韓国の大学事情

生き残りをかけて!韓国の大学も大変。

こんにちは~。日本で大学の先生をしていたユミです。日本ではもうそろそろ大学入学希望者と大学の定員数が同じになるんですよね。このまま少子化がどんどん進めば、経営破たんに追い込まれる大学も増えてくること間違いなし!・・・それは韓国でも同じこと。韓国の大学も生き残りをかけて、あの手この手を尽くしています。
<不動産経営の先駆けともいえる延世大学>

<不動産経営の先駆けともいえる延世大学>

財源確保に不動産
安定した財源として不動産経営をしている大学がいくつかあります。例えば、高麗大学。学校の近くに小型のビルを建設し、テナント料を得ています。延世大学も複数のビルを持っていて、毎年すご~い金額のテナント料が入っているとか?!やっと2007年9月にチュクチョン(竹田)キャンパスをオープンさせた檀国大学も、ハンナム(漢南)洞のキャンパス(4万2000坪)をマンションやビラ(小さいマンション)などの住宅地として開発するそうです。この事業がうまくいけば3000億ウォン以上の収入が大学に入ることになるというからびっくり!不動産経営で得た収入を大学教育の充実にうまく使っていただきたいものです。
<こういう有名私立大学はいいけれど>

<こういう有名私立大学はいいけれど>

もうひとつの財源といえば
もうひとつの大学の財源として挙げられるのが卒業生からの「寄付」。大学に医学部や建築学部などの学部があるところの方が、その財源は豊富になります。卒業後、やっぱりお金儲けにつながる学部なのかなあ(ストレートな表現で恐縮です・・・)。有名大学はこの寄付の額が半端ではありません。反対にあまり有名でない大学や小規模大学は、近年寄付による財源が減ってきているのが現状です。
<これが檀国大学チュクチョン(竹田)キャンパスの正門>

<これが檀国大学チュクチョン(竹田)キャンパスの正門>

キャンパス増設競争
メインキャンパスをソウル市内に構え、すでに地方キャンパスを持っている学校もあれば、これから第2のキャンパスを作ろうとしている大学もあります。新キャンパスはいずれも規模が大きく、近代的設備が整っているのが特徴で、ソウルから離れたところに建てられることがほとんど。延世大が仁川の松島新都市に55万坪規模のキャンパスを作ることを発表して久しいのですが、ソウル大・崇実大・成均館大なども新しい研究施設や新キャンパスを作ることを計画しています。
檀国大学の場合
檀国大学は元々梨泰院(イテウォン)の近くのハンナム(漢南)洞と地下鉄1号線の南の端にあるチョナン(天安)にキャンパスを構えていました。そしてこのたび、ハンナム(漢南)洞のところに大学院などの一部分を残して、ごっそりチュクチョン(竹田)に移転しましたが、実のところかなりの紆余曲折を経ての移転でした。学生の中には檀国大学の両キャンパスが「オフソウル(off-Seoul)」になってしまうことに抵抗を持っている人もいます。大学がソウル市内にあるかないかなんて外国人の私から見るとどうでもいいことのように映るのですが、実はと~っても大切なことらしいのです。両キャンパスがオフソウルになってしまうことによって、学校のレベルが低く見られたりするのではないか、就職に不利になるのではないかと心配している学生もいます。
<チョナン(天安)キャンパスはごらんの通り広々。>

<チョナン(天安)キャンパスはごらんの通り広々。>

<ハンナム(漢南)キャンパス、さようなら。>

<ハンナム(漢南)キャンパス、さようなら。>

<田畑先生、よろしくお願いします。>

<田畑先生、よろしくお願いします。>

檀国大学の先生に突撃インタビュー!
・・・ということで、新キャンパスで新学期が始まった檀国大学で働いていらっしゃる田畑先生に突撃インタビュー。
<これで1900ウォン!学食のペッパン。>

<これで1900ウォン!学食のペッパン。>

ユミ「どうですか、新しいキャンパスは?」
田畑先生「なんといっても地方キャンパスは広いですよね。新しく作られたキャンパスは、施設も良いですから。でも、まだ移転して間もないので、コンピューターがちゃんと動かなかったり、まだ工事をしているところがあったりして、不具合連発です(笑)。次第に落ち着くとおもいますけど。そこが日本の大学と違うところですよ。日本だったら、ちゃんと整備させてからオープンさせるじゃないですか。でも、韓国は『え~い、オープンさせちゃえ。まだできてないところはあるけれど、なんとかなるだろうよ!!』っていう感じですから。あと、学食が地方価格(安くなっているということ)でした(笑)。地方の大学の方が、学食もお手ごろ価格です。」
ユミ「このごろ移転したり地方キャンパスを持ったりする大学が増えてきていますが?」
田畑先生「ソウル市内の土地面積は非常に限られています。今からソウル市内に新キャンパスを作ろうと思えば莫大な費用がかかってしまいます。大学ですので、ある程度の土地が必要ですし、新しいキャンパスとなれば最新の施設を作らないと学生も集まらないでしょう。ですから、まだ土地のある郊外に大学が出て行くという形をとらざるをえません。檀国大学のハンナム(漢南)洞の校舎は老朽化がたいへん進んでいました。あのソウルの一等地ともいえる場所で、最新施設のキャンパスを建築するのは、お金がかかりすぎてしまうというのも移転の理由です。」
<これがチュクチョン(竹田)キャンパス> <これがチュクチョン(竹田)キャンパス> <これがチュクチョン(竹田)キャンパス>
<これがチュクチョン(竹田)キャンパス> <これがチュクチョン(竹田)キャンパス> <これがチュクチョン(竹田)キャンパス>

<これがチュクチョン(竹田)キャンパス>

<シンボルのタワー>

<シンボルのタワー>

ユミ「ソウルにキャンパスがあるのとないのとでは、やっぱり違いが?」
田畑先生「檀国大学はメインの両キャンパスがオフソウルになってしまいました。学生の中にもそれに対する不安を持つ人もいます。『ソウルのものがいい』といった考え方が根強く残っていて、それが物や人のソウル一極集中の原因ともなっているのは事実です。『地方の大学よりもソウルの大学がいい、地方の仕事よりもソウルでの仕事がいい、地方に住むよりもソウルで住むのが良い』という考え方をしている人はまだまだたくさんいます。しかし、その考え方が少しずつ変わり始めています。ソウルよりもちょっと郊外の方が空気がいいし、生活しやすいと考える人が増えてきました。それに伴い大型ショッピングセンター、シネマコンプレックスなども次々に郊外に建てられるようになりました。イルサンやブンダンの新都市の成功もありますから、これからは郊外にどんどん新都市ができると思います。」
<ブンダン(盆唐)線オリ(梧里)駅>

<ブンダン(盆唐)線オリ(梧里)駅>

ユミ「(現時点のキャンパス最寄りの地下鉄駅である)オリ(梧里)駅周辺もずいぶん賑やかですよね。」
田畑先生「そうでしょ~。大型スーパーもあるし便利ですよ。私もこちらに引越しするんです。これから、このあたりはどんどん開発が進むと思います。」
ユミ「では、最後になりましたが、新キャンパスでの意気込みを一言お聞かせください!」
田畑先生「キャンパスがオフソウルになったことは確かにある面マイナスです。そのマイナスをカバーできるぐらいの学校にしていかないといけません。それが大学の生き残りのポイントです。個性豊かで魅力ある大学にするために、がんばりますよ!」
日本の大学も韓国の大学とよく似た事情を抱えていると思いますが、少子化時代を迎えて大学のあり方やその価値が変化していていることには間違いありません。生き残りをかけて、より優秀な生徒を得るために、大学側もあの手この手を繰り出さなくてはならない時代になってきました。

田畑先生、新学期早々でお忙しいところ、お時間を割いていただきありがとうございました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2007-10-05

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