三星美術館Leeum （リウム）

こんにちは！ソウルナビです。今日は漢江（ハンガン）を見下ろす南山の麓に誕生した新しい美術館"Leeum"をご紹介しましょう。こちらは開館前日にソウルの新羅ホテルで記者会見が行われ、また建物の設計には世界的に有名な３人の建築家を迎え、８年という長い歳月をかけて作られたという、それはもう芸術界、建築界いずこでも注目を集めている美術館。こちらは韓国国宝級の文化財や国内における近現代美術など三星グループが所蔵する1万500点余りの膨大な美術品コレクションの中から選りすぐりの作品を集めた、韓国国内最大の民間美術館なのです。ではさっそく中へご案内しましょう！

○MUSEUM1
こちらは国宝36点、宝物（国宝と重要文化財の間）96点をはじめ、先史時代から李朝時代までの陶磁器、仏画、金属工芸品、書道など時代を網羅する時代別の代表作約120点が展示された古美術常設展示館。特に青磁辰砂蓮華文票形注子（国宝133号）や高麗金剛大塔（国宝213号）、高麗仏画阿弥陀三尊図（国宝218号）など、韓国の伝統美術の神髄を感じることのできる作品が鑑賞できます。規模は地上4階、地下3階。4階は青磁、3階は粉青沙器・白磁、2階は古書画、1階は仏教美術、金属工芸がそれぞれ展示され、地下1階はロビーになっています。

～マリオ・ボッタ（Mario Botta）～
MUSEUM1を担当したマリオ・ボッタは1943年、スイス・メンドリーシオの生まれ。スイスのティチーノ地方を中心に活動し、地域的なアイデンティティを強く生かして世界的に名声を得ている建築家です。作品にはスイス・ヌーシャテルのデューレンマット記念館、バーゼルのジャン・ティンゲリー美術館、東京のワタリウム美術館、アメリカのサンフランシスコ現代美術館、そして2003年に竣工したソウルの教保生命江南社屋。これは彼の作品の中でもっとも規模の大きな建物なんだそう。彼の建築はヨーロッパの古典建築、特にロマネスク教会の伝統に深く根付き、またその地域の自然から得た素材を使い、その地域の伝統を現代的に再分析、圧倒的な重量感と強烈な幾何学形態を表現すると言われています。

○MUSEUM2
国内外の近現代美術の流れを把握できる"MUSEUM2"には1910年代以降に作られた韓国美術の作品や、韓国人の普遍的な情緒を表現する作家の作品世界が広がっています。建物の規模は地下1階と地上2階。2階が韓国近現代美術、1階が外国近現代美術、地下1階が国際現代美術のフロアになっています。世界的に有名な作家や若い作家の作品、中でも1945年以降に抽象美術を導いた作家たちの作品、西洋の現代美術史における重要な作家から当時の作家が最近発表した作品なども展示されています。

～ジャン・ヌーベル（Jean Nouvel）～
MUSEUM2を造ったフランスのジャン・ヌーベルは建築界だけでなく文化芸術界においても国際的に知られている人物。代表作は1987年に完成したパリのアラブ世界研究所やパリのカルティエ財団、リオンのオペラハウス、プラハのアンデルビルディング、日本の電通タワー、そしてガウディの聖家族教会（サグラダファミリア）と共にバルセロナのランドマークとなるといわれているアグバタワー（建設中）。ガラスや鉄などの冷たい材料を好んで使った鋭く洗練されたイメージで、現代的かつ未来指向的な都市の感性を表現。彼の建築の特徴は、急進的＆挑戦的。

○三星児童教育センター
こちらは企画展の展示と芸術の教育施設。未来の芸術と文化を込めた空間という性格に合わせて、実験的に演出されています。内部は中央に浮かんだブラックボックスを中心に、地下2階の展示空間と最上階の空間に分かれ、MUSEUM1のロビーと連結されています。建物の前には美術館内の散策空間が広がり、こちらは彫刻作品が展示された市民の憩いの空間に。

～レム・コールハース（Rem Koolhaas）～
三星児童教育センターを設計したレム・コールハースは2000年、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞するなど世界の建築界に多大な影響を及ぼしている建築家。代表作はボルドーハウス、ロサンゼルス博物館、ロッテルダムのオランダ国立美術館、ハーグにあるオランダ国立ダンスシアター、日本の福岡の総合住宅ネクサスワールドなど。韓国では他に現在ソウル大学美術館を建設中。さまざまな枠からの自由を主張、時に難解な建築で有名。

美術館ロビーにはLeeumカフェやLeeumショップなどがあります。カフェでは飲み物や簡単なスナックを楽しめ、無料の情報検索も可能。またショップには、Leeumのお土産なども販売されています。展示は年間に３～４回、三星児童文化センターのブラックボックスで企画展やテーマ展、海外交流展などを開催する予定とか。皆さんも世界的な建築家３人がデザインした韓国最大の民間美術館、三星美術館Leeumに行ってみて下さいね。以上、ソウルナビでした。