コーミィの韓国最新お墓事情~お墓を移転しました~!

韓国で需要が高まっているお墓の移転、最近のお墓事情をご紹介!

こんにちは!ソウルナビのコーミィです。今年(2014年)の3月にシオモニ(義母)が亡くなり、近い家族として初めて韓国でお葬式を体験したコーミィ。お葬式では3日間寝ずに葬儀を執り行うというウワサを耳にし、かなり不安で初めてのことばかりでしたが家族の協力のもと、葬儀、火葬、納骨堂への納骨と無事に終了しました。それから約9ヶ月。十数年前に他界し先祖代々の山に埋葬されて眠るシアボジ(義父)のお骨をシオモニのお隣りに移転することに。そこで今回は韓国でのお葬式、そしてお墓事情について、コーミィの未熟な知識ではありますが、ご紹介できたらと思います。

◆◆◆まずは3月に行ったお葬式について◆◆◆

韓国では人が亡くなると、故人が最後に過ごした病院の斎場を利用することが多いです。以前の伝統的なお葬式はどうだったのかコーミィには分かりませんが、現在では悲報を聞き訪問する先は病院の敷地内にある斎場。コーミィ家の場合、シオモニの葬儀は亡くなった病院ではなく別の病院の斎場で行いました。理由は金額の問題や知人の紹介などがあったよう。

それでは、葬儀について簡単にご紹介します。
入り口の花輪

入り口の花輪

教会式の祭壇

教会式の祭壇

食事場所

食事場所

斎場は
日本と同じように、斎場が決まったら係の方と必要な物、喪服、料理などについて、打ち合わせしながら進めます。紙のチェックリストがあり、必要なものはきちんと価格と一緒にに記載されているなど、コーミィ家が利用した斎場は会計明瞭で良心的だったと思います。日本のように細かい気配りはありませんでしたが、質問すればいつでも丁寧に教えてくれました。日本と違うところはお通夜と告別式と分けず、3日間弔問客がいつでも訪れることができること。

何式でするか
葬儀で重要なことは仏教式でするのか、教会式でするのか。コーミィのシオモニは教会に通っていたこともあり、教会式で行いました。教会式なので毎日一定の時刻に牧師さんと数名の方が訪れ礼拝を行っていただきました。式も簡単で聖書を携えて神に祈り、賛美歌を歌っていただきました。

喪服は

女性は黒の韓服と髪につけるピンがセットになったものを斎場から支給され着用しました。男性は黒スーツですがジャケットとズボンは斎場のレンタル。シャツは斎場のものを購入していたと思います。黒ネクタイは事前に準備していましたが、こちらも斎場で購入できるはず。靴や靴下は自前のものを使用しました。

食事は
数人のアジュンマ(女性スタッフ)を雇い、弔問客の食事の配膳を手伝ってもらいます。食事の内容はテンジャングッやユッケジャンなどのスープ、白いごはん、ポッサム、キムチ、パンチャン(おかず)などに加え、乾き物やお酒、ジュースなどを振舞います。コーミィ家ではコーミィをはじめ姪っ子数名が働いたのでアジュンマは一人だけお願いしました。でもプロの方は準備や片付け方が全然違う!2名雇った方がよかったなぁと思いました。

弔問は
悲報を聞きつけた方から随時斎場にやって来ます。親戚や友人知人、家族の会社関係の方が来てくれました。シオモニは慶尚道出身で釜山に親戚が多く、わざわざ釜山から全羅道の斎場までかけつけてくれました。また主人の会社関係の方も仕事のあと、ソウルから夜遅くに多くの方が来てくれました。懐かしい方にもお会いでき、シオモニとの思い出を偲びました。

納棺と出棺は
日本の納棺では化粧を施され、お棺に入った故人を家族や親戚、親しい友人がお顔を拝み、みんなでお別れしますが、韓国では直近の家族だけが故人に直接別れを告げます。驚いたのは亡くなった当時の病院服のままの状態で斎場の霊安室に安置されていて、麻でできた白い旅装束に着替える一連の作業を一緒に見守ったこと。また日本のような納棺後に祭壇への安置はしませんでした。納棺後は手配したマイクロバスの霊柩車でお棺に入った故人とともに火葬場に移動。これが出棺にあたるかと思います。

火葬は
病院から受け取った書類を持ち、最寄りの火葬場で火葬します。火葬は約2~3時間ほど。控え室には各故人ごとに写真を飾るスペースが設けられていましたが、教会式では写真やお供え物を飾ってはいけないとのことで、何も準備はしませんでした。でも写真だけは持ってきたかったなというのが家族の気持ち。火葬後、日本のような骨上げの儀式はなく、すでに係員によって骨壷に納められたものを持ち、火葬場から再び斎場へと移動。

納骨は
火葬場から受け取った書類を持ち、納骨堂に納骨します。ちなみに故人の本籍地がある公営の納骨堂に入れる場合はかなり格安で利用できます。今回は斎場から納骨堂までは車で3時間ほどかかるとのことで、翌日に斎場をすべて整理し精算してから納骨堂へ向かいました。
納骨堂周辺は追悼公園になっていて暗い雰囲気はなく、清潔な感じのする場所。納骨するスペースは一人用と夫婦用から選択できます。申請を受理した順で納骨スペースの場所が決まり、見た目はロッカールームのような感じ。故人の写真や造花などが飾られていますが、本当は飾ってはいけないとのこと。そして納骨後、その場所を再び開けることはできないそうです(移転など特別な場合に限り可能)。

香典は
一人で訪問される方は3~10万ウォンほど。故人との関係や親密さなどが関係しているようです。会社関係の方は数人でまとめてお渡しされる方もいて、グループごとに2~5万ウォン×人数でした。親戚になると家族ごとに10~50万ウォンぐらい。直近の家族は香典をあげたり花輪を飾ることはしませんでした。また会社から慶弔費として香典が出ることがあります。コーミィも働いていた会社から香典と花輪をいただきました。

葬儀代は
いただいた香典の総額の半分ほどの金額で済みました。残ったお金は長男の主人が代表で管理することになり、後ほど行うお墓移転の代金にあてました。

個人的な感想は・・・
韓国のお葬式では3日間寝ないという話がありましたが、コーミィ家の場合、夜中から朝まで訪問者があまり来なかったこともあり、時間のある時には控え室でそれぞれ休むようにしていました。この点、韓国の儀式にはのっとっていないかも。以前参列した親戚の葬儀では故人が生前に親交した方がかなり多く、1000名近い弔問客があり、3人いた娘さんは葬儀後みんな寝込んでしまったそう。お嫁さん2人は気丈に頑張っていましたが、盛大な葬儀だと休まる時間もなく、遺族は本当に大変だったろうと思います。

以上、おおまかな内容ですがお葬式についてのお話でした。
続いて韓国のお墓についてご紹介します。

◆◆◆韓国のお墓事情◆◆◆

韓国では人が亡くなると土葬をするのが一般的。韓国式の土饅頭の墓を作り、先祖代々同じ土地に埋葬されてきました。皆さんご存知の風水も、韓国ではお墓の場所を決めるときに使われています。風水には陰陽があり、陽は引越しや結婚の日取りを決め、陰はお墓の場所を決めることとして使用されてきました。家の繁栄や出世することを願って墓を移転することもあり、この風水がとっても大事だったとか。でも韓国も少子化&核家族化し、都市部への人口集中とともに山にあるお墓の管理が難しくなってきている現状があります。くわしくは分かりませんが、土地不足の問題などもあり1990年代後半から政府が土葬から火葬を推奨、火葬率が増えていったそう。それに伴って納骨堂が建てられるようになり、昔ながらの土葬ではなく火葬を行い、納骨堂や墓地、樹木葬へと埋葬も最近変わってきています。
儒教を重んじる韓国ではもともと火葬をすることは故人が2度死ぬという意味もあり、タブーだったとか。しかし実際はかなり高い割合で火葬が行われている現実。これも韓国人の意識の変化が急速に進んでいる現れなんだろうなとコーミィは思います。

◆◆◆お墓の移転について◆◆◆

あの山の中に先祖のお墓があります

あの山の中に先祖のお墓があります

移転の理由は
以前にも儒教的に子孫が繁栄することを願い、お墓を移転することがありました。しかし現在の移転の理由は子孫が先祖のお墓を管理することが難しくなっていることが挙げられると思います。コーミィ家でもそれが第一の理由でした。ちなみにお墓の移転、韓国では「イジャン(移葬)」と呼びますが、日本では「改葬」と呼ぶことも。

大事なのは日取り!
移葬では日程を決めることが重要。移葬はユンダル(閏月)と呼ばれる期間に行います。

ユンダル(閏月)とは?
太陰暦(旧暦)は太陽暦との日付と季節のずれを調整するため、同じ月を2度繰り返される年があります。その年、旧暦では平年の12ヵ月より1ヵ月(うるう月)多く、13ヶ月となります。ちなみに2014年は182年ぶりに珍しい9月のユンダルだったそうで、太陽暦では10/24から11/21がユンダルにあたりました。

◆◆◆移葬の流れ◆◆◆

続いては移葬の様子をご紹介しましょう。移葬を行うには一般的に以下のような流れになります。移葬を請け負う業者がいるので、いくつかに問い合わせ大体の相場を把握しておくといいと思います。コーミィ家は親戚の紹介で信頼できる業者を見つけたので、安心しておまかせすることができました。

開葬→ 遺骨収集 → 火葬 → 納骨

開葬
開葬とは土葬を掘り起こすこと。この開葬はお墓のある管轄の洞事務所(役場)への届出が必要です。その許可証をもってお墓を掘り起こすことができます。シアボジの眠るお墓は山の中にあり、家族みんなでお墓に向かいました。いくつかのお供え物と大好きだった焼酎とともにご挨拶。その後、遺骨を取り出すまでの作業は業者の方におまかせ。代表で義弟がその場に残り、他の家族は先に山を下りました。
ちょっとした登山です

ちょっとした登山です

挨拶します

挨拶します

業者の方がお墓を掘り起こします

業者の方がお墓を掘り起こします

火葬
シアボジのご遺骨はかなり良い状態で残っていました。顔も笑っていてシオモニに会えるからうれしそうだねと家族で話していました。開葬された遺骨は専用の箱に入れられ、専用の霊柩車で火葬場まで運ばれます。火葬場はユンダルの時期、一般の火葬と移葬する方の火葬でとても忙しくなるので、事前に予約が必要。許可証をもって火葬し、火葬後は骨壷に納められます。
火葬前のご遺骨

火葬前のご遺骨

公営火葬場

公営火葬場

火葬後、骨壷に納められました

火葬後、骨壷に納められました

納骨
火葬場からの書類をもって納骨堂で手続きします。十数年振りにシアボジとシオモニはお隣り同士に。けんかせずゆっくり眠りについてほしいと思います^^ 納骨して扉を閉め、特殊な釘で施錠します。これを最後に15年間は開けることができません。

◆公営納骨堂使用料一例◆
<区分>    <期間>    <使用料>
夫婦安置     15年    300,000ウォン 
単独安置     15年    150,000ウォン
無縁ご遺骨     10年    100,000ウォン

必要書類:
火葬証明書、故人の住民登録謄本、代表遺族の住民登録謄本、故人の家族関係証明書(除籍)

※公営納骨堂は故人または直系家族が住民登録または本籍地となっている場合利用可能。
納骨堂

納骨堂

納骨堂内部

納骨堂内部

納骨堂に設けられた儀式を行う部屋

納骨堂に設けられた儀式を行う部屋

儀式の様子

儀式の様子

納骨スペース

納骨スペース

夫婦仲良く納まりました

夫婦仲良く納まりました


いかがでしたか?韓国での移葬とお墓事情について、ご紹介しました。故人のことを公にお伝えするのはちょっと不謹慎なのでは・・・と悩んだりもしましたが主人とも話し合い、あらためてシアボジとシオモニの思い出を振り返ることができ、コーミィ自身の気持ちの整理にもつながりました。日本と韓国のお葬式って似ているようで微妙に違うところがありますよね。そんな文化の違いを知ってもらい、また今後経験されるかもしれない方にちょっとした情報として見てもらえたらうれしいです。以上、ソウルナビのコーミィがお伝えしました!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2014-12-03

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