谷みつのソウル特派員レポート・第4回「キョンドン市場へ」

バスを降りると、不思議な匂いに包まれた。
今日、私が来た場所は、ソウルの東側、チョンニャンニ駅の北に広がる「キョンドン市場」である。「キョンドン市場」は東西に大きく二つに分かれており、西側はソウルで最も有名な漢方薬市場で、東側は一般的な市場だ。
私がまず降り立ったのは、西側の漢方薬市場。漢方薬局が軒を並べている市場だ。薬局では、お客さんの症状を訊いてから、その人に合わせた漢方を作ってくれるそうである。
漢方薬局の店先には、漢方の原料が大きな袋に入れられ、歩道に溢れんばかりに山積みされている。見た目は、枯れたただの葉っぱや枝にすぎないけれど、そこからは不思議な香りが。
見慣れないものが多い中、一つ私でも知っているものを見つけた。干からびたヨモギ。ヨモギも漢方薬になるんだ。フーン。葉っぱや枝に混じって、何の角だろう?鹿かな?1本や2本じゃなく、何十本もの角が無造作に店先に積み上げられている。壁に掛かっている鹿の角しか見たことがないのでビックリ。にしてもこんな角をどうやって薬にして、どんな効果があるんだろう。
店の中をよく見てみると、葉や枝を粉にしたり、漢方専用の大きなポットみたいなもので薬を煮出している。何十軒もある薬局それぞれから、様々なにおいが漂い、市場全体を漢方のにおいが包んでいて、この漢方のにおいを吸っているだけでも元気になりそう。
次は、西側にある食材の市場。
今はニンニクの季節。こちら側ではニンニクの臭いがプンプン。ニンニクを売っている、と言ってもこれが半端ではない。茎が付いたままのニンニクが店先に山積みになっているのだ。こんなにたくさん個人では買えないだろう、と思っていたら、アジュンマ(おばさん)が一人で何束ものニンニクをお買いあげ。一体、あんなに沢山一家でどうするんだろう……。韓国のニンニク消費量の多さを物語っているな。
また、今の時期の市場には、スイカや、チャメ(マクワウリ)がこれもまた山のように売られている。スイカは大人の頭くらいの大きさで、一玉 2000~3000ウォン。すごく安い。それに、アジョッシの呼び込みのかけ声を聞いていると、その声に引き寄せられ、つい買ってしまった。
もしかしてこれは?!  
この大きさ、この形。イヌ肉?
やはり、うわさに聞くイヌの肉でした。イヌの肉って赤いんだ。フムフム。 それにしても、市場にはイヌの肉もこんなに無造作に売られているんだな。
市場に来ると、一人暮らしなのに、考えていなかったものまで沢山買ってしまう。何でもあるし、安いし、市場の雰囲気は楽しいからね。
よーし、今度来たときは漢方薬局で何か買ってみよう。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2000-06-21

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