韓国のチプトゥリ ~釜山ナビ・さっちゃん編~

「引っ越し祝いパーティー(チプトゥリ)」って、一体何をするのかな?

韓国では引越しをすると、当然のように行われる「チプトゥリ」。日本人にはあまりなじみがないので、戸惑う事も多々あることでしょう。もし知人のチプトゥリにおよばれされたら、どうしよう?または友人がチプトゥリをする時には、何を手伝えば…?いやいや、それより自分自身が韓国人と結婚したら、どんな風にすればいいの?きっと疑問だらけの人も多いはず。日韓国際カップルのチプトゥリを覗きながら、そんな悩みも一気に解決してしまいましょう。それでは、プサンナビと一緒に新居へ突入!!!
《 チプトゥリとは? 》
簡単に言うと、新婚夫婦が「ここに住み始めますよ~」と家の中をお披露目するパーティーの事。人によっても違うけれども、大体3回やるのが一般的のようです。1回目は会社の上司や仲間達を呼んで、2回目は旦那さん側の両親をはじめ近くにすんでいる親戚達が集まって、3回目は奥さん側の親戚を集めて開くようです。その他に友人を集めて開く人もいるとか…。今回はプサンナビでもおなじみのキム・ドンファンさん&丹野幸子さん宅にて、会社の人たちが集まるパーティーにお邪魔してきました。
このチプトゥリで、何よりも重要視されるのが、品数豊かなお料理。テーブルに並べきれないくらいの種類と量を用意しなくていけないのです。「万が一、お客さんが来てから足りなかったら出前でもとればいいや…」というでは、来てくれた人に対して失礼となる事もあるようなので、あらかじめものすごい量を作っておきます。もちろん、食器等も足りないので、「チプトゥリがあるから」と言って知り合いから借りておきます。(さすがに皆慣れているようで、当たり前のように貸してくれます)
《 チプトゥリに招待されたら? 》
友人の家に招待されたら、生活消耗品を持参していく事が多いようです。例えば、洗剤・トイレットペーパー・石鹸などなど。デパートなどに行くと、チプトゥリ用に(?) 箱詰めのセットで売ってる物もあります。その他、仲の良い友人の場合は、あらかじめ結婚祝として電化製品などをプレゼントしておいて、チプトゥリの当日は何も持たずに来る事もあります。
会社の同僚の場合は、お金を包んで持っていきます。人数が多い場合は、何人かでまとめて封筒に入れて、奥さんに渡します。

《 準備 》
国際カップルということで、旦那さんの会社の仲間たちから「奥さんお手製の日本料理を食べたい!」とリクエストされ、数日前から準備に励む健気な若奥さん。1. とにかく品数を多くすること、2. 韓国人の味覚に合うもの、ということで献立を考える時から頭を悩ませます。来客は20人~30人くらいになるというので、何をどれ位作れば良いのか、見当がつかずに四苦八苦・・・。今回は「すき焼き」をメインとして、「チラシ寿司」「日本そば」など見栄えもよく、できるだけ癖のないもので、しかも日本的な食べ物を選んでいました。
そのほか、お酒や果物もたくさん用意しておきます。冷蔵庫の他にアイスBOXに氷を入れ、ビールと焼酎をしっかりと冷やしておきます。
もちろん、部屋の掃除も念入りにしておきます。新居披露の場ということもあり、お客さんはかなり隅々まで覗いていくので、お掃除は手を抜けません。居間にはアルバム作りで撮った写真を飾っておきます。
《 来客 》
準備もすっかり完了して、後はお客さんの来るのを待つだけ。ある程度の時間は決めてあるものの、仕事帰りということもあり、皆バラバラに到着します。「これで完璧。準備万端だ~!」と思っていても、いざお客さんが到着してみると、台所は戦場と化します。次から次へと絶え間ないゲストに圧倒され、頭の中もパニック状態となります。「こんなはずじゃないのに…」と思っても、もうどうしようもありません。とにかく、「ご飯をよそって、おかずを温めて、蕎麦を盛って、お酒を出して、果物を切って、またご飯をよそり…」次から次へと繰り返されます。台所にいるというよりは、食堂のおばちゃんになった気分・・・。

食事を終えた人から、別の部屋でお酒を飲みながらおしゃべりをしたり、ポーカーを始めたりする人たちもいます。すかさず、フルーツやコーヒーを運んでいき、足りない物はないかどうか、チェックしておきます。お酒を飲んで盛り上がっているグループは、ビールと焼酎に洋酒も飲んだりして、それぞれ楽しんでいるようです。

皆が食事も大体終えて、お酒も少し回ってきたところで、「歌を唄え~」とか言われ、その場はすっかり宴会ムードになります。お決まりのビール瓶にスプーンを立てて、マイクの代わりにし、ワイワイと盛り上がります。
プサンナビも新婦側、友人代表として(?) 日本の曲を歌ってくれといわれ、調子に乗って「ジュリアに傷心 (チェッカーズ) 」をアカペラでうたってきました。皆さんがお酒に酔って、記憶のない事を祈って…。
《 終了 》
本来なら、明け方まで飲み明かす事が多いそうですが、今回は人数が多い事もあり、次の日が皆さんお仕事ということで、11時頃になったらお開きとなりました。皆さんが帰ったあと、後片付けがひと仕事残っていますが、何よりも無事に終わった事にホッとひと息。パーティーの途中で友人の方々が、お皿洗い等を手伝ってくれたお陰で、後片付けもちょっと楽になった…かな?! 少し休憩した後に、約1時間かけてお皿洗いとお部屋の片づけまで、全て終了しました。

初めてのチプトゥリということで、イマイチ勝手が分からず戸惑う奥さんのことをいたわりながら、一生懸命な旦那さんの姿も印象的でした。こうやって、いろいろな経験を共にしていきながら、夫婦の絆を深めていくのかもしれませんね。なんとも羨ましい限りです…。

徐々に昔ながらの風習が消えていく中で、今でもこのように残っている「チプトゥリ」の制度は、「面倒くさい」とは言いつつも、やはり意義あるもののようでした。そして、少しだけ韓国文化を肌で感じたような気がしました。皆さんも機会があれば、ぜひ新婚さん宅に遊びに行かせてもらってみてください。
以上、プサンナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2003-08-06

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