がんばれベアーズ2014　子連れで野球観戦＆監督に会うの巻～しばさきのキムチとバット～日韓野球考・第３３回～

4月、5月は順調だったものの、6月から投手陣が崩壊し、勝率5割を大きく割り込んでしまった斗山ベアーズ。Naverの野球中継を見ながら、毎日お嘆きの日本在住ベアーズファンもいらっしゃることであろう。しかし、そんな時だからこそ、現地へ応援に行かねばというのが『ファン心理』でもある。今回は、そんなベアーズファンの方々、その中でも特に『子連れだけど、ソウルまで無事に野球を見に行けるのか・・・』と心配されている子育て中のパパ・ママに『子連れでも問題なく野球観戦ができる』ことをレポートしようと思う。非常にピンポイントかつニッチな需要かと思うが、逆に『カユイところに、しっかり手が届く』レポートになるかと思う。それでは、ヤグジャンエカプシダ（野球場へ行きましょう）！！

① どこに泊まればいい？

一般的には、明洞や東大門といった漢江の北側エリアに泊まる方が、ソウル観光に何かと便利である。しかし！子連れで野球を見に行くために行くソウル旅行であるのなら、蚕室野球場に近い方が都合良い。ロッテワールドがある地下鉄2・8号線の蚕室駅周辺にもホテルはあるが、私は野球場から徒歩圏内のレックスビルレジデンスをおススメしたい。ここの部屋は、ホテルというよりも、ウィークリーマンションに近い。簡単なキッチンと洗濯機がついていて、冷蔵庫も大きい。子供がお腹を空かせたら、簡単な食事も作れるし、炊飯器でご飯を炊き、スーパーで買ってきたお惣菜を並べたら、ちゃんとした食事の準備が出来る。残ったものは冷蔵庫に入れ、翌日にでも電子レンジで温めることもできる。滞在中に洗濯したら、持っていく服の量も減らせるので、洗濯機の存在もありがたい。球場まで徒歩で10分程度なので、子供の昼寝が少々長引いたとしても、午後6時半のプレイボールに間に合う。

レックスビル蚕室野球場のすぐそば！ロッテワールドやCOEXも近い蚕室エリアのレジデンスホテル！

２次レックスビルレジデンス蚕室野球場のすぐそば！ロッテワールドやCOEXも近い蚕室エリアのレジデンスホテル「レックスビル」の２号店！

② 食べ物は？

蚕室野球場内には、うどん（温・冷）、おにぎり（拳骨飯）、海苔巻、ラーメン、ハンバーガー、フライドチキン、ピザ、ドーナツ、トルコアイス、スムージー、サムギョプサル、トッポッキ、スンデ（腸詰）などなど、多様なメニューの食べ物が売られている。手ぶらで球場に行っても、不自由なことはない。ただ、小さい子供の口に合うメニューがあるのかという不安もあろう。そこで、韓国の”ほか弁”チェーンである『ハンソットシラク（한솥도시락）』蚕室運動場サゴリ店を紹介したい。ハンソッのお弁当は、鮭の切り身、唐揚げ、ハンバーグ、トンカツというメニューもあり、全体的に日本の”ほか弁”とも味が近いので、食べやすい。ご飯とおかずが別々の容器に入っているお弁当の場合は、小さな子供に食べさせやすい。日本からふりかけさえ持参すれば、おかずが口に合わない場合でも、最低限、ご飯だけは食べさせることもできるから安心である。何なに？パパとママ向けの球場メニューは何があるのかって？心配無用！チキンと生ビールは球場内外で買うことができます！

売店にはテレビが設置されているので試合を見逃す心配なし！

うどんなどの軽食からトルコアイスまで、美味しいものいっぱい！

写真はロッテワールド内の店舗ですが、蚕室野球場にもスムージーキングがあります。

ネット裏のスロープを上がったところにある『かき氷屋さん』おススメです！

ほか弁は日本のものと近い

外食よりもホテルの部屋で食べる方が楽なこともあります

蚕室野球場プロ野球の観られる代表的な野球場！ソウルで野球観戦をしたいならここに行ってみよう！

③ 子連れ観戦向けの座席はあるの？

子供が小さいと、3時間くらいかかる野球の試合を『じっと見る』のは不可能である。試合中、ときどき、スタンド裏の売店や通路に連れ出して遊ばせてやることも必要だ。オモチャやオムツ、予備の着替えなどを持っていくと荷物もかさばってしまう。なので、出入口に近く、比較的スペースに余裕がある座席が良いだろう。懐具合に余裕があれば、テーブル席（1席40,000ウォン）、もしくはブルー指定席（1席15,000ウォン）を人数分確保しよう。子供は膝の上に抱けばタダで入場できるが、試合終了まで抱っこをするのは、まず無理である。ブルー指定席の場合は、応援ステージにも近いので、子供もチアリーダーの歌とダンスに合わせて身体を動かしだす。子供が野球場を楽しみ始めたら、パパとママはビールの売り子から生ビールを買って、フライドチキンに噛りつこう。なお、ベビーカーは通路やスタンドの隅に置かせてもらえる。ベアーズロゴの入ったウェアを着たスタッフに相談したら対応してもらえるので、ご安心を。

斗山ベアーズのチョ・ソンイル部長。蚕室野球場の施設管理の責任者です。

蚕室野球場で初観戦の次男

実は日本語が少し話せるチェ・ジュファン内野手も近くに見えるテーブル席

テーブル席でちょっとリッチな気分！やったぜ！

子供が遊ぶ施設も充実

あっちも楽しそうだな～

身分証を忘れずに！

夕暮れの蚕室野球場

④ 親子で楽しめるグッズは？

最近は、韓国でもファミリーで野球観戦に訪れるファンが増えたので、女性と子供向けのグッズも充実してきた。Tシャツ、帽子、ユニフォームといったアパレル類は、スタンド下のグッズショップまたはレフト側スタンドの外壁にあるオフィシャルショップ『ベアーズハウス』で買うことができる。運が良ければ、セールをやっていることもあるので、お買い得品をゲットできるかも。サイズは、商品にもよるが、3歳児サイズくらいからラインナップされている。応援グッズは、定番の風船棒（＝マッテプンソン2,000ウォン）もあるが、小さい子供には一回り小さいサイズのプラスチック製のペアバット（5,000ウォン）が良いだろう。熊が2匹ついたカチューシャ（6,000ウォン）もかわいい。

今季からプラスチック製のバットが登場！

定番の応援風船棒！

ワッペンを貼ったらユニフォームもカスタマイズできます！

嫁はん→長男→次男と受け継がれてる我が家の熊のカチューシャ。ずいぶんと長いこと使ってます。

今年は、こんなん買いました！

⑤ 応援の仕方は？

韓国プロ野球の応援は、ステージ上にいるプロの応援団長とチアリーダーがリードをする。ステージにはスピーカーが設置されていて、大音量で音楽が流され、リズムに合わせて風船棒を叩いて声を張り上げる。選手個人応援歌や試合展開に合わせて、様々な音楽が流され、それも一種のエンターテイメントとなっている。YouTubeに応援の動画が沢山アップされているし、スマホ用アプリ『プロ野球応援歌(프로야구 응원가)』を利用しての『予習』も可能だ。我が家の場合、ホン・ソンフン選手やホルヘ・カントゥ選手の応援に合わせて長男が踊っていた。

有名人が始球式に来ることもあります。

球場で飲むビールは美味しいけど、飲み過ぎにはご注意を！

ネイビー席でも応援は盛り上がります！

スタンド上の通路では、子供を遊ばせることもできます。

マスコットの鉄熊くん。女性ファンと子供に人気絶大！

応援団長のリードに合わせて元気よく！

⑥ 野球以外の観光は？

野球がメインの旅行であっても、やはり野球以外の観光もしたいもの。蚕室エリアに泊まってしまうと、観光に不便なのではと心配されるかもしれないが、全く問題ない。レックスビルレジデンス近くには地下鉄2号線が走っており、新川駅と総合運動場駅の両方が使える上、表通り（オリンピック路）にはバスもガンガンと走っている。地下鉄駅やバス停まで行けば、そこからソウル市内のどこへでも行くことができる。ついでに言うと、新川駅方面に歩いていくと、先に紹介した『ほか弁』以外にも、各種レストラン、31アイス、マクドナルド、ロッテリア、パリバゲット（ベーカリー）、チキン店、カフェがギッシリと並び、スーパーや商店街（伝統市場）もある。24時間営業の店が多いのも特徴である。では、ソウル市松坡区蚕室洞から行きやすいファミリーにおススメの場所を紹介しよう。

1＞『ポ統領』に会いに行こう！ポロロパーク
韓国の子供なら、みんな大好きなポロロ！その人気者ポロロと遊べるポロロパークがソウル市内に何軒かある。レックスビルレジデンスから一番近いのは、後で紹介するロッテワールド内にあるパークであるが、地下鉄2号線に乗って、少し足を延ばして、新道林駅にあるポロロパークをおススメしたい。砂場やボールプールなど身体を使って遊べる施設だが、室内なので、雨の日でも元気に遊べて安心である。

ポロロは我が家でも大人気

写真撮影スポットもいっぱい！

汽車も走ってます。

ちびっこバスのタヨもあります

日本でも放映されているロボカーポリーもあります

ポロロパークはロッテワールド内にもあります

新道林のD-cubeではココイチのカレーも食べられます

2＞泣く子も黙るロッテワールド
今更、説明の必要もなかろう。韓国No.1の遊園地である。レックスビルレジデンスから最寄りの停留所『総合運動場サゴリ』に止まるバスは、ほとんどがロッテワールド前に止まる。所要時間も10分以内である。ロッテマート、ロッテ百貨店、トイザらス、キッザニアも同じ敷地内にあるので、遊園地に行かなくても、何かと便利である。

室内なので、真夏でもラクラク！

バス停の前は、すぐにロッテワールドの入口

お決まりの写真撮影スポット

子供用のカルググスセットは食べさせやすい

こんなアイスキャンディーもあります

ナチュルポップのアイスクリームは美味しい

じゅるる！

季節に合わせてイベントがいっぱい！

息子が好きな汽車も走ってます

ステージイベントも充実

ロッテマートの２階にトイザらすもあります

ロッテワールド・アドベンチャー＆マジックアイランド子供連れのソウル旅行にピッタリのスポット！アトラクションにパレードにと盛り上がる、韓国を代表する遊園地！

トイザらス（ワールド店）世界最大級のディスカウントおもちゃ専門店

3＞NC百貨店（ガーデンファイブ）
かわいい子供服をお安くゲットしたい！そんなパパ・ママにおススメしたいのが、野球場と同じソンパ区内にあるNC百貨店ソンパ店である。ガーデンファイブという複合施設内にあり、セールの時は、品質はデパート並なのに価格は市場並でショッピングができる。1階にある『シューペン SHOOPEN』は、靴やカバンが安く、特に10,000ウォンで買えるリュックサックは、価格もさることながら、『大きさと耐久性』が子育て世代にありがたい。レックスビルレジデンスからは、地下鉄かバスで約20分。

安くて良い品！

色使いが韓国らしい

上下セットで1万ウォン以下！

熊と野球の柄がベアーズ一家にピッタリ！

枕まで買っちゃいました！

NC百貨店松坡店ファッションメーカーのイーランドグループが経営する韓国初の直売りデパート！

4＞ソウルNタワー
ソウル市内のあちこちから、空に向かってそびえ立つソウルNタワーの姿を拝むことができるが、斗山ベアーズの試合チケットを持っていけば、入場料30％オフとなる。ソウルタワーから眺める蚕室野球場もいいものである。

ソウルタワーから市内を眺める

大阪から何キロ離れているのかな？

Ｎソウルタワー（南山タワー）３６０度、街をぐるりと見渡せるソウルのシンボル！

《がんばれ！石山監督！》

私は、それなりに熱心な野球ファンではあるが、今まで、選手や監督・コーチといった、フィールドに居るユニフォームを着た人たちと個人的に会ったり、話したりする機会がほとんどなかった。『夢の世界』に居る人たちと、会ってみて、ひょっとして嫌な面を垣間見てしまったら、次から応援がしにくくなるかもしれないと思い、キャンプ見学やファン感謝デーといった選手と触れ合うイベントも極力避けてきた節がある。しかし、今年になってから初めて、『この方にはお会いしたい』と思う人ができた。今季から斗山ベアーズを率いる石山一秀（ソン・イルス）監督である。京都出身で、近鉄バファローズの選手・コーチとして長くご活躍された方なので、インタビューでの日本語のイントネーションは、コテコテの関西弁である。私も韓国関連のビジネスをしているが、母語が異なる土地に乗り込み、仕事をして、暮らしていくという大変さは、ある程度は想像がつく。私の場合は、月に一度のペースでソウルに出張し、年間50～60日程度滞在するだけであるが、プロ野球の監督の場合、ずっと韓国で暮らし、毎日のように試合を行い、メディアやファンの注目を浴び続け、その中で結果が求められるという立場である。いくら、プロ野球の監督が『夢の職業』であり、日韓は文化的にも地理的にも西洋よりは近いと言うものの、過酷な毎日を過ごされているのではないかと思うと、大阪にも応援しているファンがいることを、直接伝えたいと思ったのである。

球場内には石山監督のバナーもある

そこで、旧知の斗山ベアーズのチョ・ソンイル部長に『一度、石山監督に挨拶に行かせてもらえないだろうか？』と依頼し、8月末のある日の試合前、家族4人で蚕室野球場に観戦に訪れた際、挨拶に伺うことになった。当日、いつもの通り、チョ部長のいらっしゃるオフィスに通され、チョ部長から監督付き通訳のファン・イングォンさんに電話をしてもらったところ、『今、食堂で食事中なので、食事が終わったら来てください』とのことで、しばらく、チョ部長と談笑しながら待った。数分後、チョ部長のもとに電話があり、食堂の方向へ案内された。食堂で立ち話程度になるかと思っていたのだが、食堂を通過して、なんと監督室まで案内されたのだ。嫁はんは、『エエの？プロ野球の監督やで！めっちゃエライ人やで！緊張するわ～』と言い、私も、普段の仕事で経験する以上に緊張しながら、恐る恐る監督室に入った。『どうぞ、どうぞ、入ってください。いっつもありがとうございます。もぅ、負けてばっかりで、申し訳ないですね』と関西弁で出迎えていただいたおかげで、やや緊張はほぐれたものの、愛するプロ野球チームの監督様を目の前にして、すっかり舞い上がってしまい、どうやって手土産を差し上げたのか覚えていないほどである。石山監督から直接、『このお茶、美味しいから、ぜひ召し上がってください』と黒豆茶のペットボトルを勧めていただいたのに恐縮する両親のことなど関係なく、大人しくしない我が息子たちを見て、『息子さん何歳と何歳？』『6歳と2歳です』『そら、大人しぃせぇ言うても、大人しぃせぇへんわな～。うちにも孫がおるもんでね』というやりとりの際の表情は、いつもテレビで見ている試合中の顔とは異なり、非常に温和な表情だった。公式戦の試合前という貴重な時間に、野球の話から世間話にサインに記念撮影まで、応じて下さった石山監督は、本当に温かく気さくな方だった。現在のベアーズは、プレーオフ圏内である4位を狙える位置にはいるものの、投手不足により苦戦が続く。ファンから見ても、この投手不足状態は、石山監督一人だけに責任を負わせるべきではないと思えるのだが、『全ては監督の責任ですから』と仰られた石山監督。『ストレスの溜まる日々が続くと思いますが、お身体を壊さず、少しでも上の順位でシーズンを終えられることを、大阪から祈っております！本当にありがとうございました！』