韓国の名節料理 (旧正月、秋夕)

韓国人が冬至に小豆粥を食べるのは何故?トックのお餅に込められている意味は?知って食べるとさらに美味しい韓国の名節料理~

韓国人は1年、12ヶ月を月が変化する形に合わせて24節気に分け、その時々に美味しくて特別な意味が込められている料理を作って食べます。季節の変化に合わせて人体の気も変化するため季節に合わせた農業の過程を基準に自然の変化に人体が逆らうことのないように料理を通して調節してきました。冬至に小豆粥を食べ、端午に草餅を食べるのには深い意味が込められているのです。それでは韓国人が冬至に小豆粥を食べるのは何故?トックのお餅に込められている理由は何?知って食べるとさらに美味しい韓国の名節料理です~
1. 正月(陰暦1月1日)にはトック!
陰暦1月1日には韓国の家庭ではトックを作って食べます。一年の始まりの儀式である祖先の茶礼上にもトックを一番の上席に置きます。ありとあらゆる料理が集まった中でも重要な名節料理として認識されているのです。
韓国のお餅にはいろいろな色と形があるのですが、とっても大切なお正月の儀式にどうして、何の装飾も色もないただの白餅を使うのでしょうか?それはお正月の丸くて平べったい白餅に古代の太陽崇拝信仰が込められているからなのです。新年の最初の日なので年が明けたということを表わす白いお餅を使い、形を丸くして太陽を表わすのです。まさに古代人はこんなトックを食べることでまるで太陽を食べるかのように一年間の無病長寿を願ったのです。
2. 正月15日(陰暦1月15日)にはプロムと五穀飯を食べるべし!!
プロムは松の実、胡桃、栗などの噛み砕くとポリッと音がする堅果類のことです。このプロムを年の数だけ噛み砕いて実を食べるとその年には顔や体にできものができないそうです。プロムの他にも明け方に家族が車座にってキパルギ酒-このお酒を飲むと耳が良くなって、良い知らせだけが耳に入るそうです-5種類の穀物で作る五穀飯や薬飯などが正月15日の料理です。その中でも特に五穀飯とプロムは最も代表的な15日の料理です。もち米と豆、きび、粟など5種類以上の穀物を混ぜて炊いたしこしことした五穀飯は消化が良くて健康にも良い料理です。<もっとくわしく>
3. 寒食-無条件に冷えた料理!
中国の故事に由来する寒食は祖先のお墓参りをする日で、韓国では高速道路のものすごい渋滞が予想される日でもあります。もともと寒食は中国の忠臣、ケザチュが奸臣たちの謀略にはまって山に逃げ、忠誠を守るために火の中に飛び込んで、命を絶ったことを褒め称えるためのものであったとされます。しかし、最近では昔に比べてお墓参りが大変になってきたため、お墓参りを寒食の日にいっぺんに済ませようとするのでどうしても冷えたお辯当を食べるしかない・・・(^^;;)のではないかなと思います・・・
いずれにしても寒食の日は冷えたご飯に冷えたナムルという素朴な食事をする日なのであります。
4. 端午-新鮮な草餅と綺麗なファチェを食べる日~
男性はシルムを、女性をブランコ遊びをして一日をにぎやかに過ごす端午には野原や山で摘んだ若いヨモギで草餅を作って食べます。端午の草餅は他の季節とは違って車輪の形に作ります。ユスラウメや五味茶で作った色の綺麗なファチェも飲みます。五味茶は喉の渇きを癒し、体の温度を下げる成分が入っているので夏を控えた端午にぴったりの飲み物です。それから男性は差し迫る蒸し暑い夏に備えて‘端午扇’という扇子をあげたりもらったりしたそうです。
5. 流頭(陰暦6月15日)暑い夏、簡単な小麦粉料理で涼しく~
陰暦6月は真夏の暑~い季節です。そんな季節に昔の人たちは簡単ながらも涼しげな麺料理で暑さを抑えたのです。この季節の麺料理は一般に流頭面といわれるもので流頭面を食べると長生きして暑さ負けしたりしないそうです。流頭面は気を鼓舞するために鶏でだしをとったスープで作ります。昔はそばを使ったそうですがいつからか小麦粉で作るようになりました。それから最後に寝かせておいた豆粉のお団子で飲み物を作ったのですが、これは子供達のおやつやお客さんのおもてなしに広く愛された飲み物だったそうです。
6. 七月 七夕(陰暦7月7日)- 雨が降る!食事は簡単なもので~
陰暦7月7日は七夕ですが、この七夕にはかわいそうな伝説があります。玉皇上帝の娘の織姫と牛飼いの若者、牽牛がそれぞれの仕事を怠けていたところ、玉皇上帝の怒りに触れ、2人は引き裂かれてしまったのです。恋しさのあまり2人の涙は雨となって降り注ぎ、遂には地上の全てのものが水に沈んでしまいました。するとカササギとカラスが橋をかけ-天の川です(^^)- 一年に一度、七夕の日に逢うことができるようになったのです。それで他の日はのどかな天気なのに7月7日だけは喜びの涙、つまり雨が降るというお話です。不思議なことにこの日には雨が降ることが本当に多いのです。
昔は7月7日には女の子は機織をし、シルトック(蒸し餅)を作って玉皇上帝の簡単な祭祀を行っていました。そしてお昼には簡単な麺料理で済ませていたのですが、雨が降ってる日に美味しいものを作るのは面倒ですものね~。
7. 三伏 - 暑さ負けしないように補養食を食べる日~
韓国の四季の中で初伏、中伏、末伏-これを三伏といいます-の30日間は梅雨が終わった後で、湿度が高く、本格的な夏が始まる時で、人々はちょっしたことで腹を立てたり、暑さ負けしたりして生体リズムを崩しやすい時期でもあります。韓国人は元気のない時には‘気’を回復してくれる補養食を食べます。補養食の中でも代表的なものがサムゲタンとポシンタン(犬鍋)で、昔は犬を捕まえることが伏日の華だったくらい(^^;;)人々が大好きな一大イベントだったそうです。韓国の名医、ホジュンが書いた<トンイボガム>には犬の肉は‘五臓を楽にし、気を調節し、腸と胃を丈夫にし、腰と膝を楽にする’という説明があります。でも現在はサムゲタンがポシンタンよりも大衆的な料理となっています。
8. 中秋(陰暦8月15日)- 食べ物が豊富な名節中の名節
8月15日は中秋、または秋夕、嘉俳日といって旧正月とともに最も重要な名節であります。この時期には農家の秋の取り入れが終わり、その年の初収穫物が出回るので、食材が豊かで、気候的にも一番、美しく爽やかな時でもあるので‘多からず少なからず、いつも秋夕の日のごとくあれ’という諺があるくらいです。
秋夕の代表的な料理はソンピョンとずいきのスープです。収穫したばかりのお米を半月形にこねて松の葉で蒸したソンピョンは松の香がほのかにして見た目にも美味しそうな食べ物です。それから女の子が上手にソンピョンを作ると美しい女の子が生まれたり、かっこいい男性と結婚できるということなので、各家庭ではソンピョン作りはお嬢さんたちの担当!といったところです。(ナビの家はどうだったかというと・・・ナビの家もそうでした・・・(^^;;) )
ソンピョンの形は南と北が大きく違っていて、たいてい、北は大きく、南は一口で食べられるくらいに小さく作ります。江原道ではもち米の代わりにじゃがいもやさつまいもでも粉をひいて作るそうです。ずいきのスープの材料であるずいきはじゃがいもよりもちょっと粘っこく、水に漬けておいた後、スープを作って食べます。(そんなに美味しいものではないので、コメントは控えます・・・直接食べて見てくださいね(^^))
9. 冬至(陰暦11月26日)- 赤い小豆粥で鬼を追い出す!
冬至は陰暦11月26日で一年で一番、夜が長く昼が短い日です。冬至には小豆粥を食べるのですが、この小豆粥にはもち米で丸い(親指の爪くらい)お団子を作って- 白玉団子です。- 入れます。そして小豆粥と一緒に年の数だけ白玉団子を食べるのです。(私のように年がいってると・・・白玉団子だけでおなかがいっぱいになってしまう・・・??(^^;;))
冬至の小豆粥には鬼を追い出して澄んだ心で新年を迎えるという意味が込められています。これはまさに赤い小豆が鬼を追い出すと考えられたためですね。それで今でも小豆粥を食べる前に門や家の重要な所に小豆粥を塗ったりします。昔は村の古い木にも小豆粥を塗ったそうですよ。
いかがでしたか?いろいろな名節に込められている意味が料理にもそっくりそのまま残っているのですね。ソウルを訪れた時に機会があったら名節料理も一度、試してみてくださいね~。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2000-12-29

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