近代歴史に興味のあるナビが行ってきました!
こんにちは!ソウルナビです。街路樹の緑がまぶしい5月末、徳寿宮トルダムキルを抜けた先に広がる貞洞(チョンドン)地域一帯で「近代文化遺産のメッカ、貞洞の再発見―大韓帝国への時間旅行」という文化イベントが行われました。貞洞といえば韓国の近代政治、外交、教育、宗教などの歴史が始まった場所であるだけでなく、高宗(コジョン・李朝第26代王、1852~1919、在位1863~1907)が皇帝となった大韓帝国(1897~1910年)の歴史の舞台でもあったので、関連の近代文化遺産がたくさんあります。そんな文化遺産への理解を深めてもらおうと2012年5月25日から27日まで3日間開催されたこちらのイベント、近代歴史に興味のあるナビが行ってきましたのでご報告しましょう!
一日限りの限定公開!
「近代文化遺産のメッカ、貞洞の再発見―大韓帝国へのタイムトリップ」は、非公開の近代建築一日限定で公開、さらに貞洞にある近代建築でのコンサートや文化人によるトークショー、また大韓帝国時代の歴史を深く理解するためのスタンプラリーや近代建築探訪などの文化プログラムがあるとのこと。とりあえず、メイン会場の重明殿(チュンミョンジョン)に行ってみますか!と徳寿宮(トクスグン)トルダムキルへ向かおうとすると、大漢門(テハンムン)の前でくるくると踊りながらアメやビラを配っている男性二人組に遭遇!まるでチンドン屋のような格好です。「アメどうぞ~、夕方5時から弁士つきの無声映画の上映あり!青春の十字路!絶対見に来てね~」とビラをくれました。どうやらこちらも「大韓帝国へのタイムトリップ」のイベントのようです。もらった飴をなめながら、トルダムキルを通って重明殿へ。
イベントのメイン会場へ
重明殿(チュンミョンジョン)は1897年、現在の貞洞劇場の裏手に皇室図書館として竣工されました。徳寿宮火災時には高宗が移住したところでもあります。1905年には第二次日韓協約(乙巳条約)が結ばれ、1907年、高宗がここからハーグへ密使を派遣しました。大韓帝国の挫折と主権回復のための意志を象徴する空間として、歴史的にとても重要な建物です。
大きな垂れ幕が目印
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子供たちはスタンプラリーで近代の歴史を勉強
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重明殿では開幕式や、韓国の近代が舞台の小説を書いた作家の講演会、アカペラコンサート、貞洞と徳寿宮関連図書の即売会などが開かれ、二日間限定の高宗カフェもオープン。アメリカーノとカフェラテが無料でした。ちょっと汗ばむ季節、ナビもおいしくアイスラテをいただきました。高宗がコーヒーをよく飲んでいたというエピソードは有名で、徳寿宮の中にある静観軒(チョングァンホン)ではお茶会(珈琲会?)が開かれていたそうです。
周辺の近代建築
コーヒーで一息ついた後、周辺の近代建築を見て周りました。赤レンガの落ち着いた色と新緑が本当によくあっていて、街全体が風景画のよう。それぞれの建物でトークショーや、コンサートなどが行われていました。
■貞洞第一教会
■梨花女学校シムスン記念館
■培材学堂記念博物館
■救世軍会館
一日限りの限定公開!
「近代文化遺産のメッカ、貞洞の再発見―大韓帝国へのタイムトリップ」のイベントのキモとも言えるのが、普段は一般公開していない近代建築の特別公開。こんなレアな機会って次はいつあるかわかりません。今回公開になったのは1890年に建てられた旧ロシア公使館(塔のみ現存)と、1897年に作られた圜丘壇(ファングダン、円丘壇ともいう)内にあった皇穹宇(ファングンウ)の二カ所。ちなみに担当ガイドさんの話を聞いたのですが、建築や歴史マニアがベストショットを撮ろうと朝から列を作っていたのでびっくりしたそう!
旧ロシア公使館は塔の部分と一部地下階を残すのみとなっていて、その周辺は静かな公園になっています。塔の中は空洞で上へと続く木の階段があるのみでしたが、白と水色のコントラストがとってもステキ。公園を見下ろしながら公使館に逃げ込んできた高宗に思いを馳せてみたりしました。
圜丘壇は地下鉄1・2号線市庁(シチョン)駅近くのウェスティン朝鮮ホテル正門横にあります。李氏朝鮮は清の冊封体制下にあったため祭祀を行えなかったのですが、高宗が大韓帝国の皇帝に即位するにあたって、天子が天に対して祭祀を行うために作られました。圜丘壇そのものは1914年に日本によって撤去されて残っていませんが、三層八角亭の皇穹宇(ファングンウ)、石鼓(ソッコ)、門などが残っています。
さっそく皇穹宇の中に入ると・・・幾何学的なデザイン、八角の天井の真ん中に生き生きとした金色の竜、そして圧倒的な色彩がせまってきて息をのむほどの美しさ!いくつもの小窓から明るい光が差し込んで、とても荘厳な雰囲気が漂っていました。
文化財に指定された無声映画を鑑賞
この日のイベントの最後を飾ったのがアン・ジョンファ監督が演出した「青春の十字路」(1934)という無声映画の上映会。この作品は韓国に現存する最も古い韓国映画と言われていて、2008年に見つかり韓国の文化財第488号にも指定されたのだそう。上映会は梨花女学校シムスン記念館の隣り、梨大女高100周年記念館で行われました。会場には子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の観客が。ピアノ、ウッドベース、バイオリン、アコーディオンの演奏が始まると舞台にオペラ歌手が2人登場。映画の中の主人公たちの衣装を着て歌を歌い、盛り上がったところで映画がスタート。映画の内容は、故郷を離れてそれぞれ上京した若い兄と妹を中心に、都市生活で繰り広げられる青春と挫折を描いたものでした。弁士(結構有名な俳優さんなのだそうです)の巧みなセリフ使いと、映画の途中にも何度かオペラ歌手が出てくるという演出で、無声映画ってこんなに楽しいんだ!と大満足で会場を後にしました。
文化イベント 「近代文化遺産のメッカ、貞洞の再発見―大韓帝国への時間旅行」 、いかがでしたか?最近では貞洞を中心にした近代文化遺産ウォーキングツアーが行われたり、文化財庁が近代文化遺産の整理を大体的に始めたりと、近代文化遺産に対するニュースを見聞きします。今回のイベントに行ってみて、韓国の近代への興味がさらにわいてきました。以上、ソウルナビがお伝えしました!