5号線イベント列車【2001年】

釈迦誕生日・奉祝列車

この世で苦しむすべての人々を救い、悟りと無所有の説いたお釈迦様。そのお釈迦様の誕生日(5月1日)に合わせ、6月30日までの期間、地下鉄5号線では奉祝記念列車の運行が予定されています。
古代朝鮮の三国時代に韓国に伝来した仏教は、韓国の建築や生活、美術分野にまでも大きな影響を与え、現在ではキリスト教とともに最も影響力のある宗教となりました。特に「釈迦誕生日」のある5月には、さまざまな奉祝行事が用意されています。
薄暗くなった夜に、火のついた灯篭を持って鍾路(チョンノ)を行進する信徒の灯篭行事や、ふだんは名山で修行を積んでいるのでお目にかかる機会の少ない高尚なお坊さまの法会は、たくさんある行事の中でも随一に数えられています。
今回の奉祝列車もやはりそういった行事のひとつ。「一般の人たちがお釈迦様の慈悲と解脱の思想をより手軽に接すること」に焦点を置いているそうです。こんな列車、なかなか日本では乗ることができないですよね?あわただしい生活の中から抜け出して自分自身を顧みる、短い時間ながら大切な機会になるかも。それではナビと一緒に乗ってみましょう!

この奉祝列車は3番目の車両から装飾されています。

3両目 : 「音と色へ通じる空」
蛍光色の帯できれいに飾られているこの空間は、どこもが蛍光カラーで埋め尽くされています。作家のテーマは「音と色へ通じる空」。「空」は仏教の最も中心になる思想で、すべてのものが消え去り「空」になった状態のことを意味しています。目に見えるすべての現象は過去の因縁から始まったものであり、それは虚像にすぎず永遠の存在というものはない、というお釈迦様の教えによるものです。蛍光カラーの帯を目にすれば、皆さんもきっと自然と笑みがこぼれることでしょう(^^)。
作家 : ヤン・ジュヘ 作家 : ヤン・ジュヘ
作家 : ヤン・ジュヘ 作家 : ヤン・ジュヘ

作家 : ヤン・ジュヘ


4両目 : 我を捜して(禅房)
作家のキム・インギョン氏は、静かな四季の禅房(僧侶が修行する場所)を動く地下鉄の中に持ってきました。厳楽な雰囲気がただようこの場所で、自分が今まで忘れて過ごしてきた時間を少しでも振り返ってほしいという意味を込めたそうです。床に敷かれたビャクシンという木から絶えず漂うほのかな香りは、寂しい四季の雰囲気をそのままかもし出しています。僧侶の使う器や各種の暮らしに必要な道具などが見られるというのも面白いかも。
作家 : キム インギョン 作家 : キム インギョン
作家 : キム インギョン 作家 : キム インギョン

作家 : キム インギョン


5両目:現実の支え木(つっかえ棒)
欲望がうずまく世の中で、本当の幸せというのは所有を捨てることだというお釈迦様の教えを点字で表現。お釈迦様の教えをすべての人々が感じとることをできるように。作家のホン・ヒョンスク氏は床と天井、壁に点字で書かれた金剛経を通して、万人が平等な宗教の世界では障害者と非障害者との差別がないことを強調しているようです。
作家 : ホン・ヒョンスク 作家 : ホン・ヒョンスク
作家 : ホン・ヒョンスク 作家 : ホン・ヒョンスク

作家 : ホン・ヒョンスク


6両目:縁結び
私たちのまわりを少しでも関心を持つようになれば簡単に解決するかもしれない、そんな迷子の子どもの写真を通して、ホン・ヒョンスク氏は1度失ってしまった子どもたちとの新しい「縁」を示しています。 笑った顔、ムッツリした顔をした写真の中の子どもたちは、家族の記憶の中では写真に写るそのままの姿でストップしたまま。この車両は1度は足をとめて見てほしい場所です。もう1度、家族や周りの人々について考える契機になるところでしょう。待ち焦がれる両親や家族のもとに帰れるまで、迷子の子どもたちに釈迦様の慈悲がありますように。。。
作家 : ホン・ヒョンスク 作家 : ホン・ヒョンスク

作家 : ホン・ヒョンスク


7両目:蓮の花の世界
奉祝列車の最後である7両目の車両には、赤い蓮の花で覆われたお釈迦様の世界が広がっています!!そっとドアを押して中に入ると、あっと驚くような風景がっ!つり革に壁、天井、床までもがすべて蓮の花で飾られています。全体を覆う強烈な濃い赤のカラーが記憶に残り、またここは一番人の多かった車両でした(^^)。一歩一歩足を踏み入れるのさえ慎ましくなってしまう、そんなお釈迦様の世界に皆さんをご招待します。
作家 : アン・ソングム 作家 : アン・ソングム 作家 : アン・ソングム

作家 : アン・ソングム


どうでしたか?私たちが今まで乗ってみたことのあるイベント列車とはまったく違う世界でしょう?この他にも列車外部には華やかな韓国伝統のライン模様が入っていたり、座席の中間には花や木の葉で作ったお釈迦様の像を置かれていたりと、「釈迦誕生日」の雰囲気を感じることができます。
お釈迦様の広い心を少しでも身近に感じることのできる、ちょっぴり変わったイベント列車、でした。
以上、ソウルナビがお伝えしました。合掌(^^)
期間 :2001.4.10‐2001.6.30
運行回数 :平日は4回、土曜、日曜・祝日は6回

◆地下鉄5号線イベント列車時刻表◆

**平日**
**土曜**
**日曜・祝日**

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2001-04-27

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