がんばれベアーズ2015!熊は冬眠から覚めるのか?

しばさきのキムチとバット~日韓野球考・第34回~


1995年に大学の第二外国語で『野球のある国の言語』という理由で韓国語を選択し、以来、仕事・結婚・野球で韓国と深く関わる。
ソウルナビに寄稿を始めた2001年以来の斗山ベアーズ優勝を夢見て、毎日毎日、インターネット中継を見ながら応援している。
定年退職後の夢は、斗山ベアーズの年間指定席を購入すること。
大阪府阪急沿線出身。右投右打。


2015年3月28日(土)KBOリーグ開幕戦 斗山ベアーズ対NCダイノス@蚕室野球場

気がつけば、最後に韓国シリーズ優勝してから10年を軽く超えてしまったが、斗山ベアーズというチームは、決して弱いチームではない。ただ、強いチームかと言われると、何とも返事に困る。80年代の阪急ブレーブスのように『そこそこエエとこまでは行くねんけどなぁ、ライオンズが強いから、なかなか優勝はでけへんなぁ』というチームである。そこが『かわいい』ところでもあるのだが、ファンも球団も負け慣れしているわけではないので、昨年の9チーム中6位という結果は、非常に情けなかった。さすがにフロントも、『これではイカン!』と思ったのか、球団OBの監督が就任し、FAでロッテジャイアンツの左腕エースであるチャン・ウォンジュン投手を引き抜いてきた。4年総額で84億ウォン。2014年のチーム総年俸(新人と外国人選手を除く)が52億ウォンであったことを考えると、斗山ベアーズらしからぬ大型補強である。課題のリリーフ投手の補強は叶わなかったものの、そこまでの贅沢を言ってはならない。ちょっと足りないくらいが、ちょうどいい。それが斗山ベアーズである。
好天に恵まれた開幕戦

好天に恵まれた開幕戦

地下鉄9号線の入り口から江南方面に蚕室野球場がある

地下鉄9号線の入り口から江南方面に蚕室野球場がある

どのチームのファンも開幕戦の段階では、愛するチームの優勝を夢見る権利がある。『今年こそ頼むで!』という気分で、今年も開幕戦を見てきた。相手は1軍のペナントレースに参戦して3年目のNCダイノスである。昨年は、参戦2年目にしてポストシーズンにも進出したチームで、監督や主力選手は、斗山ベアーズ出身である。相手に不足はない。
今年も元気に開幕戦を迎えた鉄熊くん

今年も元気に開幕戦を迎えた鉄熊くん

開幕戦はSBSが中継した

開幕戦はSBSが中継した

今季のキャッチフレーズが描かれた旗が青空に翻る

今季のキャッチフレーズが描かれた旗が青空に翻る

最近は女子向けのスイーツも充実。売店も準備OK!

最近は女子向けのスイーツも充実。売店も準備OK!

観客席上の太陽光パネルも稼働中!

観客席上の太陽光パネルも稼働中!

球場前には騎馬警官もやってきた

球場前には騎馬警官もやってきた

昨年とは違い、天気は良く、紺色のベアーズのスタジャンを羽織り、ユニクロのヒートテックを中に着ると、ちょっと汗をかきそうな程度の気温である。少し黄砂が飛んでいるものの、暖かい春の日差しが心地よい野球日和。前売りチケットのネット発売開始時には、受付サーバーがダウンするくらいのチケット争奪戦があったようなのだが、外野席には空席が目立った。満員札止めは26,000人である蚕室野球場であるが、この日の入場者は21,746人。試合前のセレモニーとして、ガールズグループAOAの公演と始球式があったものの、何となく盛り上がりに欠けるように感じられた。昨年は、雨交じりの曇り空で、気温も低かったにも関わらず、蚕室野球場に同居するライバルLGツインズが相手だったので、とても盛り上がっていたのだが、今年は静かにペナントレースがスタートするような雰囲気であった。
主力選手のバナーも新しくなった

主力選手のバナーも新しくなった

通路を上がればフィールドが見える

通路を上がればフィールドが見える

引退したキム・ドンジュ選手の場外ホームラン記念プレート

引退したキム・ドンジュ選手の場外ホームラン記念プレート

開幕セレモニーはソウル市内の各区を代表するファンが参加した

開幕セレモニーはソウル市内の各区を代表するファンが参加した

内野席は、ほぼ満席となった

内野席は、ほぼ満席となった

球場前のグッズショップは、ユニフォームのマーキングで忙しい

球場前のグッズショップは、ユニフォームのマーキングで忙しい

しかし、試合はアレグロで動き出す。1回表のダイノスの攻撃は、先頭打者から、ヒット、四球、ヒットで無死満塁。ベアーズの開幕投手であるユニエスキ・マヤ投手が緊張しているのがスタンドからでもわかる。元々、開幕投手は、エースのダスティン・ニッパート投手と発表されていたのだが、開幕直前に骨盤の痛みを訴えて、急遽マヤ投手が投げることになった。キューバからボートでアメリカに亡命して5年、来韓2年目での開幕投手を名誉に感じすぎているのか、マヤ投手にいつもの躍動感とリズム感がない。結局、1回に2点を失い、さらに3回と4回にも1点ずつを失って、0 - 4 となる。バーガーキングのプルコギバーガーにケンタッキー・フライド・チキンの骨なしチキンを生ビールで流し込みながら、目の前の土曜の午後のデーゲームは進んでいく。
審判も緊張する(?)開幕戦

審判も緊張する(?)開幕戦

応援団長、登場!

応援団長、登場!

今季から新しくなった3塁側のスコアボード

今季から新しくなった3塁側のスコアボード

ガールズグループAOAによる始球式

ガールズグループAOAによる始球式

試合が始まるやダイノスの猛攻が始まった

試合が始まるやダイノスの猛攻が始まった

今年もトップバッターはミン・ビョンホン選手。さぁ、反撃開始!

今年もトップバッターはミン・ビョンホン選手。さぁ、反撃開始!

昼から飲むビールは旨い。特に野球場で飲むビールは旨い。もう勝ち負けなんてどうでもエエわ・・・と思い始めた4回裏。そこからベアーズ打線が目覚める。満塁のチャンスにオ・ジェウォン選手の犠牲フライ、キム・ジェホ選手の2点適時打で3点を返して1点差に詰め寄る。それまでスイスイと投げていたダイノス先発のチャーリー・シュレック投手が徐々に崩れ始める。5回にはスター選手であるキム・ヒョンス選手に今季のチーム初ホームランが飛び出し、同点。6回は、今季売り出し予定のキム・ジェファン選手(長打力を生かすため、今シーズン、捕手から一塁に転向)が決勝ホームランを放ち、ついに逆転。7回からは、マヤ投手の後を継いだリリーフ陣が無失点でバトンをつなぐ。昨年までのクローザーやセットアップがFAの人的補償や軍への入隊で抜けて心配されたブルペン陣が『思ってたよりエエんちゃう?意外と今年は行けるんちゃう?』と思わせる好投。8回にも追加点を挙げたベアーズが 9 - 4 で勝利。0 - 4 からの大逆転に大満足のオープニングゲームでございました。
対戦相手、NCダイノスのバス

対戦相手、NCダイノスのバス

球場で飲むビールは旨い

球場で飲むビールは旨い

青空の下、試合は進んでいく

青空の下、試合は進んでいく

沸き上がる大歓声

沸き上がる大歓声

今年も『ビール早飲み対決』やってます!

今年も『ビール早飲み対決』やってます!

頼むぞ!ホン・ソンフン選手!

頼むぞ!ホン・ソンフン選手!

ベアーズの勝利!

ベアーズの勝利!

スタンドを盛り上げるチアリーダーのダンス

スタンドを盛り上げるチアリーダーのダンス

春風が球団旗と太極旗を撫でていく

春風が球団旗と太極旗を撫でていく

2015年KBOリーグと斗山ベアーズの注目点

<グッズ>
長くデフレが続いた日本とは異なり、韓国は不景気だと言いながらも物価上昇が続いている。野球グッズも例外に漏れず、今では、帽子は3万ウォン以上、ユニフォームは8~9万ウォンもする。帽子が1万ウォン程度で買えていた10年前が懐かしい。そんな中で、新グッズとして水筒(12,000ウォン)が登場。最近、韓国では保温マグではないシンプルな水筒が流行っている(?)らしく、野球グッズとしても登場した模様。学校や職場で使って、韓国プロ野球ファンであることをアピールしてみてはいかが?(全10チームあり)
新発売の水筒

新発売の水筒

マスコット人形(芳香剤)も人気

マスコット人形(芳香剤)も人気

開幕戦に合わせカカオトークのアイテムに『鉄熊くん』が登場!日本からも購入可。

開幕戦に合わせカカオトークのアイテムに『鉄熊くん』が登場!日本からも購入可。

<入場料>
入場料も少し値上がりしたが、これは平均的に日本よりは安いかもしれない。ただ、年々、日本に近づいていくように感じる。2015年の斗山ベアーズ主催公式戦の料金は次の通り。
VIP席60,000ウォン(平日と週末共通)、テーブル席40,000ウォン(平日)45,000ウォン(週末)、エキサイティングゾーン20,000ウォン(平日)25,000ウォン(週末)、ブルー席15,000ウォン(平日)17,000ウォン(週末)、レッド席12,000ウォン(平日)14,000ウォン(週末)、ネイビー席10,000ウォン(平日)12,000ウォン(週末)、外野席7,000ウォン(平日)8,000ウォン(週末)。 

<Hustle Doo Day>
今シーズンから特定選手10名の応援デーとして、『ハッスルドゥーデー』が開催される。月に2度のペースで開催され、選手の特製グッズ付きのチケットが発売される。贔屓の選手を応援に行こう! 

Hustle Doo Dayスケジュール
4/8(水)対ネクセンヒーローズ キム・ヒョンス外野手(メタルタンブラー)
4/30(木)対KTウィズ オ・ジェウォン内野手(イヤホンキャップ)
5/8(金)対ハンファイーグルス ユ・ヒグヮン投手(防水吸着時計)
5/19(火)対サムソンライオンズ ミン・ビョンホン外野手(6種ピクニックカップ)
6/12(金)対NCダイノス ヤン・ウィジ捕手(エプロン)
6/24(水)対SKワイバーンズ チョン・スビン外野手(マグカップ)
7/3(金)対ネクセンヒーローズ ホン・ソンフン内野手(カラーレインコートボール)
7/29(水)対ハンファイーグルス ノ・ギョンウン投手(扇子)
8/7(金)対ネクセンヒーローズ ニッパート投手(蚊退治ブレスレット)
8/26(火)対ロッテジャイアンツ キム・ジェホ内野手(リストバンド) 

※スケジュールは変更の可能性もあります。球団ウェブサイトなど最新情報をご確認ください。
<スピードアップ>
昨年のペナントレースの平均試合時間が3時間27分だった韓国プロ野球。6時半のナイターだと、だいたい10時に試合が終わる計算である。女性や子供のファンにとっては、帰宅時間も心配になる。そこで、今季からスピードアップ作戦が実行されることとなった。イニング中の投手交代時間は2分半、バッターの登場音楽は10秒以内、打者が不必要にタイムを要求しても不許可、必要なく両足をバッターボックスから外すことは禁止、四死球時には1塁まで走るなどといった規定もできた。違反時には罰金20万ウォン。おおよそチキンの出前10回分に相当する罰金は、韓国野球委員会(KBO)が積み立てて青少年野球への支援に使われる予定である。果たして効果のほどは如何に。 

<SAFEキャンペーン>
すっかり国民的娯楽となった韓国プロ野球。観客の4割は女性という調査結果もあるくらい、最近は球場の雰囲気が華やかになった。そこで、さらに家族連れや若い女性にも楽しんでもらえる球場にしようということで、KBOではSAFEキャンペーンを始めることとなった。内容は、缶やビン、1リットルを超えるペットボトルや観戦の妨げとなる大きな荷物や匂いが強烈な食べ物の搬入などが禁止されるというもの。場内に持ち込めるカバンは45x45x20センチ以下、買い物袋30x50x12センチ以下という具体的なサイズ制限もある。日本から観戦に行かれる際にはご注意を。
ルールを守って野球を楽しもう!

ルールを守って野球を楽しもう!

カバンの大きさを確認しよう!

カバンの大きさを確認しよう!

<新球団KTウィズ>
2015年から第10番目の球団としてKTウィズがKBOリーグに参戦した。親会社は通信会社(韓国テレコム)、本拠地は水原野球場を改装した水原KTウィズパークである。ウィズとは魔法使いの意味である英語のウィザードの略。水原野球場は、かつて現代ユニコーンズ(現ネクセンヒーローズ)の本拠地でもあったが、大規模改修により以前とは見違える球場になった模様。ソウル市内から鉄道とバスを利用して1時間半程度でも行けるので、ソウルに行かれる際には新生球団の試合を楽しんでみてはいかが?
開幕二日前に行われた警察庁との練習試合

開幕二日前に行われた警察庁との練習試合

地下鉄9号線で金浦空港から蚕室野球場に直行も可能

地下鉄9号線で金浦空港から蚕室野球場に直行も可能

今年からピッチャーマウンドに描かれる『D』マークのテンプレート。球場管理事務所に置いてあった

今年からピッチャーマウンドに描かれる『D』マークのテンプレート。球場管理事務所に置いてあった

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2015-04-17

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