いきあたりばったり食いしん坊旅行記 注文津・太白(前編)

美味いものを求めて、江原道の南部を無計画に旅行、海の幸、山の幸を味わう!

こんにちは、あっきーです。去る冬の終わり頃、「美味しい海の幸が食べた~い!」と思い立ってあっきーは韓国の地方に美味しいものを探す旅に行ってきました。いつもナビで紹介しているように、ソウルには美味しいお店がいっぱい。いろんな種類の韓国料理や各地方の料理、最近では本格的な外国の料理も増えてきて、ソウルにいるとどんなものでもだいたい食べることができます。しかし!韓国には、地方ならではの食べ物や、地方で食べるともっと安くて美味しい!ものもたくさんあるはず。特に海のものって、やっぱ海の近くで食べたほうが新鮮で安いはずですよね!?そんなわけで、どこに行こうかな~、と考えた結果、海の幸といえば・・・やっぱり東海(トンへ)!?と、韓国のグルメガイドブック2冊だけを持って、とにかく東の海に向かって出発!旅に出たのはすこ~し気温が上がり始めた、冬の終わりごろ。冬の味覚がいただける時期もあと少し!カニも食べたいし、フグも食べたい・・・そんな食いしん坊な欲望をぎっしり抱いて、実際に海辺の街で海の幸を満喫、その後海鮮にちょっと飽きて山の方へ行き、韓牛(ハヌ)を味わったという、無計画いきあたりばったり食いしん坊の旅、前編と後編にわたってお伝えしま~す。

★今回行ったコース★
ソウルを出て、まずは江陵市にある港町「注文津」(チュムンジン)に向かい、ここで一泊。次の日は南に下り映画「四月の雪」のロケ地、三陟(サムチョッ)市へ。そこから山へ入り、韓牛(ハヌ)の産地、太白(テベッ)市で一泊。最終日は、山の中の大型レジャーエリア「江原ランド」のカジノで遊んで、再びソウルへ。

1日目海産物の宝庫、東の海へ

■美味しい刺身を求めて出発
夕方6時、ソウルの東にあるバスのターミナル、東ソウルターミナルを出発!高速バスでまず目指すは江原道の海辺の街、江陵(カンヌン)。料金は大人1人18,000ウォン。バスに乗ってしばらくすると完全に日は落ち、真っ暗な山の中をソウルの方から東に向かって韓国をひたすら横断。出発から2時間半くらい経って9時40分頃に江陵高速バスターミナルに到着~。この江陵のターミナルは市街地から少し離れた所にあるらしく、夜9時に近い時間のせいもあるのか、タクシーばっかりの大きな道路にも人影はまばらで辺りは閑散とした雰囲気。でもそんなところが「韓国の地方都市」ってカンジで、ソウルじゃない場所に来たんだな~、と妙に実感してしまいました。
さて、さっそく刺身の食べられるところを目指さなくっちゃ!もう9時をまわろうとしているのでゆっくりはしてられないぞ~っと、とりあえずターミナル前の地図を見たりバス停にも行ってみるけれど、土地勘のないところはやっぱちょっと難しいなあ~。ガイドブック情報では、江陵市の海辺の町、「鏡浦」(キョンポ)と「注文津」(チュムンジン)という所に港や市場があって、周辺に刺身屋がたくさんあるらしい。このどちらかを目指したいんだけど・・・。ということで、ターミナル裏の観光案内所で聞いてみることに。すると、鏡浦よりも距離のある注文津行きのバスがまだある、とのこと!よっしゃー、注文津に行くぞ~!
観光案内所で教えてもらったとおりバス停に行ってみたけど・・・あれ?停留所の時刻表案内では注文津に行くバス、302番と315番は19時半頃にとっくに終わってる?!観光案内の人を信じてちょっと待ってみたけど、やっぱりバスは来ません。時刻はもう9時過ぎ。ここでモタモタしていると刺身にありつけないっ!と、予定変更、タクシーに乗っていくことに。でも、料金がどのくらいかかるのか少し不安。そこでバス停前にあるコンビニの店員さんにきいてみると「さあ?1万5千~2万ウォンくらいなんじゃないですか?」とのこと。タクシーを止めて、運転手のおじさんに注文津までの料金をきいてみると1万6千ウォンくらいで行ってくれるというので、よし!と、そのまま乗り込んでようやく注文津に向かうことができたのでした。
空いた道をびゅんびゅんと進むタクシーに乗ること約15分。江陵市の北の端っこにある港町、注文津にようやく到着!タクシーアジョッシ(運転手さん)に港や海産物を出す食堂街の位置、窓から見えるモーテルの情報などをききながら、港一帯では一番北に位置する、刺身屋さんの集まる「フェッチッダンジ」(刺身屋団地)、「防波堤(バンパジェ)刺身センター」まで案内してもらいました。ちなみにアジョッシの話によると、ほかに目的地の選択肢として考えていた鏡浦よりも注文津のほうが安く美味しい刺身を食べるのには断然良い、とのこと。おお、ナイス選択をしたよう!^^
乗ってきたタクシー。アジョッシ、ありがとう!

乗ってきたタクシー。アジョッシ、ありがとう!

ここがアジョッシおすすめの刺身屋団地

ここがアジョッシおすすめの刺身屋団地

周辺には海産物屋や、刺身屋さんが

周辺には海産物屋や、刺身屋さんが

イカや貝が干されているのも港らしい

イカや貝が干されているのも港らしい


■「防波堤(バンパジェ)刺身センター」で海鮮三昧
ここ「防波堤(バンパジェ)刺身センター」は、名前のとおり防波堤に沿って建った細長い建物の中に何軒もの刺身屋が並んでいます。刺身屋さんと言っても、お店とお店の境界は簡単な間仕切りのようなもので区切られただけの、それぞれ小さなお店。ここでの刺身の注文の仕方は、一つ一つのお店の前に置かれた水槽に入っている生きた海産物をお店の人と交渉しながら買って、水槽の奥にある調理場で刺身などを作ってもらい、そのまた奥に設置されたテーブルでいただく、という方式。ずらりと並んだ水槽の中にはいろんな種類の魚や貝、カニといった海産物がわんさか。おー、テンションの上がる光景やね~!
どのお店で何を食べよっかな~、と水槽をのぞきながら歩いていると・・・よく目につくのはフグ!そういえば、季節は冬の終わり。よし、ここまで来たんだから奮発してフグでも食べるか!と、感じの良いおばちゃんがいるお店でフグの交渉に入りました。なかなかおっきめのフグを網ですくって、「この大きさで8万ウォン。他の魚もおまけするよ!」とおばちゃん。そうか・・・安くはないけれど、オマケも付くし、ソウルで食べることを考えると・・・。あと2匹、白身のお魚を付けてもらって交渉成立!お刺身と、アラはチリにしてもらうように注文して、座敷のテーブルがいくつか並ぶお店の奥へ~。
席につくと、まずはお刺身が出来上がるまで付き出しで焼酎を一杯!出てきたのはホヤ、ケブルのぶつ切り刺身と小さいホタテ貝の仲間をごま油で和えたもの、それと蒸かしたサツマイモにラッキョウ。日本で食べるものよりも独特の香りが少なく、柔らかいホヤと、日本語ではユムシという独特の歯ごたえを楽しめるケブルは唐辛子酢味噌や韓国のわさび醤油をつけていただきます。これがフグの代金に全て含まれているからステキ!韓国の刺身屋って、これがあるからいいんですよね~^^。
そしてお皿にキレイに並べられて出てきたフグの刺身!日本の薄造りほど薄くないけれど、これくらいに切るのも歯ごたえがあっていいもんですョ!フグを食べる前にオマケの刺身から食べるようにとおばちゃんから指示が。身が柔らかいので、フグを食べた後に食べると美味しく感じないそう。ちょっと何の魚か分からなかったけど、身は確かに柔らかくても魚の風味が強めでの身が美味しかった!そのままワサビ醤油やチョコチュジャン(唐辛子酢味噌)につけても、味噌やニンニク、青唐辛子と一緒にお野菜に包んでいただいてもグー!
フグはやっぱりワサビ醤油をつけただけでいただく、というのがいちばんフグの味を堪能できるけれど、一緒に出てくるセリを巻いて韓国のワサビ醤油やチョコチュジャンをつけても。日本では芽ネギなどを包んでいただいたりもするフグ、韓国ではこの芽ネギの代わりにセリが登場することもあるみたい。韓国風に薬味と一緒にお野菜に包むのも、また日本では味わえない食べ方ですよね~。「せっかくのフグの味を・・・」という声も聞こえてきそうですが・・・^^;。たっぷりあるこりこり歯ごたえのフグをいろんな食べ方で堪能しました~^^。
そうやってフグと焼酎をやっていると、お次に運ばれてきたのは「チリ」。刺身の後にはよく「メウンタン」という魚のアラを入れた辛い鍋をいただくんだけど、なんせフグ!ということで、ここは辛くないあっさり「チリ」を注文!おおー。大根と豆モヤシ、そして緑鮮やかなセリとともにフグのお刺身の残りの部分、アラがグツグツとにこまれた鍋。澄んだスープにはフグのダシがよーく出ていて、あー、最高!プルプル皮付きの身が美味しいのはもちろん、でっかい白子が入っていたので感激!贅沢だわ~^^。最後には少し残っていたフグのお刺身をお鍋でしゃぶしゃぶしてみたりして、最後までフグを楽しみました。雑炊なんかもしたいところだったけど・・・
*バンパジェ・フェセント(防波堤刺身センター)
「12号 チュンブッドゥンデスサン(忠北灯台水産)」
住所: 江陵市(カンヌンシ)注文津邑(チュムンジンウッ)注文里(チュムンリ)265−1
電話番号: (033)661‐5771
営業時間: 10:00~22:00を過ぎて、お客さんがいなくなるまで
休業日: 毎週月曜日

■宿と蟹を求めて・・・
フグをたっぷり満喫し、おなかがいっぱいになったところで今晩の宿を探さなくっちゃ!ここ注文津港の近くは、海沿いに海産物店、刺身などを出す食堂、そして旅館やホテル・モーテルが並んでいます。何軒かモーテルをあたってみると、相場は一部屋一泊3万5千ウォン~4万ウォンくらい。どこも同じようなので、港の近くで海が見えるベランダ付きの部屋が4万ウォンという「ウィノス・モーテル」に決定。今はシーズンオフなので空き部屋も多くこの値段だけど、夏休み時期など休暇のピーク時になると、海の見えるこの部屋は1泊12万ウォンにもなるとか!すごい値段の跳ね上がりよう^^;。部屋はこぢんまりとしているけど、掃除もモーテルにしては十分に行き届いていて、バスタブ付きなのでゆっくりお湯にも浸かれました。
ここ注文津ではこの季節、テゲ(日本でいうズワイ蟹)やトルケ(毛蟹)も水揚げされます。カニ専門店ではこれに加えてでっかいタラバ蟹も売っていて、まさにカニパラダイス。このカニも食べたかったんだけど、深夜0時を過ぎて開いているカニ食堂はどうやら無い模様。それでも明かりのついている蟹専門店を見つけたので、ダメでもともと!と思いながらお店に入ってみることに。すると店内では従業員たちが閉店後に商品にならないカニを大量に茹でて食べていて、そのおすそ分けをほんのちょっといただきました~!細いズワイガニの足一本だったけど、カニの味が濃くて美味~!でした^^。
ひと口だけでもカニにありつけたのでラッキーと思いつつ、残念だけどこれ以上カニはあきらめてホテルへ戻ることに。乾物などを売る商店はまだ何軒かやっていたので、スルメイカの干物をお店で焼いてもらってホテルへお持ち帰り。ホテルのベランダでまだちょっと冷たい早春の風にあたりながら、ビールとでっかいスルメで旅の一日目を締めくくりました~。
*「ウィノス・モーテル」
住所: 江陵市(カンヌンシ) 注文津邑(チュムンジンウッ) キョハン里 175−36
電話番号: (033)661-8034~8

2日目

■市場と港周辺を散策
朝少し遅めに起きて、まず港や市場を見学しつつ、地元で人気とウワサの食堂を探すことに。朝、ベランダから見える港の景色はとってもよかったですョ^^。ホテルから出て、海産物の乾物屋が並ぶ海沿いの道路を越えると水産市場、港などが続く海辺に出ます。乾物屋の店先には干物がいっぱいぶら下がっていて、見るだけでも楽しめます。大きな魚の干物など、どうやって食べるのか、食べ方も気になるトコロ。
市場には、朝水揚げされたばかりの魚介類がザルにキレイに盛られたり、生きたまま水槽に入れられたりして売られています。日本と近く海はつながっているといっても、同じ種類の魚でも日本で獲れるのと微妙に違ったりしてなかなか楽しい海産物市場ウォッチング。市場ならではの威勢の良い呼び込みが聞こえてくるけど、見物の観光客と分かるとしつこく売り込もうとはせず、にっこりと見守ってくれる雰囲気がなかなかいいカンジの市場。
市場は、たくさんのカラフルな漁船が止められた港まで続きます。港に近づけば近づくほど、地元の人がやってくるような庶民的雰囲気が濃くなるような感じ。お昼前の港では、とっくに漁を追えた漁師たちが網の手入れなどをしていました。海辺の定番、カモメもいっぱい。平日の午前中だったせいもあるけど、観光客らしき人の姿はほとんど見かけませんでしたが、それでも地元の人がたくさん集まっていて、活気とのどかさが程よく合わさった遅い朝の市場でした。

■「パド食堂」でコムチのチリ
市場をあとにして、ガイドブックでチェックしていた地元の有名食堂、「パド食堂」を探すことに。ガイドブックには詳しい地図が記されておらず、お店の位置を知る手がかりになる情報は大体の位置説明と電話番号のみ。カンでお店があると思われるほうへ行き、あとはお店に電話してやっとお店を見つけ出しました。(正確なお店の位置を分かりやすくお知らせするのって、重要ですよネ。改めて実感したあっきーでした。^^;)お店の場所は地図に載せてあるので、参考にしてくださいネ!
ちょうどお昼時にお店に入ると、地元のお客さんでテーブルがほとんど埋まっていて人気ぶりをうかがわせる様子。こちら「パド食堂」は創業20年にもなるそう。海の幸を使ったメニューがいろいろあるけれど、中でもチリという辛くない魚の鍋が有名だそう。使うお魚はフグやセンテ(生のタラ)、コムチというウツボの仲間など白身のもの。フグは昨日十分満喫したので、この辺りの海でよく獲れるという珍しいコムチのチリを注文~!
チリを待っている間にまず運ばれてきたのは9つのパンチャン(おかず)と、おっきなサムチ(サワラ)焼き。このサワラだけでもお腹いっぱいになりそうなくらいのボリューム。焼き魚&ご飯の組み合わせって、やっぱ最高やね~^^!
そしてお待ちかね、コムチチリの登場~!コムチとは真っ黒いウツボの仲間で、柔らかいぷるぷるゼラチン質に覆われたお魚。実はあっきー、日本で食べるウツボはそんなに好きなほうじゃないんだけど、ゼラチンが多い淡白な味、と聞いて一度食べてみたいと思っていたんです。実際に食べて見ると・・・ウツボのようなクセがなく、身は柔らかく淡白で、ゆるーいゼラチンの部分がたっぷり!おお、イケる!ベースの透明スープに甘みが溶けだしているみたいで、鍋の底に沈んだ薄切り大根にもこの味が染みて美味!コムチの卵も入っていましたョ^^。あっさりだけど奥深い味わいのチリでした^^。(ちなみにお値段はチリ小(2人分)で20,000ウォン。)
*「パド食堂」
住所: 江陵市(カンヌンシ)注文津邑(チュムンジンウッ)注文1里(チュムンイルリ)1番
電話番号: (033)662-4140
休業日: 秋夕・旧正月 各2日ずつ
営業時間: 10:00~21:30

《行き方のポイント》
市内バス300、301、302、315が通る「注文津 水協(チュムンジン・スヒョプ)」停留所から、バスターミナルと反対の方向に歩きます。

市内バス300、301、302、315が通る「注文津 水協(チュムンジン・スヒョプ)」停留所から、バスターミナルと反対の方向に歩きます。

小さな十字路を一つ越えて左手に「バリ・モーテル」を見ながら道なりに直進。

小さな十字路を一つ越えて左手に「バリ・モーテル」を見ながら道なりに直進。

右に温泉マークの「ウジンジャン・モーテル」が見えたら、道にそって右に曲がると

右に温泉マークの「ウジンジャン・モーテル」が見えたら、道にそって右に曲がると

右手に青い看板の「パド食堂」があります。(バス停から徒歩約5分。)

右手に青い看板の「パド食堂」があります。(バス停から徒歩約5分。)


★注文津(チュムンジン)で行ったお店などの地図★

注文津で海の幸を大満喫した今回の旅の前半編、いかがでしたか?食べ損ねたカニなど、もっと食べたいものもあったのですが、2日目の宿とさらなる美味しい食べ物を求めて、この後とりあえず注文津を去って南に下ることになった、行き当りばったりの今回の旅。このお話の続きはまた後編で。お楽しみに!以上、あっきーでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2008-03-28

ページTOPへ▲

関連記事

注文津

注文津

新鮮で獲れたての魚が安く食べられる、江陵市北部の港町

いきあたりばったり食いしん坊旅行記 注文津・太白(後編)

いきあたりばったり食いしん坊旅行記 注文津・太白(後編)

旅の後半は韓牛(ハヌ)の産地、太白へ!

その他の記事を見る