金洪疇個人展

視覚的遊戯としての絵、絵画に悩む。−細筆で広げて見せるキムホンジュの絵画の世界−


■ 展示名:
 『金洪疇 個人展(副題未定)』
■ 期間 :  2005.9.16~10.30(45日間、月曜休館)
■ 場所 :  ロダンギャラリー
■ 出品作:  1980年代後半から現代までの風景、花、絵など50点余

絵画、彫刻、写真、デザイン、陶芸など色々なジャンルの現代美術に対して開放的な態度を示してきたロダンギャラリーが、伝統的な絵画を媒介として絵画自体の問題に焦点をあわせ、絶え間なく変化を追求してきた中堅作家、キムホンジュの個人展『金洪疇個人展』を9月16日から10月30日まで開催する。
今回の展示はロダンギャラリーで最初に開催する国内作家絵画展で、2005年バイロン・キム、奈良美智の展示に続き、今日美術界の"平面"に対する多様な解析を見せることになる。
金洪疇(キム・ホンジュ)は現代美術の多様な実験が盛り上がった1970年代から、現代までの新しい流行に便乗するより、絵画の基本前提のイリュージョニズム(Illusionism−遠近法などを使用し、描かれたものを実在しているように見せる絵画の技法)を逆説的に批判しながら、絵画作品自らが持つ"絵画の力"に注目している作家である。
1970年代初め概念美術が標榜する前衛芸術団体「S.Tグループ」を通じて制作活動を開始した金洪疇は、観念的遊戯をもっての美術に興味を失い、1970年代中盤から、化粧台、窓、鏡額などのオブジェを極リアルに再現し重畳させることで描いた絵とオブジェの間の境界を崩す作業で注目され始めた。1980年代中盤以降は西欧的遠近法の代わりに俯瞰法を借用しながら風景の不必要な部分を果敢に省略し、東洋画でよく見られる余白などを絵画に積極的に取り入れ、極リアルに超現実性という2重イメージを同時に表現することで現われる独特な形象を創作した。何を描いたかよりもどうやって描くか、すなわち"描く過程"に重点を置いた作家の作業は1990年代中盤から絵画的イメージにもっと集中し、巨大な花の絵を描きながら、細筆を通して対象を再現するより絵画自らの表面感覚に重点を置いた。このような作家の独特の表現法が昇華され現われた花のイメージは、観覧者たちを絵画の中に引き込み、巨視的に認識された花という形象を目の前の対象に対する没頭を通して無意識の中にその微視的な表面に到逹するようにすることで絵画全体を直視するように作りあげた。
描く過程で表される絵画の本質に対する問いを持続して行う金洪疇の作業は緻密で纎細な細筆を繰り返し使用することを特徴にしている。細筆の限りない筆づかいにより増殖して行くことで形成されたイメージの結果が初めの意図とどのように違って見えるかに関して、そして初めから規定された意味に対してさらに別の解釈の余地と可能性を描いていることになる。
今回の展示で初期の絵画に登場する窓や鏡の額のようなオブジェが除去された     絵画の平面性に注目した1980年代後半の作業から最近まで展開されている花のイメージが変化した作業を中心に、「平面」に対する探求作品を集中的に紹介することで絵画の本質と意味を再び証明する機会となるだろう。

* S.Tグループ:STとは空間(Space)、時間(Time)の略字で、1971年に結成された実験験美術グループの名称。美術学会を標榜するほど理論の大切さを強調し韓国画壇に概念美術が受容され展開されるのにあたり大きい役割を果たした。イ・コニョン、パク・ウォンジュン、キム・ムンジャ、ハン・ジョンムンなどが創設メンバーとして活動した。

* 金洪疇(キム・ホンジュ)略歴
1945年 忠清南道出生
1969年 弘益大学美術学部西洋学科卒業
1981年 同大学院西洋学専攻      
個人展11回(2002年 国際ギャラリー)    
団体展多数    
現在モグォン大学美術教育科教授

* 作品キャプション     
<無題>、1993キャンバスへ油彩、145×112? サムソン美術館Leeum 所蔵

~ 観覧案内 ~

■ 観覧料金 : 一般3000ウォン、小中高生:2000ウォン
         (20人以上 一般:2000ウォン、小中高生:1000ウォン)
■ 観覧時間 : 10:00~18:00(月曜休館)
■ 位  置 : テピョンロ、サムソン生命ビルディング 1階
■ 問い合わせ: ロデンギャラリー(www.rodingallery.org,02-2259-7781)

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2005-09-01

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