歴史と自然が息づくDMZ一帯が観光できる列車、DMZトレインに乗ってきました!
みなさんこんにちは。韓国の某大学で韓国語教師になる為の勉強している留学生マイです。
私は今年 Korail外国人留学生汽車旅行広報大使に選ばれ韓国の鉄道旅行の良さを日本の皆様にアピールする活動をしています。その活動の第一弾として今日は5月4日から運行を開始したDMZトレインの旅についてご紹介したいと思います。
<DMZトレインとは>歴史と自然が息づくDMZ一帯が観光できる列車です。DMZトレインの終着駅である都羅山駅は、2009年に一般人の観光が禁止されて以来、6年ぶりに開放されます。ここは一般人の出入り規制が厳格な場所であるため、パスポートや身分を証明するものが必要で、出入申込書を作成し出入りを軍が管理しています。こう聞くと韓国語が出来ないと一人で行くのは難しい?と思うかも知れませんが、マイが聞いたところではDMZトレインの中には日本語を話せる乗務員さんもいらっしゃるそうなので、ご安心を(^_^)v
<本日のスケジュール>
05:30 起床
06:47 水原駅発 ヌリロ号でソウル駅へ
07:21 ソウル駅 到着
08:30~09:50 DMZトレインに乗ってソウル駅~都羅山(トラサン)駅へ
09:50~12:10 都羅(トラ)展望台と第3トンネル観光
12:10~12:15 またDMZトレインで都羅山駅~臨津江(イムジンガン)駅へ移動
12:15~14:00 昼食と臨津閣観光
14:00~15:20 サン厶ル ワインナリ-見学
15:20~17:00 紫雲書院(ジウンソウォン)見学
17:00~17:30 紫雲書院から臨津江駅へ移動
17:30~18:35 臨津江駅~ソウル駅
こんな超ハードスケジュールで観光と言うよりも電車に乗りに行って来ました。集合はソウル駅朝8時。水原に住む私は通勤電車に揺られるのを避け日本で言う準特急電車のヌリロ号に乗りました。ヌリロ号の座席は日本の新幹線の自由席のような柔らかさと幅でした。快適な車内でソウルまでの40分間しばしの休眠。
ヌリロ号
<1.DMZトレインに乗車(往路)>
いざソウル駅から今日のメインテーマDMZトレインに乗車。それではを車内ご紹介しましょう!
3両編成で1号車は蒸気機関車、2、3号車はムクゲと平和がテーマの絵でした。
<1号車>蒸気機関車の外装に内装はこんな感じです。
DMZトレイン1号車
ド派手で原色好きなところが韓国らしいです。1車両の内装が上下側面と椅子、ドアの柄がみごとに異なり統一感は皆無。上は空に七色のハートが浮くのをイメージした柄、下は水と蓮の花をイメージした柄、横は平和、愛、和合を世界中の各言語で書いた柄に歴代の列車や駅舎の写真を展示、椅子は七色の風車柄。椅子の脇は韓国の国家ムクゲと色々な色がありました。
DMZトレインの車内
そして重要なトイレ。1号車と2号車の間にあり入り口はこんなかんじで壁と同化しているので油断すると見逃します。中はこれまたこんな色。ちゃんとトイレットペーパーも備えつけてありました。
<2号車>はラウンジカーのような作りで車内販売もありました。お土産、お菓子に、ジュースが売ってます。ここでは無料で絵はがきがもらえます。スタンプを押して記念に持ち帰るも良し、旅の思い出にメッセージを書いたハガキを車内に吊しておくのも良しです。
DMZトレイン2.3号車
<3号車>は外装は2号車と同じ、内装は1号車と同じです。
なんでこのデザインにしたのかと訪ねてみたら可愛い物を全部詰め込んだらそうなったとのこと。でも私には色使いが複雑すぎて目がチカチカしてめまいがしました。韓国と日本は似ている点が多いと言われていますが色彩感覚がこんなに違ったなんて驚きです。
ここから都羅山駅まで1時間20分を車内で過ごします。DMZトレインは1日2往復し、切符は駅で購入できます。ソウル駅⇒陵谷(ヌンゴク)駅⇒汶山(厶ンサン)駅⇒雲泉(ウンチョン)駅⇒臨津江駅⇒都羅山駅と運行され、区間ごとに料金が違います。電車のプランとしては大きくは身分証明書なしで臨津江駅下車プランと、身分証明書を常時形態で都羅山駅下車後2つの観光コース(一般観光、安保観光)にわかれるプランがあります。私は都羅山駅下車“安保観光“というコースでだったので車内で配られる都羅山駅の出入申告書を書いたり、写真を撮ったり忙しく車内で過ごしました。
申告書はこうして乗務員さんが持ってきてくれます
1時間ほどすると臨津江駅で一度停車。この先は民間人立ち入り制限地域なので都羅山駅下車以外の人は強制下車です。ソウル駅乗車後のルート変更は不可で、乗り越し精算は出来ませんのでご注意を。臨津江駅で乗客が下車したら今度は軍人さんが電車に乗り込み人数確認を始めます。チェックを終えると都羅山駅に向けて再出発。この間に乗務員が座席と本人確認をしながら観光コース用の首から下げる証明証をくれるのでこれを必ずもらって携帯します。そして到着すると下車する前にまた軍人さんからの乗車人数確認が行われます。これが結構時間ががります。下車後は出入申告証を改札で見せて都羅山駅を通過します。
<2.いよいよ安保観光スタート!>
私たちは坡州(パジュ)市の「安保観光」に参加し都羅山駅から出るシャトルバスを利用して都羅展望台と第3トンネルを観光しました。
都羅山駅
「南の最後の駅ではなく、北に行く最初の駅です」という感動的なキャッチコピーㅠㅠ
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2002年駅舎完成時のブッシュ大統領と金大中大統領の記念サイン写真
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都羅展望台は非武装地帯の最北端に位置しています。DMZ(非武装地帯)全景が見渡せます。設置されている望遠鏡を通して北朝鮮の開城(ケソン)市と、北朝鮮の村を見ることができます。景色が良いのでつい写真を下りたくなりますがここでも要注意!!望遠鏡がある位置からの撮影は禁止でそこから3メートル離れた黄色い線の内側からのみ撮影可能です。友達は肩車をしてもらい撮影しようとしていましたが軍人さんに「高い位置でフラッシュを関知するとレーダーに反応して危険ですからやめて下さい」と注意されてました^^
都羅展望台「分断の終わり、統一の始まり」という言葉が。
微かに見えるのが北朝鮮です
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どうしても写真が取りたい!
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展望台をあとにし、第3トンネルに移動。第3トンネルは1978年10月17日韓国軍が発見した3番目のトンネルです。ソウルから52km離れた所にあり、1時間当り1万人の兵力が移動できる規模があります。このトンネルが見つかった当初は北朝鮮側が韓国側が掘ったものだと主張をしましたが、トンネルの内部の爆破でそれが南に向いているという痕跡が見られ、北朝鮮側の虚偽が明らかになったという経緯があります。ここではまずトンネル前で解説員の方から説明を聞きます。その後、手荷物をロッカーにいれて危険防止のヘルメットをかぶり徒歩で見学します。長さ1635m、高さ2m、幅2m、深さ73mで中は湿っていて涼しかったです。トンネル内部には北朝鮮軍がダイナマイトを使ってトンネルと掘っているところが所再現されていました。トンネルの終着点は韓国軍が北朝鮮軍の侵入を防ぐため何層にもコンクリートで埋めたという壁です。トンネルを降りる時はスイスイでしたが上ってくる時はハーハ-息切れしながら歩きました
トンネルの裏には小さな公園があり、水飲み場がありました。のどかな公園のすぐ裏にはまだ地雷が埋まっている場所があり地雷注意の鉄線が張り巡らされていました。
<3.大事件発生の都羅山駅~臨津江駅と臨津閣観光>
第3トンネルをあとにし、また都羅山駅へ。今度は都羅山駅~臨津江駅までの5分間を短い列車の旅。往路と同じように軍人さんが乗車し人数確認をしている時に大事件発生!! なんとだれかがいなくなりました(@-@) 都羅山駅で出入申告をした人数と実際の乗車人数が合わなくて大騒ぎに。この時点で予定よりすでに30分遅延(-_-;)だれがいなくなったのかわからないので一度全員下車し、乗務員さんが名前を呼びながら一人ずつ乗車。いなくなった人を見つけ、ようやく電車が動き始めました。人がいなくなると北朝鮮に逃亡した可能性も考えられるので半日でも人数が合うまでずっと出発出来ないんだそうです。逃亡なんてそんな大袈裟な!と思いましたが、軍の厳戒態勢を見て韓国が休戦状態をだという事を改めて感じました。
予定より一時間半遅れで臨津閣へ。ここで豚カルビと辛いタコの炒め物の昼食。それを急いで食べて臨津閣観光。臨津閣は軍事境界線から7km南に位置し、朝鮮半島の統一を願って作られたもの。敷地内には北朝鮮記念館と各種記念碑、公園などがあり、外には朝鮮戦争の際に使われた戦車や飛行機など12種の装備が展示されています。その向かいにある望拝壇は毎年旧正月と秋夕(旧暦の8月15日)に故郷を離れた人々が祭祀を行うところ。その望拝壇の裏側には「自由の橋」があります。この橋は1953年に朝鮮戦争の休戦協定が締結された後、戦争捕虜たちが「自由万歳」と叫びながらこの橋を渡ってきたことから、この名前が付けられました。そのほか、望拝壇前には朝鮮戦争当時に破壊された京義線の車両があります。
<4.ワインナリーと紫雲書院観光>
平和観光施設をあとにし、坡州市の観光施設ワインナリーと紫雲書院へ。
え?韓国でワイン?と思いましたが立派なワイナリーでした。ドラマ"ホテルキング"や"私たち結婚しました"でもこの施設が撮影に使われたそうで看板が立っていました。ここではワイン工場の見学、ジャム作り、ワインの試飲ができます。面白いのは自分達の写真をワインラベルにして記念のワインボトルを作れるという事です。芸能人の写真を使ったワインラベルが沢山ありました。工場見学の後はお待ちかねの試飲へワイン2種類とジュース、ジャムを試しました。
ワインを造る工程の説明
芸能人のラベル
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個人ワインセラー<ドラマ ホテルキングの撮影地>
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ワインナリーをあとにし、次は紫雲書院へ。紫雲書院は李氏朝鮮の儒学者 李珥(5千ウォン紙幣の肖像画の人)が晩年を過ごした書院です。書院と李珥(イイ)とその母申師任堂(5万ウォン紙幣の肖像画申の人)のお墓、李珥が書いた書が展示してある記念館がメインの観光スポットです。あとは池や、芝生になっている公園、山など野外博物館に来ているような雰囲気でした。
紫雲書院
<5.DMZトレインに乗車(復路)>
紫雲書院をあとにし、また臨津江駅へ。臨津江駅の駅では鉄道旅行作家として有名な"大韓民国汽車旅行のすべて"という本の著者パクジュンギュさんにもお会いし、鉄道オタク同士盛り上がりました。臨津江駅からソウル駅までDMZトレインに乗って帰りました。車内では乗務員さんが一人一人写真を取ってくれて最後にそれが車内のスクリーンに流れ一言ずつコメントをしてくださいました。外が少し薄暗くなり始めたころソウル駅に到着し集合写真をとって無事解散しました。
臨津江駅
私は2010年にもバスで行くDMZツアーに参加した事があるのですが5年前に比べ、観光施設、外国語サービス、インフラ等、すべてがよくなっていました。 また地雷注意の柵や軍人さんの人数確認など韓国は休戦国家であるという事を改めて感じさせられ平和の尊さを感じる旅になりました。 個人旅行でDMZを訪れるのが楽になったのでみなさんも夏休みはぜひDMZトレインにのって旅行してみてください!
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2014-05-23