みぽりん@そうる.com・第16回「韓国は習いごと天国~『ピアノ学院』の巻」

第16回「韓国は習いごと天国~『ピアノ学院』の巻」

韓国の教育熱のすごさは日本でも有名とは思いますが、お稽古事の現状はあんまり知られていないと思うので、今日はそちらに焦点をしぼってレポートしてみようと思います。
「学院」とは韓国語で「ハゴン」と読みますが、日本で言うところの「塾」「習い事」「~教室」だと考えたら間違いないと思います。イングリッシュスクールは「英語学院」、お絵描き教室は「美術学院」、お習字塾は「習字学院」といいます。一般には専用のスペースをレンタルして経営している所を「学院」と呼び、個人の自宅で教えている「個人レッスン」とは区別します。大体レッスン費は学院が個人レッスンより安くて半額くらいではないでしょうか。
韓国の小学生の女の子が一番良くする習いごと、「ピアノ」。ご多分にもれず、私も娘たちにピアノを習わせていますが、こちらでピアノを習わせるときには、普通どのようにしているのか?お教えしちゃいましょう。
韓国の小学生が一般に通うピアノ学院。学院の中には小部屋が五つくらいあり、この部屋の中には各々一台ずつピアノがあって、子供達が練習出来るようになっています。そう。。。。音大に行くとレッスン室というのがあると聞いたことがありますが、そんなようなものだと思ってください。子供達は放課後空いた時間に自由にピアノ学院に行き、この小部屋に入り、練習をするのです。そして毎日先生が練習をしたかしないか、チェック表をチェックをしてくれるのです。
このチェック表は一曲当たり10個ずつ丸があって、一回弾いたら色を塗ったり、シールを張るという仕組みになっています。一人当たりの練習時間は45分程で、練習が終わると先生を呼んで、もう一回チェックをしてもらい、さらに週に3回くらい先生がおさらいをしてくれます。実技の練習だけではなく、筆記のお勉強も見てくれるので、音楽の成績もぐんぐん上がるので、人気トップの習いごとではないでしょうか。月曜から金曜までの毎日(!!)通うのが基本なので、学院にしっかり通いさえしたら、3年くらいでチェルニー30番くらいまでは弾けるようになってしまうのです。
さてこのピアノ学院ですが、何と言っても自宅にピアノがなくてもある程度まではピアノを習うことができるという素晴らしい利点があります。その上、母親が「練習しなさい。練習したの??」と煩くチェックしなくても、ピアノを習わせることが出来るので、お母さんは超超楽というこれまた素晴らしい利点があるのです。私のアメリカ人の友人は韓国のピアノ学院を指して「ファンタスティック。グレート。マーベラス!~~」と賛辞を惜しみませんでした。韓国で一番素晴らしいものはピアノ学院だなんて言っていましたが、私も密かにそう思っているのですよ。
そうは言うものの、ピアノを習いたくないのにピアノ学院に行かなくっちゃならない男の子たちにとってはこれほど迷惑な場所はありません。ですから「学校帰りに直接ピアノ学院に行って来ます~ついでにお菓子も食べてきますからお小遣い頂戴。」と言って、そのままゲームセンターで遊んで、お菓子だけ食べていて、不審に思ったお母さんに捕まったという子も当然沢山いるのです。
楽譜が入ったカバンをピアノ学院に置いてくる子が多く、学校が終わったら、そのままピアノ学院に行くことも可能なので、日本で言うところの「習いごと保育」はごく自然の現象。会社勤めのお母さんは子供たちのスケジュールを、午後はほとんど学院で時間をつぶせるように組んでいます。一週間に2、3カ所学院通いをしたら、午後6時まではしっかりカバーできるので、公園でふらふら遊んだり、自宅でコンピューターゲームにのめり込むよりは学院で時間つぶしをしたほうが健全だというのですが、これも一理ありますね。
問題のレッスン費ですが、ピアノ学院は一ヶ月8万~10万ウォンくらいで、もちろん先生が有名大学を卒業した経歴があったり、入試専門の学院になると2、3倍になります。そういう高級ピアノ学院に行くと、ヤマハのグランドピアノが何台も置いてあったりしますから、先生の投資もままならないと思います。
生徒が多い、大きめの学院では送迎バスの運行もしています。午後の授業が少ない水曜日などは、小学校の正門の前には黄色い送迎バスが何台も並んで子供たちが出て来るのを待っているという、何とも不思議な光景が見られるのです。遊びたい盛りの子供たちが午後の時間中、学院から学院とバスに乗って行ったり来たりしているのを見ると、何とも胸が痛みますが、そんなことで気弱になったら韓国ではいくつもの習いごとをこなせないとのこと。ウ~~ン
小学生の男の子にはテコンドーか水泳、女の子にはピアノかお絵描きを習わせるのが普通なので、韓国中どこへ行っても学院はあふれるほどあります。そして、こんなにも一生懸命子供たちにいろいろ習わせるんですから、韓国の子供たちは芸達者な子が多いのも事実です。ですがお金も掛かるのも当然のことなので、韓国のお母さんは子供の学院費を捻出するために日夜頭を悩ませていると言っても過言ではないでしょう。
小学校では習いごとを幾つかさせ、小学校の高学年から中学、高校に入ったらお勉強の学院へと行くようになるのですが、こちらは本当にすごいです。次の機会にお勉強学院の紹介もしたいと思いますので、ご期待くださいね。

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記事登録日:2003-12-26

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