旧正月の歳時風俗

年の初めに歳の数だけ橋をふむと、その年のすべての災いが追い払われ福がやってくる!?


こんにちは、ソウルナビです。韓国の新年の歳時風俗って何があるの…?と気になっている皆さん!今回はそんな皆さんに好奇心と気になる心を一気に解消しちゃいます!(^^ ) 韓国人の伝統的な生活スタイル、固有風習である歳時風俗は各名節や季節ごと、地方によって様々な形で伝承されています。また、後々の子孫に継承、発展させていかなければならない歳時風俗を国が重要無形文化財に指定し、保護、育成を行っています。皆さんもせっかくソウルにいらっしゃるなら韓国の歳時風俗についてひとつやふたつ、知っておいてもソンはないはず?(^^) 今日はまず旧正月(陰暦1月)に行われるいくつかの民俗遊びと歳時風俗についてご紹介!それではスタート~!

韓国人最大のイベント、ソルラル(旧正月)

お~っと!その前に名節の中でも韓国人最大のイベント!といえるソルラル(=旧正月、陰暦1月1日)について簡単に説明しておきましょう。毎年ソルラル前後には人口の3分の2以上もの人が故郷に帰省する「民族大移動」が起こります。ソウルから釜山まで普段なら車で5時間で行けちゃう距離なのに、この時ばかりは普通10時間以上、中には24時間もかかった~なんて人もいるぐらい・・・(--;)なんでソルラルにそんな苦労してまで故郷に帰省するのかって?その理由はたったひとつ!家族みんなで民族の名節であるソルラルを送るため、家族みんなでワイワイ楽しいひとときを送るため。国でもソルラル前後3日間(陰暦12/30、1/1、1/2)を公休日にし、また会社によってはもっと長~い連休になったりします。ソルラルになるとソウルのほとんどのお店がお休み、み~んな帰省しちゃうのでソウルは急にシーンと静まり返り、いつものソウルとはぜっんぜん違う不気味(?)な都市に変貌します。

ソルラルのチェサ


ソルラルの朝は歳饌(セチャン、ソルラルの食べ物の総称)、歳酒(セジュ、ソルラルの時に出てくるお酒)を並べ、祭祀を行います。歳饌にはトックッ(お餅の入ったスープ)が代表的な食べ物。祭祀を終え、家族や親戚、または近所に住む目上の人に歳拝(セベ、年の初めに目上の人に対して行う挨拶)をし、徳談(=トクダン、旧正月に交わす幸運や成功を祈る言葉)を交わします。「セヘポッマニパドゥセヨー(新年福をたくさんもらってください)」が最もポピュラー!祭祀を終えると、祖先のお墓に行って送旧迎新(旧年を送って新年を迎えること)を祈る省墓(ソンミョ)を行います。(^^)

旧正月に行われる歳時風俗

それではさっそく旧正月に行われる歳時風俗についてご紹介しましょう!

1.ウンスデトングッ(運数大吉グッ)

グッとは巫(みこ)の祈りの儀式のこと。年の初め、この一年がうまくいくように祈願し繰り広げるグッ(儀式)。主な見どころや特徴は、一般的なグッや辞説(語り部分)を即興で行うところです。

2.ジシンパルキ(地神踏み)

地神を慰労し、家内安全、福を招くための厄払いを行う民俗遊びのひとつ。正月3日から15日まで行われます。また「マダンパルキ」とも言い、地方によって遊びの仕方や登場人物、服装などが違います。都堂祭(村の安泰と繁栄を祈って行う祭り)が終わると、周囲に集まっていた村の人々が老若男女問わずに楽器を打ち鳴らし、旗を先頭に村に降りて来て家々を回り、「ジシンパルキ」を展開します。サンセ(農楽隊で全体を指揮するクェングァリという鉦を一番うまくならす人)は、家内のあちこちを回りながら徳談で祈りをささげ、残りの楽隊員は楽器を打ち鳴らし、地面を力いっぱい踏みしめながらサンセの周りを回ります。こうして地神を慰労することで、すべての事がうまくいくことを願います。(^^)

3.ビョッカリッテ(豊作祈願の長竿)

豊年を願う歳時風俗のひとつ。田舎の農家で陰暦の正月15日前日、つまり14日に長い壷の端に穀物の穂を垂らし、家の軒前に立てて置きます。これはこの1年に収穫される穀物が豊富で、まるでビョッカリッテ(わらでトウのように作って稲、キビ、アワなどの穂を包んで立てる長い竿のこと)のように高く積もれ~!という意味があるとか。

4.タリパルキ(橋踏み)

年の初めに歳の数だけタリ(橋)を踏めば、その1年間は足の病気をせず、すべての災いが追い払われるだけでなく、福も呼び寄せると信仰されている風俗からきたもの。タプキョ(踏橋)ともいわれるタリパルキ遊びは、毎年正月15日(陰暦の1月15日)前後の3日間の夜間に行われます。この日はソウルの4大門を閉めなかったという記録から考えると、非常に大切に大々的に行われていたことがわかります。15日にはあまりにもたくさんの人が出てきてしまって混雑することから、既婚女性は16日にタリパルキを行い、両班たちは商民たちと体がぶつかるのを嫌って14日にタリパルキを行ったそう。現在、ソウル市松坡(ソンパ)区で行われている松坡タリパルキは、ソウル特別市無形文化財第3号に指定されています。

5.トウィパルギ(暑さ売り)

正月15日(陰暦の1月15日)、太陽が昇る前に起き、村で出会った相手に対し、名前を呼んで返事をしたら「私の暑さを買って行って」と言い、そうやって暑さを売るとその年の夏は夏バテしないといされている風俗。この日は誰かが名前を呼んでも返事せず、「まず私の暑さを買って行って」と言い返したりします。(--;) これは今でも全国どこでも見られる風俗。皆さんも陰暦1月15日、韓国の友人または周囲の人に向かって試してみてはいかが…?! (^^)a

6.タルチッテウギ
正月15日(陰暦の1月15日)の夜、月が昇る時にわら、松の枝、薪などを積み上げた山に火をつける遊び風俗。日本でも行われるどんど焼き(どんどん焼き、どんと焼き)に似ています。これは不足がなく余裕のある1年、病気も心配事もない1年を迎えたいという人々の夢を表現した風俗行事。燃えあがる光景はなかなか壮観です。(^^)
以上、旧暦の正月に行われる歳時風俗についていくつか取り上げてみましたが、これ以外にも正月にはまだまだたくさんの風俗があります。正月はすべての悪鬼を追い払い、福を望む風俗が多いことから、1年の重要な始まりだということがわかりますね。韓国にある「1つ目のボタンをうまくかけろ(出だしが重要)」という言葉のように、皆さんも新年が家内安全、万事亨通(万事が都合よく運ぶこと)、人がアッと驚くような業績の残るような、そんな1年になることを祈って!また健康は重要!そして年末には有終の美を飾ることをお祈りします!それでは皆さん、よいお年を~!セヘポッマニパドゥセヨ~!m(_"_)m


写真提供:写真作家・李相秀(イサンス www.artinzoom.com)
※ 写真作品集「韓国民俗村」に掲載された写真です。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-02-09

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