タンタンのソウル風景イゴッチョッ・第18回「タンタン、温泉地で蟹を食べる」

突然の「温泉に入って蟹を食べよう!」という友達の誘いでこの度、急遽、温泉地に旅して来たタンタン。今回はその旅のご報告です~。

夜8時30分にソウルを出発。目指すは慶尚北道のウルジン。ウルジン?聞いたことないぞ・・・全くの未知の旅に心はウキウキ。でもそのウキウキ気分も高速道路をひた走っている時まで。というのも高速を降りてからなんと延々100kmも真っ暗な山道を走らなければならなかったんです。夜の帳が下りて辺りはただただ真っ暗な闇、闇、闇。行き交う車は一台もなく心細いことこの上なし。正直、「恐いよ~」と泣きが入っちゃいそうでした。真っ暗闇を延々ひた走った末にやっとのことで今晩の宿、コンドミニアムに到着~!到着時間は午前2時。ふ~。お疲れです・・・・。ということでそのままバタンキュー。
朝、目覚めるとそこはまるでおとぎ話の世界。舌切り雀のおばあさんや花咲かじいさんが今にも出てきそうなのどかな田園風景。昨日はあまりの深い闇にどんな所に来たのかまったく分からなかったけどこんな素敵な所だったのね~と大、大、大感激!一夜にしておとぎの国にタイムスリップしたタンタンの旅の始まり、始まり~。
軽く朝食兼昼食(かっこよく言えばブランチ?)をいただいてすぐに温泉へ直行!入場料は5,000ウォン。ちょっと古いけどなんとも趣きのある温泉浴場。浴場は広い!お客はたったの4人!もうゆ~ったりの~んびり、心ゆくまで湯に浸かっちゃいました。極楽、極楽~と幸せをかみしめてると突然、1人のアジュンマがお湯に浸かってるタンタンのすぐ横で洗濯を始めるではないですか!!!赤いブラウスをごしごし必死に洗うアジュンマの姿にただただ呆然。日本の温泉で、または大衆浴場で洗濯をする人をいまだ見かけたことのないタンタンにはかなりのカルチャーショック。一瞬、ここは家庭の風呂場か!?と錯覚してしまったタンタン。
洗濯おばさんにカルチャーショックを受けたものの、温泉に浸かったお陰でお肌すべすべ。「10代のお肌みたい~」とすっかり気を良くしたタンタン達は温泉浴場から海岸沿いの道路をドライブ。目指すは聖留窟という鍾乳洞。ここは天然記念物第155号に指定されている洞窟なんだそう。入場料は2,200ウォン。実はここ、コンドミニアムの入口にあった観光案内地図に載っているのを見て何となく行ってみようかということになっただけで、全然期待してなかったんです。でも実際に洞窟内に入るととにかく素晴らしい!の一言。洞窟保護のために写真撮影が禁止されていたため写真をお見せできないのが本当に残念。緑や赤、青のライトの中で浮かび上がる鍾乳洞の世界はまるで神秘の世界。3歳くらいの女の子が「恐いよ~」とべそをかいてましたが、う~ん、あまりにも神秘的すぎて恐怖感を感じてしまったのかも。石筍の一つ一つには「仙女の密室」、「聖母マリア像」、「愛の鐘」などといった実にロマンティックな名前が付けられてました。名前と石筍を見比べて「え~!?これのどこがサンタクロース~!?」、「あ~、横から見ると名前のとおり魔女みたいに見える~!」などなどわいわいがやがやするのもまた楽しい。何とも神秘的で感動的な洞窟でした・・・実はかなりのアップダウンがある上に人一人が屈んでやっと通れるくらいの通路がいくつもあってちょっと大変。腰痛持ちのタンタンにはちょっとこたえましたが、そんなのもチャラになっちゃうくらい「来てよかった~」と思える本当に素晴らしい鍾乳洞でした。
聖留窟を出てしばらく歩いていくと刺身やら天ぷらのお店が並んでいる!思わず誘われるようにふらふらと一軒のお店へ・・・。何でもこの地域では鮎が名物だということなので鮎の刺身を注文。お皿一杯に並べられた鮎の刺身の上には黒ゴマがい~っぱい。「へ~、ゴマね~」と鮎とゴマという初めての組み合わせに興味津々のタンタン。「いっただっきま~す!!!」とぱくりとほおばった瞬間・・・・ほ、ほ、骨が・・・!!!そうなんです、骨が取り除かれずにそのままついてるんです。「か、固い。」友達と思わず顔を見合わせてしまいました。「これって・・・手抜き!?」「骨、とるのが面倒くさかったのかも。」鮎の身自体はとっても美味しいだけに「骨さえなければ最高なのに~!」と言いつつ、骨の部分だけペッペッと吐き出してた2人。そんなタンタンたちの様子を見たお店のアジュンマが「オモナ~(あらま~)、骨も食べなくちゃダメよ~」と大声をあげながら駆け寄ってくるではないですか!「骨は噛めば噛むほど味が出て美味しいのよ~。それに骨の周りの肉が一番、美味しいんだから~。」といかにももったいないといった表情。骨が美味しい!?手抜きじゃなかったの!?おばさんの一言に気を入れ替え、がんばって骨までムシャムシャ、モグモグ。言われてみれば、う~ん、確かに美味しいかも。でもこんなに顎が疲れた刺身は初めてでした~。
温泉に浸かり、鍾乳洞を見学し、骨つき刺身を食べて終わった第1日目の行程。2日目は名物の蟹を食べるぞ~!蟹に思いを馳せ、眠りについたタンタンでした。
2日目の朝がやって来ました。今日のメインはなんと言っても蟹!そのために朝食兼昼食は軽~くラーメン一杯で済ませ、蟹が食べられるというチュクビョンへ出発~。山越え野越え、遂に海沿いにある一軒のお店を発見。テゲタン(大蟹湯。蟹の辛い鍋です。)を注文するとおかずが出るわ、出るわ。焼き魚、パジョン、ワカメスープ、エビの塩茹でなどなど。これだけでも感動なのにメインのテゲタンのあまりの美味しさにひっくり返っちゃいそうでした。スープの美味しいこと、美味しいこと。蟹の出汁がよ~く出ていて辛さの中にも深い味がある!蟹もたくさん入っていてハサミで甲羅を切っては身をほじり、またはチュ−チュ−すすって・・・もう一心不乱に食べまくりました。当然、そこには会話などなくただひたすら夢中で蟹を食べ続け・・・まさに「2人で食べていて相手が死んでも気がつかないくらい美味しい」という韓国の諺がぴったり!蟹の身も美味しければ蟹味噌も美味しい。蟹味噌にご飯を混ぜ混ぜして食べるとこれまた美味しい!こんなに我を忘れて食事をするのも一生のうち、そうそうないに違いない。テゲタンや~、お前の味は一生、忘れないよ~。
そんなこんなでこの度の旅行もおしまい~。温泉に浸かり、刺身を食べ、蟹を食べ・・・。のどかな田園風景に心が洗われ・・・。「温泉に入る」、「蟹を食べる」というコンセプト以外にはこれといった事前情報もなく、ガイドブックもなく、まったく行き当たりばったりの旅。こんな旅もたまにはいいかもしれません。ソウルの喧騒の中に戻ってきた今、あのおとぎの国の世界が現実だったとはちょっと思えない。またいつかソウルの喧騒に疲れたら行ってみたい心の故郷のような所でした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2003-02-18

ページTOPへ▲

その他の記事を見る