寺刹式韓定食のお話

ちょっと特別なお寺の韓定食 !

こんにちは。ソウルナビです。今日はちょっと特別な韓定食をご紹介したいと思います。それは何かというと・・・寺刹(お寺)式韓定食です。
寺刹式韓定食って何??それはお寺で修行しているお坊さんが食べる食事、日本でいう精進料理のこと。お寺の料理は修業に専念するお坊さんにために調理されているので、普通の食事とはかなり違います。普通の食事よりもさっぱりとし、且つ香りは豊かでありながら、肉類と食欲増進効果のある香辛料が使われていないのが特徴。韓国の伝統的な食べ物、キムチを例にしましょう。普通のキムチには塩辛と牡蛎などは絶対に欠かせないけれど、お寺のキムチはただ唐辛子と塩だけで味付け。これではちょっと物足りないので、独特の香りのする山椒のようなものでカバー!塩辛が入っていないお寺のキムチは十分に熟成したのがとっても美味しいんです。どんな味かというと・・・ちょっと酸っぱくて、さっぱりした味かな?こうしてお寺ではキムチがあればそれだけで美味しくご飯をいただけるってわけです。
それではそんじょそこらでは食べられない、お寺の食事を仁寺洞(インサドン)にある「山村(サンチョン)」に食べに行ってみましょうか?
1.前食(エゴマのお粥)
米粒が生きている!一匙、口に含むと噛まなくてもとろけて口中にひろがる食感が!こんなに柔らかいのに米粒が生きているお粥を作るのは並大抵の腕前ではありません。(ナビもお粥を作ったことがあるので分かりますが、お粥を上手に作るのは本当に大変なことです。)普通のお粥とは違って、エゴマを挽いて出た汁で炊いたお寺のお粥は栄養万点。一種のエピタイザーって感じで、お味の方もかなりのものでした(^^)
2.パンチャン(おかず)!
1)豆腐
海水で作る美味しいお豆腐。豆腐を小さく切って、両面に油をつけてキツネ色にこんがり焼いた後、醤油で味付けします。それからレンコンと人参を味付けして上にのせます。醤油で味付けしたからしょっぱいかな?と思いましたが、全然そんなことはありませんでした。食感が普通のお豆腐とは全然、違いました!
(レンコンと一緒に食べるとGoodです(^^))
2)山菜ナムル
7種類の旬の山菜を摘んで、それぞれ違う味付けをして和えたもの。エゴマの汁で味付けしたものや唐辛子味噌をちょっと入れて和えたものが美味しかったです。胡麻をそ~っとのせたのもお寺の料理っぽいかな?でも見た目は全部同じ(^^;;)。「このナムル、あれと同じじゃない?」なんて思ってしまいましたが、食べてみると全部違う味でした。(う~ん、不思議だ・・・)
3)キムチ
大根の葉っぱがほとんど入っていない見た目にもちょっと変わったこのキムチは味がよく馴染んでいてちょっと酸っぱく、さっぱりしていました。塩辛が入っていなくてもとても美味しかったです。
4)チシャの浅漬け
新鮮な胡麻の葉っぱと肉厚なサンチュにキノコといろいろな野菜を入れて和えたもの。噛むと強い香りがして、それがほんのりと甘いお味とぴったり!口いっぱいにすがすがしい香が広がりました。
5)天ぷら類
奉祝などの行事の時にだけ食べられる特別料理。キノコ、野菜、エゴマの葉っぱは旬のものを選んで薄く衣をつけてカラッと揚げます。薄い天ぷらの衣のサクッとした感じがたまりませんでした。特別な味付けはしていないのですが、とても香ばしくて美味しかったです。
6)ジョン(お好み焼き)類
材料の制限が厳しいお寺ではより美味しい料理を作るためにジャン - カンジャン(醤油)、コチュジャン(唐辛子味噌)、テンジャン(味噌)など - にとっても神経を使います。大きな壷にジャンをいっぱい入れて温かいお日様の光と澄んだ空気の下で何年も寝かせて熟成させたお寺のジャンは主婦のお手本の味でした。「サンチョン」ではこんなジャンを使って焼いたジャントッが食べられます。唐辛子味噌で作ったジャントッは一口食べた時は「なんだ、しょっぱいだけじゃないか」なんて思いましたが、食べているうちにもちもちした食感が・・・!今では高級ジョンにおされて家庭でしか食べられなくなってしまったこのジャントッが食べられてとっても嬉しかったです。この他にも未熟カボチャと野菜のジョンも出ました。
7)タラノキの若芽
ここでなければ食べられない、代表的な春のナムル。(ナビはタラノキの若芽を手に入れようと昔、市場を走り回った記憶があります。香の強いタラノキの若芽は食欲増進効果があるので、多くの家庭の主婦がこれを買いに市場へ行きます。)素早くゆがいてタラノキの若芽に唐辛子味噌をつけて食べると口いっぱいに、鼻に、それどころか体中にその香りが広がります(^^)
8)ムッ
ノクトゥムッ(緑豆のあつもの)とトットリムッ(どんぐりのあつもの)が一緒に出ます。ムッが大好きなナビはとっても嬉しかったです。ノクトゥムッはごま油がたっぷりかかっているのでツルッと食べられます(^^)。・トットリムッはとても濃い薬味で味付けしたのでちょっと塩辛くて、さっぱりした味です。(しょっぱくて辛いのが好きな人にはちょっと薄味かも!?)
9)揚げ昆布
昆布を揚げて砂糖をつけたもので、多くの家庭で常備しているおかず。甘くてパリッとした揚げ昆布は子供が大好きな料理です。
10)山村チャッチェ
普通のチャッチェ(雑菜炒め)とはちょっと違います。お肉を一切使わずに名前も分からない山菜や人参、ごぼう、キノコなどが入っています。味は・・・個人的にはお肉がいっぱい入った普通のチャッチェの方が好きですが(^^;;)山村チャッチェもかわった味で美味しかったです。(^^)
11)ジャガイモの煮付け
ナビが好きなおかず!親指の2倍くらいの大きなジャガイモを醤油と砂糖で味付けします。(辛いのがめちゃくちゃ好きなナビの家では唐辛子味噌で味付けします・・(^^))ジャガイモがほくほくして甘くてとっても美味しかったです。子供も大好きなおかずです。
12)コソナムル
韓国のお坊さんが大好きなナムル。ワラビに似た山菜で、旬を逃すとなかなか食べられないものです。香りがまた独特。
13)蔓人参の和え物
野生の蔓人参を細かく切って、辛みを抜き、チョコチュジャン(唐辛子味噌にお酢を入れて混ぜ合わせたもの)で和えます。蔓人参を水に長いことつけていると特有のほろ苦さがなくなってしまいます。逆に早く水からあげてしまうととても渋くて食べられないのですが、ここの蔓人参の和え物はとても美味しかったです。コリコリした食感もGoodでした~。
14)テンジャンチゲ(味噌汁)
すっきりとしたテンジャン(味噌)にカボチャとキノコをたっぷり入れて煮たもの。普通のテンジャンチゲとは違ってしょっぱかったり何だかすっきりしない感じは全くせず、とても澄んだテンジャンチゲでした。
3.デザートタイム~
漢方茶とユグァ(油菓) - 漢方茶は5種類の漢方を入れて作った、お寺で飲まれる伝統茶。色は濃い茶色で苦そうですが、意外に苦くなかったです。見た目にも体に良さそうな感じで、韓医院の香りが・・。ユグァはお皿いっぱいに出してくれました。ぱりぱりして甘いユグァは漢方茶と良く合いました。
*メニューは季節によってかわります。
*寺刹式漢定食では五つの野菜を使いませんが、ここでは一般のお客様のために五つの野菜を使っています。もし五つの野菜が入っていないものを希望する時は、前日予約時にその旨、お申し出下さいとのことです。

*ナビさ~ん、教えて~
Q.1寺刹式韓定食は野菜しか使わないの?
殺生を禁じるお寺のお坊さんの食事なので肉類は一切、使いません。仏教では肉類は‘感情の起伏を激しくする食べ物’とされていて、修行の差し障りになる食べ物として嫌われているわけです。不足するタンパク質はキノコや豆類などで補っています。

Q.2寺刹式韓定食はどうしてかわった味がするの?
お寺ではネギ、ヒメニラ、ニンニク、ニラ、フンゴ(ショウガみたいな香辛料)をオシンチェといって、これらは一切、使いません。オシンチェのような刺激物もやっぱり、感情を激しくするので修行の差し障りになると考えられているのです。寺刹式韓定食の地味だけど香り豊かな味わいはまさにオシンチェを使わないことで生まれるのです。

Q.3お寺ではこんなにいっぱい食べてるの?
本来、寺刹の食事はとても単純で素朴なもの。(もともとお坊さんの食事の量はとても少ないです。朝食と夕食のおかずは3品以下、昼食は5品以下なんだそうです。)でも「サンチョン」ではふだん、食べている料理と特別行事がある時に食べる料理を集めて寺刹式韓定食としているので、量が多いんだそうです。これは、昔お坊さんだったご主人がお寺の料理を一般の人に普及させようという気持ちのおかげでしょう。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2001-05-08

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