タンタンのソウル風景イゴッチョッ・第5回「行って来ました、ワールドカップ!」

行って来ました、ワールドカップ!私が観戦したのは6月29日、大邸で行われた韓国vsトルコの3位、4位決定戦。
ソウルから大邸まで車で約5時間。到着する頃にはさすがにばてばて。でも競技場に近づくにつれ太極旗で装飾した車がちらほら。「お~、やっぱりワールドカップだ~!」と単純な性格も手伝ってすっかりお祭り気分に。
車を駐車させ、競技場までてくてく歩くその道のりは・・・まさに赤の波!どこもかしこも赤いTシャツを着た人々で埋まってました。キムバッを売る人、スティッカーを売る人などなどがお祭り気分をいっそう盛り上げていました。
何といっても私が一番びっくりしたのは赤い波の中で必死に声を張り上げる宗教団体。「再臨イエス」と書かれたプラカードを手に口々に何やら叫んでる。ワールドカップと宗教団体、何ともミスマッチな取り合わせ。でもまあ、これだけの人が集まるワールドカップは布教の良い機会だよな~なんて考えつつも余りの騒がしさに意識が朦朧、熱気で頭がぼ~っ。
やっとの思いで会場前に到着したらなんとそこには騎馬警察の方が!凛々しくお馬さんにまたがるその姿はかっこいい~の一言。パパが小さな子供に「ほら、見てごらん。お馬アジョッシ(お馬のおじさん)だよ。」・・・お馬アジョッシ・・・せっかくの騎馬警察もこれじゃあ、、、
青い日本のユニフォームを着た日本人の姿も結構みかけました。韓国人の高校生らしい男の子が「こんにちは」なんて日本語で彼らに話しかけてる姿は本当に微笑ましかった。内心、反日感情の残るこの国で日本のユニフォームを着ちゃって大丈夫?なんて心配てしたのですが、それも杞憂でした。
また私と一緒に観戦した韓国人の大学生は、右頬に太極旗を、左頬に日の丸のペインティングをほどこしてました。これを見たときはと~っても嬉しかった。だって韓国人が日の丸のペインティングをするなんて今まではとっても考えられなかったことですから!理由を聞いたら「日韓共同開催だし、日本に行ったときに日本人にとっても親切にしてもらったから少しでも恩返ししたくて。」単純にうれしかった。うれしくてうれしくて顔はニタニタくずれっぱなし(もともとくずれてるけど・・・)。
わくわく胸を躍らせながらいざ、競技場内へ。実は一緒に行った友達と私の席があっちとこっちって具合にかなり離れてたんです。誰か席を替わってくれる人がいないか1時間くらいあちこちで交渉したのですが、これがなかなか難しい。どうしようか・・・と途方にくれる私達をみかねてかある韓国人男性が一緒に交渉してくれました。私達と何も関係もない人が心配してくれて、いろいろ声をかけてくれる・・・その優しさに感動し、こんなに親切な人に出会えたんだから席はばらばらでもかまわないわ、と思ってしまいました(結局、ラッキーなことに空席があったのでそこに座ることができました)。
いろんな理由で今回のワールドカップは失敗だったという声も一部で聞かれますが、一概にそうとも言えないような気がします。日本が得点を入れるとブーイングをしたり、負けたときには拍手喝采をした韓国人の姿も実際に目にして、そのたびに深い絶望感に襲われもしたけれど、今回、ワールドカップ競技場で出会った韓国の人たちの姿を見てあきらめちゃいけない、という思いを新たにできました。試合終了後、トルコの選手が観客席に向かって挨拶をした時に観客がおくった惜しみない拍手、怒涛のようなトルココール、試合に負けはしたけれど相手を讃えるその心にも感動しました。
いつの日か、何年かかっても何十年かかっても日本と韓国もこんな関係になれたらいい・・・・と心から願いつつ、競技場をあとにしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-07-10

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