ワールドカップで毎日ホントに疲れました

イタリア戦から3位決定戦まで大興奮!果たしてその結果は?

さてポルトガル戦の街角応援に懲りた私は、イタリア戦からはテレビでの応援に専念することにしました。もう年なので冷たい地べたに10時間も座っているなんて出来ないじゃありませんか。
テレビ観戦の楽しみの一つは韓国全土の、街中応援合戦を中継してくれる点です。ソウルの光化門周辺を初めとしてどこもかしこも赤蟻の巣のように真っかっかですが、毎回赤蟻が子を産み、孫を産み、、、と言う風に爆発的に増えていく様子は壮観でした。そして赤蟻軍団の繁殖に伴ってバージョンアップしていった街角応援の風景も実に面白かったと思います。
試合開始2時間前くらいから、どの応援会場でも必ず歌あり踊りの盛り沢山のイベントをしてくれたんですが、初めの頃は「ナンタ」が来たりして、サッカーに関心がない人も楽しめるように気を使ってくれましたが、イタリア戦の頃からは、すっかり変わってしまいました。サッカー一筋。韓国軍一筋になってしまったのです。アイドル歌手が「すてきなヒディンク監督~~素敵な大韓民国~♪♪」と踊りながら歌うのにはには笑ちゃいました。往年の大歌手もアイドル歌手に混じって、サッカーの応援歌風に変えた陳腐な歌詞を大真面目に歌うのも冷静には見れませんでした。ところがですよ。この応援を3時間くらい見ると、衰えかけた体力も挫けかけた気力ももりもりと出てきて、韓国が勝つような気がしてくるんです。本当に不思議でした。これってやっぱり「気」なんでしょうか?
さてテレビ観戦のもうひとつの楽しみは、解説員のおしゃべりだと思います。もちろん韓国語が聞き取れなかったらちんぷんかんぷんでしょうが、韓国人って予想以上にユーモア感覚があるようです。
まずはSBSですが、ここでは鼻の下が長いシン・ムンソンが解説しました。この人はフランスワールドカップのとき人気があった解説員です。延世大学で体育の授業の講師とかしていて、私の友達もシン・ムンソンからサッカーの授業を受けてました。KBSは元サッカー選手だったホ・ジョンムが解説してましたが、あんまり面白くないのですぐにカット。MBCの解説はもとフランスワールドカップの韓国の監督・チャ・ボンクン監督です。この人は息子のチャ・ドリ選手が今回のワールドカップに出場しているですが、息子さんが出場すると詰まっちゃうんです。ほほえましいですね。選手、監督経験ともに抜群なので分析は素晴らしいですが、解説を聞いて理解できるくらいサッカーを知らない私としては、テンポが遅くて興奮できません。それで私個人としてはシン・ムンソンのSBSを見続けました。

シン・ムンソンって私は今回のワールドカップが始まるまでは、お笑いタレントかアナウンサーだと思っていました。まさかサッカーの解説員だとは夢にも思えないほどユニークなキャラクターなんですが、予想どおり実に面白いです。第一戦の時は、「韓国はどうしたら勝てるでしょうか?」という質問に対して「一点入れられたら、入れ返したらいいんですよ。」なんて堂々と言っちゃって、これって解説ですか。それから「中国は2対0で負け。日本は2対2で引き分け。韓国が0対2で勝つ番です」なんて、ちっとも根拠がないことも解説する人なんです。シン・ムンソンは騒々しくてサッカーに集中できないなんていう人もいますが、私は1時間半もサッカーを見続けるには、この人のおしゃべりがなかったら中途で挫折してしまいます。
<イタリア戦>
18日は運命のイタリア戦でしたが、私は朝から頭がぐるぐるまわってしまって、ちゃんと座っていられないくらいでした。実際ワールドカップが始まってから、予想だにしていなかった韓国軍団の大勝利で国中浮かれきっていましたが、他の人はどうか知りませんが、私の気力、体力共に前回のポルトガル戦で限界に来ていたのです。朝は新聞の記事から始まって、夜11時のニュースまで、昼も夜もケーブルテレビでの試合の再放送。テレビのドキュメンタリーはヒディンク監督のお話ばっかりだし、韓国選手がシュートを決めた場面を何十回もテレビで流すし、国中が真っ赤に塗りつぶされてしまって、ワールドカップって韓国しか出なかったのかしらというくらいで、もういらいらしちゃいました。ですから私は韓国人もきっと疲れているはずだから、韓国もトーナメントであえなく負けてしまうだろうと思っていたし、レッドデビルだってどこまで頑張れるかな~と懐疑の念でいっぱいでした。
ところが、ところがですよ。日本がトルコに負けて残るは韓国だけとなってから、韓国人はすっかり元気付いてしまったのです。テレビの解説員が「日本チームが沈没しました。日本艦隊撃沈!!残る最後の一枚のチケットはアジアに。韓国に!」なんてずうずうしい発言を電波に載せてしまって、韓国語だからどうせ日本人には分からないだろうと、言いたい放題言いまくってました。ちゃんと聞いている日本人がここにいるのよ。ここで日本が勝っていたらプレッシャーで韓国は負けてしまったかもしれませんが、共同開催国、日本の脱落で身軽になった真っ赤な軍団は、不死鳥のようにめらめらと燃え上がってしまったのです。
結局この「気」に乗ってイタリア戦に勝ってしまったようです。私のお気に入りのシン・ムンソン解説員なんて、後半韓国が押し押しムードに追い上げ始めたら、「さあーあーーーーもうちょっとですーーーーう。全国の皆さーーーーん、選手達に気を送るんですよ。気をーーー」それを聞いた私は、思わず手を組んでお祈りをしてしまいました。そうしたら本当に一点入って、こりゃすごいですね。やっぱりあの方の解説が一番面白いです。
こんなにオーバーヒートしてしまって大丈夫なのかしらと不安になっしまいましたが、韓国人は他国の試合にはほとんど関心を示していなくて、ただただ自国の試合のみに全精神を集中させていたので体力が持ったようです。サッカーの応援と言うより、韓国軍団の応援をしているのですね。ブサン→テグ→インチョン→テジョン→そして次はクウァンジュと韓国全土を嘗め尽くした赤い帯が、ソウル入城を果たすのも目の前だ!と国民が一丸になって熱狂しまくる姿には呆然としてしまいましたが、結構私も楽しみました。この時点で私はこれからの韓国戦のシナリオを書いて、面白半分に友人にメールで送ってみました。
~みぽりんの予想シナリオ~

<スペイン戦−光州>

もちろん韓国が勝つ。
大応援団に狂喜した街中のお店は全軒ただでビビンパを配る。
<準決勝−ソウル>
とうとうソウル入城。
これは歴史に残る大勝負だけど、ドイツの機関車軍団には歯が立たず敗退。
ソウルは涙の海と化すが、まだ3位決定戦があるのだよ。
万が一勝って決勝を横浜でやられても、応援のない韓国チームなんて11人で勝負しなくちゃならないからブラジルの敵ではありませんな。
ぼろぼろに負けるくらいならソウルで負けてください。
ワールドカップを最後まで楽しむには3位決定戦に韓国がでてもらわないとね。
<3位決定戦>
いままでベッカムやオーエンのファンだった韓国のオリニも一気にレッドデビルと豹変して声の限りに韓国の応援を。
そして韓国は3位となり、ワールドカップは最後まで盛り上がり、決勝戦はお酒の飲みすぎと徹夜の宴会で韓国人は誰も見ないんじゃないでしょか。
結構当たりましたね。はは。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-07-12

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