谷みつのソウル特派員レポート・第12回「これが登山だ!(頂上編)」

A.M 11:30 やっとやっと頂上に到着。
さすがに『北漢山』。頂上からの眺めは絶景である。
ソウルの北に位置する一山(イルサン)新都市まで見え、いつもは見上げているソウルの高層アパートが小さく、まるで写真でも見ているような錯覚に陥るほどの景色である。
少し鼻に"つん"とする冷たさの風は頂上だと言うのに緩やかに吹き、汗ばんだ肌に気持ち良い。
「この岩の周りを回ると願い事が叶います。回りましょう。」
と、感傷に浸っている私をアジョッシの声が現実に引き戻した。
見ると、不思議な事に頂上に直径1m、高さ60cmほどの岩がコブのように突き出している。
なんだか御利益が有りそうだし、せっかくここまで登ったのだからなにか記念に残るお願い事をしよう、考えていると
「さあ、みつさんに彼氏が出来るようにみんなで(岩の周りを)回りましょう!」
と言い、みんながニコニコしながら私のために回ってくれた。アジョッシありがとう……。
お願いをし終わったら、次ぎはなんと
「さあ、叫びましょう。イチ・ニイ・サン」
「ヤッホー」
「もう一度、もっと大きな声で。イチ・ニイ・サン」
「ヤッホー」
みんなで一列になり『ヤッホー』だ。
(山に登ったら『ヤッホー』かもしれないけど、いい歳をした大人がしなくても……。ちょっと恥かしいじゃない?!)と思っている私の横で、他のグループも『ヤッホー』の大合唱である。
郷に入りては郷に従え。恥かしさをかなぐり捨てて、力いっぱい『ヤッホー』をしてみた。こんな大声出したの、久しぶり。けっこう気持ちの良いものである。
ちなみに『北漢山』に山彦はいなかった。残念。
そして再び記念撮影。
頂上の岩の周りを回っているアジュンマやアジョッシが途切れた合間を縫って、西に東に南に北に、位置を変えてポーズを変えて撮るわ撮るわ。
やーでも、これだけ苦労して登った『北漢山』だから、きっとこれも思いで深い写真になるだろう。
頂上でのするべきことが終わると、やっと休憩。
頂上の南側には傾斜の緩やかな平たい岩が広がり、そこでみんな下界を見ながら休憩をしている。私たちもその一角に腰を下ろし、それぞれに持ってきたお菓子を取り出して食べ始めた。
と、どこからともなく紙コップが。 ワーッ!やっぱりソジュ(韓国の焼酎)。Pアジョッシ(「登り編」参照)が登山バックからソジュ1本にツマミの缶詰(唐辛子味噌味のシーチキンとコーン)その上、割り箸までを取り出した。Pアジョッシ準備が良すぎる……。
2つの缶詰を7人でつつきながら、ささやかな宴会が始まった。
山の頂上で飲むソジュは、地下の居酒屋で飲むのとはまた違って、甘露!さっきまで互いに見も知らない人だったのに、みんなで一本のソジュに2つの缶詰を分け合っていると、なんだか一気に距離が縮まったような気がした。
「もう、ソジュが終わってしまったね。」
と寂しそうにアジョッシの一人が言うが早いか、Pアジョッシがバックからソジュをもう1本(ゲッ−!!)。
2本目のソジュは、甘露どころかいつものソジュにもまして苦かった。
ほろ酔い加減でやっと下山。 また来た道を下るのか、と思うとちよっとフラフラ(えっ、かなりフラフラ?!)。
(つづく)

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2000-12-05

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