大学路、近現代建築を歩いて見てまわる旅!

ソウル一の演劇と芸術の街である大学路にも、なかなか見ごたえある近・現代建築が実はたくさんあるんです!

こんにちは!ソウルナビです。韓国で大学路(テハンノ)といえば学生の街や演劇の街、芸術の街として知られている街。大学路のランドマーク的な場所とも言えるマロニエ公園も2013年9月にリニューアルされ、周辺施設もあわせて整備されて、とってもステキな空間になりました。さて、建物を見てまわる散歩が好きなナビ、今回は大学路にある建物にスポットを当ててみたいと思います。なぜかというと大学路には見ごたえのある建物があちこちに残っていて、さながら野外博物館のよう!韓国の伝統建築様式で建てた韓屋(ハノク)から赤レンガのモダンな建物までいろいろ見ることができ、とっても面白いんですよ!それではナビと一緒に大学路散策に行ってみましょう!

大学路のメインストリートを軸にあちこちまわります!

大学路のメインストリートを軸に、南北東西に歩きまわります。散歩の途中で疲れたらカフェはたくさんあるので、無理せずに休みながら歩きましょう。
大学路、その名は1926年、この地に京城帝国大学、現在のソウル大学が設置されことに由来します。ソウル大学は医学部を除き1975年にソウル市郊外に移転しましたが、「大学路」の名前だけ残りました。恵化(ヘファ)駅周辺に古い近代建築があるなあと前から思っていたのですが、そういう歴史があったからなのです。

旧京城帝大医学部本館(ソウル大医科大学本館)

1926年に建てられた旧京城帝大医学部本館。現在はソウル大学校医科大学本館として使用されています。2階の窓は長方形、1、3階は細いアーチ窓がずらりと並んでいます。後ろの建物のデザインが、この本館のデザインと合わせてあるのがとても印象的。近づいてみるとタイルがちょっと変わる、スクラッチタイルというタイルが使われています。これは引っかいたような縦縞が光の反射を抑えて重厚感や高級感を表現しやすいことで、昭和初期に大流行したタイル。

■景慕宮址(キョンモグンジ)

病院の敷地内のほぼ真ん中に空き地?いえ、ここはれっきとした歴史遺構。病院敷地の中にあるなんてちょっとびっくりですよね。朝鮮王朝第21代の王様英祖の第二王子だった思悼世子(サドセジャ)を祭る廟宮(お墓)で、景慕宮(キョンモグン)といいます。敷地内には石壇(復元?)もあります。門は含春門(こちらも復元?)と呼ばれていますが、これは景慕宮ができる前にあった王の庭園、含春苑(ハムチュンウォン)の頃からあったものと言われています。

■旧大韓医院本館(ソウル大学医学博物館)

旧大韓医院本館は、大韓帝国時代の1908年に建てられた韓国初の近代病院。1911年に朝鮮総督府医院になり、1926年に京城帝大医学部附属病院、1945年以降はソウル大医科大学附属病院として使われました。1979年の新病棟完成にともない、2007年にソウル大学医学博物館としてオープン。韓国の近代医学の流れを知ることができます。
韓国の医学の父と</br>敬われる池錫永の像が迎えます

韓国の医学の父と
敬われる池錫永の像が迎えます

見ごたえ十分

見ごたえ十分

薬の広告?

薬の広告?


 ■立派な日本家屋 

日本統治時代に文教地区として発展した大学路エリア。明倫洞(ミョンリュンドン)には学校関係者をはじめ、知識層の日本人が多く住んでいたのではないかな?と思われます。アート関連のお店や施設、学生があつまる飲食店の中に、ふと現れる古い建物。立派な日本家屋のような?修繕して大切に住んでいるのがわかりますね。

■張勉家屋

次に向かったのは成均館大学方面。恵化ロータリーも過ぎ、しばらく行くと見えてきたのが「張勉家屋」です。このあたりはとても静かで、今でも大きなお金持ちのおうちがあちこちにあります。張勉(チャン・ミョン、1899~1966)は韓国の総理も務めた有名な政治家で、1937年に建てた自宅は西洋・日本・西洋の折衷様式であるのが大きな特徴。
2007年に登録文化財第325号に指定されたこちら。現在は張勉の暮らしぶりを知ることができる記念館になっています。
張勉の胸像

張勉の胸像

韓国風と日本の文化住宅風

韓国風と日本の文化住宅風

中に入ることができます

中に入ることができます


■アルコ芸術劇場

恵化駅に戻り、マロニエ公園へ。アルコ芸術劇場(旧文芸会館)は大小合わせて100近くの劇場の集まる大学路の中でもランドマーク的な劇場です。赤レンガの塊?と通り過ぎてしまいそうですが、ちょっと立ち止まってみれば、そのユニークな形やちょっとした装飾がステキときっと思うはず。建物は1979年、韓国近代建築の巨匠といわれる金寿根(キム・スグン、1931~1986)の設計。彼は日本にも留学経験があり、日本の有名な建築家でもある磯崎新(いそざきあらた)との交流もあったそう。
ユニークなかたちですよね

ユニークなかたちですよね

小さな突起の飾りが</br>アクセントに

小さな突起の飾りが
アクセントに


■スローガーデン大学路店

大学路を歩きまわったらおなかがぺこぺこ!建築散歩、ということでランチに選んだのは、旧京城帝国大学本館の建物に入っている「スローガーデン」。建物は現在アーティストらの交流施設「芸術家の家」として利用されています。この「スローガーデン」は人気のブランチカフェ。城北洞(ソンブットン)や三清洞(サムチョンドン)などおしゃれなエリアに支店があり、大学路店もそのひとつです。
中はすっかりきれいになっていて、たくさんの人たちでにぎわっています。ナビはサラダパスタをオーダー。こちらのカフェは、ボリュームたっぷりなことでも有名。野菜たっぷりのサラダパスタは、大きめカットのトラウトサーモンが入って食べ応え十分!

旧工業伝習所本館(韓国放送大学本館)

旧京城帝国大学本館を過ぎ、東大門方面へ。こちらにはソウルでも特にナビがお気に入りの建物があります。グレーにも淡いブルーにも見える外観の建物、単色で塗ってあるからか目立たないけれど、よく見るととても凝っていて、驚くことに木造!なのです。真ん中に塔があり、その上にドームが載っています。こちらは1908年、朝鮮総督府中央試験試験所の付属施設である工業伝習所本館として建てられました。工業伝習所は工業関係技術の教育機関のこと。現在は一部が郵便局に、また放送通信大学歴史館として使用されています。
一瞬木造には見えません

一瞬木造には見えません

郵便局

郵便局

歴史館

歴史館


■梨花荘

ソウル大学付属小学校の古い門の前を通り過ぎ、次に向かったのは壁画アートで知られる梨花壁画村(イファピョックァマウル)。ゆるやかな坂がだんだんときつくなり始める丘の中腹に見えてきたお屋敷は、韓国の李承晩(イ・スンマン、1875~1965)初代大統領の邸宅。(2014年3月)現在は休館工事中で、中に入ることはできないのが残念!
暴雨の影響で閉鎖中とのこと</br>(2014.3月現在)

暴雨の影響で閉鎖中とのこと
(2014.3月現在)

緑豊か、とても静かです

緑豊か、とても静かです


■1950年代の集合住宅

梨花壁画村(イファピョックァマウル)に到着。こちらには中華圏の観光客がたくさんいてナビもびっくり!階段や壁画の前でとても楽しそう!ところで石垣や家の作り、どことなく日本テイストな感じがしませんか?よくよくみれば家も同じようなのがいくつも並んでいるのがおわかりでしょうか?
観光客は壁画に集中

観光客は壁画に集中

どこか懐かしい屋根の感じ

どこか懐かしい屋根の感じ

実はこの梨花壁画村は、朝鮮戦争後の復興住宅建設計画の一環で建てられた公営住宅が残されたもの。朝鮮戦争後間もない1958年に建てられ、国民住宅と呼ばれました。日本の公営住宅をお手本に設計されたので、どこか日本を感じさせるのかも。

■ジョングァンスコーヒーハウス大学路店

恵化駅に戻り、路地を入ったところにひっそりとたたずむ韓屋を改装したカフェ「ジョングァンスコーヒーハウス大学路店」でコーヒーをいただくことに。こちらは明洞に本店があり、韓国コーヒー界のカリスマロースター、ジョン・グァンス氏のお店。大学路店は椅子席と座布団席があり、ともにステキな韓屋の落ち着いた雰囲気の中でこだわりのコーヒーを楽しめます。座布団席もとっても落ち着きます。
おしゃれなカップソーサーが</br>並んでいます

おしゃれなカップソーサーが
並んでいます

韓屋って落ち着きますよね

韓屋って落ち着きますよね

手作りクッキーと</br>本日のコーヒー

手作りクッキーと
本日のコーヒー


こうしてまわってみると、大学路って見ごたえのある建物がたくさんあることがわかります。ちなみにマロニエ公園にある木も旧京城帝国大学ができたときからある木だとか。ショップが軒を連ねる通りにも、ちょっと立ち止まると古い木造家屋が顔をのぞかせたり。皆さんも大学路でちょっと変わった建築散歩をされてみてはいかがでしょうか?以上、ソウルナビがお伝えしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2014-04-04

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