国立中央博物館 特別展 『加耶の本質-剣と弦』

GAYA SPIRIT-IRON AND TUNE가야의본성-칼과현

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この30年発掘された遺物と共に新たに明らかになった加耶の歴史を大公開

こんにちは!ソウルナビです。今日は興味深い展示のご紹介です。国立中央博物館にて今年(2019年)12月より行われる特別展『加耶の本質‐剣と弦』。国立中央博物館の加耶に関する展示は、1991年に「神秘の古代王国、加耶」を開いてから28年ぶりとなります。600年の歴史を持つ小さな国の連合体、加耶(カヤ)。高句麗、新羅、百済に比べると記録の少なかった加耶ですが、この30年の間に韓国の慶尚道(キョンサンド)、全羅北道(チョルラブクド)の古墳群から大量の遺物が出土し、長い間忘れられていた加耶の歴史が新たに明らかにされました。今回の特別展では騎馬人物形角杯など1,000点が展示されます。興味のある方はぜひこの機会をお見逃しなく。

期間: 2019.12.3.(火)~2020.3.1.(日)
観覧時間:月・火・木・金 10:00~18:00 水・土 10:00~21:00 日・祝日 10:00~19:00
場所: 国立中央博物館企劃展示室
展示品: 騎馬人物形角杯など1,000点
主催: 国立中央博物館
入場料: 大人(26~65歳)5,000ウォン/子供・青少年(8~25歳)3,000ウォン

展示は加耶の誕生神話からはじまり、共存、和合、武力、繁栄の4つのテーマに沿って加耶の歴史、加耶が歩んできた道を紹介しています。多くの展示との違いを感じるのは、遺物を見やすく並べるだけではなく、映像を活用し、加耶の誕生から滅亡までをドラマチックに、立体的に演出しているところ。加耶の時代にタイムスリップしたかのような、臨場感あふれる展示になっています。

『 千五百年の間 忘れられていた加耶のすべてに出会える展示がやってきます。』
『 加耶は海路を通じて国際交易国へと成長し、多文化社会を追求しました。』
『 小さな国々が共存しながら、六百年の間和を保ってきた加耶の歩みを振り返ります。』
『 高い水準の製鉄技術と成形の美しさを誇る端麗なる土器は、加耶の先進文化を象徴します。』

加耶は「共存」です。幾つもの王国が共に和をなして暮らしていました。「共存」の反対語は「統合」です。百済と新羅がそうでした。共存の王国は、統合を追求した大国に屈しませんでした。小さなものが集まると大きな力を発揮するように、加耶の諸小国が一丸となったからであり、先端の技術力を持っていたからです。剣は、先端技術の結晶です。加耶琴は、加耶が残した和の遺産です。ゆえに、剣と琴は加耶の本質です。

加耶文化の重厚な響き直に感じてみてください

国立中央博物館の裴基同(ペ・ギドン)館長

国立中央博物館の裴基同(ペ・ギドン)館長

加耶は、小さな国々の連盟体で、高句麗・百済・新羅と共に古代のひとつの軸をなしていた国です。ただ、それら三国に比べ、まとまった記録が少ないだけです。わずかな歴史の記録だけに頼っているため、加耶に関する記憶は数えるほどしかありません。しかし、この30年あまりの間に、慶尚南道(キョンサンナムド)と全羅北道(チョンラブクト)、そして慶尚北道(キョンサンブクト)一帯において加耶の古墳群の発掘が続けられ、膨大な量の遺物が出土しました。加耶史を記録した史料が十分でなくとも、考古学の発掘調査を通じて、新たに再解釈し、認識すべき加耶のものがたりが、だんだんと明るみに出ているのです。

国立中央博物館では、12月3日から特別展<加耶の本質—剣と琴>を開催します。韓国文化の形成に貢献した古代国家・加耶を正しく認識しようという趣旨で企画された今回の展示は、これまで蓄積されてきた研究の成果を公開する場で、ストーリーテリングを活用して加耶の人々の暮らしを身近な所から覗いてみるきっかけとなるでしょう。これを通じて沢山の方々に、新羅と百済に併合されて全国各地に散らばった加耶のディアスポラが、我々韓国人の中に根を下ろしていることを確認していただければと思います。

古代の加耶が位置していた地域は、豊かな自然環境を誇ります。その上、製鉄技術まで持っていたのですから、加耶の人々の生活はとても潤っていたはずです。通常、このように発展した社会は、戦争によって国家へと拡大していく過程を経るものですが、加耶は、最後まで連盟体として残ります。技術もあり、自然環境にも恵まれ、最高の武器と鎧が揃っていたにもかかわらず、どうしてひとつの勢力に統合されなかったのか、謎はますます深まります。

加耶の遺跡からは、特に鉄が多く出土します。主に武器と農具で、中でも最も目につくのは鎧です。小さな鉄板を鱗のように繋げて作られた鎧は、人だけでなく、馬のためのものでもありました。長い鉄板を横に繋げた板鎧は、加耶の武士を象徴するものです。はるか昔から、加耶の人々が鉄を自由自在に扱って着心地の良い鎧を作っていたという事実を考えると、実に神秘的に感じられます。こうした立派な鎧が古代に作られていたのは、非常に誇らしい伝統であると思います。

今回の展示は、加耶の優れた製鉄技術と鉄器製作技術の神髄を感じることのできる武器類のすべてが集められています。発掘された遺物の一部しか残っておらず全体の形を知ることが難しい場合は、先端技術を駆使して本来の姿を想像できるように準備中です。様々な武器の機能と共に、戦のときにそれを使用していた人が感じたであろう痛みや怒りまでをも表現し、展示がひとつのドラマ、スペクタクルなワンシーンとして記憶されるようにする予定です。そのほかに、互いの固有性を尊重した結果物としての加耶土器の美しさを紹介する予定です。暮らしのリアリティーを凝縮した加耶土器を通じて、当時の情緒を十分に感じることができればと思います。また、加耶の独創性が観て取れる金銅冠や、瑠璃製の装身具も注目していただきたい遺物です。

遺物は、過去を生きた人間の記憶の結晶です。ですが、今回の展示で紹介する加耶の遺物は、単に過去だけに留まるものではありません。その時代を覗き込むための窓のように、当時の日常がより身近に感じられるようにし、場合によっては、現在に合った新たな組み合わせも想像できるだろうと期待しています。特別展<加耶の本質剣と琴>は、来年の春にソウルでの展示を終えると、釜プサン山博物館、日本の国立歴史民俗博物館、九州国立博物館での巡回展が開催される予定です。様々な地域で開かれるだけに、沢山の方々に関心を持っていただき、今回の特別展において、堂々と率直に自らを表現した加耶の人々の姿をくまなく感じていただければと思います。


28年を経て新たに公開される加耶の本当の姿 一緒に観てみませんか

国立中央博物館広報大使の丁一宇(チョン・イル)

国立中央博物館広報大使の丁一宇(チョン・イル)

 

この4月に幕を閉じたドラマ『獬豸~カイチ~』は、私が出演した4番目の歴史ドラマです。生きたことのない時代を想像しながらドラマの中のキャラクターになりきることは、とても大きな満足感を生みます。役割が決まると、歴史上の人物と親密になれるよう、当時の雰囲気がわかる資料から探していきます。ドラマのセットに置かれた王や士大夫が使う小道具、その中でも華麗で精巧な古美術品は、演技の際に大いに役立ちます。

この冬、加耶特別展が開かれるという知らせを耳にしました。子どもの頃、学校で勉強したはずですが、加耶を思い浮かべたとき、これと言って連想されるものがないんですよね。金首露キム・スロ王の説話や亀旨歌、鉄の王国、そして円筒土器ぐらいでしょうか。おぼろげに美しい国だというイメージはあるのですが、それは、おそらく様々な加耶土器が記憶に残っているからだと思います。加耶土器が殉葬墓から出土したという説明を目にすると、多少気味悪くもありますが、妙な神秘を感じます。素朴ながら暮らしのぬくもりが漂う加耶土器を眺めていると、当時の人々の姿がありありと目に浮かぶようです。人や動物、家や舟のように生活の中のものをかたどって作られた土器は、特に面白いですね。土器に施された様々な装飾から、加耶の人々の機知に富んだ表現を見つけると、思わず笑顔になります。加耶土器は、洗練されて華麗な美しさを誇る遺物とは異なり、純真さが感じられて、何度も見てしまいます。土器の一つひとつが加耶の人々の生活風俗の細かいところまでを見せてくれるので、とても大切に感じられます。

尖ったもので線を引いたり、くねくねとした模様が繰り返し刻まれた土器も魅力があります。加耶の人々は、飾らずに自分を表現するすべを知っていたので、自然に、よどみなく土器を作ったそうです。よく使う生活土器から、しゃれを利かせた装飾土器まで、その用途は多岐にわたります。大加耶、金官加耶、阿アラガヤ羅加耶など、連盟国ごとにスタイルもそれぞれで、その違いを見つけるのもとても楽しいです。おぼろげながら覚えていた加耶土器は、高さが60cmを超える器台でした。一見小さな塔のようでもありますが、検索してみたところ、壺や皿のように底の丸い容器を安全に載せておくために用いられたものだそうです。数ある土器の中で特に器台が記憶に残っている理由は、その非凡な雰囲気ゆえです。胴体にあいた沢山の穴が、神秘的に感じられます。穴がなかったら、とても重苦しく感じられたでしょう。数千年前に、三角形、四角形など幾何学的な模様をくり抜いて装飾を施したところをみると、加耶にはデザインを重視する人々が多かったのだろうなと思います。よどみない手つきで穴をあけ、自由で軽やかな印象に仕上げたとは、見れば見るほど驚きです。

国立中央博物館で加耶特別展が開かれるのは、1991年以来28年ぶりだそうです。それほど、今回の展示はとても特別です。高麗や朝鮮時代ほどに長い歴史を持つ古代の加耶を、今回こそはきちんと学んで感じることができると、今からわくわくしています。特に、加耶の騎馬武士の生涯を具体的に観ることができたらと思います。これまでよく知らなかった、当時のエリート武士たちの秀でた姿を知ることができると思うからです。また、加耶文化を総合的に感じることができるよう、興味と感動を与えてくれる新たなものがたりが沢山公開されることを願っています。12月に開かれる特別展に行って、これまで知らなかった加耶についてあれこれ想像することを考えると、今年の冬が待ち遠しいですね。


この特別展示はソウルの国立中央博物館を皮切りに2020年4月から釜山博物館、7月から日本の国立歴史民俗博物館、10月から九州国立博物館での開催を予定しています。ソウルでは来年(2020年)3月までやっているので、訪韓の際にぜひお立ち寄りください!以上、ソウルナビでした!

記事登録日:2019-12-03

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スポット登録日:2019-12-03

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