キムチとバット~日韓野球考第30回「熱いぞ韓国プロ野球!さぁ、蚕室野球場へ急げ!」

夏休み、ふらっとナイター観戦でも行くか・・・とお考えのあなた!急いでください!

2000年からソウルナビで韓国野球に関して、好き勝手なことを書かせてもらって12年。その間に夏季オリンピックは4回開催され、職場は転職や出向で4社も転々と変わり、4人家族の世帯主となったが(この7/20に第二子誕生)、韓国プロ野球も2000年当時とはずいぶんと事情が変わった。2000年から2007年頃は、スタンドには閑古鳥が鳴いていて(私の少年時代、西宮球場や大阪球場も同じようなものだった)、週末だろうが、開幕戦だろうが、ポストシーズンだろうが、チケットが売り切れる心配はほとんどなく、テレビのスポーツニュースでは日本やアメリカで活躍する選手達が映し出されていた。客が滅多に来ないグッズ売り場のアルバイト大学生は持ち込んだ宿題に没頭し、スタンドでスルメを売り歩くオバサンとは試合中に何度も目が合ったものだ。実際、ソウルナビの原稿にも『チケットが売り切れる心配はほとんどなく、当日券でOK』と書いてきた。
今や外野席までファンが鈴なりという日も決して珍しい光景ではない

今や外野席までファンが鈴なりという日も決して珍しい光景ではない

それが今では、平日でも満員札止めの試合は珍しくなく(わが斗山ベアーズは、5月に8試合連続札止めを記録。8月1日現在、開催44試合で93万810名を動員している)、テレビ中継の後は、各局が競ってプロ野球専門プログラムを放送し、各試合の詳細な解説と女子アナウンサーの美貌とスカート丈の短さを競っている状態である。
そんな野球人気を支えるのは、10代と20代の若い世代で、今季の前半戦終了時点での集計によると全体の観客に占める女性ファンの割合は40.7%で、10代は男性よりも女性の比率が高かったようである(対照的に読売ファンは50代~70代が中心なのでテレビやラジオの中継ではカツラ、オムツ、入れ歯安定剤、介護サービスといったジャンルのCMが多いらしい。ついでに横にそれると、今の読売の監督はかつて暴力団に金品を渡さないようにという警察のキャンペーンのポスターに出ていたらしい。1億円を払う方も払う方だが何の調査もしないコミッショナーも○○である-閑話休題)。女性ファンが野球場に行く理由としては、野球は『間』の多いスポーツなので、おしゃべりをしながら美味しいものを食べることが出来、点がそこそこよく入る競技なので、サッカーのように化粧直しのためにトイレに行っている間に『その日、唯一の得点』を見逃してしまうということが少ないことが挙げられるというが、最近の蚕室野球場は女性ファンを意識した食べ物の種類が多くなって、味も格段に良くなった。
一塁側上層席へ続くスロープには、おにぎりと牛丼を売るお店もある

一塁側上層席へ続くスロープには、おにぎりと牛丼を売るお店もある

今季から蚕室野球場はさらにファンサービスがグレードアップしたので、いくつか紹介しよう。

①スコアボード裏から美味しそうな香りが・・・
韓国プロ野球は、土日の試合が5時に始まる。なので、試合が終わった後に一杯ひっかけて・・・というのも楽しい。今までは、地下鉄でシンチョン駅に移動するか、徒歩圏内の飲み屋街に繰り出すかというパターンが多かった。それが、今季からはセンターのスコアボード裏に屋外バーベキューが楽しめる『スインググリル』がオープンした。中央に大きな肉の直火焼きゾーンがあり、チキンやソーセージ、スペアリブが焼かれている。生ビールと直火焼きチキンを食べながら、その日の試合について語り合うもよし、勝利の祝杯を挙げるもよし、明るく敗戦のヤケ酒をやるもよし。肉の美味しさは、メジャーリーグ級である。試合前からオープンしているので、テイクアウトして場内でも食べることが出来るし、試合終了後も遅くまで営業しているので観戦後に立ち寄るのもOK。楽しみ方は人それぞれ。スコアボード裏のバーベキュー、かなりオススメである。
テントの前に肉焼きスペースがある

テントの前に肉焼きスペースがある

肉は直火焼き

肉は直火焼き

試合後にグループで利用する人が多い

試合後にグループで利用する人が多い

スインググリルを運営するアモージェ社のソン・ヒョンジンさん(左)日本の野球ファンの皆さん、お待ちしています!

スインググリルを運営するアモージェ社のソン・ヒョンジンさん(左)日本の野球ファンの皆さん、お待ちしています!

②ベアーズのユニフォームに好きな選手の名前&背番号を入れよう!
最近、試合当日の地下鉄からユニフォームを着ているファンが多い。そんなところからも野球人気が盛り上がっていることが実感できる。背中にはお気に入りの選手の名前と背番号がマーキングされている。人気の若手選手から、往年の名選手まで見ているだけでも面白い。
今季から、球場でユニフォームのマーキングができるようになった。まず、売店で名前と背番号のマーキングなしのレプリカユニフォームと選手別の名前と背番号のプリントシートを購入する。そして、入場ゲート横のテントに持っていくと、その場でアイロンプリントをしてくれる。ユニフォームは48,000ウォン、名前と背番号のシートは12,000ウォンである。現在、主力の13選手に限って対応可能である。
プロ仕様ユニフォームを購入する場合は、既に選手の名前も背番号も刺繍されている。こちらは80,000ウォンと少し高いが、そこは選手用。素材が良いので着心地は最高。ちなみに、今季のユニフォーム売上ランキングは、一位キム・ヒョンス外野手、二位チョン・スビン外野手、三位イ・ジョンウク外野手らしい(7月末のLG戦での実況アナウンサー情報)。
売店でマーキングキットを購入したら、入場ゲート横のテントでプリントしてもらえる

売店でマーキングキットを購入したら、入場ゲート横のテントでプリントしてもらえる

地下鉄駅を出てすぐのショップでもマーキングサービスを実施。全チーム対応。

地下鉄駅を出てすぐのショップでもマーキングサービスを実施。全チーム対応。

③バズーカから発射される賞品をゲットせよ!(斗山ベアーズ主催試合)
以前からイニングの間、スコアボードに映し出されてキスをしたら賞品、ダンスを踊ったら賞品というイベントが実施されていたが、今季から日本でもおなじみのエアバズーカでスタンドにプレゼントを打ち込むサービスが実施されている。私が観戦した試合では、職員の気合が入りすぎていてスタンド上の屋根に乗ってしまうこともあったが、スタンドの端の席にも狙って打ち込まれることもあるので、飛んできたらナイスキャッチしよう。
バズーカが狙うのはどこか?プレゼントが欲しい人はアピールを!

バズーカが狙うのはどこか?プレゼントが欲しい人はアピールを!

猛暑に加え、オリンピック開催(8/12で終了した)で客足が鈍るという予想も出ているが、私は韓国プロ野球の人気は続くとみている。日本から前売り券を手配するのは、韓国に住んでいる人に頼む以外に手はないが、枚数の多少はあるものの、蚕室野球場の場合は必ず当日券が出るので、見に行く予定がある人は球場に早めに到着した方が良いだろう。傾向としては、高い座席から良く売れること、週末の試合は前売りでほとんどのチケットが売れてしまう日もあること、エルロッキ(LG、ロッテ、キア)の試合は、ビジターの試合でも観客が多いことを勘案してスケジュールを組んで欲しい。さぁ、球場へ急げ急げ!

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-08-13

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