2007年ソウル国際マラソン大会

マラソンで日韓交流!走るってすばらしい!!

こんにちは!ソウルナビです。先日(3月18日)の日曜日、ソウルにいらっしゃった方はゼッケンを付けたランナーが車道を駆け抜ける姿を見かけませんでしたか?実はその日、ソウル中心部では「ソウル国際マラソン大会」が行われ、国内外から集まった約25000人のランナーが走っていたんです。スタート地点は光化門の李舜臣将軍像前。そこから南大門、乙支路、清渓、鍾路、東大門・・・といつもは車がびゅんびゅん通っている車道を通って、蚕室オリンピック競技場まで42km!ゴール地点を目指してランナーたちの熱~い戦いが繰り広げられていたんですね。
ナビがこの大会に行ったのは、ある知人から連絡をいただいたから。というのも、この大会には「マラソンツアー」と題して日本の市民ランナーのクラブのメンバーが60人ほど参加。そのうちの1人、高橋勇市さんという世界一早い盲人ランナーが、韓国の伴走者と一緒に走るとのことで、「このスポーツの日韓交流の場に立ち会おう」とナビも彼を追っかけることにしたのでした~。

大会前日、トレーニング&予行練習

まずは集まったメンバーを紹介しましょう。冒頭でご紹した盲人ランナーの高橋さん、奥様の嘉子さん、伴走役の韓国の方3人、通訳などのお手伝いで向井孝明さん、そして高橋さんの全体的なサポート役の方の7人。
<高橋勇市さん&奥様の嘉子さん>
2004年アテネパラリンピックの男子フルマラソンで金メダルを獲得したほか、数々の日本記録を持つ高橋勇市さんと奥様、嘉子さん。お2人とも同じマラソンクラブのメンバー。現在、高橋さんは「アイ・ティー・フロンティア」という会社の理療師として働き、嘉子さんは眼科の薬剤師をなさっているそう。お2人は仕事の傍ら国内外でマラソン大会があるたびにご夫婦で参加されているとか。今までアテネ、ホノルルをはじめ海外のマラソン大会にも一緒に参加され、今回も一緒に大会に参加。
<韓国の伴走者の方々(写真は向井さんも一緒)>
42kmの距離を4人の伴走者の方が交替で走ります。市民ランナーのクラブ「アトミクラブ」と交流のある、韓国のマラソンクラブから選ばれた方たちです。先頭走者のお一方は欠席でしたが、今回のレースで高橋さんの目となって走ります。
<向井孝明さん-伴走者のお手伝い役(コース案内・通訳等)として参加>
モンテローザ陸上部(居酒屋・白木屋経営)に所属し、国内マラソンで走っている社会人ランナー(2月の東京国際は14位)。韓国では市民マラソンで数多く優勝し、賞金も!けっこう稼がれたそう。ソウル国際マラソンは4年連続出場し、今回は高橋さんのお手伝い役として参加。
まずは朝7時半にホテルに集まり、トレーニングのために南山へ。もちろんホテルのある忠武路から南山までは徒歩。ナビ1人ぜーぜーいいながら、小高い山の上にたどりつくと、たくさんの地元の人が運動に励んでいました。ここで予行練習をすることに。軽くストレッチングをしたあと、まずは高橋さんが伴走者3人とかわるがわる走り、レースの展開の仕方、合図、腕の振りなどの調整・確認をしていきます。普段なら上り、下り、Uターン、起伏ありなどのコースの説明も伴走者が行うそうですが、今回のレースで高橋さんと伴走者をつなぐものは一緒に握る「綱」だけ。日本語がほぼ通じないので、通訳を介して一つ一つしっかり確認しながらの練習が続きます。1時間ほど走ったら、練習終了!あとは当日を待つのみ!
大会当日、国内外のランナーが光化門前に大集合!
レーススタートは午前8時。その1時間半ほど前にスタート地点の光化門に行くと、すでにたくさんの参加が集まっていました。まずは着替えて、各自荷物を自分のトラックに積みます(これはレース開始前に出発し、先にゴール地点まで運んでくれるそう)。身軽になったところでウォーミングアップ開始。この日はダウンコートが必要なほど寒く、ノースリーブ&短パンではじっとしていると当然寒い!参加者たちは体をほぐしたり、走ったり、合間に記念写真を撮ったり。だんだんスタート時間が迫ってくると、周りはレース前の独特な緊張&興奮が交差する雰囲気に。
レース開始の5分ほど前に高橋さん一行がお目見え。ナビもなかなか来ないのでハラハラしてましたが、ほっ。

レース開始の5分ほど前に高橋さん一行がお目見え。ナビもなかなか来ないのでハラハラしてましたが、ほっ。

高橋さん、伴走者の方、向井さん、3人とも震えながらもファイティング!レーススタートまで残すは約3分!

高橋さん、伴走者の方、向井さん、3人とも震えながらもファイティング!レーススタートまで残すは約3分!

奥さんもスタートは一緒。おそろいのユニフォームかな?今から42km、がんばってくださいー!

奥さんもスタートは一緒。おそろいのユニフォームかな?今から42km、がんばってくださいー!

スタート!

空に花火が打ち上げられ、レーススタート!ぞろぞろ、ぞろぞろと参加者たちがスタートを切ります。入口で皆さんのスタートする姿を撮ろうと待ち構えていたものの、あまりの人で・・・皆さんどこ、どこどこ??結局見つけられず、ナビは東大門に先回りすることに。
東大門で「ファイティング!」
地下鉄&バスを乗り継いで東大門へ。レースのコースになっている車道の両側には警官がずらり。もう走り抜ける選手がちらほらいるではありませんか!もしや?と思い警官に聞くと、先頭集団はもう通過したとのこと。もうそろそろかと待ちうけていると、きました!!サングラスの高橋さん!一瞬の出来事でナビも慌ててシャッターを切り、とっさに発した一言「ファイティング!!」。その声に答えて向井さんが走りながらこちらに向かって手を振ってくれました。「皆さん、がんばってーーー!!」
お次はゴール地点!
東大門を過ぎたあと、コース表と睨めっこしながら高橋さんを追いかけようと思ったんですが、時間も微妙に分かりにくく、中心部の道路規制のために移動もままならず・・・。結局お次はゴール地点に向かうことに。しかし地下鉄での移動はけっこう時間がかかってしまい、着いたときにはもう予定時間ぎりぎり!応援の列を早足で通り抜け、競技場のトラックに直行すると、次々とランナーがゴ~ル!皆さんのすがすがしい笑顔を見ながら、走るってすばらしいーー。
レース終了!
結局、高橋さん一行のゴールを見届けることができず、向井さんに電話してみると、もうすでにゴールしたあと。日本からのメンバーとともに荷物預かり所のところで集まっていました。高橋さんの記録は2時間58分。レースの途中にいろいろとハプニングがあり、記録は狙えなかったそうですが、走り終わった皆さん表情はなんともさわやか。お疲れ様でしたーーー。

打ち上げにもおじゃま。
日本からのマラソンツアーの方、そして韓国のランナーの方々が集まり、鍾路のお肉屋さんで打ち上げ!ナビも途中でちょっとおじゃまさせていただくことに。

日韓マラソン交流をはじめたお二人
このお2人が1999年に日韓のマラソン交流をスタートさせた中心人物。このお2人がいなかったら、今のような日韓のマラソン交流もなかったそう。左側の吉木稔郎さんは今回日本の市民ランナーのクラブ「アトミクラブ」のメンバーを率先してソウルに連れてこられた方。また「アテネの風」という高橋勇市さんのランナーとしての軌跡を書いた著書もあります。
「アテネの風」

メンバーは年齢も職業も性別もさまざまですが、皆さんの共通点は走ることが好きだということ。打ち上げに参加されていたある女性はナビに「わたし走るの嫌いなの。疲れるのよ」といいながら、顔はなんだかとっても楽しそう。ん・・・レース中は苦しいけど、この最後の達成感が忘れられないのかな?と思ったり。打ち上げには韓国の方はあまり参加していませんでしたが、5~6人韓国の方が参加していました。その中の方がおっしゃるには、東京国際マラソンには韓国人が毎年150人以上参加するとか。すごいですね。

向井孝明さんにインタビュー!
今回高橋さんのサポートだけでなく、ナビもいろいろとお世話になった向井孝明さんにちょっとお話を伺いました。向井さんは韓国に留学した経験もあり、今回の高橋さんのサポート役を引き受けるきっかけにもなったそう。その留学時代に韓国の数々の大会に出場し、優勝もされていた向井さん。今も所属しているモンテローザ陸上部の練習がてら、ちょくちょく韓国の大会に出場しているとか。
ナビ:韓国にいらしたきっかけは?
向井さん
:日本で走っていた頃、マラソン雑誌で韓国に帰化した日本の女性マラソンランナーの記事を見て、韓国に興味がわいたんです。韓国で走ってみたいと。それからマラソンクラブの知り合いの方にお願いして韓国のマラソンクラブの人を紹介してもらい、韓国のマラソン大会に出場したのが2004年。それから何度か韓国に行くたびに、たくさんの韓国の方に本当にお世話になりながら、韓国行きを決意したんです。

ナビ:韓国でも走っていたそうですが・・・?
向井さん: ええ、実は韓国にくるとき、旅費と学費と家賃以外はもってきてなかったんで(笑)。国内外でいろんなマラソン大会があるんですが、韓国はめずらしく優勝すると賞金がもらえるんです(他の大会は他の大会の航空券だったりするんですが・・・)。それで韓国滞在時は週末ごとに各地の大会に参加して、いただいた優勝賞金で生活費をまかなうという・・・。あのときは地元の新聞に掲載されたりもしてましたね・・・。

ナビ:韓国で楽しかったこと、良かったことは?
向井さん: 韓国でもチームに所属していたんですが、大会に参加するたびに新しい方に出会って、どんどんマラソンの和が広がっていきました。それに全体的に韓国のマラソンをやっている人は若い人が少なく、ほとんどが年齢的に先輩ばかりで、本当によくしてくれるんですよね。先日も海苔会社の社長さんやセブランス病院の方とかにおごってもらって・・・。今回も大会前日に焼肉を食べ過ぎましたし。それから食事に関してですが、日本にいると食事とは別にサプリメントなどで補うことが多いんですが、韓国だと普通の食堂の食事で大丈夫なんです。ご飯と汁モノのほかに野菜中心のおかずがたくさん出てきますよね。もともと辛いものも好きですし、食事に関しては韓国ではとてもラクでした。

ナビ:日本に戻ったのは?
向井さん: 2006年に韓国行きの準備しているとき、今の会社から誘っていただいたんです。最初は韓国でチームが見つかれば走って行こうと思っていたんですが、諦めていたところから突然誘われ、正直悩みました。結局3ヶ月の留学のあとはその会社に行くことに決めて韓国に来ました。つまり最初から日本に戻るつもりだったんです。

ナビ:日本に戻ってからも韓国の大会に参加するのは?
向井さん
: 今所属している「モンテローザ」の陸上部の中長距離は僕1人しかいないんで、トレーニング管理はほぼ自分でやらないといけません。それで1人でトレーニングするのも限界があるので会社にサポートしてもらって、目指している大会の練習の場として韓国の大会によく参加しています。韓国だとラクに走れますし、ランナー仲間にも会えますし。それに大会の時の韓国ならではの運動会的な盛り上がりも好きなんですよね。

ナビ:これからも韓国と日本で走って行かれるんですか?
向井さん
: マラソンを通してたくさんの韓国の方と知り合えて僕にとってはとても光栄だと思っています。これからも日本を拠点に韓国にもちょくちょく来て、いろんな仲間と走っていきたいと思います。

ありがとうございました。頑張ってくださいね。

マラソンを通してこんなにもたくさんの方が日韓を行き来していたとは、ナビもまったく知りませんでした。スポーツ交流は堅苦しくなく、同じ目的・趣味を持っているからすぐに打ち解けられますよね。ナビもこの雰囲気を一緒に味わいたくて「マラソンはじめるか?!」とも思いましたが、42km、ナビには到底無理です(-_-;)ちなみにこの日の優勝は地元韓国出身のイ・ボンジュさんで、タイムはなんと2時間08分04秒。実際追いかけてみると余計、信じられない・・・。皆さんの身近でもスポーツの交流が行われているかもしれません。興味のある方は是非参加してみてくださいね!以上、ソウルナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-03-29

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