谷みつのソウル特派員レポート・第26回「『スターバックス』 in 明洞」

明洞(ミョンドン)にある「スターバックス」の2・3階に座って、濃いコーヒーを飲みながら、ミョンドンの街や通り過ぎる人々を眺めるのが好きだ。
まずは、濃いコーヒー。
韓国の普通の喫茶店のコーヒーは、『5回ぐらいドリップして味はなくなり、ただコーヒーに似た色だけがついたお湯』といったものが出てくる。
だから喫茶店に行ったら、コーヒー以外のものを頼んだ方がよい。(あ、でも「緑茶」はティーバックのお茶なので、味にはあまり期待しない方がいいかも。)
だからこれまで、韓国在住の外国人にとって、おいしいコーヒーが飲めない事が最大の問題(のひとつ)であった。
でも、この問題をみごと解決してくれたのが「スターバックス」。
ここでは、キムチの臭いじゃない、コーヒーの香ばしい香りが漂い、幸せな気分になれる。
これでもっと静かだったらな・・・・・・。
ミョンドンの「スターバックス」は3階建て。
地下鉄「ミョンドン駅」から出てすぐにあり、ミョンドンの中で最も人通りが多いところだ。
そのおかげで、3階建てで広いスペースにも関わらず、いつも満員御礼。
お客さんの半分以上は海外からのお客様、また、その半分以上が日本からの観光客。
どこからともなく日本語が聞こえてきて、日本に居るように思える時もある。
そんな日本語のBGMを聞きながら「スターバックス」窓の外を眺めると、そこは韓国。
韓国語の看板に、一方通行とは無縁の人々波。それと時々見かける物乞い。
物乞いをしている人をじーっと見てたけど、お金をあげている人がかなりいるのには驚いた。
5分に一人ぐらいはいたかなあ。
私が見ていたこの人は、駅の方からてくてくと歩いて来たと思ったら、「スターバックス」の前で器(うつわ)を置いて寝転び、物乞いを始めた。
元気なのに物乞いのフリをしているのだ。
うーん、フリじゃなくてこれは「物乞いと言う名のシゴト」のようである。

看板を眺めるのも、またこれ楽し。
さすがミョンドン、洋服店や靴屋、化粧品屋の看板から、韓国ではやっているトンカツやウドン屋の看板・看板・看板。
そんな中に混じって多いのが美容整形病院の看板。
何でも売っているミョンドンの中に美容整形の病院。
人間としての『美しさ』までもここでは買えるのではないか、とさえ思えてくる。
様々な人がいて、何もかもあるミョンドンは、楽しく、一方では恐いようでもあり・・・・・・ミョンドンこれこそまさに人間の姿、人間の欲望の真の姿の結集ではないだろうか。
と時には哲学的な事を思いながら、今日も「スターバックス」の2階でコーヒーを飲みながら、日本人当てゲームを楽しむタニミツであった。
(※写真は仁寺洞(インサドン)にあるスタバ。世界で唯一、ハングル表記のスタバ)。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-01-03

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