ソウルからぶらり鉄道の旅~半島横断編

ソウル鉄ちゃんの旅、その1~中央線、忠北線に乗って半島横断!ぐるっとまわってきました~

鉄道ファンなのに韓国に来てからあまり鉄道に乗っていない。でも最近読んだ鉄道本に触発され、久しぶりに1日鉄道に乗りたい!それもいつも釜山に行くだけのKTXではなく、行き先もなくただソウルから脱出したい!さっそく時刻表(シガッピョ)とにらめっこ。まだ乗ったことがない線を探しました。ということで今回の目標は忠北(チュンプク)線。ソウルから1日往復の旅を目指します。ではさっそく出発!

<今日の旅>
コース予定:
清涼里−(中央線)−堤川−(忠北線)−鳥致院−(京釜線)−ソウル
予定時間:約7時間
朝10時半。まずは国鉄清涼里(チョンニャンニ)駅へ。こちらの駅も民間資本で竜山駅にみたいに新しいビルになるようです。
さっそく2Fにあがり、切符売り場へ直行。今日の切符を購入します。韓国では切符は列車ごとに買います。今日のコースでは3枚の切符が必要に。

A.ムグンファ号で清涼里から堤川(チェチョン)まで。
B.ムグンファ号で堤川から鳥致院(チョチウォン)まで。
C.ムグンファ号で鳥致院からソウル駅まで。

3枚とも清涼里駅で買うことが出来ます。鉄道の旅ばればれの日程でちょっとはずかしけれど、時刻表を片手に窓口へ。おそるおそる3つの希望を告げます・・・横にいる客も怪訝そうな顔でみています・・・でもそんな外国人も意外といるようで?窓口のお姉さんは不思議がらずちゃんと発券してくれました。ただ1つ目と2つ目は無事買えましたが、3つめは満席。キャンセルがでるかもしれないから鳥致院駅でまた聞いてみてくださいとのこと。乗り換え時間が7分しかないけど大丈夫だろうか・・・いざとなったら大田まで行ってKTXに乗ろうかな・・・とあれこれ思案。

最初の切符!切符には
乗車券
清涼里 > 堤川
08月19日11:00 > 13:26
ムグンファ 1605列車 一般室 2号車57席
運賃料金9600 割引金額0 領収額 9600
とあります。
鉄道の旅は腹が減る・・・ということで乗る前に駅の売店でおにぎりとパンを購入。出発15分前になり、改札をくぐります。といってもぱちん、と改札がはいるわけでもなく、係りの駅員がチケットをちらっと確認するだけ。
いつもとは違う、跨線橋を渡ります。これだけでドキドキ。一挙に旅の気分モードになります。

いつもとは違う、跨線橋を渡ります。これだけでドキドキ。一挙に旅の気分モードになります。

ホームにはこれから乗る列車が既に入線していました。「11:00発、安東行き」。

ホームにはこれから乗る列車が既に入線していました。「11:00発、安東行き」。

案内板には英語表示もあり。

案内板には英語表示もあり。

ちょっとレトロな標識版。KTX時代にも健在です。

ちょっとレトロな標識版。KTX時代にも健在です。

さっそく車内に乗り込みます。久しぶりのムグンファ号。感想は「やっぱり通路が広い!」KTXはなんかいつも狭い感じがしたのですが、やっぱりこのムグンファに慣れていたからですね。座席もゆったりしています。ほぼ席も埋まっていました。

A. <清涼里11:00−>堤川13:26(中央線)>

11時2分、ちょっと遅れて清涼里駅を出発。最初はそろそろ、ソウル市内をゆっくりすすみます。この区間は最近徳沼(トクソ)まで電鉄区間が開通したこともあり、駅はどれも新しいです。もちろんどの駅も通過。防音壁でよく町が見えません。
トンネルを抜けてソウルのお隣り、九里(クリ)市に入ります。このあたりはすっかり郊外の住宅地、あたりこちらににょきにょき団地だらけ。それが電鉄の終点駅である徳沼まで延々と続きます。
出発から15分。ようやく田園風景が見えてきました。ああソウルを脱出した!思えばここ数ヶ月、ソウルの町中をずっとぐるぐるまわっていた気が・・・久しぶりの田園風景。心にしみました。
やがて右手に大きな川、漢江(ハンガン)が見えてきました。カフェもいくつか見えます。このあたりは有名な漢江沿いのカフェ通りのよう。ここに駅が出来れば、カフェへ電車で行けるのに・・・
漢江を渡る橋が見えてきました。バイク仲間が集まっているのが見えます。

漢江を渡る橋が見えてきました。バイク仲間が集まっているのが見えます。

川向こうに団地群が見えてきました。位置的に見ると河南(ハナム)市のよう。川の向こうに巨大な団地群。ソウルはまだまだ近い。しかし壮観です。

川向こうに団地群が見えてきました。位置的に見ると河南(ハナム)市のよう。川の向こうに巨大な団地群。ソウルはまだまだ近い。しかし壮観です。

しかし鉄道ファンとして気になるのは線路沿いの工事。徳沼を過ぎても工事の現場が見受けられました。電鉄区間は徳沼からさらに延長するようです。
列車は漢江のすぐ横を走ります。
右手にダムが見てきました。漢江にかけられた八堂(パルダン)ダムのよう。車窓から見るダムも圧巻です。このダムは北漢江と南漢江の合流点にもなっています。
やがて列車は川を渡ります。この川は北漢江のよう。どこかで見た水郷のような光景・・と思ったらここはヤンスリでした。昔、南楊州の撮影所へ足を伸ばしたときにここまで来た覚えが。
車内販売はおじさん。いつ小腹が空いても大丈夫です。コーヒーやお菓子、ジュース以外に、鬱陵島の魚の干物も売りに来ます。はす向かいの席の家族は大量に買い込んでいました。安東まで行くようです。
窓からは韓国の田んぼが見えます。韓国の田んぼは日本のようにまっすぐ直線ではなく、自然のまま曲がったままの田んぼが多い気がします。

先日昔の建物を見てまわったせいか、沿線から見える家が気になります。見ると古そうな家がいっぱい・・・原州の街でもかたまって見えました。いつか途中下車して歩いてみたい。

途中、ローカルな駅をいくつも通過。
最近はこの「簡易駅」が郷愁を誘うということで、韓国でひそかなブームだそうです。
ときどき、工事中の橋脚が見えます。ソウルからかなり離れているのに、ここまで電鉄区間を延長?中央線はいま全面的に線路改良をやっているようで、曲がった古い線の部分を直線に付け替える工事をすすめているようです。そういえば使われなくなった線路が時々車窓から見えました。山裾を地形に合わせて曲がりくねりながらゆっくり進むのもいいものなんですが。
列車は山を越えて行きます。トンネルを抜け、川を渡り、渓谷に沿って進みます。渓谷には多くの人が川遊びに来ていました。今日は韓国でも久しぶりの日差し。川で泳ぐ子供、川縁でキャンプをする家族連れなど、のんびりした日曜日の風景がスピードを出さない列車からよく見えます。また渓谷だけでなく町中に近い川でも川遊びをする姿も。川辺を歩く牛の姿も見かけました。
途中、楊坪(ヤンピョン)、龍門(ヨンムン)、原州(ウォンジュ)に停車。
13時30分、予定時間をちょっと過ぎて堤川(チェチョン)着。
駅出口の改札にはだれもいませんでした。

堤川駅での乗り換え時間は30分。残念ながら市内を回る時間がない・・・急いで駅の周辺をうろうろ。ところで堤川ってどんな町?見たところ丹陽観光の拠点の1つのよう。
パクタリとクムボンイの銅像。奥に駅前ののんびりした通りが見えます。いつかのんびり歩いてみたいです。

パクタリとクムボンイの銅像。奥に駅前ののんびりした通りが見えます。いつかのんびり歩いてみたいです。

こちらは駅前の商店街、なぜか日本の地方都市にある商店街みたい。

こちらは駅前の商店街、なぜか日本の地方都市にある商店街みたい。

この駅前スーパー。いい味出しています。

この駅前スーパー。いい味出しています。

堤川駅で再び鳥致院からソウル駅までの切符を聞いてみました。50分後なら平澤から座れる席があるそう。でも50分待つとソウルに着くのが遅れます。ここではパス。それにしてもKORAILの窓口、どこでも応対が良くなりました。

B. <堤川14:00−>鳥致院15:49(忠北線)>

いよいよ今回の目的?初めて忠北線に乗ります。発車15分前に改札があき、人々が次々と入っていきます。今度はおやつのためキオスクでまんじゅうを買い、やや遅れて改札へ。ところがもう改札に乗務員がいません。ノーチェックで乗り込みます。

改札の案内には4番ホームとあり、4番ホームに行きました。ところが4番ホームには列車がない。誰もいない。急いで列車が止まっていた2番ホームに行ってみると、はたして大田行きの案内板が。駅にいた乗務員にも確認。変更されたようです。
再びちょっとレトロな案内板。今回のムグンファ号、堤川発大田行きです。

再びちょっとレトロな案内板。今回のムグンファ号、堤川発大田行きです。

次の切符!

次の切符!

車両は全部で4両。車内は木目調で意外ときれい。席は満員です。ちなみにこちらは車内販売がないとのこと。堤川駅で買うようにとのアナウンスがありました。
14時、ほぼ定時に出発。ムグンファ号は最初の加速感がたまりません。隣りの駅、鳳陽(ポンヤン)まで中央線を戻り、駅を過ぎて中央線と分岐、忠北線に入ります。驚いたのは忠北線の方が中央線よりも路肩もキレイで、しかも複線だったこと。中央線の方が幹線だと思っていたのに・・・これはソウル駅から忠北線を通って中央線に入り、安東に向かうセマウル号があるからでしょうか?それとも大田と江原道を結ぶ重要な線だからでしょうか。

列車は再び山を越えて渓谷を過ぎ、誰も降りないような駅、公田(コンジョン)に止まります。
鉄道は川とお友達。堤川川沿いに列車は進みます。トンネルを抜けると再び大きな川を渡ります。これは南漢江。今日は漢江をいくつも渡ります。
今回の旅のおとものおまんじゅう。お昼がわりにぱくつきます。
牧杏(モクヘン)という不思議な名前の駅に止まり、14時35分、沿線でも大きい町の忠州(チュンジュ)駅に到着。ところが町が見あたりません。通り過ぎてから見えた街は
「え、忠州ってこんなに小さな町?」

車窓からは強い日差し。みんなカーテンをひいています。少しでも車窓から外を見たい自分は少しだけひいておきます。迷惑な人間です。
しかしこのあと記憶がない・・・気がつくと寝入ってしまいました。不覚。
この間、周徳(チュトク)、陰城(ウンソン)、曽坪(チュンピョン)に停車。めずらしい空港の名前がついた清州空港駅も見逃してしまいました。
そして目が覚めると広~い田園風景が広がっていました。
梧根場(オグンジャン)というまた変わった名前の駅で意外と人が降り、15時37分、また大きな町の清州(チョンジュ)駅着。ところがこちらも町が見あたらない。どうも駅は清州の町のうんと外れにある様です。
清州を出ると鳥致院はすぐ。もう眠らないようにします。
15時51分、清州からあっというまに乗り換え駅の鳥致院駅に到着。
眠ってしまったのはもったいなかったけれど、列車で寝るのは気持ちいいもの。
多くの人はそのまま大田まで向かうようです。ここから大田まであと30分。

定刻から2分遅れ、しかも次の切符はまだなし。さらに乗り換えまであと7分、大急ぎで鳥致院駅を出て(また誰もいない)、切符売り場に向かいます。
「次の列車はありますか?」
やっぱり切符は売り切れ。しかたなく立席に。1時間半だから立っていってもいいか。でも乗り換え時間がもう3分しかない。間に合いますか?
「大丈夫です。5分ぐらい遅れてますから・・・」
いつもの遅延で助かりました。
というわけで鳥致院駅の町、全然見られず。こんなことなら1時間遅らせて町でも見物すればよかったととっても後悔。ちょっと歩いてみたくなる駅前でした。

C. <鳥致院15:56―>ソウル駅17:28(京釜線)>

5分遅れてくるはずの列車がなかなか来ない・・・急いだのはなんだったんでしょう・・・

5分遅れてくるはずの列車がなかなか来ない・・・急いだのはなんだったんでしょう・・・

ようやくやってきた列車に乗り込んでもまだ動かない・・・結局10分遅れで鳥致院駅を出発。

ようやくやってきた列車に乗り込んでもまだ動かない・・・結局10分遅れで鳥致院駅を出発。

立席の切符です。なぜか号車が指定されています。号車が指定されているのでこの車両は自由席?と思い、次の駅に降りる人で空いた席にさっそく座ると、どうも雰囲気がおかしい。隣りの人に聞いてみると、実はこの車両も指定席。つまりこの列車には自由席が無く、立席とは本当にずっと立っていかなければならない席だったのです。それは気がつかなかった・・・

車両は当然満席。立ってる人も多い。日曜日の夕方はソウルに戻る人が多いみたいです。
通路の取っ手をつかみ、ぼおっと立っていきます。ただ通路が広いので立っていてもあまり気になりません。

窓から見る景色は最初は田舎の風景、やがて団地が見えだし、天安(チョナン)を過ぎると横は電鉄区間、おなじみの地下鉄1号線の車両が走っています。
平澤(ピョンテク)を過ぎ、水原(スウォン)が近づくと巨大な団地群が目の前に次々現れ出しました。このあたりはすっかりソウルの通勤圏。
気がつけば立っているのは私だけ。みんな空いている席にすわっていたようです。
永登浦駅を過ぎてようやく自分も座れました。
最後の漢江を渡ります。今日3回目の漢江。
17時41分、定刻より13分遅れてソウル駅に到着。
6時間半かかった半島ミニ1周、無事ゴールです。

<では今日の金額>
清涼里−堤川:9600ウォン
堤川−鳥致院:7700ウォン
鳥致院−ソウル:6900ウォン
合計 24200ウォン
全部急行(ムグンファ号)に乗りながら、結局3000円ぐらいでまわってきてしまいました。青春18きっぷまではいかないけれど、やっぱり安い?これからもこんなソウル発のちょっと汽車旅、行ってみようと思います。ソウルにいらっしゃる鉄ちゃん&鉄子の皆さんもいかがですか?

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-08-31

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