ソウルのモダン建物探検、パート6!

シリーズ第6回目!ソウルの古い建物をめぐる旅、今回は鉄道跡もたどってみました!

こんにちは、ソウルナビです。建築好きのナビは過去5回、ソウルに残る古い近代的な建物をめぐるプチ旅を紹介してきました。今回お届けする6回目は、過去にも何度となく登場した龍山(ヨンサン)!龍山は現在も急ピッチで再開発が進み、ソウルの中でも特に目まぐるしく変わっているエリアです。今回の探検は三角地(サムガクチ)駅から孝昌公園前(ヒョチャンコンウォンアプ)駅まで、建物だけでなく歴史を感じさせる遺物や市場、2009年から地下化工事の始まった龍山線(龍山駅-加佐駅)の歴史にもちょこっと触れつつ、かつて存在した駅などにも思いを馳せながら歩いてみようと思います。2004年に歩いて見つけた建物はすっかり姿を消し、全く違う風景にとても驚いたナビ。それでは、さっそく行ってみましょう!

出発は今回も三角地駅!

今回もパート5と同じく、ソウル駅から地下鉄4号線で2つめの三角地(サムガクチ)駅から出発します。前回は南山(ナムサン)方面に向かいましたが、今回は駅の西の方にある麻浦(マポ)へ向かい、孝昌公園前駅あたりを歩きます。
それでは、さっそく出発!
1.豪華な建物
道路をはさんで古い建物や高層マンションが並ぶ通りを歩きます。古い日本家屋風の建物が並ぶ中、目立つのがレンガの立派な建物。店の主人に日本統治時代に建てられたものと確認したものの、何の建物かはわからず。ちなみにリモデリング工事をする際に地下室が出てきて、びっくりしたとのこと。現在はソルロンタンのチェーン店(ボンヒソルロンタン)が入っています。 
2.マンホールのふた
しばらく歩くと道は行き止まりになり、階段を上って線路をわたります。その階段の近くにある古いマンホールのふたに注目!。消防水槽とあります。真ん中のマークは漢字の「京」をシンボライズしたもの。ソウルが京城と呼ばれていた頃からあるマンホールのふたと想定。これで龍山エリアにはナビが知る限り、京城時代のマンホールのふたが4つあることになります。
京のマークが見えるでしょうか?

京のマークが見えるでしょうか?

右側の階段をのぼります

右側の階段をのぼります

地下化工事の進む龍山線

工事現場である韓国のお菓子メーカー、オリオン本社のビルを通り過ぎると道は行き止まりになります。かつて龍山線の線路があったところは工事がかなり進んでいました。ずんずん進むナビに道がないよ!と親切に教えてくれた工事の関係者さん。確かに、むやみに近づかないのがよいかも。
3.ムンピョンサンコンノルモク
ムンピョンサンコンノルモクとはムンベサンとも呼ばれていた、このあたりにあった踏切のこと。今は線路は見当たらず、面影はまったく感じられません。でも一軒の古い平屋は日本統治時代からあるもの。そこで小さな商店を営む主人に話しかけたところ、この家の目の前が踏切で電車が走っていたよ、と教えてくれました。  

10年前とまったく違う風景が・・・


4.新契歴史公園(タンコゲ聖地)
古い平屋の前にはマンション群があり、その極端な景観の違いに驚きながら進むと、マンションに囲まれた公園が見えてきました。「新契(シンゲ)歴史公園タンコゲ殉教聖地」とゲートにかいてあります。こちらは1839年、キリスト教迫害の犠牲になった9人の殉教の地で、ソウル市内の四大聖地のひとつとして知られています。教会のほか、殉教者の碑や運動器具の並ぶスペースがあります。
公園は小高い丘のようになっていて、周りを見下ろすことができるのですが、再開発を今のところ免れているらしい(?)日本家屋がぽつぽつあるのに気が付きます。「ソウルのモダン建物探訪、パート3」の龍山周辺でご紹介した木造集合住宅は、確かこの公園入口付近だったような・・・マンションときれいな公園を見て驚いたナビ。
こちらは10年前に歩いた時の様子。全然変わってしまいました。
こちらは8年前に歩いた時にあった踏切と高架。

旧龍山線の駅跡を探して…

龍山線は龍山駅と加佐(カジャ)駅間を走る路線で、2012年12月からは京義線(キョンイソン)の一部として利用されている路線。もともとは1906年、京義線(京城~新義州間)の一部として開通した路線。その後は京城駅-新村経由の路線開通で廃止になりながら、1929年から旅客線として復活。1943年からは貨物専用線として利用されていました。しかし2004年から龍山線の地下化が始まり、2009年に線路は全面撤去。地下線はすでに加佐-孔徳まで開通し、2014年12月には孔徳-孝昌-龍山間が開通する予定。下は1929年から運行していた龍山線のルート。龍山-元町(1944年廃止)-弥生町(1944年廃止)-孝昌-孔徳里(1944年廃止)-東幕(1982年廃止)-西江-加佐の順で走っていました。この旧龍山線のうち、今回は孝昌公園前近くにあった元町駅と弥生町駅の跡がないか探してみようと思います。
※駅跡の推測はまったく個人的なものです。もし詳しい方で指摘事項がありましたら、ご教示のほどよろしくお願います。
龍山線に沿って西江(ソガン)駅まで、ほぼ並行する現在の白凡路(ペッポンノ)と、かつて存在した路面電車のルートがそのまま道路になった元暁路(ウォンヒョロ)の交わる交差点にやってきました。交差点には龍山保健所分所(旧龍山区庁)がありますが、ここにはかつて龍山警察署があり、路面電車の駅が近くにあったと思われます。
交差点

交差点

龍山警察署があった場所

龍山警察署があった場所

「Design Culture in Korea 1910-1960」(2004)図録収録の「京城市街電車バス線路一覧(1933)」から。赤い点は路面電車の駅です。龍山駅から漢江の流れと平行にのびている線が旧龍山線です。
5.元町駅跡?
白凡路を地下鉄6号線孝昌公園前(ヒョチャンコンウォンアプ)方面へと進むと、工事現場と並行して古い店と通りが見えてきました。たまたま出ていた人に聞くと、この通りが旧道とのこと。その店のところどころに、なぜここにこのような高さが?と思われる不思議なコンクリートがあります。もしかしたら、これはプラットフォームの痕跡で、このあたりが龍山線の元町駅だったのではないかとかってに推測。
孝昌公園前駅周辺には古い建物がたくさん残っています。新孝昌駅の建設工事現場から路地ひとつ入ると、静かな住宅街が広がっています。このあたりにも日本統治時代の建物と思われる建物をあちこちで見ることができます。

地元グルメを楽しむ

○マシンヌンチャンチグクス

おなかがすいたナビ。向かったのは韓国のB級グルメ界では有名な(!?)孝昌公園前駅の4番出口目の前にあるチャンチククス(韓国風温麺)屋さん。道と道の間の三角コーナーにあり、4、5人も入ると店はいっぱいに。非常に狭いスペースで、無駄な動きなく余裕な感じで調理するおばちゃんの動きに注目。価格もとても安く、なんとコッペギ(2倍量)でもお値段同じというのがウレシイ!チャンチグクスは優しい味の煮干しだしのスープに、ちょうど良いゆで具合の素麺。あっという間に完食。
角地の小さなお店

角地の小さなお店

入口を見落とさないように

入口を見落とさないように

一度食べると忘れられない?

一度食べると忘れられない?


○ours blanc

午前中はたくさん歩いたのでちょっと休憩とチョイスしたのが、孝昌公園へと向かう通りにあるベーカリーショップ「ours blanc」。お店はフランス語でウスブラン、白熊という意味。お店のガラスに描かれたかわいい熊の絵が目を引きます。韓国国産小麦と有機農小麦を合わせて作るパンが人気だそうで、どっしりした食事系パンからペストリーなどのおやつパンがそろっています。店内奥がイートインスペースになっていて、黄色を基調にしたかわいらしいインテリアはカフェとして利用するのにもってこい。ナビはおみやげにパンをいくつか買い、アメリカーノでひと息。体力のある方は、孝昌公園と白凡記念館も合わせてまわってみるとよいかも。

龍山の有名な在来市場

さらに近くには龍山を代表する在来市場として知られる龍門(ヨンムン)市場が。ナビは龍山にこんな古い市場があることにまたまたびっくり!市場はたくさんの人でにぎわっていて、人情豊かな市場といった雰囲気。ただ旧在来市場と呼ばれるエリアは倒壊の危険性がある建築物に指定されていて、おいそれとは近づけないようになっています。いつごろからあったのでしょうか?うーーん、とっても気になる!

最後は、旧龍山線弥生町駅跡を探します!

白凡路に戻り、孔徳(コンドク)方面へ、龍山線の地下化工事の進む龍山線のあとを追いかけます。周辺はマンションが立ち並んでいますが、それでも白凡路沿いには古い家を見かけます。
元町駅の次の駅が弥生町(やよいまち)駅。このあたりで駅の跡がないかさがしてみました。現在の桃源洞(トウォンドン)のレミアンというブランドマンション村の入口近くにあったとのことですが・・・むむむ!ナビは結局わかりませんでした・・・以前はここに踏切があり、踏切近くの施設には弥生洞(ミセンドン)という表札があったそう。弥生町からとった町の名前があったのですね。とりあえず、ここらへんかなと思われるところをパチリ。線路があったところは工事の真っ最中。まわりのマンションを見ると、ここに本当に汽車が走っていたのか想像もつきません。
午前9時半からスタートした龍山散策。お昼や休憩を含め、午後1時半過ぎにここで終了。
いかがでしたか?かつての龍山線の下を空港鉄道が走っていたり、新しい駅が出来たり。街は日々変化していますが、ちょっと街中で立ち止まると数十年前の記憶をとどめた痕跡をあちらこちらで発見することができます。めまぐるしく変わるソウルだからこそ、こんな昔を訪ねるプチ旅もよいかも。ナビの古い建物探し、まだまだ続くかも?!またパート7にご期待ください!以上、建物と鉄道が好きなソウルナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2014-02-07

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