルチュム(鳳山タルチュム)。ヘソ(海西・黄海道一帯)タルチュムに属し、ポンサン(鳳山)地方が地理的に南北に続いていて、地方の農産物が集まる中心地だったため、国の各使臣を迎える行事やタルチュムノリが発達したといわれています。1年に1回、5月の端午の節句の日に恒例行事として行われた「タルチュム」は、晩にスタートして次の日まで夜通しで踊り明かしたということ。全体のストーリーは、7つの場面、5つの話しで構成されていて、それぞれ衣装、お面、踊りが全て違います。
「タルチュムの演戯形式」
普通の仮面劇のように、踊りが基本となり、体の動作、チェダン(才談:面白い話しをすること)、そして歌などが加わります。

踊り
ウェサウィ(長い袖を翼のように右回り、左回りに回転させる)、カチコルム(カチ:カササギ+コルム:歩み=両足をそろえてピョンピョン飛びながら歩くこと)、ファンソコルム(ファンソ:大きい牡牛+コルム:歩み=のろい歩み)など、様々な自然の動きを元に回転したり、ジャンプしたりという力強い男性的な動きが多く、実際やってみると足腰がしっかりしていないと踊れない踊り。ちなみに普段運動不足のおたみは、立ったりしゃがんだり、回転ジャンプなどの練習ですぐに筋肉痛、階段を下りるのがあんなに辛いとは思わなかったっす、、、
音楽
ピリ、デグム、チャング、プッなどの韓国の伝統楽器で、念仏曲・打令(決り文句)曲・グッコリ(鼓であわせる4拍子の調べ)曲を演奏する。
<チャング>

<チャング>

<プッ>

<プッ>

お面
タルチュム(タル:お面+チュム:踊り)で使うお面は、サダン(旅芸人)、ノジャン(長老)、ウォンスンイ(猿)、ヤンバン(両班:昔の特権階級)など、凹凸の激しい非現実的なものが多く、昔は木のお面だったけれど、現在は紙のお面。お面の裏には顔に当たる部分に分厚いスポンジが付いていて、顔にフィットするようになっています。お面を付けるときは、真ん中の、ちょうどおでこにくる部分だけ太くなっているバンダナを頭に巻いて、お面のズレを防ぎます。
衣装
衣装は、昔、巫女の服を借りて着たということで、大部分の衣装が派手。着物を短くしたようなカラフルな上着と、下はかなり太いウエストのモンペスタイルのズボンを紐で絞って履き、ひざ下には白い布を巻いてしっかり絞ります。靴はタルチュム用の先がつんととがったカジュッチプシン(革のチプシン)を履いて出来上がり!
レッスンスタート!!
レッスンは、クラス毎に別れてガラス張りの練習室にて、説明は、外国人対象ということで、簡単な英語と、少しの日本語、そして韓国語、あるいは生徒さんの通訳を通じて、あるいはボディーランゲージ!!メンバーは、アメリカ、カナダ、フィリピン、台湾、フィンランド、ロシアなどなど、世界各国から大集合!さらに職業も、シンガーにダンサーにモデルに声優といろいろ!それではレッスンに入る前に、先生をご紹介します!
今回教えて下さるのは!
現在国立国楽院のタルチュムの主席を努めているという、イ・ジョンホ先生!なんとこの伝統舞踊の業界では珍しく大学に入ってから始めるなど遅いスタートを切り、その分寝る間も惜しんで朝から晩まで踊りに集中したという努力家の先生。タルチュムは体を動かして、お腹から大きな声を出して台詞や掛け声をかけながら踊るので、タルチュムのおかげでストレスが溜まることはないんだそう。「ナギョンドンチョンイファチョン!!」先生が掛け声をかけると、レッスン室中に響き渡るほど。
毎週土曜日朝10時からのレッスンは、
遅刻はかなりあったけど、ほぼ皆勤賞ペースで頑張りました。踊りは跳躍、回転、ステップ、スキップなどの動きのあるものを、1回に1~2動作、10パターンほどマスターしたら、最後は発表会が待ち受けているんです。練習を重ねるうちに、お腹から声が出せるようになり、「オルスッ」という伝統舞踊での掛け声も自然に口から出るようになりました。ボディ面からいうと、足腰が鍛えられるのは基本、腕、特に肩にも結構筋肉がついた感じ。皆さんも腕を肩のラインに水平に伸ばした状態で静止したり、頭の周りを顔を動かさずに太目のリボンを回してみて下さい。肩から腕にかけてパキパキに硬くなって筋肉が出来る、そんな感じです。
発表会
展開がちょっと早いですが、最後の2週の授業は発表会用に台詞の練習も始め、踊りあり、台詞ありの舞台を披露することに!
発表会当日、衣装を着せてもらってお面を付けようとしたら、お面の紐がないぃ~。写真を頼んでいた友達も来な~い、と時間がどんどん迫っていく中、ハプニング続きでちょっと慌て気味。そしてお面を付けて見ると、目の部分が開いているのに視野が狭められて回りがよく見えない!ふらふらしながら、いざ舞台へ!
ここでちょっとその導入部の台詞をご紹介。
リーダー :
「ヤヤヤヤ−(おいおいおいおい!)」

その他大勢 :
「ムォヤー!(なんだ!)」

リーダー :
「ウリヌン、クドンガン、ヨルシミ、ヨンスッペオン、タルチュムパンアニトニャ!
(私らは、今まで一所懸命練習してきたタルチュムクラスじゃないのか!)」

その他大勢 :
「クロ~チィ!!(そうだー)」

もともと、ポンサンタルチュムは、他の仮面劇より娯楽性と芸術性に優れているといわれ、舞台とお客との対話の中で公演がスタートするような、そんな一体感あふれる舞踊。今回も発表会に合わせて先生が付けてくれた台詞を、ふらふら動きながら叫ばなければいけないんですが、、、練習の時は、わいわいがやがやみんなで楽しく叫んでいたけれど、実際舞台に上がってみると、むなしくもチャングを叩きながら叫ぶ先生の声だけが響き渡っていたような、、、
さあ、踊りが始まって練習どおりに頑張っていたつもりだが、周りがよく見えずに回転してもふらふら、ジャンプしてもふらふら、さらに最後、スキップしながら舞台から消える場面で、今度はお面の紐がゆるんで落ちてきたぞ~。もう片手はリズムに合わせてジャンプと同時に天井高く振り上げ、もう片方の手はずり落ちてくるお面をおさえ、かな~りハチャメチャな舞台だったんではないかと思われます・・・でも舞台が終わった途端、かなり笑いがこみ上げてきて、また次の期もやるぞっ!と心に決めるおたみでした。

ところで、この舞台の写真、撮れなかったはずでは??と思うでしょ!それが、この舞台を会場で見てらっしゃるナビファンの方がたまたまいらっしゃって、おたみ宛てに送っていただいたんです!ほんとにありがとうございました!これで晴れて恐怖の舞台の全貌が明らかに!!
発表会が終わって練習室へ
今回、最後まで残ったメンバーは7人。カナダ人、ダンサーのロシア人、アメリア人、台湾人、そして日本人(けいこさん、ひろこさん、おたみ)!先生からりっぱな終了証をいただき、記念写真を撮っておしま~い!
最後に先生に発表会の感想を聞いたところ、
「ポルスガオプソット(見てられなかったぁ)」
とジョーダン混じりに笑いながらポツリ。
でも、この1ヶ月半。とっても楽しかったです。今週から土曜日の練習がないと思うとかなりさびしい。皆さんも、韓国の伝統音楽や舞踊、習ってみませんか?以上、おたみでした。
<お・ま・け>
国立国楽院の外国人対象韓国伝統音楽、舞踊に関して
http://www.ncktpa.go.kr/

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-12-13

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