タンタンのソウル風景イゴッチョッ・第8回「チャレンジ!ケコギ(犬肉)」

遂にケコギ(犬肉)を食す機会がやってきました!ず~っと長いこと犬だけはヤダ~、ダメ~と言ってきたのですが、周囲の「ケコギも韓国の食文化」という声におされ、韓国にいる間に一度くらいは食べてみようかな、という気持ちがムクムク。でも韓国人ならみんな犬を食べるというわけではなくて、特に若い女性には敬遠する人が多いとか。今回、一緒にケコギを食べに行った20代後半の男子学生の彼(※単なる友達)もケコギ初挑戦とのこと。今まで食べなかった理由を聞いたら「どうも犬、ということに抵抗感がある」とのお返事。でも最近、どういう心境の変化からか一度くらいは食べてみようと思うようになったらしく、2人いそいそとポシンタン(補身湯)屋へ向かったのであります。
お目当てのポシンタン屋は住宅街の中にありました。一際目立つ黄色い「ポシンタン」の看板を見つけ、いよいよその時が来た!とかなりドキドキ。お店に一歩足を踏み入れるとそこは飲めや歌えやの大盛況(正確にはだれも歌ってはいませんでしたが・・・)鍋を囲んで一杯やってる陽気なアジョッシ達の姿に、それまでの想像が覆されてしまいました。というのもポシンタン屋にはどことなく暗くて陰欝な雰囲気が漂ってる、というイメージがあったんです。その長いこと持っていたイメージがガラガラと音をたてて崩れていきました!何!?この明るさは?!陽気さは?!「雰囲気明るいね」と馬鹿みたいに感想を洩らしながら席に着きました。

席に着いたところで何を食べようかメニューとにらめっこ。スユク(茹で豚、もとい茹で犬)が美味しいというのを前々から耳にしていたのでまずはスユクを注文。あとは汁物ということでチョンゴル(鍋)を頼みました。
店内の明るい雰囲気にホッとはしたものの、やっぱりこれからケコギに挑戦!と思うとなぜか落ち着かない。緊張ともの珍しさからあたりをキョキョロ。どのお客さんも美味しそうにケコギをパクパク。そんな様子を見ていたらどんなに外国から非難されてもケコギはなくならないだろうな~という思いが・・・。1988年のオリンピックの時、外国の目を気にしてケコギのお店はポシンタンと名前を変え路地裏へ姿をひそめてしまったそうです。しかし現に今、こうしてケコギを囲んで談笑する人々が存在するってことは犬食は韓国の立派な一つの食文化として定着しているってこと。
そんなことを考えていたら一緒にいた学生がこんな話をしてくれました。なんでも現在、ある国会議員が合法的な屠殺場を作ろうと主張しているんだそう。合法的な屠殺場がないのにも関わらずケコギを食べる人は後を絶たない。その結果、犬泥棒が現われるし(実際に韓国では夏になると犬が盗まれることがあるそうです。その学生も実家で犬を3匹飼っていてそのうち2匹が盗まれたそう)屠殺する際の衛生面にも問題がある。これを解決するのには合法的な屠殺場が必要だというわけ。なるほどね~。ただ現実問題として実現は難しいというのが彼の見解。やっぱり外国の目が気になるんでしょうか?なんてことを話しているとお待ちかねのケコギが遂に登場!!!
チョンゴルとスユクを前に興奮は最高潮に!まずは焼酎で軽く乾杯してからチョンゴルに挑戦。かなりエゴマの味がきいてる。エゴマのほかにもニンニクがたっぷり。これがウワサの臭み消しね、と事前に仕入れた知識を確認。まずはスープを一口。感想はカムジャタンの味そのもの。かなりいけてます。次に恐る恐る肉を口に・・・とお箸でつまんだもののなかなか勇気が出ない。見た目は少し赤黒い感じ。じろじろ観察した後にフンッ!とばかりに口に放り込みました。「柔らかい」「臭みがない」「美味しい」これが素直な感想。
お次は美味しいと評判のスユクにチャレンジ。見た目はポッサムの茹で豚ってとこかな。チョンゴルで免疫ができたのかこちらはスムーズに口に運ぶことができました。肝心の味は、というとこれがすっごく美味しい!そしてすっごく柔らかい!かなり驚きの柔らかさ。初体験の柔らかさにただただびっくり。脂身が均等にお肉に混ざっているのが柔らかさの秘密なのかしら?脂身っていってもそれがまた全然、油っぽくないから不思議。
柔らかい、脂っこくない、臭くない、と三拍子そろって正直、かなり美味しかったです。
初挑戦のケコギ。確かに美味しかった・・・でもやっぱり犬肉に対するイメージというものはなかなか消えないみたい。美味しいんだけど「これは犬」という意識が常に頭の中にあって、かすかな抵抗感があったのも事実。スユクの柔らかさに感激しながらも今まで味わったことのない食感に「あ~、やっぱり犬なんだ」って思ったりして。韓国の食文化の一つとして評価はするけど、それを素直に受け入れられるかというとこれはまた別問題。人間の意識ってそう簡単には変えられないみたいですね。初めてのケコギ、かなり強烈な異文化体験、といったところでしょうか。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-08-26

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