シルムを見よう!

韓国の相撲と日本の相撲、ここが違う!

こんにちは、ソウルナビです。皆さん、シルムって聞いたことがありますか?聞いたことがあるという方はもしかして相撲ファン?実はシルムとは韓国版伝統格闘技、つまり「相撲」のこと。最近は日本の大相撲にもシルム出身の関取が誕生したり、k−1にシルムの元選手がデビューしたりと以前よりもこのシルム、知られるようになった感じがありますが、相撲とシルム、どこが違うの?シルムってどこで見られるの?そんなシルムについてナビがちょっとご報告しましょう。
お正月に行われるソウルのシルム大会!
韓国の相撲、シルムの"場所"つまり大会は年に8~9回、全国各地で開催されます。定期的にはソルラル(旧正月)とチュソッ(韓国の旧盆)に1回ずつ開催され、その他に天下壮士シルム大会が1回、定期地域壮士シルム大会が各地で開催されます。ちなみに2005年にシルムが開催される都市はソウル、群山、宝城、金泉、機張、天安、保寧、鎮安、梁山の10カ所。つまり日本の相撲のように1年に数回、同じ場所で開かれることはなく1年に1度だけ、1カ所のみで開かれます。相撲でいえば巡業に近いでしょうか?ソウルでは毎年旧正月、奬忠体育館で行われています。さらに今年、2005年は10月に日本の東京で特別開催!シルムにも韓流ブームが吹くでしょうか?
シルムが行われるのは3日間!
ソルラルとチュソッのシルム大会の会期は3日間。日ごとの体重別1日トーナメントですすめられます。体重別に行われること、トーナメントで行われること、いずれも大相撲とかなり違いますよね。体重は3クラスあり、105.1kg以上のヘビー級が白頭級、90.1kgから105.0kgまでのミドル級が漢拏級、90.0kg以下が金剛級となります。そしてソルラル大会の場合、初日の金剛級で優勝した力士が「金剛壮士(クムガンンチャンサ)」、2日目の漢拏級が「漢拏壮士(ハルラチャンサ)」、3日目の白頭級が「白頭壮士(ペクトゥチャンサ)」と呼ばれます。優勝賞金は1000万ウォン(100万円)。相撲と比べるとだいぶ安いかも。でも入場料も5000ウォン(約500円)とかなり安いんです。
それでは先月行われたソウル大会の模様に合わせて説明していきましょう。

会場は奬忠体育館

会場はソウルの武道館ともいわれる大きなタマネギ、奬忠体育館。体育館のまわりにはのぼりが。相撲ほどではないけれど、少しだけ「シルム」情緒がただよいます。
会場の奬忠体育館はごらんの通り、人でいっぱい!客層はおじさんが圧倒的に多いかな?まだまだオヤジのスポーツ、健在です。また極細色の天井が日本人には異国情緒たっぷり。どこかモンゴルの草原的なものを想像させます。ちなみに大会が始まるまでは歌謡ショーが行われ、十分に盛り上がったところでシルム大会が始まります。
どどん、ようやく始まりました。もちろん入り鼓の音はありません。まずシルム選手たちの入場。相撲で言う「土俵入り」ですね。選手たちがリングの上にぐるりと立ちます。色鮮やかなマントが相撲で言う化粧回し?
つづいて審判の入場。土俵周りの審判は3人。相撲と言うよりは柔道かテコンドーのような格好。
これがシルムの土俵、「シルムジャン」。直径8m。相撲の土俵よりかなり大きいです。砂の深さも25~30cm。相撲に比べてだいぶ砂地が深いですよね。かなり足の踏ん張りどころも相撲とは変わってくる気がします。まるでビーチバレー並み。この土俵の整備、ちょっとたいへんそうです。
ヒモをぶら下げて
まずは選手2人が土俵の上で向かい合います。上半身が裸で、下にズボンのようなものをはいています。一見プロレスみたい?でも1つ、違うのが選手が腰からぶらさげているひも。これはサッパといい、このサッパを腰に巻いているのがシルムの1つの特徴。
ぶつかりあいなし! 組んで始まるシルム!
シルムと相撲の大きな違いの1つ、それはシルムが組んで始まること。つまり相撲で言う立ち合いがないんです。まず審判が土俵にひざをつけた2人を十分にしっかり組み合わせます。
組み合わせたら審判が組み合ったままの2人を立たせます。ここでもまだ力を入れてはいけません。審判がOK!と2人をたたいて合図するまでは、まだ試合は始まりません。これが相撲でいう立ち合い。選手も一瞬がかかっているのでなかなか呼吸が合いません。この息を合わせるまでの時間が実に長い!息がなかなか合わないと客の方もいらいら!罵声が飛び交います。
ぽん!2人をたたく審判の合図があって取り組み開始!これは相撲で言うがっぷり四つ。やっぱり相手のひもを押さえるのがポイントのようです。思わず力が入ります。
ここでさきほどのヒモが相撲で言うまわしの役割を果たします。
押し出しがない!
相撲は土俵を出たら負け。ですがシルムには土俵を出ても負けではありません。なので相撲なら当然ある吊り出し、押し出しという技はシルムになく、押しシルム?の選手もいません。ただし投げ技は土俵内で決まらないと無効。だから土俵際の攻防は少しあります。イメージとしては柔道に近いかも?勝ち負けは相手の体のひざ以上を土俵につければ勝ち。
もし土俵を出てしまったら?
また最初から組み直し。長い長い息合わせがまた始まります。
ようやく勝負あり!
勝負の判定がもめたときは?
土俵のすみで主審と審判が協議。黒い服の主審が協議結果を報告します。相撲でもお馴染みのシーン。
引き分けた場合は?
試合の決着が付かなかった場合は?なんと体重測定なんです。体重測定して軽い方が勝ち。相撲でこんなルールがあったら、小兵力士は大活躍?それにしても不思議な判定方法です。
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勝負が終わったら一礼します。

勝負が終わったら一礼します。

審判も交代するときは一礼。

審判も交代するときは一礼。

土俵の周りでは・・・
土俵のすぐワキに控える応援団。民俗楽器を持った美女たちが控えてどんどこ応援の音をおくって雰囲気を盛り上げます。
選手を見守り、指導する親方らしい人。ちなみにシルムにもプロのシルム団体があります。現在は2つ。1つは「現代サムホ重工業コッキリシルム団」。マスコットはコッキリ(象)。もう1つは「シンチャン建設コプルソシルム団」。マスコットはコプルソ(サイ)。そのほか、役所や学校に所属している実業団選手も多いようです。
選手はござが敷かれたベンチみたいなところで待ちます。
相撲で言う桟敷席。お正月らしく、民族衣装のおじいさんも。ひいきの選手が勝つと踊り出したりします。また著名人がいそうです。
こちらが選手の入場口。のれんがかかっています。
時間制限、注意・警告あり?
相撲にないモノ、それは時間制限と注意と警告。時間制限は2分。注意と警告には点数がつきます。なので得点で勝負が決まってしまうことも。これはまさに相撲というより柔道の世界です。
複数対戦あり?
準決勝以上は同じ相手と2回以上対戦。相撲のように一発勝負という世界ではありません。しかし両者の力が拮抗している場合、非常に試合が長くなります。しかもトーナメントですからほとんど休みがありません。これは体力がかなりものをいいます。
そして優勝したら?
優勝したとたんにぱーん。金吹雪が舞い、天井から「決定!○○力士」という垂れ幕が垂れ下がります。そして土俵の上には美女が上がり、踊り出します。選手は特別なマントを羽織り、土俵の真ん中に立ち、それから土俵の上に敷かれたござの上で四方に土下座します。でももし大相撲で優勝決定の瞬間に舞妓が土俵に上がって踊り出したら、日本人大びっくりですよね。
そして優勝したシルム選手は美女に囲まれて表彰され、賞金とトロフィーをもらいます。
それから土俵の周りを御輿に乗ってまわります。後ろには美女の踊りが続きます。
シルムの印象、それは一言で言うと「おらが村の力自慢大会」。村の力自慢が集まり、戦って勝者を決め、美女に祝福される。そのおおらかさは相撲とはあきらかに違う、また別の魅力があります。なかなかソウルでは見る機会のないシルムですが、もし見る機会がありましたら是非見てください。以上、シルムの魅力にはまったソウルナビでした。
関連タグ:韓国シルム韓国相撲

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2005-03-17

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