キムチとバット~日韓野球考・第29回「春だ!野球だ!ビールが旨い!」

世の中いろいろあるけれど、春が来たら、桜が咲いて、野球が始まる、コレ常識!さ、野球だ野球だ!

開幕戦は華やかにプレイボール

開幕戦は華やかにプレイボール

2012年は、開幕前に日韓共に明るくないニュースが新聞を賑わせた。
日本のY球団のA捕手の新人時代の契約金が『裏金』と合わせて10億円。
韓国のL球団のP投手が八百長(韓国語では勝負操作という。八百長といっても、先発登板して勝利投手になった試合で故意に初回に四球を与えたというもの)に加担した報酬が数百万ウォン。
どちらもルール破りには違いないのだが、A捕手は何食わぬ顔で開幕戦に出場し、P投手は永久除名処分を受けた。世の中、何がどうなっているのだろう。そんな複雑な思いを抱きながらも、開幕戦を迎えるとワクワクしてしまう。野球ファンの『性(さが)』である。

さて、それはともかく、今年の韓国プロ野球の見所を3点ピックアップした。韓国に行ったら、是非とも野球場へも足を運んで欲しい。

1.スーパースター韓国に集合!あの人もこの人も韓国に帰ってきた。
国民四番打者イ・スンヨプ(オリックスほか→三星ライオンズ)、コリアン特急パク・チャンホ(LAドジャースほか→オリックス→ハンファイーグルス)、WBCでも活躍したスラッガーのキム・テギュン(千葉ロッテ→ハンファイーグルス)、2001年にワールドチャンピオンも経験したサブマリン投手キム・ビョンヒョン(アリゾナダイヤモンドバックスほか→東北楽天→ネクセンヒーローズ)、みんな今年は韓国でプレーすることになった。客寄せパンダに終わるのか、大活躍でシーズンを盛り上げるのか。全盛期は過ぎているかもしれないが、祖国でプレーする彼らの勇姿をしっかりと目に焼き付けたいものである。ファイティング!
キムビョンヒョン投手を獲得したネクセンヒーローズ。ソウル蚕室球場に遠征に来てもグッズ売り場は営業せず

キムビョンヒョン投手を獲得したネクセンヒーローズ。ソウル蚕室球場に遠征に来てもグッズ売り場は営業せず

現代ユニコーンズ時代から続く不人気ぶりを脱却したいところだ

現代ユニコーンズ時代から続く不人気ぶりを脱却したいところだ


2.監督も多数入れ替わり。新しいチームカラーで勝利を勝ち取れるか!
ここ数年、韓国プロ野球は観客動員も大幅に増え、ファンの目も肥えてきている。だからというわけでもないのだが、この2シーズンでネクセンヒーローズを除く7チームで監督が交代している。監督受難時代とも言えるのだが、私の贔屓にしている斗山ベアーズも新人監督を迎えて2012年のシーズンを戦うことになった。新任のキム・ヂヌク監督を支えるのは、元西武ライオンズの名捕手で、監督としても2004年に日本一に輝いた伊東勤コーチ。韓国野球の豪快さに西武ライオンズ式の緻密な野球がミックスされるとどんな結果をもたらすのか注目したい。また、中日ドラゴンズでも活躍したソン・ドンヨル氏は古巣のタイガース(現役時代はヘテタイガース、今はキアタイガース)の指揮を執ることになった。監督たちの戦いにも注目だ。

3.球場もパワーアップ!
KBO(韓国野球委員会)の調査によると、昨シーズンの8チームの観客動員681万人のうち約40%が女性ファンだったという。今季の目標700万人の動員を目指す上で、どのチームも乙女心をガッチリと掴むために、あの手この手のファンサービスに注力している(斗山ベアーズの2012年ファンブックには、なんと、女性用生理用品の広告まで掲載されている)。グッズショップは女性向けの商品が多数並び、食べ物のラインナップも多彩になった。サムソンライオンズの本拠地テグとキアタイガースの本拠地クァンジュでは、来年以降のオープンに向け新球場が建設され、ハンファイーグルスの本拠地テジョン・ハンバッ運動場でも売店やトイレを中心に改装工事の真っ最中である(開幕戦に間に合わなかったので、イーグルスは開幕して約一ヶ月は準本拠地のチョンジュで戦う)。我が斗山ベアーズとLGツインズが共同使用するソウル蚕室野球場は、食べ物の売店がパワーアップ!ダンキンドーナツやスムージーキングといったスイーツ系が充実した。ドーナツ好きの私としては、食べ過ぎに注意したいところだ。
広く明るくなったスタンド下の売店

広く明るくなったスタンド下の売店

ダンキンドーナッツ。寒い日はホットコーヒーも飲める

ダンキンドーナッツ。寒い日はホットコーヒーも飲める

麺類や焼き飯の売店もリニューアル

麺類や焼き飯の売店もリニューアル

うどんや生ビールも売ってます

うどんや生ビールも売ってます

外のデッキにも美味しそうな食べ物がいっぱい

外のデッキにも美味しそうな食べ物がいっぱい

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4/7(土)に開幕した2012年の韓国プロ野球。ソウルは2球場で3チームが本拠地としているという野球のメッカ。BBクリームを買いに行った帰り道、ドラマロケ地ツアーの帰り道、出張のついで、免税店からホテルに戻る道すがら・・・野球場に行ってみてはいかがだろうか。あなたの知らなかったソウルの新しい発見がきっとあるはずだ。

<超短縮版韓国プロ野球観戦ガイド>
韓国プロ野球の試合開始時間は、平日は午後6時半、週末は午後5時(但し、開幕戦から5/6までは日曜日のみ午後2時開始)。ソウルには、斗山ベアーズとLGツインズが本拠地としている蚕室野球場、ネクセンヒーローズの本拠地であるモクトン野球場があり、月曜日を除いてソウル市内で試合観戦は可能である。週末の人気カードの場合は、前売りでチケットが売切れてしまうこともあるが、平日は当日券でもほぼ問題ない。前売り券の購入は、インターネットなどで購入するが、住民登録番号が付与されていない外国人が購入するのは難しい。

2012年斗山ベアーズ主催公式戦入場料金
ネット裏VIP席6万ウォン
テーブル指定席4万ウォン
内野指定ブルー席1.5万ウォン(平日1.2万ウォン)
同レッド席1.2万ウォン(平日1万ウォン)
同イエロー席1万ウォン(平日9千ウォン)
外野席8千ウォン(平日7千ウォン)
外野席は軍人、青少年、子供、障害者料金の設定あり。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2012-04-18

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