韓国で11番目の世界遺産!ソウル郊外の山にある歴史的な山城。
こんにちは、ソウルナビです。皆さんは南漢山城(ナムハンサンソン)という名前を聞いたことがありますか?もしかしたらニュースで耳にした、という方もいらっしゃるかも。南漢山城とはソウルの南の郊外にある山城で2014年、韓国では11番目に指定されたユネスコ世界遺産。ソウル郊外では水原、江原道のコインドル、朝鮮王陵に続く4つめの世界遺産になります。ソウルからは日帰りで行くことができ、登山のようにハイキング気分で楽しめる山城。今日は映画のロケ地にもなったことがある南漢山城について、ご紹介したいと思います。
南漢山城とは?
南漢山城はソウルから東南方向へ24km、京畿道は広州(クァンジュ)市にある山城。城は清涼山や連珠峰、望月峰など海抜約500mのいくつかの山の陵線をつなぎ、ぐるっと囲んでいます。城の長さは全長11.7km(本城9km、外城2.7km)、城の面積は約60万平方m(山手線の内側の約60%)。王宮のように4つの門のほか、5つの甕城(出城)と16の暗門(トンネルのような門)があり、城の内部には約200の文化財が散在しています。1963年に史跡57号に指定され、1971年には京畿道の道立公園に。歴史的な観光スポットというだけでなく、ソウル市民や京畿道の住民から山歩きのコースやハイキングコースとしても親しまれています。
歴史は意外と古い?
南漢山城が築城されたのは李朝の時代、1624年(仁祖2年)から1626年(仁祖4年)のこと。ちなみに同じ場所には古代百済時代、百済の王である溫祚 の城があったとか、新羅が築いた昼長城であったとされています。漢陽(現在のソウル)に置かれた王城が外敵からの侵入に備え、南漢山城を防御用の城として整備。そして1637年、実際に清が攻めてきた時には南漢山城には王自ら47日間籠城、抵抗します。戦いには破れますが、その後も城は増築を重ね、現在の姿に。その後も東学党の乱や朝鮮戦争などで破損しながらも復元され、現在も復元作業が続いています。
南漢山城に行くには?
バスで行く(おススメ)
最寄り駅は、地下鉄8号線のサンソン(山城)駅。ソウル中心部の市庁駅からは約50分、ロッテワールドのある蚕室駅からは約15分ほど。サンソン駅から南漢山城へは、中心部にある山城ロータリーへ向かいます。ロータリーまでは車で約15分。またバス之場合はサンソン駅2番出口からすぐのバス停「シンフンチュコン」から山城ロータリーまで20分ほど。52番または9-1番が運行していますが、9-1は週末と祝日のみの運行で、しかも時刻表が未定。他にも9番も行きますが、ぐるっと遠回りするためにかなり時間がかかります。9番を利用するなら隣りのナムハンサンソンイック(南漢山城入口)駅から行くほうがまだ近いかも。
徒歩で行く(時間と足腰に時間がある方)
ナムハンサンソンイック(南漢山城入口)駅から山の入口である南漢山城公園を経て、南門まで約1時間かかります。傾斜がきつく、山城に向かっているということを実感させてくれるルートです。南漢山城はソウル周辺ではもっとも人気の高い観光地の一つであるため、週末は車で訪れる方も多く、バスはとても混雑し渋滞します。時間に余裕がもて、山歩きを楽しみたい方は歩いて登るルートもおすすめです。
中心部はなぜか「鍾路」!
山道を抜け、トンネルを越えると突然、山の中に街が現れます。ここがぐるっと囲まれた南漢山城の中心「鍾路(チョンノ)」。この鍾路とは日本で言う「銀座」と同じように、中心部を表す地名のよう。ここには山城ロータリーがあり、その近くのバス停にバスは到着します。ロータリーの周りには観光案内所やお店もあり、南漢山城の観光の中心。また周りには行宮や枕戈亭、地水堂などの歴史的建造物もあります。
それでは、実際にまわってみよう!
南漢山城には5つの探訪コースが設定されています。出発地点はいずれも中心部である鍾路(山城ロータリーまたは南漢山城管理事務所)。山城めぐりだけにから山にのぼり、山城のある尾根を歩き、また降りることになります。本格的な登山まではいかなくても山歩きコース。なお所要時間はパンフにも載っていますが、個人のペースがあり実際にはもっとかかるようです。
<第1コース>・・・ビギナー向け、3つの門をまわる標準コース。
コース:山城ロータリー-北門-西門-守禦将台-迎春亭-南門-山城ロータリー
距離:3.8km
所要時間:1時間20分
<第2コース>・・・時間のない人向け。
コース:山城ロータリー-迎月亭-崇烈殿-国清寺-西門-守禦将台-南門-山城ロータリー
距離:2.9km
所要時間:1時間00分
<第3コース>・・・山城の東側と、山寺をしっかりまわりたい人に。
コース:南漢山城管理事務所-顯節祠-ポル峰-長慶寺-望月寺-地水堂-南漢山城管理事務所
距離:5.7km
所要時間:2時間00分
<第4コース>・・・主に山城内の中心部と南側を歩くコース。
コース:山城ロータリー-南門-南将台跡-東門-地水堂-開元寺-山城ロータリー
距離:3.8km
所要時間:1時間20分
<第5コース>・・・山城のすべてを回る、健脚&上級者向けコース。
コース:南漢山城管理事務所-東門-東将台跡-北門-西門-守禦将台-迎春亭-南門-東門
距離:7.7km
所要時間:3時間20分
それでは一番一般向けの第1コースを中心に、途中、または近くのスポットを紹介しましょう。
0:00 山城ロータリー出発
山城ロータリーを基準に、北に向かって歩きます。途中から車両規制の道路に。
0:13 北門(戦勝門・チョンスンムン)
城に4つある城門の1つ。そのまま城を出ると、河南市の方に降りていきます。
0:19 北将台跡(プッチャンデト)
将台とは守禦将台(スオジャンテ)のこと。城内の指揮と偵察を目的に5つつくられた楼閣のうちの1つ。
0:32 第5暗門
門の下にあるトンネルのような門。くぐって出入りできます。
0:37 連珠峰甕城(ヨンジュボンオンソン)
甕城とは南漢山城に作られた出城のような城のこと。
0:37 メタンジ
戦争などの有事の際に退避し、炭を埋めておいた場所。
0:43 西門(右翼門・ウイクムン)
城に4つある城門の1つ。地下鉄5号線マチョン(馬川)駅からはここに到着。
◎国清寺(クッチョンサ)
曹渓宗のお寺。1624年(仁祖2年)、碧巖覺性によって創建され、敵の侵略に備えた武器庫の役割を果たしていた場所。
0:58 このあたりは眺めがいいところ。みんな立ち止まって撮影。
1:23 ◎清涼堂(チョンリャンダン)
南漢山城の東南部の築城の責任者でありながら謀略のため絞首刑となったイフェの魂を慰めるために建築された祠堂。
1:25 2つめの暗門
城壁の外側に出ることができます。
1:42 迎春亭(ヨンチュンジョン)
2:16 南門(至和門・チファムン)
城に4つある城門の1つ。城壁沿いの道を進むと、そのまま城門の上に着きます。
城を出たところにもある老木にも注目。
南門から車通りに出て、ロータリーに向かいます。
2:41 山城ロータリー着
ゆっくりと、休みながら歩くと約2時間30分のコースでした。
その他のスポット!
行宮
枕戈亭
◎南漢山城行宮(ヘングン)王様が王宮に滞在する建物。現在残る行宮の中で唯一宗社を持ち、粛宗、英祖、仁祖など歴代の王が行幸、宿泊した場所。
◎枕戈亭(チムケジョン)
武器製作所。オンドルや部屋もあり、執務室として使われたとみられる。英祖27年(1751年)、現在の名前に。
◎守禦将台(スオジャンテ)
指揮と偵察を目的につられた楼閣。かつては5つあったが唯一残るのがこちら。清涼山の山頂にあり。山城に残る建物の中でももっとも華麗で雄壮と言われている。
◎崇烈殿(スンリョルジョン)古代百済の始祖である溫祚王と、山城築城当時の将軍の霊魂を祀る祠堂。毎年陰暦9月5日に祭りが開催される。仁祖16年(1638年)に作られ、正祖19年(1795年)、王から現在の名を与えられた。
◎演武館 (ヨンムグァン)
軍人の訓練のために建設された建物。仁祖3年(1625年)、南漢山城が築かれた時に合わせて作られた。
◎顕節祠(ヒョンチョルサ)1637年、清が攻めてきた丙子胡乱の時、敵に降伏することを最後まで反対した3人の学者の憂国忠節を称えるために作られた祠堂。粛宗14年(1688年)に作られた。
◎地水堂(チスダン)
顕宗13年(1672年)、当時の府尹(地方の長官)により作られた建物。建設当時は建物前に3つの池があり、現在も2つ残っている。
◎長慶寺(チャンギョンサ)仁祖2年(1624)、南漢山城が作られたとき、僧侶の碧巌覚性を僧兵の長として迎え、全国の僧侶を交代で徴集し城を作らせた。築城後も僧侶の軍隊を駐屯させ彼らの寝食する場所として仁祖16年(1638年)に造られた。
◎望月寺阯(マンウォルサジ)南漢山城内にある10の寺の中でもっとも歴史が深い寺。望月庵から由来し、太祖李成桂がソウルに街を定めた時、ソウルにあったチャンイ寺を取り壊し、その場所にあった仏像、華厳経などをここに移し、創建させた。日本統治時代の頃に焼失、1990年代に再建された。
◎開元寺阯(ケウォンサジ)南漢山城を補修し守るために全国から集められた僧侶たちを総指揮する本営寺として建設され、高宗31年(1894年)に甲午の改革で義僧防番制が廃止されるまで繁栄した。日本統治時代の頃に焼失、1976年に再建された。
山城、ココがポイント!
<<急な坂とゆるやかな坂がある>>
山道にはゆるやかな坂が多いのですが、中にはかなり急な坂も。特に甕城に向かう階段や、城壁のすぐ脇の道はかなり急。また石ばかりで歩きにくい道も。ただし、城壁沿いではないけれど内部にはゆるやかな道があり、いずれも他の道につながっているので、ゆるやかな道を選んで歩くこともできます。自分の体力と相談しながら周りましょう。
<<風景もばっちり>>
山城から見える京畿道やソウルの風景はかなり見ごたえあり!この景色を見るだけで登る価値があります。
<<地図も案内板もあり>>
コースには地図も、案内標識も設置されています。
<<山の上でくつろぐ>>
山の上での広場やベンチではシートを引いたり、ベンチに座って休む人も。もちろん、食事したり、お酒を飲むのもOK。アイス売りのおじいさんも。
<<石垣を見る>>
城といえば石垣。近くに眺めて積み方の違いなど、関心を持って見ると面白いかも。山城が造られた時期と、日本で城が造られた時期が比較的近いのも気になります。
<<自然を楽しむ>>
木々が広がる山城。中でも松の林は目を引きます。ソウルと京畿道で松林が残るのはここだけとか。全体の約20%を占める松林は日本統治時代、国有林を払い下げられた村の住民が伐採を禁止する組合を作り、守ってきたものだそう。
<<自転車も子犬も>>
山道なのに自転車で登る人や、とってもラフな姿で登る人も。小型犬のポメラニアンも登ってました。
<<城めぐりの後は食事タイム>>
山城をまわったら、中心部で食事タイム!お店もいっぱいあります。お酒もスイーツもあり!
<<混む帰りのバス>>
集中するせいか、午後の帰りのバス停は大混雑!そして帰りのバスは山で飲んですっかり出来上がった集団も。バスも山道をかなりのスピードで進みます。1時間ほど歩いて帰るのも手。
・・・おまけ、山城で見つけた不思議なもの。
世界遺産に!
2014年、韓国で11番目の世界遺産となった南漢山城。2009年から登録が推進され、2010年に登録を申請。4年後に実現となりました。しかし世界遺産になったことでさらに多くの人が山城に集まるようになり、山城の中心部に向かう山道は週末ともなると渋滞、バスも思うように進まないほど。いずれ南山のように本格的な一般車の車両規制をしないとまずいのでは・・・と思うほど。
いかがでしたか?世界遺産に指定されながら、地元の人にも親しまれている南漢山城。さらにその歴史を知ると、味わい深いものがありますよね。登山好きな方や城が好きな方、半日ほど見積もって訪れてみてはいかがでしょうか?特に城の上から眺めるソウルの風景は見応えあり!なお、この南漢山城は秋になると紅葉の名所としても有名な場所。紅葉狩りを兼ねて城を訪れてみてもいいかも!?以上、南漢山城からソウルナビでした。