はなの留学特派員レポート・第7回「2004高延戦レポート」

第7回「2004高延戦レポート」

みなさま、アニョハセヨ!こちらソウルの気候は、朝晩はとても涼しく、時には寒く、めっきり秋の気配です。今回は一年を通して一番高大が盛り上がる、高延戦(コヨンジョン)についてレポートしたいと思います。
高延戦とは、読んで字のごとく高麗大学VS延世大学の闘いです(きっと延世大に行ったら「延高戦」って言うんだろうな.・・・)。まあ日本で言えば早慶戦みたいなものです。我らが高麗大学とライバル校である延世大学がアイスホッケー、バスケットボール、野球、ラグビー、サッカーの5種類の競技を競い合います。高延戦は学校行事の中では一番重要な行事で、この間は授業もお休みで、図書館すら閉まっています。両校とも韓国を代表するブランド大学のせいか、愛校心がとても強く、その分、試合はもちろんのこと応援もとても盛り上がります。
高延戦が始まった先週、学校及び周辺の学生街には、やたら高大のシンボルカラーである赤いTシャツを着た学生たちで溢れかえっていました。高大がある安岩(アナム)の街も高大の旗やら横断幕やらが張られ、街自体がちょっとしたお祭り騒ぎです。学校の最寄り駅である安岩駅から競技が行なわれる総合運動場駅(オリンピックが行なわれた場所)へ行く地下鉄の中も、赤いTシャツで溢れかえっていました。この赤いTシャツ、大学生協でも購入可能ですが、学生たちは自分の所属する学科やサークルで作ったTシャツを着ることが多いようです。中にはかっこいいデザインのものもありました。私は大学生協で買おうとしたら、既に売り切れで、試合会場で購入しました。Tシャツ以外にも帽子やタオル、色々高大グッズがありました。もちろん延大も。
私は9月18日(土)に行われたラグビーとサッカーの試合を見に行きました。会場に入ると、赤と青に埋め尽くされたスタンドで、試合前にも関らず既に熱い応援合戦が繰り広げられていました。陸上競技用のトラックの上に設けられた特設ステージの上で、アニメのコスプレの様な衣装を着た応援団が歌い、踊ります。もちろん生演奏で。これがとてもやかましい。高大も延大も爆音を轟かせ、団長と思しき人がマイクを通して絶叫。それに合わせる様に観客も絶叫。う、う、うるさ~い!応援歌は「アリラン」や「オー!シャンゼリゼ」など誰もが知っている曲の替歌もあり、所々に「高大!高大!」と合いの手が入ったりします。お決まりの振り付けもあります。そしてこの歌、踊りを全ての高大生が歌い踊ることが出来ます。みんなで跳んだりはねたりするので、スタンドが地震のように揺れていました。聞くところによると、高大では入学すると新入生は皆、この応援歌やら踊りやらを習うそうです。気合が違いますね~。演出もとても派手で得点が入ると、花火が上がっていました。飛行船が飛んでいたり、風船を飛ばしたり・・・。
途中、高大によく例えられる、早稲田大学の応援団の団長とチアガールが高大の応援にやってきました。学ランを着て、あの日本の応援独特の両手をまっすぐに伸ばし、カクカクした動きを韓国人たちは面白がって真似していました。延大とのエールの交換もありました。
肝心な試合は、ラグビーもサッカーも高大が勝ちました。でも、はっきり言ってこの試合、添え物です。試合よりも応援がメインです。試合そっちのけで応援します。自分の学校を応援することに意味があるのです。
さて皆さん、今までの話は全て前振りです。高延戦が一番盛り上がるのは、全ての試合が終わった夜です。試合が終わると、高大生も延大生も高大のある安岩の街にやって来て、お祭り騒ぎのスタートです!学校から安岩ロータリーまでの道が歩行者天国となり、ロータリーには特設ステージが作られ、バンドの演奏やダンスサークルの発表などが行われます。
そしてこの学生街にある飲食店は片っ端から学生の襲撃に合います。「キチャノリ(汽車遊び)」と称して学生たちが列をなして、お店の前で「サジャンニム!(社長!)」と叫びながら食べ物や飲み物をねだります。そうまるでハロウィーンのように。すると、お店の人たちは苦笑いしながらも、あらかじめ襲撃用に用意しておいた食べ物や飲み物を振舞ってくれます。お店の前で一気飲み用のマッコリとどんぶりを用意して、学生を待ち構えているお店もありました。
飲み屋だけでなく、マクドナルドやスターバックスコーヒー、31アイスクリームなども襲われていました。スターバックスを襲撃した学生は「スターバックスのコーヒーがタダで飲めた!」と喜んでいました。私も赤いTシャツを着ていたので、この学生たちにまぎれてタダでコーヒーを飲みました!もうこの時間になるとさっきまでの対抗意識が嘘のように赤と青入り乱れてのドンチャン騒ぎです。「キチャノリ」でも列と列がすれ違うときは「コデ!コデ!」「ヨンデ!ヨンデ!」と叫び、ハイタッチをしながらすれ違います。道端で酒盛りを始める集団もあります。どさくさに紛れて、ちびっ子たちも汽車を作って回りだします。安岩の街はカオスと化していました。
私は日本人の友達と一緒にこの騒ぎを傍観していたのですが参加したくなり、どこかに知り合いはいないかと探してみたところ、友達の友達の友達・・・というもうどういう関係かもよく分からない知り合いに誘われ、飲み屋へ。こんな訳の分からん人たちとも仲良くなれてしまうのも、このお祭りの良いところですね。で、最初はこの集団、高大生だけの集団かと思ったら、どこかの英会話学校の先生たちが混ざっていて、韓国語と英語と日本語が飛び交うとてもインターナショナルな集まりになっていました。そして飲み屋だけでは飲み足りない友人たちと共に、お酒を買って学校へ向かいました(註:私は下戸なのでお酒ではなくひたすらジュースです)。そうしたら夜中の12時を回っているというのに、人、人、人、酒、酒、酒・・・。私たちは学生会館前の広場に場所をとり、車座になりまた飲み始めました。この間も、友達やら知り合いやらが行ったり来たりして、本当に沢山の人たちと話しをしました。みんな酔っ払っているので、多少言葉がおかしくてもOK!結局私は夜中の3時半まで遊んでいました。もっといたかったけど、寒さに耐えかねて帰ってきました。でも、みんなまだまだ元気で朝まで遊ぶ勢いでしたよ~。

次の日、安岩の街はゴミの山。学校にもゴミ袋の山が出来上がっていました。そして私たちが夜中に飲んでいた広場はビール臭いという惨状。でもそれもこれも一年に一度のお祭り騒ぎだから許されてしまうのです。本当に楽しくて、来年もこれの為だけに韓国に来たいな、と思うくらいです。ちなみに、来年はこのドンチャン騒ぎ、延世大のある新村(シンチョン)で行なわれるようです。高大生、延大生でなくても、赤もしくは青のTシャツを着ていれば誰でも紛れ込むことは可能なので、機会があればソウルナビ読者の方々も是非参加してみてください!
以上、2004高延戦レポートでした。

上記の記事は取材時点の情報を元に作成しています。スポット(お店)の都合や現地事情により、現在とは記事の内容が異なる可能性がありますので、ご了承ください。

記事登録日:2004-09-22

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