韓国ビール飲み比べ~2021年編~

最新の韓国産ビール大集合!!クラフトビールも登場して、それぞれどんなお味か飲み比べてみました!

こんにちは!ソウルナビです。一年を通して気軽に飲める庶民のお酒と言えばビール!暑い夏にゴクゴクの喉を鳴らしても、鍋を囲んでチョロチョロと口をつけても春夏秋冬かかせないお酒です。そしてまた海外に目を向ければその風土に合ったビールが飲まれていて、現地でその味を楽しむのも旅の醍醐味だったりします。韓国の場合はソジュ(焼酎)やマッコリのイメージがありますが、実際にはビールの消費量が圧倒。韓国ではどんなビールが飲まれているのでしょう。ナビでは2008年と2013年に韓国産ビールの飲み比べを行いました。でも、当時は残念なことにどの銘柄もビール好きの日本人スタッフには総じて不評。日本のビールに比べると、味が薄い!という意見が多かったようです。そんな話も今は昔、韓国のビールが熱いんです。どんな変化があったのか、うんちくの紹介を交えつつ、最新の飲み比べをしてみたいと思います!

輸入ビールに押された2010年代後半

ナビも旧来の薄い韓国のビールは苦手で、同じお金を出すなら、日本や欧州からの輸入ビールを飲んでいました。韓国ではドイツの『エルディンガー』やベルギー『ステラ・アルトワ』、イギリスの『ギネス』、日本の『スーパードライ、サッポロ、プレモル、一番搾り』などなど、名だたる輸入ビールが500㏄の缶をよりどり4本選んで1000円そこそこで買えてしまうわけで、値段もさして変わらない国産ビールにはなかなか手が伸びてきませんでした。海外旅行ブームもあり多くの韓国人が外国のビールの味に開眼し、もしかして我が国のビールはまずいのでは?と思う人が増えた結果、大型スーパーもコンビニも国産ビールより輸入ビールの売り場が広くなりました。ラガービールからエールまで、海外からの上質な輸入ビールに満たされた2010年代後半でした。
世界のビールが500㏄の缶で、4本1万ウォンというのは今や常識。

世界のビールが500㏄の缶で、4本1万ウォンというのは今や常識。

大手ビールメーカーも変化を遂げる!

OBビールとハイト眞露の2大メーカーで成り立っていた韓国のビール業界に、第3の勢力として現れたのが、ロッテチルソン飲料でした。看板商品の『KLOUD(クラウド)』は、キャッチコピーが『水で薄めないビール』で、それまでの大手ビールメーカーの一般的な製造工程である、濃いビールを醸造し、炭酸と水を加え調整するという工法と差別化を図る意図がありました。『KLOUD(クラウド)』は韓国に駐在する日本人にも好評で、ビールの選択肢が広くなったことが歓迎されました。その後、ハイト眞露も、発酵過程で発生する本物の炭酸を使っているという本格ビール『TERRA(テラ)』をヒットさせています。
リアル炭酸100%を武器に、CASSを猛追するTERRA

リアル炭酸100%を武器に、CASSを猛追するTERRA

酒税法改正とノージャパン運動がクラフトビールを後押し

2014年の酒税法改正などで小規模醸造所で製造したクラフトビールが流通できるようになり、自社で醸造所を持つビアホールや既製品が増えていきました。ただし、ビールにかかる酒税が従価税(原材料購入、醸造費用、広報費、管理費用などが課税範囲)で、大手に比べてコストがかかる小規模メーカーのビールは税金が高いため実売価格が高くあまり普及しませんでした。それが2020年の酒税法改正で、1リットルあたりに税金がかかる従量税に変わり、小規模メーカーの不利な状況が改善。ノージャパン運動で日本産のビールが抜けて、がらりと空いた陳列棚には、国産のクラフトビールが埋めていき、国産クラフトビールの売上が飛躍的に上がりました。また、最近はイ・ビョンホン(HANMAC)やBTS(KLOUD)もビールの広告にでるようになったことも、広告費用に酒税かからなくなったことが無関係ではないでしょう。
コンビニGS25で見られる、ランドマークシリーズ。『景福宮』『南山』はKABREW社、『光化門』はARK社。どれも超本格的な味わいのエールです。セール期間中は3本で9900ウォンで購入できます。

コンビニGS25で見られる、ランドマークシリーズ。『景福宮』『南山』はKABREW社、『光化門』はARK社。どれも超本格的な味わいのエールです。セール期間中は3本で9900ウォンで購入できます。

人気のビールは『CASS(カス)』と『TERRA(テラ)』

ナビはビジネス街にある飲食店の裏をチェックしてみました。ソウルで圧倒的な人気を誇ってきたのはOBビールの『CASS(カス)』ですが、ケースを見る限り『TERRA(テラ)』が『CASS(カス)』に肉薄しているようにも見えました。ちなみに水色のケースはソジュ(焼酎)、黒のケースはHANMACです。今年出たばっかりのHANMACはこれからということでしょう。
酒類を提供する店の軒先を確認すると、カスとテラの人気は一目でわかります。

酒類を提供する店の軒先を確認すると、カスとテラの人気は一目でわかります。

うんちくはこのくらいにして、今、韓国で一般的に飲まれているビールやおススメのビールをピックアップして、ナビの日本人・韓国人スタッフにより飲み比べをしてみました。すでに飲み比べに、登場している『CASS(カス)』は、過去の飲み比べ記事を参考にしてください。ちなみに登場するビールの実売価格はクラフトビールで500㏄、1缶2500ウォン、大手のビールはセールもあるのでそれより1割〜2割安く買えます。

☆☆TERRA(テラ)☆☆
製造:ハイト眞露
アルコール度数:4.5%

原材料:
麦芽(オーストラリア)、スターチ(ロシア、ハンガリー、セルビア等)、ホップ(ドイツ)、ホップエキス、酸度調整剤2種、栄養強化剤

OBビールの『CASS(カス)』に圧倒的に押されていたハイト眞露が満を持して2019年発売した緑の瓶が印象的なビール。CMには人気俳優コン・ユを抜擢。『大韓民国の自尊心をかけた』『100%リアル炭酸』等々、キャッチコピーが踊っていました。オーストラリア産の麦芽を利用し、発酵過程で発生する炭酸だけを利用している(水で薄める製法ではない)というのがポイントになっています。
スタッフの声
のど越しスッキリ、余韻のようにジワジワ来る苦さあり。カスやハイトなどに比べ何かが変わったというのは感じる。酒の席でいつまで飲んでても苦にならない。(日本人・男性)

炭酸が強くのど越しがスッキリしていて夏向きのビールのようです。あまり苦くなくて、軽く飲めて、後味が負担がない、何よりアルコールの匂いがしないのがいい。(韓国人・女性)

私はエール押しなので、美味しくないとは思わないけど買わないかな。(韓国人・女性)

同じ会社のハイトに比べると、ホップの香りも強く、味も濃くて洗練されている。炭酸が強く感じるが不快感はない。(韓国人・男性)

☆☆HANMAC☆☆
製造:OBビール
アルコール 4.6%

原材料
麦芽(オーストラリア、カナダ、ドイツ等)、スターチ(ロシア、セルビア、ハンガリー等)、米(国産)、ホップ(ドイツ)、ホップ抽出物、変性ホップ抽出物、酸度調整剤、酵素剤、栄養強化剤、二酸化炭素

HANMACはKorean Lagerと書いてあるように、韓国のビールという意味です。看板商品の『CASS(カス)』が『TERRA(テラ)』の猛追を受ける中、今年(2021年)登場したばかりのラガービール。韓国のビールというのは韓国産の米も使い、韓国人に合う味を追求したということでしょうか。原材料だけ見ると、キリンのラガービールに近いようですが、その味はいかに?ちなみにCMにはイ・ビョンホンという大物が使われています。
スタッフの声
苦みが少なく、のど越しも良好。韓国のひと昔前のビールよりはビールらしいと感じます。のど越しはテラの方が上かな。(日本人・男性)

炭酸が強すぎずのど越しが柔らかい。アルコールの匂いが若干感じられますが、香ばしい香りも後味に残ります。味はカスなどに比べて軽くなく、重いほうです。(韓国人・女性)

私はお酒の味がわかるほうではないのでうまく言えませんが、今までの国産ビールとそんな変わるところがないのではないでしょうか。(韓国人・女性)

このビールは自分の好みです。味が濃く、のど越しは柔らかい。泡がすぐ消えてしまい細かくないのが残念と言えば残念。米が入っているというがその辺は全くよくわからない。(韓国人・男性)


☆☆KLOUD 生 ドラフト☆☆
製造:ロッテチルソン
アルコール 4.5%

原材料
麦芽(オーストラリア、米国等)、酵母、ホップ(ドイツ、チェコ)、ホップ汁、二酸化炭素、酸度調整剤、栄養強化剤2種、酵素剤

水を足さないビール『KLOUD』を発売し、韓国のビール業界に一石を投じたロッテチルソンが、やはり本格的なラガービールとして発売した『KLOUD 生 ドラフト』。広告モデルにはなんとBTSが起用されています。ラベルにALL MALT やORIGINAL GRAVITYとあるように、麦芽100%だったり、ドイツや日本などで作られる製法で作られたビールであることが示されています。『KLOUD』からグレードアップしたその味わいに注目です。
スタッフの声
味が重くてゴクゴクと一気に行きたい感じではないけど、韓国のビールらしからぬ重厚感。日本のビールを無理に探さなくていいと思わせる味です。でも日本にシンパシーがあるので同じ値段なら日本のビールを選ぶかな。(日本人・男性)

適当な炭酸とビールのいい香り。アルコールの味が強くなく負担なく、続けて飲みたくなるビールです。ビールを飲むと鼻に抜ける特有のアルコールの匂いが気にならない点が特徴のように感じます。(韓国人・女性)

不満のない味です。でもエールの方が好き。(韓国人・女性)

全体的に不満のない味。味と香りが濃く、泡も美味しい。なんというか水の味を感じくて後味も良し。(韓国人・男性)


☆☆ユミのウィートエール☆☆
製造:OBビール (Hand and Malt)
アルコール 5.2%

原材料
麦芽(オーストラリア、カナダ、ドイツ)、小麦麦芽(ドイツ)、ホップ(米国)、酸度調整剤3種、天日干しの塩、酵母、二酸化炭素

人気ウェブトゥーン『ユミの細胞たち(유미의세포들)』の主人公がラベルになったウィートエール。製造の Hand and Maltは2014年にできたクラフトビール会社でしたが、2018年にOBビールに吸収合併されました。OBビールの流通網を生かして、急速に拡大しているクラフトビールです。

スタッフの声
一口飲んだ瞬間うま味あり、一般的なドラフトビールのような苦みを感じない。フルーティーな香りがするが、ウィートエールの中では重厚感がある。アルコール臭を感じないのもいい。(日本人・男性)

花の香りのような甘い香りと味わい。苦みをほんのりと感じるけどすぐ消える。適当な炭酸で柔らかいのど越し。後味がスッキリしていて食事しながら負担なく飲めるビールです。(韓国人・女性)

香りが良く味わいも豊。いつ飲んでもいいビールです。(韓国人・女性)

スッキリと軽やかで、美味しい炭酸飲料を飲んでいるような感覚。軽い苦みと、フルーティーな香り、なんか別のものが入っている感じそれが小麦麦芽なのかな?(韓国人・男性)


☆☆済州ウィートエール☆☆
製造:済州麦酒
Acl.5.3%

原材料
麦芽(オランダ、デンマーク)、小麦麦芽(ドイツ)、ホップ(ドイツ)、みかんの皮、コリアンダー、酵母、乾燥オレンジの皮、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、二酸化炭素


済州ビールは、韓国が輸入ビールに押されている現状、焼酎とビールを混ぜて飲む(ソメク)文化を残念に思い、ビールの工場を公開できない大企業に疑問を持ち、韓国ならではのビール文化を追求することから生まれたクラフトビール会社。年々流通量を伸ばし、コンビニや大手スーパーで当たり前のように製品を見かけるようになりました。こちらは済州ビールのウィートエール。
スタッフの声
なんか一口目からのどに引っかかる。フルーティーな香りでまったくビールの香りがしない、アルコール臭が強い感じで、雑味が残る気がする。変化球が効きすぎてしまったのだろうか。(日本人・男性)

のど越しが柔らかくなく、清涼感を感じない。フルーティーな香りは感じるけど、ビールの味は軽くなく、アルコールの味を感じる。ただアルコール臭はすぐ消え、後味は悪くない。(韓国人・女性)

ウィートエールは好きだけど、アルコール臭が気に入らない。(韓国人・女性)

柔らかく濃いのど越し。のどが鋭く刺激される感じは悪くない。他のビールに比べて、濃くもなく、炭酸も強くなく、少し味気ないようにも感じるけど、必要な要素はそろっている感じもする。後味にほんのり残る柑橘の香りが印象的。おつまみと一緒に飲みたいビールかな。(韓国人・男性)


☆☆金星麦酒☆☆
製造:済州麦酒
Acl.5.1%

原材料
麦芽(オランダ、ドイツ)、ホップ(ドイツ、米国)、黄金香(済州産)、酵母、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、二酸化炭素
※黄金香は済州島の高級ミカンで日本から入ってきた『紅まんどんな』の韓国名です。

済州ビールより発売された、レトロなラベルをコンセプトにしたペールエール。GOLDSTARといえば家電やPCモニターの再大手『LG電子』の前身です。コンビニ『GS25』で購入することができます。
スタッフの声
ラベルに技術の象徴と書いてあるし、GOLDSTARとあるので、もしかしてLG電子が作ってるのと思ってしまいました。深い味わいとのど越しで自分好みのビールです。このビールがコンビニで4本1万ウォンで買えてしまうので、日本のドラフトビールに手が伸びなくなってしまったというのはあまり言えません。(日本人・男性)

爽やかな香りがするけど飲んでみると、味が重く、程よい苦みがあるけど、うま味に変化して、アルコール臭も感じない。ラベルだけ見ると軽そうに見えたけど、よい意味で裏切られた感じ。ナッツ系のおつまみによく合いそうなビールです。(韓国人・女性)

味わいが濃く不満がない。自分には少し濃すぎるかなという感じもする。好みの問題です。(韓国人・女性)

味が濃く、雑味がなく、のど越しスッキリ。それでいて芳醇な香りがします。乾きもののおつまみで楽しみたいビール。なんだかとてもシンプルで美味しい。(韓国人・男性)

人気のビールを発表!!

大手のドラフトビール、クラフトビールから、それぞれ一番お気に入りを選んでもらって、最も人気の高かったビールは!?
大手ドラフトビール人気ナンバーワン!<br>☆☆KLOUD生ドラフト☆☆

大手ドラフトビール人気ナンバーワン!
☆☆KLOUD生ドラフト☆☆

クラフトビール人気ナンバーワン!<br>☆☆金星麦酒(クムソンメクチュ)☆☆

クラフトビール人気ナンバーワン!
☆☆金星麦酒(クムソンメクチュ)☆☆

大手ドラフトビールの中では、伝統的な製法で醸造された麦芽100%の『KLOUD生ドラフト』、クラフトビールではペールエールの『金星麦酒』となりました。韓国人スタッフの話を聞いていると、ビールの好みも日本人と大して変わらないと感じる結果となりました。


最新の韓国ビール飲み比べ、いかがでしたか? 過去の2回の調査に比べ韓国のビール対する評価が軒並み上昇するという変化がありました。コロナで行き来できなくなった後に登場したビールも多いので、韓国通の方も飲んだことがないビールもあったのではないでしょうか? またクラフトビールは種類が多く、紹介しきれないものがたくさんあります。例えば、今韓国でブームを引き起こしている『コンピョ(熊印)』というウィートエールも紹介したかったのですが売り切れ続出で断念(手に入り次第追記予定)。まだまだ韓国に気軽に行ける日は先になりそうですが、次回の訪韓の時に韓国のビール&クラフトビールを飲み比べ見るなんておススメです。ソウルナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2021-05-06

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