韓国の片田舎でキムジャンして来ました!

ぶち当たってわかる。1年に1度の家族の一大行事!

こんにちは。ソウルナビのすーちゃんです。韓国にはキムジャンという行事があるのご存知ですか?ともかく1年分のキムチを作る日。1年分の消化量はその家によって違いますが、とりあえず、それに見合う、または保管しきれるだけの最大限の量を作ります。キムジャンはキムチをつけるのに最適な時期に行うんだけど、だいたい11月中旬から12月の中旬くらいに行う家が多いよ。じゃあ、さっそくキムジャンをしにレッツ・ゴー! 

すーちゃんがいった場所は、天安の片田舎

高い建物なんて見えません。

高い建物なんて見えません。

すーちゃんの主人の実家は天安(チョナン)。天安といえば地下鉄1号線で2時間くらいかかる所。まあ、比較的ソウル近郊なのかな。しかし、すーちゃんの行く家はさらにその天安の中心からバスで30分ぐらい離れた片田舎な場所。近くにスーパーなんて存在しません。あるのはコンビニ1つとサービスエリア・・・見渡す限り田畑とけっしてキレイとはいえない背の低い家々がある場所です。ビルなんか見えません。つまり、今回はすーちゃんは田舎でのキムジャン作りはどんななのかをご紹介することに。
薪なんかあったりして。

薪なんかあったりして。

のどかなものです。

のどかなものです。

キムチ冷蔵庫いっぱいになるのを目標に

とりあえず、すーちゃんの主人の実家の場合、キムジャンでキムチを作る量の目標は、4つの家庭のキムチ冷蔵庫がいっぱいになること。毎年150~200個の白菜を漬け込みます。キムチ冷蔵庫ってご存知ですか?キムチを保存するのに最適な温度や環境を維持するように作られたキムチ保存専用の冷蔵庫のこと。昔は地面にカメを埋めてその中に保存していれば、韓国の地面が凍るほど寒~い冬場にはその方がキムチの保存に適切だったといわれてるんだけど、文明が進みアパートに住む人々も増えて、昔ほど寒くない日も多くなった韓国。このキムチ冷蔵庫の登場はかなりありがたい存在みたいよ。家庭には必ずといっていいほど必要な電化製品。だから、すーちゃんの家にもあります。 

実家に到着。キムジャンにとりかかるゾ!

キムチ作りの材料のうち、すーちゃんの主人の実家の場合は白菜や大根、長ネギ、わけぎなどの野菜は全部自家栽培。量が多いから、自分で作ったほうがいいと舅、姑が春から秋にかけて苦労して作った野菜。新鮮だし、甘くておいしいっ。
さて、畑から掘り出した野菜たちの土を前もってキレイに洗っておきます。根っこや葉っぱ部分などはカット。市場で買ってきた大量のにんにくの皮もむいておきます。どれをとっても量が半端じゃないので一苦労です。とりあえず、体が痛くなる、手が荒れるのは基本です。洗う時は水も冷たいし、また作る時に唐辛子は肌に刺激が強いので、ゴム手袋を使います。ゴム手袋はきれいなものの方がいいので、ちょっと汚れてしまっているときは新品のゴム手袋を使います。作る量が多い分、手伝う人も多いのでゴム手袋はたくさん買っておきます。
とりたての長ネギですよ。

とりたての長ネギですよ。

大根もふっくらおいしそう。韓国の大根はちょっと下の部分が太っちょ。

大根もふっくらおいしそう。韓国の大根はちょっと下の部分が太っちょ。

たくさん買い置きしとくと便利。

たくさん買い置きしとくと便利。

下ごしらえ開始!

大きなたらいに入った白菜の塩漬け

大きなたらいに入った白菜の塩漬け

白菜は縦二つにし、さらに根元の真ん中に縦に切れ目を入れて、下準備。そして塩に一晩漬けておきます。ここで塩を入れすぎると、白菜の水が抜けすぎて、歯ざわりが悪いキムチになり、さらに味はしょっぱくなると、いいことありません。キムジャンの時は、特に緊張っ。なんてったって、たくさん作ったキムチが全て失敗作になってしまうんですからっ。それを食べ続けることを考えると、ここは慎重に、漬け上がりが少しシャリっとするぐらいを予想してながら塩を加えます。入れる量は長年の経験とその中で鍛えられた勘が頼り。
下からドンドンみじん切りになって出てきます。

下からドンドンみじん切りになって出てきます。

白菜以外の材料も切ったり、みじん切りにしたりと下ごしらえを。みじん切りにするには、量が多いので、手では追いつきません。TVではキムチ作りに最適!と容量の大きいミキサー器を宣伝してたりするんですよ。でも、白菜200個つけるすーちゃん主人の家みたいなところでは、それも役不足っ。そこで大型粉砕機を購入っ!これが実力を発揮してくれます。ちょっと大きく場所をとり、重めの機械ですが、これが大活躍!機械の上から入れた材料たちは下からドンドンみじん切りにされて出てきます。しかし、大根のような大きいものは丸ごとは無理。それで、その横では大根を適当な大きさに切る作業も同時進行しながら大忙し。大根の場合、みじん切りにする量の目標は大きなたらい半分。だからガンガン機械に入れ込みます。時間をかけていられませんよっ。やらなければならない作業はまだまだいっぱいありますから。
待ち構えている大根はまだまだこんなにたくさん。

待ち構えている大根はまだまだこんなにたくさん。

機械の横では切り分け作業も忙しい。

機械の横では切り分け作業も忙しい。

すーちゃんもがんばるっ!

大根は細切りも作ります。ここでは細切り用のおろし金をフル活用!本当は包丁で切ったほうが味が良いらしいんだけど、時間と労力を考えると、やはりおろし金を使うしかないと断念。細切り大根の量の目標は、おおきなたらい3分の2!すーちゃんは日本で大根おろしを作っていた要領で、サッサと器用におろしていきます。日本人にはおちゃのこさいさいかも。しかし、ご存知の通り、おろし金は手元が狂うと怪我をしてしまいやすいから、そこはすーちゃんも気をつけておろしていきます。違う作業をしている家族たちはすーちゃんの周りで「気をつけろ!気をつけろ!」と心配してくれてます。韓国の家族たちも手を切った経験がありますからね。すーちゃんはシャッシャッと上手に、ほとんど独りで大量の大根の細切りに成功!…と思いきや、最後の最後に手首が疲れ、目がショボショボになったあたりで、おろし金の鋭い歯が親指にあたり、怪我をしてしまうはめに・・・びっくりした姑が消毒して絆創膏をはってくれましたよ。トホホ・・・
奮闘中の大根のおろし金。

奮闘中の大根のおろし金。

すーちゃんの血と汗と涙の細切り大根っ!

すーちゃんの血と汗と涙の細切り大根っ!

土間のような場所があって、キムチの材料がどっさり置かれています。

土間のような場所があって、キムチの材料がどっさり置かれています。

目標を達成した大根おろしと細切り大根。

目標を達成した大根おろしと細切り大根。

2日目の朝をむかえて

では、一晩塩漬けにしておいた白菜をきれいに真水で洗っていきます。家が狭いので作業は外で。大きなたらいを3つ用意して、洗って、すすいで、さらにすすぐようにします。そして白菜の水気が切れるように干していきます。干すときは白菜の切り口を下にすると早く水が抜けるので、その状態にした白菜を山盛りに重ねながら干していきます。ここでは連係プレーが重要!塩漬けの白菜を大きな背の高いたらいから取り出して水洗い場に持っていく、洗う、すすぐ、さらにすすぐ、そして干し並べていく・・・
ちなみに手が足らないので、姑の仲良しの友人たちもお手伝い。こうやってお互いのキムジャンを手伝い合っているんですって。もう1週間ぐらい各家をまわってキムジャンの手伝いをしているとか。もちろん、自分の家もしてですよね。毎日のようにこんな大変なキムジャンをされてるなんて、すーちゃん、頭が下がる。
仲良く連携プレーが重要!

仲良く連携プレーが重要!

外の作業が寒いので、舅が焚き火をたいてくれました。

外の作業が寒いので、舅が焚き火をたいてくれました。

にぎやかなヤンニョム作り

白菜が洗い終わったら、ヤンニョムを作ります。ヤンニョムの材料が非常に多いので普通のボールじゃまぜきれません。市販されている大きなたらいでも間に合わない。だから、厚くて丈夫なビニールを二枚重ねぐらいにして、その上で混ぜ合わせて行きます。ナビが苦労して切った細切り大根も、強力な粉砕機でみじん切りにしたにんにくや大根も、大量に準備されたわけぎ、赤唐辛子の粉、もち米を煮て作った糊、小えびの塩辛、煮干の塩漬けの液、水あめがドボドボと入れられる・・・もちろん、味を見ながら。これを4人がかりで混ぜ合わせます。これも一苦労。味を見ながらですし、混ぜるのも大変なので、つい声が高くなります。一見けんかしてるのかって思うほど。そんな混ぜ方じゃだめだとか、もっと入れろとか、入れるなとか・・・材料を入れる2人と混ぜている4人、それをちょっと心配そうに見守る人…水の切れた白菜の不必要な部分を切り落とす作業をしている人々も、時々手を止め、心配そうに見つめます…ヤンニョムの味がキムチの味を大きく左右するだけに、ヤンニョム作りの場は大騒ぎ。
ヤムニョンの材料をドサドサ入れます

ヤムニョンの材料をドサドサ入れます

みんなでわいわい混ぜ合わせます。

みんなでわいわい混ぜ合わせます。

心配で見ています。

心配で見ています。

キムジャンも仕上げ段階!

やっとヤンニョムが出来上がった!もう山を越えたと、場は穏やかな雰囲気に。仲良く白菜の葉1枚1枚の間にヤンニョムを塗るようにはさんで行きます。その一方、台所では大騒ぎ。たくさんの人の食事を準備するのにおおわらわ。今回は姑の計らいで巨済島の牡蠣が準備されました。ちょっとおちついた外のメンバーにかきをちょっと持っていってあげます。みんなは、ヤンニョムをはさむ作業をしながら、その傍ら、塩漬けの白菜の葉をちょっとちぎっては、牡蠣と出来立てのヤンニョムを巻いて食べています。お互いに食べさせ合ったりして・・・おいしい、おいしい。キムジャンの疲れがふっとぶ気分♪
白菜の葉一枚一枚に丹念にヤンニョムを塗り込むように、はさんでいきます。

白菜の葉一枚一枚に丹念にヤンニョムを塗り込むように、はさんでいきます。

牡蠣をお供につまみ食いしながら作業を進める。あ~幸せ♪

牡蠣をお供につまみ食いしながら作業を進める。あ~幸せ♪

主人の実家では豊作だった大根。余って、カットゥギ(大根キムチ)に。

主人の実家では豊作だった大根。余って、カットゥギ(大根キムチ)に。

キムチ作りの傍ら、使い終わった大きなたらいなどはせっせと洗って…

キムチ作りの傍ら、使い終わった大きなたらいなどはせっせと洗って…

洗って、乾かしてるとこ。

洗って、乾かしてるとこ。

こんなにでっかいたらい。

こんなにでっかいたらい。

キムチ詰めは心ルンルン♪

さあ、キムチが出来上がりました。今年はおいしくできたかな?祈るような思いですが、たくさんの量を作り、成し遂げたという達成感!みんなワイワイと自分の家から持ってきた大きいタッパー容器を取り出して、詰め込んでいきます。白菜キムチを詰めるときは、入れた後に、最後にキムチの上にビニールを一枚被せます。そうすると、キムチの汁が全体に行き渡りやすくなるし、汁が容器から漏れにくくなるんだって。
キムチを詰めながら、詰め終わった容器をを車に積んだり、家の中に運んだり・・・行ったり来たり、せわしくなります。
ビニールはこのように被せます。

ビニールはこのように被せます。

姑が前もって作っておいてくれたトンチミもお持ち帰り。

姑が前もって作っておいてくれたトンチミもお持ち帰り。

わけぎが余ってねぎキムチに大変身させました。

わけぎが余ってねぎキムチに大変身させました。

カットゥギやおいしく出来上がってくれよ。

カットゥギやおいしく出来上がってくれよ。

フィナーレは、お疲れ様パーティーっ!

宴の準備は万全!

宴の準備は万全!

やっと、終わりました!これから、食事っ。台所の忙しさは最高潮に!キムジャンといえば塩漬けにした白菜の葉と作りたてのヤンニョム、そこにゆでた豚肉を巻いて食べるのがちょっとしたキムジャンイベント。豚肉の塊を臭みを抜く材料を入れたお湯でいくつもゆでておきます。ゆでておいた豚肉をスライスし、皿に盛り、それ以外のおかず、ご飯、汁物・・・全部キムチにしないで取っておいた白菜の塩漬けと出来立てのヤンニョム、そして巨済島の牡蠣も再び登場!塩漬けの白菜と出来立てヤンニョムのセットは牡蠣と食べても、豚肉と食べても最高!ここで、マッコリやビールもコップについで、キムジャンお疲れ慰労パーティーっ!みんなでくだらない冗談も言いながら、可笑しく、面白く、おいしいものもいっぱい食べて、ウフフフ。体の疲れなんてどこかに飛んで行っちゃって、完全にリフレッシュ!
豚肉の塊。これをゆであげるっ!

豚肉の塊。これをゆであげるっ!

おおわらわで雑然となった台所

おおわらわで雑然となった台所

おいしくて、ほっぺたがおちるぞおっ!

おいしくて、ほっぺたがおちるぞおっ!

いかがでしたか?片田舎にある家のキムジャンの様子は。1年に1回の一大イベントというのもうなずけるなあ。家に帰って、キムチでいっぱいになった冷蔵庫を見ながらうなる、ソウルナビのすーちゃんでした。
関連タグ:キムジャン田舎天安김장キムチ김치

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-12-07

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