谷みつのソウル特派員レポート・第22回「ソウルの夕涼み」

前略
ソウルナビを御愛読の皆さん 如何お過ごしでしたか?
お久しぶりです。
夏休みにソウルへ旅行に来られた方もいらっしゃるのかな? 私といえば……海外旅行はもとより国内旅行もどこにも行けず、暑いソウルに閉じ込められていました。ホントウに学校→家→学校の毎日。トホホホホ。
こんな生活にグッタリしている時、仲良しのオンニ(お姉さん)が 「漢江(はんがん)に行こう!!」
ソウルを東から西に流れている漢江の両岸には公園が多く、プールやバスケットコート、自転車道などがある。
また、広い公園では番組の公開録画が行われたり、春は花見の名所、夏は花火大会などが行われたりと、イベント会場としても利用されている。
そして、7月8月の熱帯夜のニュースとともに登場するのもこの漢江の公園。
今年もソウルの夏は暑かった。
ニュースで聞く東京ほどではなかったけれども、日中はもとより夜になっても気温が下がらず、大陸性気候のわりには不快指数も高くて寝苦しい日々が続いた。
そんな夜、ソウル市民が夕涼みをするのが漢江なのである。
暑い夜に漢江に行くと、こんな夜にどこからこんなに人が集まったんだろう、というくらいの人がござを敷いて寝転んだり、川岸の堤防に座ったり思い思いに夕涼みをしている。
恋人同士もいれば、家族連れもいたり、会社の同僚らしい団体も楽しそうに宴会をしている。
私たちも、準備していたござを敷き、ビールとビーフジャーキーを両手に座り込んだ。
夕涼みをしに来る人たちを相手にしている売店で買ったのだけど、ビールが1缶・2000ウォン(200円)は高いな。
でも、河から吹き上げてくる涼しい風に、冷えたビール。おいしい。
私たちが陣取った席は、ヨイドの63ビルディングの下。
対岸は江北なので遠くに南山や南山タワーが見える。
漢江にはときどき遊覧船が通り過ぎ、遊覧船のネオンが漢江に反射する様子はまるで絵の様だ。ホントに絵みたい!! 漢江の夜がこんなに奇麗だったなんて知らなかった。
いい気分で寝転んでいると、どこからか歌声が……。お酒に酔ってるのだろうか???おじさんが河に向かって大声で失恋の歌ばかり歌ってる。それも音楽無しで。ウーン、相当痛手の大きい失恋をしたんだなあ(涙)。
自転車道では自転車やインライン・スケートをはいて走っている集団が次々に通り過ぎて行く。
私の知り合いも、夜な夜な漢江でインライン・スケートで走っている一人だ。
夜中の12時ぐらいまで、シャー・シャーと走り、それから一緒に走っている友達とお酒をのみ、そのまま漢江の橋の下で眠り、またまたそのまま会社に出勤するという。すごい生活をしているらしい。
シンデレラではないけれど、12時を過ぎたころから、1組2組と家に帰って行く。
この時間になると、やっと風も涼しくなってくる。私たちもそろそろ。
みんな家に帰ってどんな夢を見るのかな?
それと、お酒を飲み過ぎて橋の下で寝ているおじさん達。一体、どんな夢を見ているのだろう。
ああ、こうしてソウルの夏の夜はふけてゆくのであった。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2001-09-05

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