ベストフード「ナクチ料理」

炒めても生でも美味しい!ナクチ(テナガダコ)でスタミナをつけて、これから来る夏を乗りきろう~!

こんにちは、ソウルナビです。春ももうすっかり終わり、季節はもうすぐ夏。日本と同じように韓国でも蒸し暑い梅雨がやってきて、その後には暑~い夏が待っています!これから来る夏に向けて、今日はひと足早く暑い夏を乗り切るためにスタミナのつく食材の一つ「ナクチ」についてご紹介しましょう!ナクチとは小さめのタコの仲間のことで、韓国では昔から滋養強壮に良い食べ物としても知られています。ナクチがよく獲れる地方では、夏に元気がないな~、という時に食べたりもしたとか。そんなスタミナ食材のナクチですが、その食べ方は韓国らしく辛い炒めものにしたり、スープに入れたり、生でそのままお刺身にしたりといろいろ。それではナビと一緒にナクチを使ったお料理を見てみましょ~!

ナクチってどんなヤツ~?

牛も元気になる!?スタミナ食ナクチ
ナクチとは、マダコの一種で日本でいうテナガダコに近いタコの仲間。タンパク質と貧血を予防する鉄分を多く含み、肝機能の働きを良くして解毒効果を高めたり、疲労回復や動脈硬化を予防するなどの働きがあるというタウリンが豊富。そんなナクチは精のつくスタミナ食材としても知られています。その効果は李朝時代の魚類の専門書に「暑さで倒れた牛にナクチを3~4匹食べさせたらすぐに元気になった」という話も出てくるほど。この他にナクチを食べた牛が闘牛大会で優勝した話などが昔から伝わっているとか。(なぜか「牛」が食べると・・・というのが多いみたいですが^^;)さらにカロリーが低いヘルシー食材でもあるのがうれしいトコロ!
ナクチの名産地
また、干潟に住むナクチは干潟の発達した西南海でよく獲れ、ナクチを使った郷土料理はこの西南海に面した全羅南道(チョルラナムド)の名物のひとつ。特に木浦(モッポ)がナクチの産地として有名ですが、現在では干潟が少なくなった木捕よりもその周辺の豊かな干潟の多い地域で獲れたものが木浦に集められていると言われています。

ナクチ料理いろいろ

ナクチを使った料理は炒めたりスープに入れたり生で食べたりとさまざま。どんな料理があるのかな!?
◎ナクチポックン
ナクチをたっぷりの唐辛子をはじめとするネギやニンニクなどの薬味で炒めたとっても辛~い「ナクチポックン」。その辛さは韓国人でも「辛い!」という人が多いという激辛料理!そしてナクチというとまずこのナクチポックンが挙がるほどポピュラーなナクチ料理の一つです。ヤンニョム(薬味)たっぷりでどちらかというとこってり味なのでご飯のおかずとしても合いますが、お酒のおつまみとして食べられることが多いかも。素麺などの麺類と一緒にいただくこともあります。また、ナクチポックンをメインメニューとして出す専門店では、辛さから胃を守ると言われるチョゲタン(貝スープ)もあり、一緒にお酒のお供にすることが多いみたい。そんなナクチポックン専門店は武橋洞(ムギョドン)に多く集まっています。辛いもの好きのみなさん、一度挑戦してみては!?
*ナクチ専門店が並ぶ武橋洞
◎ナクチピビンパッ
辛~いナクチポックンとごま油をご飯にかけて一緒に混ぜ混ぜ!辛くて香り高いナクチピビンパップの出来上がり~!ポックン(炒め)だけだとどうしてもおつまみ系になりがちだけれど、ご飯もしっかりいただけるピビンパッはお昼ご飯にも最適。普通、お野菜ののったご飯とは別のお皿に出される激辛のナクチポックンを、自分でご飯の上にのせてから混ぜます。辛さを控えめにしたい場合はナクチだけ取り出したりして、ご飯にかける真っ赤なヤンニョム(薬味ソース)の量を減らしましょう。それでも多くの場合、十分に辛いですけど・・・^^; ピビンパッに入るお野菜はお店によって少しずつ違いますが、コンナムル(豆もやし)のナムルは必ず入っています。
◎サンナクチ
生きたナクチをジョキジョキとひと口大に切ってゴマ油とお塩を付けていただく「活きタコのお刺身」。切ってからすぐにお皿に載せられて出てくるナクチはまだ動いていて、お口に入れてもグニョグニョ、吸盤がキューっとくっつくことも!少し残酷!?なようですが、そんなおどり食い状態を楽しみながら新鮮なナクチをそのまま味わえるのがサンナクチ!ナクチの甘みと潮の香り、ごま油の香ばしさを心ゆくまで堪能できる、海鮮好きなら一度は挑戦したいナクチ料理。^^
◎ナクチチョンゴル
唐辛子やごま油で下味をつけて炒めたナクチと玉ねぎなどの野菜を入れて煮込むナクチの寄せ鍋。牛肉を一緒に入れる「プルナクチョンゴル」が主流ですが、ナクチ以外の魚介類も入ったり、最近ではサムギョッサル(豚の三枚肉)と組み合わせたものやベーコンやソーセージを一緒に入れたりするものもあるとか。ちなみに「プルナク」とは「プルコギ」と「ナクチ」を合わせたことば。ナクチとお肉などのダシが合わさって奥深~い味わいのチョンゴル(鍋)!
◎ナクチプルコギ/チョルパングイ
ナクチと海産物、野菜をチョルパン(鉄板)で焼いていただきます。味付けはコチュジャン(唐辛子味噌)ベースなのでかなり辛めのものが多いかも。いろんな海産物と野菜がたっぷりでヘルシー&栄養満点!
◎ヨンポタン
ナクチの名産地「全羅南道」の郷土料理で、生きたナクチと塩、ネギなどの野菜を煮たシンプルなスープ料理。琥珀色の透き通った色をしていて一見辛そうには見えないけれど、ナクチの甘みが染み出したスープはすっきりと深い味わいで、青唐辛子が入っているのでさわやかな辛さが効いています。大きな鍋で作ったヨンポタンをボールに取り分けていただくのが本来のスタイル。でもお店ではテーブルでお鍋を沸かして、グツグツと煮え立ったスープの中に生きたナクチを丸ごと押し込めてみんなで作るタイプのほうが多いみたい。逃げようとするナクチは少し残酷だけど、少しだけ火の通った半生状態でプリプリのナクチが味わえるのは生きたナクチを使うからこそ。半生ナクチの歯ごたえと共にシンプルだけど素材の持ち味を生かした味を楽しめますョ!お店によっていろんな野菜や人参、ナツメなどの漢方などが一緒に入っていることも。

こんなのも!?ちょっと変わった食べ方!

◎ナクチクリ
金大中元大統領の故郷、全羅南道の新安(シナン)郡の郷土料理。「クリ」とは方言で「巻き」にあたる言葉で、軽く焼いたナクチ一匹を長い棒に巻き付けてお皿に盛り付けします。昔はその地方の貴族など身分の高い人たちや宮廷だけで食された「宮廷料理」だったとか。生きたナクチをさっと炒めてごま油や塩などで軽く味付けしただけのとってもシンプルなナクチクリは、美味しいナクチを使ってこそできる一品。ナクチそのままの滋味深い風味が味わえます!
◎ナクチタンタン
生きたナクチを細かくぶつ切りにしてニンニク、ごま油、塩と青唐辛子や卵黄などで味付けし、まぜまぜしていただく「ナクチタンタン」。ナクチ料理の本場、全羅南道の務安(ムアン)郡の郷土料理だそう。地元では、「夏に気力が落ちて元気が出ないな~」という時によく食べられるんだそう。同じ生でいただく「サンナクチ」とはひと味違った食べ方!
◎ナクチタンタン(サンナクチ)ピビンパップ
生きたナクチを細かくぶつ切りにした「ナクチタンタン」が具の一つとしてのかったピビンパッも。「ナクチタンタン」がおつまみ系なら、こちらはしっかりいただけるご飯系!
◎サンナクチネンミョン
生きたナクチが冷麺の上にまるごと一匹のっかった大胆な料理!冷麺の上で動くナクチをハサミでジョキジョキ切って、辛いヤンニョム(薬味)と一緒に麺と混ぜてからいただきます。生きたナクチはもちろんサンナクチと同様お口に入れてからも吸盤がくっついたり動いたり!とってもワイルドな一品!?
◎ナクチスジェビ
ナクチをはじめとする海産物などのダシが効いたスープのスジェビ!スジェビとはいわゆるスイトンのことで、ナクチスジェビには小麦粉から作ったもののほか、ジャガイモで作った「カムジャスジェビ」が入っていることも。もちもちツルツルのスジェビにナクチの甘みが染み込んで美味!お汁は透き通ったヨンポタンみたいなスープ。
◎ナクチマンドゥ
ナクチ入りの蒸し餃子(マンドゥ)で、ナクチ専門店に時々置いてあります。特にナクチの味が効いてる!というカンジではないけれど、言うならばナクチの歯ごたえが楽しめるちょっと変わったマンドゥ、といったトコロ。具の中にナクチの細い足が見えるとなんだか嬉しい!?
◇◇こちらのお店でいただけま~す!◇◇
種類の豊富なナクチ料理、それぞれどこに行けば食べられるの!?ナクチの美味しいお店をご紹介!
<辛~い!「ナッチポックン」がウリのお店>
●イガンスン・シルビチッ(本店)
創業50年近くにもなる元祖ナクチポックンのお店といえばココ!新鮮で、ポックン(炒め)にちょうどよい大きさのナクチを使うこと、科学調味料は一切使わないことなど昔からの味を守り続けていて、昔から変わらないこの味を求めてお店に通うお客さんが多いとか。最高級のコチュカル(唐辛子粉)をたっぷり使った、涙が出るほど辛~いナクチポックンはチョゲタン(貝スープ)と一緒にいただくのがオススメ!他のお店のナクチポックンより辛いといわれる激辛の味に挑戦してみたい人は、ぜひこの老舗を訪れてみてくださいネ^^。
☆ココで食べられるナクチメニュー
ナクチポックム、ナクチピビンパッ、ナクチマンドゥ、ナクチパジョンなど
●五スニナクチ
辛いチョンニャンコチュとコチュジャン(唐辛子味噌)をはじめとしていろんな材料を使って、辛さの中にも甘みのある深い味わいのナクチポックンをいただけるお店といえばコチラ!もともと辛いナクチポックンの元祖「イガンスシルビチッ」の南大門店として出発したこちらのお店ですが、独自で開発したメニューなども加えて「五スニナクチ」と名前を改めました。その後、現在お店のある大学路に移転しましたが、南大門時代からのお客さんもやってくるというほど地元の人に愛され続けているお店です。
☆ココで食べられるナクチメニュー
ナクチポックム、ナクチブルコギ、ナクチピビンパッ、ナクチスジェビ、ナクチマンドゥ、ナクチパジョンなど
<ナクチの名産地、全羅南道の味!>
●ヘテ食堂
木浦(モッポ)でお店を開いたあと、ソウルにやってきてオープンさせたのがこの「ヘテ食堂」。木浦の名物にもなっているセバルナクチ料理の専門店で、手作りおかずも全羅南道スタイルで味わえます。お店で一番人気なのはヨンポタンを定食式に味わえる「ヨンポ定食」。すっきりした辛味のあるヨンポタンに、20種類以上のおかずが並ぶ豪華な定食料理です。サンナクチを使ったビビンバ「ナクチタンタンビビンバ」も人気メニューだし、メニュー全てがナクチ料理という、ナクチ好きにはたまらない食堂ですョ。
☆ココで食べられるナクチメニュー
ヨンポタン、ナクチタンタン、ナクチタンタンピビンパッ、サンナクチ、ナクチピビンパッ、ナクチチョンゴル、プルナクチョンゴル、ナクチクイ(焼き)、ナクチポックン等
●シナンチョン(本店)
全羅南道出身の金大中元大統領も訪れたというちょっと高級な南道料理専門店。元大統領の故郷でもあり、美味しいナクチが獲れる場所として有名な新安(シナン)郡から毎日取り寄せる新鮮なナクチを使った本格郷土料理はグルメをもうならせる味!中でも水槽から取り出したばかりのナクチをさっと焼いてごま油や塩だけで味を付けた「ナクチクリ」をソウルで味わえるのはココだけとか。本当に新鮮で質の良い素材を使ってこそ美味しくできるメニューをじっくりと堪能できます。古い韓屋を使ったお店の雰囲気もグー^^。
☆ココで食べられるナクチメニュー
ナクチクリ、ヨンポタン、サンナクチ
<みんなでワイワイ、ナクチプルコギやチョンゴルを味わう>
●ペッコドン(本店)
ソウルのオシャレっ子が集うちょっとハイソな街、狎鴎亭(アックジョン)に位置するイカとナクチの専門店。マニアックな食堂でナクチ料理を味わう、というよりもナクチのチョンゴルやプルコギなどのお鍋をみんなでつついて楽しくいただくというスタイルでナクチ料理を楽しめます。でも行列ができるほどの人気ぶりは、そのお味も保障されているからこそ!コチュジャンベースの辛いチョンゴルやプルコギをいただいたあとは、残りの具やスープでお決まりのポックンパッ(炒めご飯)でシメて最後まで味わっちゃいましょう~^^。
☆ココで食べられるナクチメニュー
ナクチチョンゴル(※ペッパン(定食)もあり)、ナクチプルコギ(※ペッパン(定食)もあり)、サンナクチ
●ナッキオッキ
若者の街、大学路(テハンノ)にあるコチラの「ナッキオッキ」はユ・ジテをはじめ芸能人もよく訪れるお店とか!?今までのイカやナクチを扱う「食堂」のイメージを変えるべく、明るくて広いお店は大学生など若者にも人気。30種類以上の薬味と唐辛子で、ナクチと玉ネギやニラなどのお野菜を一緒に炒める辛~いナクチプルコギがおすすめ!ランチタイムにはナクチプルコギやチョンゴルのペッパン(定食)がお手軽に味わえるのもうれしいトコロ。
☆ココで食べられるナクチメニュー
ナクチチョンゴル(※ペッパン(定食)もあり)、ナクチプルコギ(※ペッパン(定食)もあり)、サンナクチ、ナクチピンデトッ
<いろいろ海産物系のお店>
●クンサンオジンオ
アクセス便利な明洞(ミョンドン)でいろいろな海産物料理が味わえる、観光客にも有名なお店といえば「クンサンオジンオ」!海鮮鍋やカンジャンケジャンが人気のコチラのお店ですが、もちろんナクチ料理もありますョ。新鮮なタコ生きたままをグツグツと煮え立つお鍋に入れて半生状態のプリプリナクチを味わえる「ヨンポタン」は見た目にも豪快でオススメ。貝とナクチのダシがよ~く効いたお鍋のシメはラーメンでどうぞ!明洞でナクチ料理にトライしてみたい!という方はこちらのお店にゴー!
☆ココで食べられるナクチメニュー
ナクチチョンゴル(※ペッパン(定食)もあり)、ナクチプルコギ(※ペッパン(定食)もあり)、サンサンナクチ、ヨンポタン
☆その他、ココでも食べられますョ!
明洞エリア
ミョンドンコル(プルナクチョンゴル、ナクチチョルパンクイ、ナクチチョンゴル、サンナクチなど)、オモニチプ(サンナクチ)
その他のエリア
プロカンジャンケジャン(サンナクチ、ヨンポタン、ナクチポックン)
<変わったナクチ料理出します!>
●マポナルネンミョン
活気あふれるアートな学生街、弘大(ホンデ)にあるこちらのお店は冷麺をはじめとする韓国料理のお店。定番のムルレンミョン(水冷麺)、ピビンネンミョン(混ぜ冷麺)に加えて、フェ(エイの刺身)冷麺やチョンボッ(アワビ)冷麺など冷麺メニューが豊富。中でもひときわ目を引くのは「サンナクチ冷麺」。サンナクチ(生きたタコ)がまるまる一匹のっかった冷麺です!ぐにょぐにょ動くサンナクチと甘辛いタレにからめていただくピビン冷麺のコラボレーションは珍しくもなかなかイケル一品!
☆ココで食べられるナクチメニュー
サンナクチネンミョン、サンナクチ
夏のスタミナ料理として少し早いですがお伝えしたナクチのあれこれ、いかがでしたか?こうやって見ると意外と種類の多いナクチ料理。ナビも改めてその奥の深さにちょっとビックリしてしまいました^^。いろ~んな調理法で様々な味が楽しめるナクチ、これを参考にお好みの味を見つけたり気になる料理にトライしたりしてみては!? 以上、ソウルナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-06-04

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