映画「Water Boys」矢口史靖監督インタビュー

「とにかく韓国人は映画に対する情熱が貪欲(いい意味でね♪)」−2002年7月30日(火) 14時 ウェスティン朝鮮にて

こんにちは、ソウルナビです。2001年夏に、日本中を笑いと感動のうずに巻き込んだ映画「Water boys」。これは5人の平凡な男子高校生と、彼らに影響を受けた23人、合計28人のちょっとむさ苦しいけどスウィーティな夏物語。キーワードは「男のシンクロ!?」というだけあって、今までの映画史上にはなかった「シンクロナイズドスイミング」に挑戦する男子諸君の波乱と葛藤。そして最後に味わえるさわやかな感動…。ナビも実はこの映画を日本で10回以上みたほどの大ファン!そんな大好きな映画が、いよいよこちら韓国でも8月15日(木)から公開されるのです!

そして、この映画のメガホンを取った映画界の鬼才?!矢口史靖(やぐちしのぶ)監督が、韓国での封切りを前に、こちらソウルでの単独記者会見に臨まれました。今回はナビも鼻息を荒くして会場へ乗り込んできましたよ~。そして質問コーナーでは張り切って一番乗りしちゃいましたっ。矢口監督、ソウルナビの名前を覚えてくれたでしょうか…?では、夏真っ盛りのソウルで行われたインタビューの模様を、ご堪能ください。(質問の順番は内容に応じて変えてあります。また、記事中の「矢」は矢口監督をあらわします)
Q:この映画を作ったきっかけは?
「矢」---男子高校生というのは、なかなか女性と知り合う機会がない。そんな中で、唯一女性との接点を持てる「文化祭」にフォーカスをあてた。ここでかっこいいステキな自分の姿を文化祭にやってきた女性の目に焼き付けさせるには、やはりインパクトが大事だ。そこで今回は、これまでの映画史上の舞台になっていない「シンクロナイズドスイミング」に注目した。とにかく女の子にもてたい!という一心のみ…。
Q:この映画の舞台となった場所は?
「矢」---日本でも、埼玉県の川越高校に、唯一男子のシンクロナイズドスイミングがあり、そこで実際に活動を続けている学生やOBの方の姿が大きな力となった。
Q:28人のボーイズはどのように選んだのか?
「矢」---オーディションで選びました。スタントやCGなどの力を借りず、シンクロの演技は28人の出演者の努力のたまもの。シンクロは、ただ泳ぎがうまい程度ではとてもできないもの。自分も泳ぎには自身があるが、シンクロにチャレンジしたら5分で根をあげてしまった。

Q:ボーイズの合宿場所は?
「矢」---千葉県館山市にある某高校のプールを夏休みの1ヶ月間をお借りし、合宿に専念した。ただ、その1ヶ月の間、慣れない訓練にボーイズたちも交互に体調を崩したり怪我をしたりで、地元にある病院へ毎日誰かしらが通っていた。制作費の予算を大幅に越える治療費の請求に驚いた。

Q:出演の竹中直人さんの演技は、シナリオ通りのものか?
「矢」---イルカの調教師役の竹中直人さんは、最初から彼に演じてもらうつもりで台本を書きました。韓国の方からみれば、けっこうネジのはずれた感じの方に見えるかもしれないけれど、竹中さんの本当の姿は、あの演技の倍以上です(場内爆笑)
Q:矢口監督からみた、韓国人のイメージは?
「矢」---以前、カラオケビデオの撮影と、その後、釜山映画祭に呼んでいただき韓国へ来たことがあるけれど、とにかく映画に対する情熱が、良い意味で貪欲。そして感情表現が本当に豊かだと思う。

Q:監督の作品の登場人物には「鈴木」という名前が多いが、何か意味はあるのか
「矢」---今回の映画の主人公も「鈴木」だが、男の子の場合は、だいたい自分自身をイメージしている。女の子の場合でも…そうかも。ちょっと内向的なおとなしい変わり者….というか…
Q:小さい頃の監督は、どのような感じでしたか?
「矢」---とにかくいたずら好きでした。いたずらといっても、誰のためになるものではなく、意味のないいたずら…そして学生時代に映画という「いたずら」を見つけてからは、すっかり夢中になって、今では多くの人に自分のいたずらな作品をみてもらうこともできるし、しかもこのように外国でも自分のいたずらが受け入れられているのがとても信じられないけど嬉しい。

Q:華やかなシンクロの演技には、監督自身のアイデアも含まれているのか?
「矢」---そんなに入っていないですね…今回の振付は、3人の先生方にお願いしました。まず、川越高校のOB、競泳をされている方、そして女性からの視点を入れたく、女性の方にもお願いをしました。

Q:早乙女君とオカマバーの主人など、ちょっとオカマっぽいキャラの人は、何か意味があるのか?
「矢」---特に意味はありません。また、彼らのような人を援護するとか、擁護するとかの気持ちもありません。むしろ、ふつうの一人の人間として描きました。

Q:早乙女君と佐藤君の恋の行方は?
「矢」---彼らの恋は、あのシンクロのラストシーンで成就して、それでおしまいです。これから何かに発展するとかはないです。きっと早乙女君は次の彼氏をみつけているのではないでしょうか?

Q:劇中で使われている音楽の選択方法は?
「矢」---大人から子供まで、誰がきいても一度は耳にしたことのある音楽を選びました。邦楽だけでなく、洋楽も取り入れて。

ナビ:(そしてナビが発した質問っ!)斬新な発想をお持ちの矢口監督は、次は韓国を舞台にして映画を作る予定はありますか?
「矢」---前回、「ひみつの花園」という映画も韓国で上映をされて、ありがたいことに受け入れられたので、もし機会があれば今度は韓国を舞台にして映画を作ってみたい。
テレビのインタビュー番組でもときどき矢口監督のお顔を拝見しますが、本人いわく「いくら笑っても目が笑っていない」…とのこと。でも、間近でみる監督の表情は、眼鏡の奥の目がキラッと光りながらも柔和そうな印象を受けました。また、驚いたことに手がとてもきれい!監督にその旨をお伝えすると、「箸以外のものを持ったことがないからなぁ」と笑っていらっしゃいました。
とにかく8月15日からの「Water Boys」の公開がとても待ち遠しいソウルナビが、お送りしました。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2002-08-08

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