昌慶宮「宮中文化再現行事」※終了

韓国伝統文化の真髄を体験できる特別な機会

伝統ある韓国文化を見直し、今まであまり紹介されることのなかった宮中の女性たちの生活像にスポットを当てた「中宮正至命婦朝賀の儀」と「中宮正至会命婦の儀」という行事が、去る8月15日、昌慶宮明政殿(チャンギョングン・ミョンジョンジョン)で再現されました。
王妃が内外命婦(王の妃、賓客や高位官職の婦人として宮中への出入りが比較的自由だった女性たちを総称する名称)を呼んで酒やスープを下賜したこの行事は旧暦の正月と冬至に行われ、天下に王妃の威厳と権威を示し、内外命婦の和合を促すという、政治的性格の濃い儀式でした。
純粋に女性たちによって行われたこの儀式は、内外命婦が王妃に挨拶をする「中宮正至命婦朝賀の儀」と、祝賀の儀式を終えた内外命婦に王妃が主宰して行う「中宮正至会命婦の儀」と2つに分かれて挙行されました。この祝宴を通じて内外命婦たちは王妃の健康と長寿を願い、王妃は中宮の和睦と結束を願いました。
今回の再現は文化財庁が後援し、単一行事としては大きな規模で行われました。総人員195名と世宗実録、国祖五礼儀などのおめでたい儀式を徹底的に再現した服飾やヘアスタイル、宮中の食事などは、この日昌慶宮(チャンギョンクン)を訪れた一般市民や外国人たちのとめどない拍手喝采を浴びていました。
それでは、晴れ渡った秋空のもと、約2時間ほど行われた華麗な宮中行事をみなさんにご紹介しましょう。
中宮正至命婦朝賀の儀

武士と宮中の官僚たちが入って来て、警備に立ち、大きな太鼓が儀式の始まりを知らせると、王妃が上宮たちと一緒に明政殿の一番左側の席に座ります。王妃は入場すると香をたいて厄を払い、最上級の上宮が式の始まりを知らせます。すぐに続いて演奏される音楽に合わせて内命婦が入場し、王妃の左側に席を占めた後、立ち上がって4回、座って4回、合計8回礼をし、退場します。 続いて外命婦が入場し、右側に席を占め、さきほど内命婦が行ったのと同じように、合計8回の礼をします。この礼が終わるとさきほど退場した内命婦が再び入って来て、王妃の左側に席を占めます。さらに4回礼を行った後、内外命婦のうち最も位の高い人が王妃に感謝の祈りをささげます。祈りが終わり、全部で8回の礼が続いて儀式が終わります。
李氏朝鮮時代、この行事は赤い布を高く立て、王以外の男性が宮中の女性たちの顔を見ることを禁じたとのことです。宮中の最高権力者である王妃が主宰する行事ではあるものの、やはり女性という範囲で行うがゆえ、色々な制限があったのでしょう。

中宮正至会命婦の儀

−「中宮正至命婦朝賀の儀」が終わり、祈りをささげられた王妃が内外命婦たちに酒と食べ物を下賜する「中宮正至会命婦の儀」は、王妃とすべての人たちが退場した後女官たちが急いで食事の膳を整えることから始められます。膳がすべて整えられ、音楽が演奏されると、これにあわせて王妃が入って来、座ると式が挙行されます。この行事は王権が強化されるにつれ、毎年行われてきた由緒深い儀式でした。李氏朝鮮時代の王妃は王と同等の力で内外命婦を統率する権限があったと言われています。(内外命婦の仕事は全体的に王妃の権限のもとにあり、王であってもむやみに侵すことはできませんでした。)まず内外命婦が一緒に入場し、王妃の左右を調べた後、礼儀を整え、4回の礼をします。その後、内命婦の一番位の高い人が王妃に酒をささげながら、代表上宮が式の始まりを知らせる宣言文を朗読します。
式が始まると、内外命婦が座って4回礼をささげ、世子賓が王妃に杯をささげます。外命婦が4回礼をした後、内外命婦は壇に上がり、王妃が下賜するお膳をもらいます。
王妃と内外命婦がお膳の食事を楽しんでいる間、歌舞団が現れ、踊りと演奏をし、王妃は熱いスープを下賜します。この食事が終わると膳が下げられ、式が終わります。
新羅の真徳王の時代から始められたこの行事はその長い歴史とはうらはらに、女性たちの祝宴であったせいか、人々の関心の薄い儀式でした。しかし「2001年韓国訪問の年」を迎えるにあたり、初めて再現されるようになったということです。今回は徹底した時代考証と華麗な衣装で、儀式が始まる前から多くの注目を集めていました。また今まで一般に公開されていなかった李氏朝鮮時代の宮中の女性たちの生活をかいま見ることのできるというまたとない機会でもあったため、一般市民たちの関心も相当なもの。美しい昌慶宮の緑と青い空とがあいまって、時間が経つのを忘れさせてくれる行事でした。

その他情報

※このイベントは終了しました<2008.4.3>

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記事登録日:2000-10-25

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