谷みつのソウル特派員レポート・第3回「結婚写真」

ソウルの空は、もうすっかり夏。
Tシャツにサンダル、そしてサングラスを掛けた人々が街に溢れてきた。こんな天気の良い日には、のんびりと歩きたいな。
緑の少ないソウルでしかも市の中心部に、多くの木々に包まれた多くの故宮が点在している。『徳寿宮』には美術館、『景福宮』には民俗博物館があり、美しい庭園「秘苑」のある『昌徳宮』など、韓国の伝統文化に触れるためには是非訪れたい所ばかりだ。
初めて『徳寿宮』を訪れた時は、少し違和感があった。『徳寿宮』の外は普通のソウルの町並みなのに、一歩『徳寿宮』の中に入ると、もうそこは別世界。ぽっかりと空間が空き、同じソウルの空気なのに『徳寿宮』の中は何か空気が違う感じがした。それに故宮の向こうにはビル群が立ち並び、古い物と新しい物が混在しているソウルならではの光景のような気がした。
韓国人にとってこの故宮、文化財だけでなく「憩いの場」である。家族揃ってキンパプを持って来て食べたり、木陰で昼寝をしたり。走り回っている子供たち、ひたすら話をしているおばざん、囲碁をしているおじいさんたちの姿も見られる。それに二人仲良く手を繋いでデートをしているカップルも。
そして何よりも目を引かれるのが、結婚アルバム写真を撮っているカップルの姿。特に春から夏にかけては韓国でも結婚シーズンなので、景色の美しい故宮で野外記念撮影をする姿が多く見られる。撮影をしている未来の夫婦が、あっちにもこっちにも。あまりに多過ぎて、一生分の花嫁さんを見たかと思うくらい。それと、日本ではあまり見られない、韓国メーク、それに輪を掛けたようなばっちりメークなので、初めて見たときには、一般人の花嫁さんには見えなかった……。
でも、撮っている方は一生に一度のことだから真剣そのもの。頬をくっつけあったり、遠くから見詰め合ったり。この結婚アルバム、出来上がると電話帳2冊分はあるかと思われる分厚さで、内容は盛りだくさん。そしてこの結婚アルバムからのベストショットは、畳半畳ほどに拡大され新居のリビングに飾られるのだ。新居を訪問した人たちをもてなすのがこの結婚アルバムとドデカイ結婚写真。気合いも入るはずである ^^; 。
少しショックなのが、花嫁さんたち。きれいなウエディングドレスを着ている下に、なんとジーパンやスニーカーを履いていて、ドレスを捲り上げての移動中それが見えてしまう。たとえ写真を撮るだけでも、せっかくきれいなドレスを着ているのだから、ドレスの下もきれいにして欲しいな。
でも、撮影している花婿さんの花嫁さんを見る優しい眼差しと、喜び一杯で誇らしい表情の花嫁さんたち。出来上がった写真よりも、ドレスよりも、二人の表情が一番きれいだ……。

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記事登録日:2000-06-07

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