河回村 / ハフェマウル (安東)

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朝鮮時代の風景が今に生きる韓国随一の民俗村

アンニョンハセヨ、ナビです。韓国の伝統文化に触れるなら、民俗村に行ってみるのがオススメ。ソウル近郊では、水原(スウォン)の韓国民俗村。プサン近郊なら慶州(キョンジュ)にいくつかの民族村があります。でも、韓国の中でもっとも歴史的価値が高いといわれている民俗村は、慶尚北道の安東(アンドン)にある河回村(ハフェマウル)なんです。朝鮮時代に作られた集落がそのままの姿で残り、今も子孫の方々が生活しています。また、こちらで行われる仮面劇は世界的にも有名なので、ご存知の方もいるのでは?韓国の中でも重要な観光地のひとつになっている安東河回村をご紹介しましょう。
河回村
ソウルから約3時間、プサンからは2時間半。安東市豊川面に位置する河回村は、洛東江(ナクトンガン)が緩やかにS字を描く地形の一画に集落を作っています。高麗時代の終わりごろ官職についた、柳従恵(リュジョンエ)がこの地に開基して以来、大儒学者として知られる柳雲竜(リュウンヨン)や、文禄・慶長の役のとき領議政(時の総理大臣)だった柳成竜(リュソンヨン)を筆頭に、多くの偉人を輩出してきたため、朝鮮半島南部を代表する両班の村として位置づけられました。また、現代に入っても国会議員や豊山金属(武器や貨幣を作ってきた会社)の創始者、変わったところでは、韓流スターのひとりとして活躍する、リュシウォンを輩出しています。

他にも、両班文化と庶民文化が調和をもって保っているこの村では、両班と庶民との関係をコミカルで風刺的に表現した、仮面劇(河回ビョルシングッタルノリ)が伝承され、国の重要無形文化財に指定されています。また、養真堂(宝物306号)や忠孝堂(宝物414号)などの歴史的建造物を筆頭に、築何百年という建物が村のそこここに点在しています。1999年、エリザベス女王の訪問を機に、観光地としての整備が進み、今では、年間約80万人の観光客が訪れるようになりました。ペ・ヨンジュンの初主演映画『スキャンダル』の撮影地にも使われた、玉淵精舎があることでも知られています。

河回村の見どころ

どこを見ても歴史的建造物に行き当たる、まるで村全体が博物館のような河回村だけに、ただ歩くだけでもエキゾチックな気分になれますが、いくつかのポイントを抑えると、より効率的に観光できます。
養真堂(ヤンジンダン)
大儒学者、柳雲竜の住まいだった建物で豊山柳氏(※1)の大宗家。忠孝堂とともに河回村を代表する建物で、高麗時代の様式と朝鮮時代初中期の様式を、併せ持つ貴重な資料になっています。当時は99間(1間は柱と柱の距離)あった建物も現在は55間のみ残っています。
中に入ると…(※2)
今でも22代目の方が暮らしています。

今でも22代目の方が暮らしています。

お膳も非常に年季入り

お膳も非常に年季入り

(※1)韓国には本貫というものがあり、多くの人は何処の地方の○○さんというような、自分の一族のルーツを持っています。豊川面の豊山に位置する河回村は、柳氏が起こした村で、現在も住民の70%が柳の姓を持っているんです。

(※2)普通は居住スペースにまでは入ることはできませんが、ボランティアガイドさん同伴時で、門が開いているときは入れることもあります。

忠孝堂(チュンヒョダン)
時の総理大臣、柳成竜の宗家。朝鮮中期の建築様式で52間の規模を残し
ています。また、敷地内には遺物博物館があり、柳成竜が文禄・慶長の役の反省を書き残した、懲?録(国宝414号)をはじめとする、様々な遺物が展示されています。
遺物展示館
柳成竜がはいていたとされる靴。サイズが30cm以上と非常に大きいことから、体がとても大きかったと推定されています。

家屋の内部は…(※2)
柳成竜から数えて14代目の子孫の方が暮らす棟。こちらにはエリザベス女王が訪れ、お茶を飲まれたそうです。
エリザベス女王のために作られた、踏み台。公式の場で靴を脱いだことがない女王が靴を脱ぐ瞬間、世界でも大きく話題になったとか。
キムチは古来の方式で貯蔵されています。
(※2)普通は居住スペースにまでは入ることはできませんが、ボランティアガイドさん同伴時で、門が開いているときは入れることもあります。

参神堂(サムシンダン)
樹齢600年以上のケヤキの霊木。毎年、陰暦の1月15日になると、参神堂を祭る村祭りが行われます。また、ここは仮面劇が初めて行われた場所でもあるんだとか。子供に関する願いをする人が多いそうで、この日も1000ウォン札の上に男の子物の運動靴が置かれ、願をかけられていました。

北村宅(ブッチョンテッ)
村の北側を代表する建物のひとつ。1862年に建てられた、朝鮮時代の典型的な両班屋敷。家をかわら張りにしたり、門を高くするにはある程度のステイタスが必要だったようで、北村宅はかなりの家柄だったことが伺えます。
藁葺きの厠
韓国でも古来から、富は3代続くと傾くという格言があります。大きな邸宅にあって厠だけを藁葺きにするのは、まだこの家は発展中で、まだ頂点にはたどり着いていない、今後も栄え続けてほしいという願いの現われだそうです。

リュ・シウォンの宗家
日本でも人気の韓流スター、リュ・シウォンの宗家がこちら。高倉健と田中裕子主演映画『ほたる』の1シーンが撮影された場所でもあります。
主人公の2人が故人の思い出を遺族と語るシーンが撮影されました。
壁の穴は何?
こちらの穴は昔、科挙の試験を受けるためにソウルまで旅を続けるソンビ(学者)への施し穴!?いつでもいくばくかのお金が入れられていて、南方から上京の途にあるソンビたちが旅の途中で困らないようにとの配慮からなんだとか。穴は子供の手が届かない位置で、農夫の手が入らない大きさに作られました。

以上が村の中の見所。それでは場所を移して、外からの河回村の眺めを楽しむために、渡し舟に乗りましょう。
芙蓉台(ブヨンデ)
渡し舟に乗って河を越えたところにある小高い丘は、芙蓉台と呼ばれるビューポイント。優雅に蛇行する洛東河と河回村の全景を見渡すことができます。登るのは少々大変ですが、きっと来てよかったと思えることでしょう。渡し舟は3人以上のお客さんが集まればいつでも出発。料金は往復で2000ウォンです。ただし冬季(11月~2月)は渡し舟の運行がありません。ご注意ください。
船遊チュルプルノリ
毎年秋に行われる、安東国際タルチュム祭りに合わせて、おこなわれる民族伝承のひとつ船遊チュルプルノリも楽しい見所です。船の上で歌を作り、完成の声を上げると、芙蓉台から村に張られた綱を伝って、火の玉が送られます。夜空に何筋もの火が流れる、幻想的な祭りです。
河回村の仮面劇
河回村で伝承されてきた、河回別神グッタルノリと呼ばれる仮面劇は河回村観光の目玉のひとつ。踊りと衣装は素朴ながらも、両班階級をこき下ろすような諷刺と事実描写が独特で人々の笑いをとります。3-12月は毎週水、土日14:00-15:00。 5/5,5/10、7/19-8/19(火、水、金、土、日)14:00-15:00
※公演は河回村の外にある特設公演場にて

また、仮面劇と共に伝承されてきた仮面は、高麗時代中期に製作されたと言い伝えられていて、喜怒哀楽の表情がよく目立つようにと、鼻を中心に左右が非対称的に作られているのが特徴的。力を持った階級の仮面(両班、ソンビ、坊主、白丁)は、あごが分離され、実際に台詞を話すとき、あごの動きがリアルに見えるそうです。本来は12個だったそうですが9つが残り、すべて国宝に指定されています。
宿泊や食事など
一部の古宅は、民宿や食堂としても営業されています。日帰りで訪れるのもいいですが、民宿で伝統文化を体験しつつ、夜明けの牧歌的な河回村の風景を楽しんでみてはいかがでしょう?ちなみに、食堂では安東名物のチムタッ(蒸し鶏料理)やホッチェサパッ(祭祀で供えられる料理)、安東コドゥン定食(安東塩さば定食)などの名物料理が楽しめます。 これは観光用に作られたテーマパークでは?と錯覚してしまうほど、嘘のような光景が広がる河回村。冬季は仮面劇が休みだったり、芙蓉台への渡し舟も動かないので、ベストシーズンは春先からということになるのでしょうか。リピーターの方は、ソウルと釜山から離れて、一度は安東、そして河回村に訪れてはいかがでしょうか?以上、今回はちょっと足を伸ばして、ナビがお送りしました。
観光のアドバイス
河回村にはたいてい日本語が可能なボランティアガイドさんが数名待機しています。河回村に限っての案内は無料ですので、利用されてもいいかもしれません。詳しくは村の入り口にある観光案内所でお尋ねください。
こちらは、ボランティア通訳の張富翼(チャン・ブイッ)さん。民宿も運営されているチャンさんは、ボランティア通訳の中ではいちばん上手に日本語を話されます。日曜日以外はいらっしゃることが多いとのこと。

記事登録日:2004-12-17

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スポット登録日:2004-12-17

スポット更新日:2013-04-29

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