第22回「みぽりんが愛する韓日翻訳の世界」
皆さん、こんにちは!みぽりんはナビのレポーターだけじゃなくて、在宅で出来る仕事を幾つか掛け持っているんです。韓国に住む日本人は「翻訳」「通訳」「日本語教師」「旅行業」そしてインターネットビジネスに従事しているのが普通で、みぽりんも主婦業の片手間に翻訳をしたり通訳をしたり、旅行記を書いたりしてきました。でもそんな状態に満足できるみぽりんじゃない!いつかは大きく羽ばたいて、、、と日夜チャンスを狙っていたんですが、今年の1月に突然翻訳の大型プロジェクトが舞い込んで来たんです。
みぽりんが今回契約した仕事は翻訳会社から紹介されたものじゃなかったので、ペイがずいぶん良かったんです。そりゃー翻訳会社に払うお金を翻訳者に全部くれる訳ですから、悪いはずがありませんよね。その代わり責任も重大でした。でも責任って与えられると快感なものなんです。さっそく翻訳家として必要最低限もアイテムも購入してしまいました。
{翻訳必勝アイテム}
*韓日辞典 「朝鮮語辞典」小学館
韓国の金星出版と小学館が一緒に作った辞書。日本で作られた辞書の中でぴか一という評価を受けています。日本語の表現がスムースで素晴らしい。ワンダフル。
*日韓辞典「ニューエース」金星出版
上の辞書の姉妹編。「朝鮮語辞典」の日韓バージョンはまだ出版されていないので、こちらをオススメします。
*「現代用語の基礎知識」
常識が欠けているかな~と不安だったので
*翻訳ソフト
日韓翻訳の世界の必需品。みぽりんはチャンシンソフトという韓国の会社が作った「ezトランス」というソフトを使っているけど、慣れたらこれが無かったら翻訳なんて出来ないわ~くらい重宝しています。
* 山のような本
美しい日本語に訳すためには教養も必要なのではと思い、一週間に一冊のペースで本を読むことに。
さて1月から仕事をスタートしたんですが、モニターばかり見つめて翻訳に明け暮れす日々だったので季節の変わり目も分からなくなってしまい、いつ雪が解けて春になって、桜が散ったのか記憶があやふやです。特に最初の2ヶ月は試練の連続だったのですが、興味深い経験も多かったので、幾つかご紹介してみようと思います。
最初の試練―足が動かない
最初の1ヶ月は仕事にも慣れなくて、大変だったんですが、1日12時間翻訳を目標に、ある時は15時間も椅子に座りっぱなしで仕事をしました。午前5時間。午後5時間。夜5時間。。。ところが仕事を開始して2週間経った時点でおかしいな~と思い始めたことがあったんですね。どうも足が冷えて仕方が無いし、つねっても感覚がないんです。歩いているとふらふらしたりするんです。理由は簡単。運動不足でした。座り過ぎで足の血行が悪くなり、脚気のような症状を起こしていたんです。これに懲りて以降毎日運動を欠かさないことにしました。
第二の試練―不眠症
みぽりんは実はひどい不眠症なのですが、翻訳を始めてモニターばかり見つめていたら、寝ることを忘れてしまい、不眠症が悪化してしまいました。それで睡眠薬のお世話になりながら仕事を続けるたんです。夫から「薬飲んでまで仕事することないのに」と言われたんですが、でもこれを乗り越えなかったら翻訳家になれないので、無理をして頑張り続けました。今になって思うと妻に睡眠薬を処方しなくちゃならない夫の気持ちを考えたら、随分悪いことをしたな~と思うんです。結局3ヶ月を過ぎた時点で、余りの過労で座っただけですーーと寝てしまうようになったのでした。
第三の試練―誤字脱字との戦い
もともとみぽりんはアバウトな人間なので、この誤字脱字との戦いは大変でした。毎日何時間も原稿を見ているうちに頭がボーーっとしてきて、量をこなせばこなすぼど、誤字脱字が多発するようになってしまったのです。人間なんだから誤字脱字はするものよ~なんて言っていたら仕事にならないので、結局全ての出来上がり原稿をプリントアウトして、チェックし直すことにしました。タイヘン。
このようにしてあっという間に初夏になってしまったんですが、どうも家族の反応が冷たいんです。お母さんがこんなに一生懸命お仕事にせいを出しているのに、なぜでしょうか。家族の意見をお聞き下さい。
娘1:ゆりちゃん
私はママが翻訳するの嫌い。だっておでこに皺寄せて、モニターばっかり見ているんだもん。いつも「後で、後で」って言うし。遊んでくれないし、話も聞いてくれないし。翻訳は嫌いだわ。
娘2:潤ちゃん
おかずはキムチとのりばっかり。週末は寝てばっかり。レポーターだけしていた時はあんなに楽しそうだったので、ママが可愛そう。翻訳辞めて。
夫:
。。。。子供達がみんなしゃべってくれたね。お金が儲かるのだけはいいけど、このまま続けるなら、、、、僕はアメリカに留学する(ひえ~~~)
家族がこんなにも拒絶反応を示すなんて、みぽりんとしては全くの予想外でした。収入はアップし、子供達の買いたいもの、習いたいものは全部させてあげて、ローンの支払いまでお手伝いしてあげたのに。それまではまめまめしくも私をよく手伝ってくれた夫も、最近はごろ寝ばかり。この冷たい風を全身に浴びながらも、それでもみぽりんは執念を燃やして翻訳を続けたのでした。
こうして6ヶ月ほど翻訳を続けたんですが、とうとう事件が起こったのです。みぽりんは体が余り強くないので薬を処方してもらっていたんですが、ある日お医者さんがお薬の処方箋を変えたんです。薬って飲んだことがある人にしか分からないと思いますが、変わった時が結構体に応えるんですよね。韓国の薬って日本の薬より強いのか、この時はものすごい副作用を起こしてしまったのでした。
薬を飲み始めて10日目のことです。どうも息苦しくって、はーはー言っているうちに、突然呼吸困難を起こしまいました。脈が定かではなくなり、心臓の鼓動がおかしくなってしまったんです。「あなた~~胸が苦しい。息が出来ない~~」というと、横にいた夫がガバッと起き上がり、脈を図るや否や、心臓の上をこぶしでばこばこ叩き始めました。要するに人工呼吸をしてくれたんです。そして薬を飲ませてくれて、クラシックの音楽をかけてくれて、やっと少し落ち着いたんですが、要するに心臓麻痺を起こしかけてしまったのです。その時みぽりんは瞬間的に「人間はこうやって死ぬのもしれない」と思ったんですが、不思議と今までの人生が走馬灯のように目の前に浮かんできて、率直な話、すごく怖かったです。特に日本の両親より先に死ぬのはいたたままれず、「このままでは絶対に死ねない」と強烈に思ったのです。お金じゃないわ、仕事じゃないわ、と横になりながら痛感したんです。
このように翻訳家として本格デビューするはずだったんですが、中途で挫折してしまいました。命がけで働くことはないですからね。会社には無理に頼んで、もう1人翻訳家を雇ってもらい、仕事を半分に減らしてもらいました。
それにして女性が仕事を持つのって大変ですね。つくづく思いました。韓国の主婦はキムチも作らなくちゃならないし、床も毎日拭かなくちゃならないし、子供の勉強も見てあげないといけない。その上みぽりんは外国住まい。不器用なみぽりんはてんてんこ舞いです。家事と仕事を上手に両立する秘訣があったら、誰かみぽりんにゆっくり教えてくださいね。お願いします!それではまた~~~
関連タグ:
上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。
記事登録日:2004-07-15