ロックミュージカル「地下鉄1号線」を見てきました!

韓国を代表するミュージカルに興奮!

みなさん、るみです。8月に入ってソウルも本格的な夏の天気が続いています。こういう時は人がたくさんいるところは避けたいもの・・けれども大学路(テハンノ)に行ってきちゃいました。大学路はいつもいろいろなお芝居やコンサート、公演が行われていて、それを目当てにやってくる人でごった返している街。そこにあえて出かけて行ったのは、ウワサでいい、いいと聞いていたロックミュージカル「地下鉄1号線」を見るため。
「地下鉄1号線」は1994年に初演、今年の秋で2000回を迎えるという韓国を代表するミュージカルです。原作はドイツ人作家によるもので、もとは西ベルリン中央駅を中心にした作品ですが、10カ国以上の国で翻案、上演されてきました。韓国版の「地下鉄1号線」は、韓国で有名な作曲家・演出家のキム・ミンギ氏が、設定を韓国の地下鉄1号線に置き換え、彼が主催する小劇場ハクチョンで公演したのがそのはじまり。韓国のマダン劇(1970年代の学生運動のなかで、民族的な仮面劇から発展した社会風刺的な野外音楽劇)の要素も取り入れ、海外公演でも高い評価を得たそうです。いまや韓国映画界を代表する俳優のソル・キョングはこのミュージカルに出演していました。確かな演出と5人組のバンド「無銭乗車」のライブ演奏、登場人物のすばらしい歌唱力で2時間40分という時間があっという間に過ぎていきます。(途中で休憩10分あり)。
るみが行ったときも、席は満員でした。夜ご飯を食べる前にチケットを先に買っておいて正解。いろいろなメディアで紹介された記事が展示してあります。
舞台は本当に小さかったです。後ろの書割には南山タワーが。どういうふうにはじまるんだろう、とどきどき。やがてむせびなくようなエレキギターの生音が劇場に響きます。そのあとたたみかけるようにサックス。そこに舞台の真ん中から中国雑技団?!のような服を着た女の子が登場。彼女は中国の東北部・延辺(ヨンピョン)からソウルまでやってきた、朝鮮族の女の子。名前は仙女(ソンニョ)。彼女は延辺大学に在学中、アルバイトで韓国人観光団のガイドをした時に観光団にいた"ツバメ"(韓国ではプレイボーイの意味があります)"に騙され、妊娠してしまいます。でも彼女はツバメを婚約者と思い、ツバメがダンサーをしているというソウル−588まで追いかけてくるわけです。588がどんな場所かちっとも知らずに・・・
11月のある寒い一日の間に彼女が見た「ソウルの現実」が、そのままこのミュージカルのお話です。彼女は差別を受ける立場ですが、彼女を暖かく迎えるのは、やっぱりソウルで差別されている人たち。仙女は娼婦・自称学生運動家・違法露天商・掃除夫・不法就労外国人・似非伝道師・黒人混血児・物売り・乞食・精神薄弱者・家出少女・・と地下鉄1号線の車内と駅構内でさまざまな人に会い、都会の人間模様を目の当たりにします。社会の底辺に生きる人々を生き生きと描いていて、そんな人々がのびのびと、いい歌詞の歌を歌ってくれるんですよ。
演出がいいんでしょうね、舞台がせまいのに、複数の人が歌って踊ってもちっともきゅうくつな感じがありません。場面展開も本当に自然で、すっきりとした照明と舞台装置。歌と踊りをみていて、韓国人って生まれつき感性あるんだなあ、と強く思いました。声の通り方が独特。韓国人の友達とカラオケ行くといつも思うことだけども。
社会風刺の性格が強いので、日本語の字幕をみていても「これは差別用語だよなあ、やばいよな~本当は・・」と思うことがしばしば。悪口やののしり言葉のオンパレードで、韓国人観客がクスッと笑うところもたくさんありました。でも包み隠さないで出し切るところに面白みがあるのでしょう。江南のマダムたちが出てくる場面、市長が地下鉄を視察する場面、通勤ラッシュの場面は、ちくりちくりと辛口唐辛子的に皮肉っていましたねえ。これらの場面が笑いどころなのかもしれません。
ちなみに、地下鉄1号線はホームが必ず左側通行で、2号線以降は全て右側通行ってこと、2年近くもソウルにいるのに初めて知りました。皆さんも地下鉄乗る機会があったらちょっと注意してみてください。
昔、回基(フェギ)に住んでいたときのことが、ぱあっと思い出されます。毎日乗っていた1号線。最近は乗ってないなあ・・何というか、あの地下鉄のはしからはしまで−議政府(ウィジョンブ)から水原(スウォン)、仁川(インチョン)まで乗っていれば、ソウルの全てが見られるといっても言い過ぎではないと思います。乗ってくる人と止まる駅がソウルの本当を教えてくれます。

ソウルの社会背景がわからなくても、十分に楽しめる作品に仕上がっていると思いました。でも、パンフレットで588って何?延辺の朝鮮族って・・??ソウル駅の地下道って・・??と予習をしておくとさらに楽しめること間違いなしですよ。日本語版パンフレットも、小説版も売っています。興味ある方は是非どうぞ。

るみ的にはですね、588(私娼街です・・)の麻薬中毒の娼婦「雑巾(あだ名)」に感情移入しまくりでした。彼女は汚れまくったソウルに咲くあだ花ですが、天使のように現れた純粋無垢な仙女よりも、実は天使のような存在だったのではないかと・・
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<ハクチョングリーン小劇場への行き方>
1. 地下鉄4号線ヘファ(恵化・Hyehwa)駅2番出口を出てそのまままっすぐ100mほど歩くと、右手に「eigen post(エイゲン・ポスト)」という大きな洋服ブランドショップが見えます。

1. 地下鉄4号線ヘファ(恵化・Hyehwa)駅2番出口を出てそのまままっすぐ100mほど歩くと、右手に「eigen post(エイゲン・ポスト)」という大きな洋服ブランドショップが見えます。

2. その角を曲がると

2. その角を曲がると

3. 20mほど先がY字路になっているので

3. 20mほど先がY字路になっているので

4. 左へ曲がると右手に看板と小劇場が見えます。

4. 左へ曲がると右手に看板と小劇場が見えます。

その他情報

<基本情報>
名称:ロックミュージカル地下鉄1号線(チハチョルイロソン)
場所:ハクチョングリーン小劇場
住所:ソウル特別市鍾路区東崇洞1-8
電話番号:02-763-8233
FAX番号:02-742-8454
公演日程: 2003.1/7(火)〜2/9(日)、3/14(金) 〜9/14(日)
公演時間 : 平日19時30分 / 土 16時 , 19時30分 / 日,公休日 15時,19時 (日曜日休演)
観覧料 : 一般 25,000ウォン, 大学生 20,000ウォン, 高校生 15,000ウォン
火・木曜日に日本語字幕あり

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2003-07-30

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