【※名称変更】南楊州総合撮影所(旧ソウル総合撮影所)

ナムヤンジュチョンハッチャリョンソ/NAMYANGJU STUDIO COMPLEX남양주종합촬영소

閉店・移転、情報の修正などの報告

たかのなびの「ソウル総合撮影所」に行く(前編)

韓国版ユニバーサルスタジオ?に行くの巻、その1

相撲、食べ物、鉄道、韓国、、、僕が愛するものは数多い。でも左に上げたものにいずれに負けず劣らず、映画も愛している。はっきり言って映画がたくさん見られれば、僕の人生は大部分幸せである。その愛してやまない映画の撮影所と聞けば、もちろん胸がときめく。そこには完全に昔を再現したセットがあり、大道具や小道具の人が走り回り、役者が隅で待機し、スタジオの中にアクションッという監督の声と共にカメラがまわり出し、スタジオの中に監督のカットッの音が響き渡る、、、
ああもう止まらん。
そんな夢のような映画撮影所が、ここ韓国にもあるという。しかもソウル郊外にあるという。しかもしかも、あの有名な映画、なんと日本でも上映されたという「JSA(韓国での題名、共同警備区域JSA」が撮影された場所だという。「JSA」といえば板門店の場面。あの板門店セットが残されているという。これはこれは行かなければ。
ある土曜日、同じく映画ファンのカメラマンを従え、ソウルを出発!
まずやってきたのはソウルの東の玄関口、「チョンニャンニ(清涼里)」駅である。こちらから撮影所の近く、ヤンスリに向かうバス「166」が出ているという。
情報通り、マクドナルドのバス停で待っているとさっそく「166」がやってきた。さっそく乗ろうとする。バスの運転手に確認。「ヤンスリ行く?」「行かないよ」「え?」
運転手によると「166−2」しかヤンスリには行かないそうである。
−2、というぐらいなんだから、こりゃなかなか来ないかな。と覚悟したとたん、「166−2」のバスがやってきた。ヤンスリまで、料金は1000ウォン。先払い。
バスはソウル市内をびゅんびゅん走り抜ける。そして20分も走ると丘陵にぶつかる。ここがもうソウルのはずれ。あっというまにはずれにやってきたことにびっくりする。
しかしその丘陵を抜けると、再び市街地が広がっていた。ソウルの衛星郊外都市、「クリ(九里)」市である。
そのクリ市を抜けると再びちょっとした丘陵地帯。またそこを抜けると街が広がっている。再びソウルの衛星都市、「ナムヤンジュ(南楊州)」市である。
ソウルの東の郊外、鉄道も通らないところにこれだけ市街地が広がっているとは知らなかった。
そしてナムヤンジュ市の市街地を抜けると再び田園地帯となった。
ビニールハウスが見える。

バスに乗ること1時間、トクソ(徳沼)、という街までやってくる。駅もある。ここも新しく開発されたニュータウンらしい。団地がその名前の通りに林立している。そしてここにはなんとマクドナルドがある。マクドナルドといえば都会の証明ではないか?しかしいままでの田舎道を考えるとどうもどうも似合わない。
ここでバスはいったん車庫に入った。乗客を乗せたまま、ガス入れである。

1時間10分。道はまた完全に田舎道となった。といっても道自身は悪くない。ところどころ幅も広く、車線も多い。そして道の右側には大きな大きな漢江が広がっている。バスはそんな巨大な漢江を横目に見ながらひたすら田舎の中の道を邁進する。バスはソウル市内のバスと同じ形だから、すごくミスマッチに思える。
いくらなんでもそろそろ着くだろう?と思って目を凝らす。すると「ソウル総合撮影所」の看板が見えた。おお、これは下りなければ!左で缶ジュースと資料を握りしめて舟をこいでいたカメラマンを起こし、あわてて次のバス停で下りる。
下りるとそこはヤンス大橋のたもと、「チンジュンサンゴリ」バス停であった。「ソウル総合撮影所」の大きな看板が見える。
ここからマウルバスかタクシーに乗らなければならない。タクシーの事務所はあるが、かんじんのタクシーはなかなか来ない。暑い中(取材に言ったのは7月)待っていると、マウルバスがやって来た。乗ろうとすると、わらわらといたおじさんたちに「歩くから、タクシーで行け」と言われる。そしておじさんたちはマウルバスにわらわらと乗っていってしまった。そしてタクシーはマウルバスのすぐ後ろにいた。
相乗りである。しかも冷房がない。暑い。本来タクシーの移動は快適なはずであるが。

10分ぐらい走ると「ソウル総合撮影所」の入口が見えた。そこを左に曲がる。
しかしこれがまた入口を入ってからがえらく長いのである。まるで豪邸の入口のようである。マウルバスで来たらおそらく入口からずっと歩かされたであろう。確かにタクシーで行くのが正解であった。
入口でタクシーのおじさんに料金を払ってもらう。よほどここは車でしか来ないのであろう。チケット購入もドライブスルー形式である。
帰りのためにタクシーのおじさんに名刺をもらう。
さて、よーやく到着!清涼里を出発して約1時間45分後の到着であった。
まず腹が減った。2Fの構内食堂に向かう。この2F、1Fから階段で行くと3F分ある。スタジオがあるせいだろうか?
構内食堂、はまるで大学の食堂そのままであった。
ペッパン(定食)をいただく。
食堂の壁には映画の写真がかざってある。ここは映画のスタッフがたくさん食べに来るのだろう。いつかオレもこんな映画を撮ってやる!そんな夢と希望をいだきながらご飯をかきこむのだろう、、、、
俳優さんたちも来るのかな?いや、たぶん入口から撮影所までの道沿いにあった豪勢なレストランに行くのだろうな。
夢と汗の食堂を抜けだし、まず向かうのはもちろん、映画「JSA」の板門店セットである。
構内をつらぬく長ーい坂を上っていく。
外に出た。まるで駐車場のような広場である。
そして右手には、見覚えのあるものがあった。
板門店である。いやウソの板門店である。
ホンモノよりは小さい。そりゃ当たり前か。全体的にちゃちい。
そして人が少ない。がらんとしている。週末は人気という話であったが、ウソである。
また軍人の役者もいない。週末には配置しているという話であったが。
いくらセットとはいえ、見た目は板門店である。
ではさっそく、ホンモノではできないことをしよう!
まず会議場に入り、「北側」のドアから出る。やった!北朝鮮だ!ウソである。韓国だけど。
次は38度線突破だ!越えに越えられぬコンクリートのラインをあっさりと越える。
その次は北側の建物から板門店を見てみよう!
コンクリートの階段を上っていく。
下の方に見覚えのある板門店の逆の姿があった。うーんこういう風に見えているのか。なるほど。
しかしホンモノってこんな高台にあったっけ?後ろにこんなに山があったっけ?
あとせっかくだから会議場の南側と北側、両方に座ってみよう!
こんなこともホンモノじゃできないぞ!
最後は「JSA」ごっこ。ちゃんとブツは用意してきた。(以下、映画を見た人だけお楽しみ下さい) まずは「赤い帽子」ですね。あー北側に!
横の家族があきれた顔をして「38度線」を越えていく。
さらには「エンゼルパイ」。やっぱりまるごと食べてやる!
なアホなことで人騒ぎをする。
しょせんはウソものである。
でもこう騒いでいると、ホンモノの板門店も巨大なセットのように思えてくる。もしかしたら。
次は「中小都市セット」。
「新装開業」という映画のセットらしい。しかしこの映画、見ていない。しかもとっておくほどの映画だろうか? まあいいや。
がらんとしたさみしいセットを抜ける。
街は、、、この赤いひらひらは見覚えがある。うーん清涼里の近くにあるあれではないか。
そんなのをわざわざセットでとっておいて、いいのだろうか?
確かにホンモノはなかなか撮影できないだろうけれど。
ここは家族連れもカップルもやってくるいちよ「テーマパーク」なのである。
で、かんじんの「新装開業」のお店が見つからない。
そういえば入口のところに「キムキドク監督・悪い男」の撮影開始という垂れ幕があった。
中小都市セットの奥では工事も行われていた。これからクランクインだろか。
ここで気が付いた。
もしかしたら、もうこの新しい映画用にセットを作り直してしまったのではないだろうか?
それはありえる話である。
そうすると公開前の映画セットをのぞいた、ということになるではないか?それはそれでうれしい。

(後編に続く)

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日 :2001-10-12

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