谷みつのソウル特派員レポート・第21回「あなたなら、どうする?」

韓国も日本に負けず劣らず連日の真夏日と、突然訪れた豪雨でみんなぐったり…、と思ったら周りの韓国人の友達たちは元気。私だけが夏バテでグッタリしていた。
この、元気の秘訣はどこにあるのかと見渡すと、やはり「食」にあり。
『ソウルトピックス(13)三伏』にあるように、ケジャングッやサンゲタンを食べてスタミナをつけていたのである。
といっても、ケジャングッでスタミナを付けるのは、男性やアジュンマ(おばさん)たち。若い人女の子たちは「ケジャングッを食べたい」とか「ケジャングッを食べた」なんて絶対に言わないし、どこかに言えない雰囲気が。
どんなに「民族伝統的な食べ物」といっても、「犬を食べる」といえば少しイメージ的に問題があるよう。特に、花も恥じらう乙女にとって『犬肉』のうえにスタミナ料理(精力剤)というイメージまであると、二の足を踏むのもうなずける。
しか~し、そう言っているのも結婚前まで。結婚すると、どんなに若い人でもアジュンマになってしまうのが悲しい現実。
夏になるとアジュンマの口から「昨日は犬の肉食べたよ」というのに留まらず「毎年何度も食べますよ」という発言も飛び出すほど。アジュンマ・パワーの源はここにあったのね。
ナーンテひどい事ばかり言ってるけど、現実に犬の肉はおいしいらしい。 「鶏肉だ、と言われて騙せれて食べた」という話をよく聞くぐらいだから、肉の味は鶏肉に似ているのかな? それに、食べ始めると1人が二人前くらいはぺろりと平らげるくらいの味だともきく。私の周りで一番たくさん食べた人は一度に三人前。本当においしいんだろうな。
ケジャングッを食べようか、食べまいか。ウーン。
選択の帰路に立たされた私であった。が……。

暑い中、山奥の釣り堀で釣りをしていると、どこからか悲しげな犬の鳴き声が。一緒に釣りをしていた友人が「あっ、あの家は今日ケジャングッだ。」
また朝早く、近所から絹糸を引き裂くような犬の鳴き声が。この日から、近所のある一軒から犬がきえた……。
やっぱり恐くて食べれない。
牛や豚を食べるのと一緒だ、とは言うけれど、どうしてもどうしてもケジャングッだけは食べられない。「牛タンが食べられて、ケジャングッが食べれないなんておかしい」という韓国人のあなた、あなたは正しい。でも、やっぱり食べれない!!
こんな私に「一度食べたら絶対病み付きになるから」と、ケジャングッを食べに連れていこうとする友人と、それを阻止しようとする私の攻防が今年もこうして繰広げられるのであった。
でも私は知っている、ケジャングッのお店の看板には「ケジャングッ」ではなく『ヨンヤンタン(栄養湯)』と書かれていることを。騙されないぞ。
さあ、あなたならケジャングッ食べる??
おまけ:今年はもう既にサンゲタンを2回も食べました(おいしかった)。胃腸を悪くしてたら友達が連れていってくれました。調子が悪い時に食べると、特にいいみたいです。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2001-07-21

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