宮中料理のお話

李朝時代、宮中で王と王妃が食べた水刺床(スラサン)と現在の宮中料理!

こんにちは!ソウルナビです。最近ドラマ「チャングムの誓い」人気でさら~に関心が高まっている韓国の伝統料理「宮中料理」。皆さんはもう食べられましたか?これは李朝時代に宮中で食べられていた料理のことで、全国各地から献上された最高の食材を使って作られた、その当時の最高料理。庶民は決して味わうことのできない料理でしたが、現在は高級料理ではあるものの、誰でも食べられる料理となりました。今日は韓国の李朝時代の食文化を今に伝える宮中料理について、詳しくご紹介しましょう。
<李朝時代の王の食事
「水刺床(スラサン)」>

<李朝時代の王の食事 「水刺床(スラサン)」>

<現在の宮中料理>

<現在の宮中料理>

現在の宮中料理の内容を見ると、お店よって少しずつ違い、昔の料理を再現したところや昔の宮中料理を元に現代風にアレンジしたところもあります。また昔は一度にお膳が運ばれ、一部の料理だけ即席で作られていたそうですが、今は冷たいものは冷たいまま、熱いものは熱いままいただけるように、一品一品出てくるコース料理になっています。 

まずは李朝時代の宮中料理について

ドラマ「チャングムの誓い」をご覧の方は分かると思いますが、李朝時代に王の料理を作っていた所は「水刺間(スラッカン)」と呼ばれていました。そして宮中料理の中で王と王妃が食べていた食事が「水刺床(スラサン)」。そのほか、宮中の大人の食事が「チンジッ床(チンジッサン)」、子供の食事が「飯床(パッサン)」で、それぞれご飯を中心におかずやスープがズラリと並びます。

<李鮮時代の最高の食事「水刺床(スラサン)」>
まずこの水刺床の「スラ」とは高麗時代に元の影響を受け、モンゴル語に由来すると伝えられています。料理は「撰品単子(チャンプンタンジャ・料理文書)」を元に決められた人が作らなければならず、作る行程も厳しく管理されていたとか。また一度の食事で並ぶお膳は全部で3つ。メインのお膳となる「ウォンバン(元盤)」のほかに2つのお膳が一緒に運ばれました。 
水刺床のお膳をくわしく
料理の内容は季節によって違い、メインのお膳にのぼる料理の数は決まって12種。これは王と王妃の食事だけで、王族や位の高い臣下も食べられなかったそう。また民間人のお膳にのぼるおかずの数は必ず奇数と決まっていて、ヤンバン(両班:貴族)が9皿、それ以下は7皿、5皿、3皿と階級ごとに少なくなっていきます。
ご飯とスープご飯はメインのお膳に「フィンスラ(白飯)」、別のお膳に「パッスラ(紅飯)」が準備され、フィンスラは必ずワカメスープが付き、パッスラにはコムタンが付いたそう。そのほかチョチ(チゲ)も2種類お膳にのぼり、1つはダシをとって作ったチゲ、もう1つは味噌チゲ。肉類は蒸しものなどがあり、野菜類は和え物など、チョンゴル(寄せ鍋)類は火炉や鍋を準備して、肉、野菜、味付けソースを別のお膳に準備して即席で作ったそう。また、韓国料理といえばすぐ思いつくキムチ。この時代にもキムチがあったよう。右側にトンチミ、中央に白菜キムチ、左にソンソンイ(カクトゥギ)を準備し、お皿にチョンジャン、チョジャン、チョコチュジャン(酢入りの唐辛子味噌)などの味噌を入れ、またアミの塩辛汁、唐辛子などの調味料を別に準備したとか。
3つのお膳ごとにみると?!
<ウォンバン(元盤)>
朱漆のお膳にフィンスラ(白飯)、タン(スープ)、チョチ(チゲ)、チムあるいはソン(蒸し物あるいは膳)、チョンゴル(寄せ鍋)、キムチ、ジャン(味噌)、12種のおかず、トグ(吐具・魚や肉の骨用のお皿)など。
12種のおかず
1. トウングイ(肉や魚の焼き物)
2. チャングイ(海苔、トドクなどの野菜の焼き物)
3. ジョンユオ(チヂミ・ジョン)
4. ピョンユク(蒸し肉)
5. スッチェ(熟菜・お浸しや炒めたナムル)三色ナムル
6. センチェ(生野菜)
7. チョリゲ・チョリム(煮付け)
8. チョッカル(塩辛)
9. チャングァ・チャンアチ(ゴマの葉・キュウリ・ニンニクなどを醤油・味噌・唐辛子味噌・酢などに漬けたもの)
10. マルンチャン(魚・豆・ワカメなどの塩漬け・醤油漬け・揚げ)
11. ピョルチャン(別撰)12. センフェ(刺身)
<キョッパン(狭盤)>
朱漆のお膳にパッスラ(紅飯)、コムタン、お焦げスープ、ウンコンギ(銀の器)、銀の取り皿などが並びました。
<チャクサンバン>
漆のお膳にチャングッ、各色野菜、卵、ごま油、肉などが並んだそう。

つぎに現在の宮中料理について

昔の宮中料理の中から代表的なものを選び、コース料理の形式で楽しめるのが今の宮中料理。前菜料理からメイン、食事、デザートまで順番にじっくり楽しめます。辛い料理というイメージである現在の韓国料理とは違い、食材本来の味を生かした素朴な味で、彩りを考えたキレイな盛り付けが特徴。料理の数はコースによって違いますが、多いもので30種を越えるものもあります。メニューには昔の宮中料理を意味する「水剌(スラ)」や「宮中(クンチュン)」などの名前がつき、値段は1人前50,000~100,000ウォンほど。宮廷料理の専門店は地元でも高級料理として知られています。
コース料理の内容は?
お粥と白キムチ(水キムチ)からスタートして野菜サラダ、九折坂などの前菜料理、チヂミ、神仙炉、ノビアニ、蒸し大正エビ、アワビ煮などの料理を一通り食べた後に食事。ナムルやキムチなどのおかずとご飯、チゲがセットで出てきて、最後に伝統菓子やフルーツ、伝統茶が出てくるデザートでシメ。
宮中料理に必ずといっていいほどよく出てくるメニューをピックアップ!
クジョルパン(九折坂)

九折坂とはもともと九折坂撰盆(クジョルパンチャンハッ)という器に盛った料理のことで、大きく宮中式と民間式の2種類があり、また材料によって肉や山野菜を盛る「シンク九折坂(シンククジョルパン)」と乾き物のおつまみを盛る「乾燥九折坂(マルンクジョルパン)」にも分けられます。
宮中式は柔らかい肉(細く刻み味付けをして炒めたもの)、セリ(細く刻んで油で炒め、味付けしたもの)、ヤン(黒い部分を剥がして味付けし、炒めたもの)卵(黄身と白身を別々に薄焼きにして細く刻んだもの)、もやし(両端を取り軽く茹でて味付けしたもの)、大根(千切りにして味付けして炒めたもの)、八重に重なった花びら(細く刻んで味付けして炒めたもの)、椎茸(千切りにして味付けして炒めたもの)などの肉や山野菜の8種類のナムルを少しずつ順番に九折坂に盛り、 中央には小麦粉と白身を混ぜて焼いた、薄くて丸いミルジョンビョン(小麦粉のクレープ)を盛ります。食べる時はこのクレープ生地に周りのナムルを少しずつ乗せ、くるくるっと包んで酢醤油やカラシ入りの酢醤油に付けて食べます。
シンソルロ(神仙炉)
宮廷料理や伝統韓定食の中でも代表的な人気メニュー。クジャタン(口子湯)、ヨルクジャタン(悦口子湯)、タングジャ(湯口子)とも言われ、牛肉、大根、人参、豆腐、白身魚、卵、クルミ、銀杏、松の実、椎茸などを彩りよくシンロルロ(神仙炉)という鍋に盛り、牛肉のスープを入れて煮て食べるもの。もともと鍋の名前が料理の名前になったとか。
作るときはまず一番下に味付けした細切り牛肉や肉に大根を混ぜたものを一緒に敷き、その上に魚や野菜などのチヂミを盛り、その上にナマコ、アワビをのせ、一番上に黄柏、シイタケ、イワタケ、赤唐辛子、牛肉団子、クルミ、炒った銀杏を彩りよく盛ります。これに牛肉スープを注ぎ、真ん中の炉に炭を入れ、煮ながら食べます。
李朝時代の王家の料理を今に伝える宮中料理、ソウル旅行の際に是非一度味わってみてはいかがでしょうか?地元でも高級料理ではありますが、韓国ならではの料理を実感できるハズ。以上、ソウルナビでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2006-04-03

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