ソウルの中心、南山(ナムサン)

常に青々とした松林を大切に保っている都心の庭園

世界でも10番目、東洋ではもっとも高い多目的タワーであるソウルタワーがあるのがここ、南山(ナムサン)。韓国の愛国歌2番の歌詞にもでてくるように、民族と歴史を共にしてきた庶民たちの山だと言ってもいいぐらいです。高さ262m、花崗岩でできている南山はソウルの中心部に構えているソウル市民にとってかけがえのない山なのです。

さわやかな朝の空気をかき分けてラジオ体操で軽く体をほぐしているソウル市民たちが、ソウルで朝を最初にむかえます。南山の朝はソウルの朝だとも言えるでしょう。松を始めとした200種類あまりの木々と、たくさんの渡り鳥をはじめとする鳥たちの宝庫でもある南山は、公害によって汚れているソウルにきれいな空気を提供する、いわば酸素工場のようなところです。

そして季節ごとに個性的な彩りを見せてくれる南山の森は、ソウル市民たちに四季の移り変わりを伝える役割も果たしています。このように南山は、ソウル市民にとって本当に大切な場所ではあるのですが、かえって近くにありすぎてその大切さを忘れているような気がします。
李氏朝鮮時代の地理書である『新東国興地勝覧』によると、韓国の11の名山の一つに南山が挙げられています。1910年、南山の西側一帯30万坪を『漢陽公園(ハニャンコンウォン)』と名付け開かれた『南山公園(ナムサンコンウォン)』は1919年、南山の東側13万坪に『奨忠壇公園(チャンチュンダンコンウォン)』が作られるに至ってその規模が大きくなり、1984年9月22日、この二つの公園を『南山自然公園』として合併し、現在に至っています。 このように南山にはすばらしい休息所や見どころが至るところにあります。

では、南山見学に出発しましょう! まず南山自然公園。歩いてもできますし、車でもまわれます。ただ車では南山の東、奨忠洞にある国立劇場から循環道路にしたがって南山タワーへ行く一方通行道路を利用するしかありません。

歩いて登っていく場合は西側の南山植物園から出発して階段を利用するのが一般的。楽に上がるには南山ケーブルカーに乗って上がるという手もあります。

南山には、晴れた日には仁川近海まで見られるソウルタワー展望台を始めとし八角亭や小公園、植物園、動物園、南山噴水台、ケーブルカーなどがあり、家族でのちょっとしたお出かけにぴったりの場所。頂上にあるソウルタワー展望台は、すごい速度で回っていて、同じところにいてもあっというまにソウル市内全体を見渡せるそうです。

また、南山にはソウル首都600年の年に向けてタイムカプセルがをうめてあるそうです。さらに先日、『本来の南山を取り戻そう運動』の一貫として外国人アパート2棟を取り壊され、悪名高かった国家安全企画部も南山から遠く郊外に移転しました。

みなさんにだけ公開しますが、南山の美しさを満喫できる方法をお教えしましょう。うれしいですって? では、よーくきいてくださいね。 なんだかんだ言っても南山の美しさは夜景。夕日がさすころ、南山図書館側を上がっていくと、汝矣島(ヨイド)と麻浦(マポ)の向こう、そしてインチョン(仁川、inchon)の方へ落ちる夕日の壮観を見ることができます。

ゆったりと流れる漢江を真っ赤に染める落日の美しさは目を閉じられないほど。うっとりとしてしまいます。 そして夜になって、ふもとからの照明に照らされて神秘的な姿を見せるソウルタワー展望台に上がると、目の下に黒いビロードの上に真っ白な宝石をちりばめたようなソウルの夜景が楽しめます。これもまた本当にきれい。皆さんも一度確かめて見てくださいね。

じゃあ、南山でお会いしましょう。

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記事登録日:2000-09-01

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