タンタンのソウル風景イゴッチョッ・第4回「一人暮らしの味方、おべんとう屋さん発見!」

韓国生活で困るのが、こちらの人の「みんな仲良く一緒にっ」ていう考え方。韓国では映画を観るのも喫茶店でコーヒーを飲みながらくつろぐのも、そして食事をするのも誰かと一緒でないと気が済まない!一人だと周囲の白い視線、同情の視線なのかは分からないけど、とにかく周りの目が気になってしまう・・・。

もともと一人でいるのが好きな私にとってこれはとっても辛い。こんな話を韓国人にすると「ほら、やっぱり日本人は個人主義だ」なんて言われてしまうんだけどね。一人で行動することのどこが悪いんじゃい!とちょっと怒り気味の今日この頃。怒ってみはしたけど喫茶店で一人、コーヒーをすするのが関の山。一人で映画を観るのは今だに勇気がなくてやれずじまい。日本にいた時ふっと映画でも観ようかと思い立ちふらりと一人で映画館へ足を運んだ日々が懐かしい・・・。ううっ(涙)
映画はがまんするにしても毎日の食事がちょっと困りもの。以前、夕食にトッポッキを買って家でテレビでも観ながら食べよう!ふふふ、幸せ~なんて思いながら(ちょうどこの頃、韓国語の生活に疲れていて、とにかく一人になりたかったのです)下宿に帰り、テレビのスウィッチをオン、買ってきたトッポッキを広げ、お茶を用意し、さ~食べるぞ!という態勢に入った瞬間、トントンっとノックの音が、、、ドアを開けると同じ下宿の男子学生が2人。テーブルの上に置かれているトッポッキを見て、「ヌナ(お姉さん)、一人で食べてるの?なんてかわいそうなんだ。僕達が見ててあげますから、どうぞ食べてください。」いや、あの、私は別に一人で食べるのがかわいそうだなんて思ってないし、むしろ今は一人の時を過ごせることに幸せを感じてるんだけど・・・なんてことはとてもじゃないけど言えない雰囲気。3人で分け合って食べるほどの量はないけど、一応「食べる?」って聞いたら、「いえ、僕達は食べてきました。」そんなわけで男子学生2人がにこにこと見守る中、一人で食べたトッポッキはのどにつっかえて美味しいんだかまずいんだか分からなかったな~。これは韓国人が一人で食事をするのを嫌がるということを端的に表してる出来事かも。韓国の人は一人で食事をしてる人を見ると「友達がいないんだな~」「何かものすごく悲しいことがあったんだな~」って思うんだそうです。
でも現実問題として毎日一緒に食事をする友達がいるわけがない!そうなると一人で食べるしかないですよね。でも一人で食べてる人なんて周りにあんまりいないからちょっと肩身が狭いし、一人で入れるお店も限られてしまう。焼肉、食べたい~って思ってもそれは所詮、無理な話。そもそも焼肉は2人前以上でないとダメっていうお店がほとんど。そんなこんなでたいていの食事はキンバッ(のり巻き)のお店やファーストフードでテイクアウトって具合になってしまう。いくらキンバッが美味しい、ファーストフードが好きだと言ってもやっぱり飽きてしまう。そんなわけで食べるのが大好きな私にとって毎日の食事は楽しみであると同時にちょっとした悩みの種でもありました。
ところが先日、家の近所をフラフラと歩いていたらおべんとう屋さんを発見!まるで日本のホカべんみたい。メニューはトンカツ、鳥の唐揚げ、キムチチャーハンなどいろいろ。ヒャッホー!嬉しさのあまり雄たけびをあげて店に飛び込んでしまいました。そうよそうよ、こういうお店を待ってたのよ!店内には私みたいに一人分のべんとうをテイクアウトしていく人が!あ、あなたも一人での食事に苦労してるのね、ウルウル(涙)なんて(的外れかも知れないけど)同情を寄せたりして・・・。
その後、あちこちで韓国版ほかべんのお店を発見。どうやらチェーン店らしいんです。でもこういうおべんとう屋さんができたのは本当にありがたい。うん、確かにありがたい。でも、それよりも周りの視線を気にしないで一人で食べられる雰囲気ができるとと本当は嬉しいんだけどな。何でもウリ(私達)、ウリ、ウリ文化の韓国ではちょっと無理な相談かな・・・。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-07-03

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